KONAMIよりPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに2023年発売予定の縦スクロール型シューティングゲーム「CYGNI: All Guns Blazing」(以下、CYGNI)のプレイレポートをお届けする。
本作の開発を行っているのは、スコットランドのゲーム開発会社、KeelWorks。日本の2Dシューティングゲームを愛する彼らが、最新ハードらしい美麗なグラフィックをまとった新時代のシューティングゲームとして開発を進めている。
発売はまだ先ということで、ここからゲームバランスなど調整が入る可能性は高いが、現時点のバージョンで、序盤のステージを実際にプレイしてわかったことをお伝えしていこう。
グラフィック・演出・オーケストラサウンドがユニークなゲームプレイの魅力を引き上げる
失われし文明の遺跡が眠る惑星・CYGNI。エイリアンからの攻撃で壊滅的な被害を受けたこの星の、最後の艦隊空母パイロットとして戦いに赴くというのが本作のバックストーリーだ。
ゲームが始まると、コックピットの内部まで精細に描かれた自機のビジュアルが画面いっぱいに映し出され、ダイナミックにカメラアングルが切り替わって、そのままプレイ可能なゲーム画面へとスムーズに移行していった。このプレイ可能な画面もまた、背景には高層ビルの壁に巨大な映像が映し出された近未来的な摩天楼が広がっており、目に楽しい。
そうこうしているうちに敵機が出現。通常弾で迎え撃っていく。自機の青白い攻撃と赤黒い敵弾のコントラスト、そして敵を撃墜したときの華々しい爆発と、プレイ中の手応えもこの映像美ならではの満足感がある。
ゲームシステムには、昔ながらの2Dシューティングとはひと味違う部分がいくつかある。まずは通常ショットを、右スティックで左右にある程度撃ち分けられる点。敵機の攻撃をかわしながらも、こちらの攻撃は敵機へと浴びせ続けられるなど、活用すれば非常に便利だ。
また、通常ショットは空中にいる敵を撃破するための攻撃で、地上に敵が出現したときは、空対地ミサイルで迎え撃っていくことになる。こちらも右スティックで爆撃地点に照準を合わせる必要があるので、空中の敵と地上の敵が同時に出現したときなどは、焦りつつもその忙しさが楽しかった。
もうひとつ、ユニークなのが自機を囲うように表示されるオレンジ色の“ウェポンゲージ”、青色の“シールドゲージ”の概念。ウェポンゲージが増えれば自機の攻撃力が上がって敵機を早く撃破でき、シールドゲージが増えれば自機の防御力が上がって、敵機の攻撃に耐えられるようになる。
画面上の敵機すべてにダメージを与えるホーミングミサイルを撃つとウェポンゲージを消費し、敵の攻撃に被弾するとシールドゲージを消費する。道中でエナジーを拾えばこれらは回復できる。コントローラーの左右にあるトリガーボタンにはウェポンゲージ/シールドゲージの調整機能が割り振られており、どちらかのゲージをひとつ増やすともう一方はひとつ減少するので、攻撃特化にするか、防御特化にするか、バランスよく行くかを状況に応じて変えることができるのだ。
敵機のバリエーションや編隊としての動きにも工夫が凝らされており、一部にはほかの2Dシューティングゲームの展開へのオマージュと思われるシーンもあった。このあたりは2Dシューティングゲーム好きの開発スタッフが手掛けているからこそといったところだろう。筆者以上のシューティングファンなら、ニヤリとできる場面はさらに多くなりそうだ。
強大な敵を迎え撃つ局面では、背景に大量の地上軍が援軍として登場するなど、演出面でも目を見張るものは多かった。中ボス・ボスクラスの敵が登場するときの迫力もすごい。音楽には荘厳なオーケストラサウンドが用いられており、美しい映像を活かした演出も相まって、壮大なスケールを感じさせてくれる。
このように、魅力的なポイントは多い「CYGNI」。一方で、現在のバージョンではゲームプレイの細部において、引っかかりを覚える部分がいくつかあるのも否めない。
まずは中盤以降に登場する敵機には耐久度が非常に高いものが見受けられ、爽快さを削いでいる印象を受けた。被弾を繰り返し、ウェポンゲージの調整を行ってもこちらの攻撃力を高められない状況では、とくに厳しい戦いになりそうだ。
ウェポンゲージ/シールドゲージが、いずれかが増減したときしか画面に表示されないのも気になる。自機の攻守のバランスが現状どういったものなのかを把握するには、わずかな時間だけ表示されたゲージの状態をしっかり目視して記憶する必要があり、激しいアクションをこなしながらこれを実現することは、少なくともプレイを始めたばかりの腕前では困難だった。
これらは、操作性は非常によく、気持ちのいいレスポンスが得られるというアクションゲームとしてとくに大事な箇所の感触が素晴らしいからこそ勿体なく感じた部分だ。
まだまだブラッシュアップできそうな部分はあるものの、「CYGNI」は最新ハードに相応しい美麗なグラフィックと豪華なオーケストラサウンド、そして軽快な操作性でユニークな2Dシューティングが楽しめる、いまどき珍しいタイトルになりそうだ。個人的にはリリースまでに、爽快さ、快適さが高まるような調整が入ることを期待したい。