「アイドルマスター SideM 315プロダクションお仕事コラボキャンペーン」をきっかけに、アイドルたちと実際の企業とコラボレーションが盛り上がりを見せている「アイドルマスター SideM」(以下、「SideM」)。今回は、315プロダクションに所属するアイドルユニット・Beitの3人とコラボし、特製デザイン&特製風味のチョコレートを販売しているYUI CHOCOLATEさんを直撃しました。

福祉サービスのひとつ“就労継続支援B型”の事業所であるYUI CHOCOLATEを運営するYUI WORKさんが、Beitに出会った理由とは?

11月からアニメイト通販さんとタッグを組み、さらにたくさんの方々にコラボチョコレートが届くこのタイミングで、YUI WORKの兼子仁志さんと山城友希さんに、福祉との出会い、チョコレートとの出会い、そして「SideM」やBeitとの出会いについてなどお聞かせいただきました。

人と人の巡り合いから生まれたYUI CHOCOLATEさんがBeitとのコラボチョコレートに込めた想いと、出会いの必然性が伝わるお話です。

B型事業所が営む、まだ見ぬチョコレート作りの世界へ!

アイドルマスター SideM 315プロダクションお仕事コラボキャンペーン
https://sidem-gs.idolmaster-official.jp/collabo/

就労継続支援というお仕事が、チョコレート作りにめぐりあった理由

――YUI WORKさんは“就労継続支援B型”の事業所ですね。身近でない方もいらっしゃるかもしれませんので、まずは普段の事業内容について詳しくお伺いしてもよいでしょうか。

兼子氏:“就労継続支援B型”とは、障がいのある方々が雇用契約を結ばない形で継続的に働いていただけるよう支援する事業所のことです。支援する場なので、働いていただく方は工賃をもらいながら、同時に就労継続支援サービスの利用者さんという立ち位置になります。

事業内容は障害者総合支援法という法律に則っていればYouTuberでも何でも良いのですが、YUI WORKでは、カカオ豆から板チョコレートを作るすべての工程をひとつの場所で一貫して行う “ Bean To Bar(ビーントゥバー)” という方式を採用した、チョコレートの製造・販売業を行っています。そのチョコレートのブランドがYUI CHOCOLATEです。

チョコレート作りは、海外から仕入れた発酵・乾燥後のカカオ豆の皮を、
手作業でひとつずつ割っていくところから始まる。
2枚目手前がカカオ豆の中身で、チョコレートの主原料となるカカオニブ。
このカカオニブを細かく砕いたものに、砂糖と、ココアバターを加えてテンパリングして……。
左の型に入れて成型すれば完成! 梱包して発送される。
型にチョコレートを流し込むことはもちろん、1回チョコレートが完成するごとに
型を丁寧に数回ずつ拭き取り綺麗にすることも、利用者の方がひとつひとつ手で行っている。
チョコレートは、この流れを経ておよそ1週間で完成するそう。
香りの強さ・複雑さを出すため、同じ原産地のカカオニブから作ったココアバターを使うこともこだわり。

――兼子さんと山城さんは普段どんなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか。また、大切にしていることややりがいを感じる瞬間についても、もしあればお聞きしたいです。

兼子氏:私は主に、YUI WORKの施設管理とYUI CHOCOLATEの製造管理を担当しています。現在大切にしていることは、障害福祉サービス事業の基本理念に則った支援を提供できるよう組織の体制を作っていくことです。障害者総合支援法に明記されている就労継続支援事業のあるべき姿に則って、自身の個人的な価値観ではなく、専門的な知識と技術に基づいた支援を提供し続けることが、もっとも大切なことだと考えています。

やりがいを感じる瞬間は、チョコレートという商品を通して、さまざまな人と関わることができた時ですね。

山城氏:私はYUI WORK/YUI CHOCOLATEの広報や、パッケージや宣材のデザイン制作、その他渉外や庶務も担当しています。実は草加市にはおらず、遠く離れた離島からリモートワークで業務に携わっています。(ライター注:この日もリモートでご参加いただきました)

一番大切にしているのは「直接会えないからこそ、よりいっそう心を込めてコミュニケーションを取ること」です。たとえば、利用者さんがより快適に作業所で働くことができるように、現場スタッフとのオンラインミーティングや情報共有体制の改善など「遠方にいながらも、現場との連携を高める」ことに力を入れています。そして、YUI WORK/YUI CHOCOLATEの「顔」となる渉外として、お客様とお取引先様から信頼していただけるよう、真心を込めたやり取りを意識しています。

やりがいを感じる瞬間はたくさんありますが、まずはお客様に商品を喜んでいただけた時です! YUI WORKのメンバーが心を込めて作ったチョコレートが、お客様の幸せなひとときに役立てていると思うと、大変光栄です。また最近は委託販売のお声がけをいただいたり、新しいお取引が始まったりと、YUI WORKの活動範囲が少しずつ広がっていることにも大きな喜びとやりがいを感じています。離れていても繋がることができる現代。一番遠い場所だと、青森や秋田の同業の方々とも出会うことができました。日本各地の同じ志をもつ方々と、これから一緒に福祉雑貨の世界を盛り上げていけることに、とてもワクワクしています!

――ありがとうございます。おふたりがYUI WORK/YUI CHOCOLATEにかかわることになった理由もお聞きしてもよいでしょうか?

山城氏:私と兼子は、名字は違いますが姉弟なんです。そこに私たちの父の3人で、YUI WORK/YUI CHOCOLATEを始めました。

兼子氏:チョコレート作りをすることになったのは、私の希望がひとつの要因としてあって、最初のきっかけは私が大学4年生の頃ですね。時々ひとりで海外旅行に行ったりしてたんですけど、「航空会社のキャンペーンで安い」という理由でフィジーに行ったんです。でも明確な目的があったわけではなかったのでどうしようかとガイドブックを読んでいたら、“Bean To Bar”方式のチョコレート作りでフィジーでも有名な図越さんご夫妻が載っていて。チョコレートは人並みに好き程度だったんですけど、面白そうだなと直感してお伺いしたところ、いろいろお話を聞かせてもらえたんです。そこでまず“Bean To Bar”って面白いと感じました。ただその段階では「これを仕事にしよう」とまでは考えていませんでした。

――“Bean To Bar”への興味がさらに深まる出来事があったんですね。

兼子氏:そうなんです。そのあともっとフィジーのチョコレート作りについて知りたいと思って調べたら、当時他に2組くらい作られている方がいらっしゃって。その方々にもお話伺ったんですけど、そこでだんだん生産だけでなくカカオ農家のほうにも興味が出てきたんですね。というのも“Bean To Bar”方式で作るチョコレートというのは、ほとんどカカオと砂糖で作られるので、その分カカオの質が大きく反映されるものなんです。お会いしたみなさんもカカオは自分で育てるのではなく、フィジー国内の農家さんから仕入れていましたし……それでなんとかお話を聞けないか模索して。「遠いしひとりで行くには危ないよ」となかなか機会が得られなかったんですけど、最後にお会いした方の弟さんがカカオ農家をされていて、2週間であればお金を払う形で滞在していいと言ってくださったんです。そこでの経験が一番、今の福祉とチョコレートへの興味にすごく繋がっているなと思います。

――どんな経験だったのでしょうか。

兼子氏:2週間というと、収穫したカカオの実からカカオ豆を取り出してチョコレートに加工できる状態(=発酵し、乾燥した状態)になるまでを見られるか見られないかぐらいの期間なので、カカオについて学ぶと思うと短くて。とはいえ直接見て勉強になったことはとても多かったのですが、まずフィジーの農家での生活を経験できたことが大きかったです。

実はカカオを栽培して売るだけだと、あまり儲からないんです。なのでその農家でも、タクシーの運転手みたいな副業をしていたり家や工場を手作りしたり……子どもたちにしてもなかなか大学まで行く子もいない。一方で何の苦労もなく大学に行かせてもらって海外旅行にふらっと来れる自分の豊かさを感じましたし、そんな自分が彼らと交流して生活を「体験」していることにもモヤモヤして。生まれた環境だけでこんなに違うんだと痛感したんですよね。だけど彼らは、貧しいかもしれないけどひどい暮らしぶりではないんです。私が哀れむのも違うし、立場が違うけれども対等だし尊重するにはどうしたらいいか、と考え始めたことは今の福祉への向き合い方に繋がっていると思います。

またそこでカカオ農家を見たことで、どうしてもチョコレートに関わる仕事に今すぐ就きたくなっていて。そのあと日本に戻ったんですが、あと少しで卒業だった大学を辞め、2018年12月に、本格的にチョコレート作りを学ぶため今度はハワイに行くことにしました。

――そこまでチョコレートに魅了されてしまったのですね!

兼子氏:「チョコレートっていろんな形でたくさんの人と関われるものなんだ」と思ったんです。カカオ農家の方々や仲介してくださるバイヤーの方、それにチョコレートが完成してからも、安いものから高いものまでたくさんの味やデザインがあるから、子どもから大人まで幅広い層の方々が商品として買ってくださるし、クーベルチュールとして別の洋菓子にするために買う方もいる。もともと工学部でモノ作りは好きだったんですけど、自然も好きだったのでロボットや機械だけと向き合うのはしんどいかもしれないなと思い始めていたところに“Bean To Bar”方式のチョコレート作りに出会って、自然のモノからモノを作る過程でも、完成してからも、こんなにたくさんの世界中のいろんな生き方をしている人と関われるものって他にないよなあ、ってすごく魅力的に思えたんです。

山城氏:その動きと並行して、実は2018年12月に父のほうから「就労継続支援B型の事業所を開きたい」という話があったんです。もともと父が代表を務める法人にて障がい者向けグループホーム「ゆぃまぁる」を草加市で運営していたのですが、そちらが軌道に乗ってきたこともあり、日常生活が整ったから次はその方々の就労の場だね、と。

兼子氏:グループホームってただ暮らせていればよいものではなくて、国から規則正しい生活を送るようにしてください、と言われているんです。だけど規則正しく行く場所がないとそれも難しい、いうことで事業所を開こうと考え、障がいの重さなども考慮し雇用契約を結ぶ就労継続支援A型ではなく「ゆぃまぁる」の利用者さんが一番働きやすそうな就労継続支援B型にしました。

――そこで、お父様も含めたYUI WORK/YUI CHOCOLATE立ち上げに繋がるのですね。

兼子氏:そうです。ただ、チョコレート作りを事業にしたのは私が強く興味を持っていたこともありますが、“就労継続支援B型”で事業を行うのに“Bean To Bar”方式が適していたことも大きいです。先ほどの話と重なる部分もあるのですが“Bean To Bar”方式だと「シンプルに板チョコレートという商品が作れる」かつ「高価な商品を生み出しやすい」んです。“Bean To Bar”は各工程がシンプルなので「ゆぃまぁる」の方々にもやっていただきやすいですし、板チョコレート作りって失敗するとしたらテンパリングの部分なんですけど、それも失敗してももう一度溶かし直せば取り返しが効くんです。

そういう工程面でぴったりであったことと、あとお金のお話になりますが、就労継続支援B型事業所の全国の平均工賃月額は1万5000円程度なんですね。でもこれは、やっぱりもっと上げたいじゃないですか。その点でも、“Bean To Bar”で作る板チョコレートであれば、もともと手間がかかっていて高価な傾向もあり、作り方や見せ方次第で私たちにも付加価値の高いモノを作ることも可能だろうと考えたんです。

山城氏:そこで私にも声がかかって。当時から離島にいたのですが、リモートでいいからパッケージやホームページのデザインをやってほしいとのことでした。

――山城さんは最初に聞いてどう思われましたか?

山城氏: まず父に言われたのが、「福祉施設かどうか関係なく、洗練されたハイクオリティなブランドを目指そう!」ということでした。長年、福祉業界に携わってきた父曰く、事業所で作られた製品、例えば食品や雑貨いろいろありますが「本当に質の良いモノだからまた買いたい」と、リピートしてもらいにくいと感じる場面があったそうです。

もちろん全国には、素晴らしいプロダクトを製造されている事業所さんはたくさんあるのですが。現場の実情としては、日々たくさんの業務で大忙しの中、強い個性と魅力を持ったブランドとして、ハイクオリティな製品を生み出す環境を整える時間も余裕もない、と悩む事業所さんも多いとのことです。

なので私たちとしては「本当に質の良い、価値あるモノ」だから、お客様ご自身や大切な方への贈り物として「また買いたい」と思っていただけるようなブランドを目指そうと。

私も父たちが頑張っている姿をずっと見てきましたので、その想いを活かして、たくさんの方に「いいモノ」として知っていただけるブランドを作りたいと思いました。

――普段販売されているチョコレートやホームページもすごく可愛くておしゃれだなと思っていたのですが、そのような想いがあったのですね。

山城氏:嬉しいです!立ち上げ時に兼子から大量に国内外のチョコレートを送ってもらい、すでにたくさんおしゃれなチョコレートが存在する中で、いかに「B型事業所」かつ「チョコレートメーカー」であるという個性を打ち出せるかを考えてきました。

そのひとつが、今定番商品として販売しているチョコレートバーで、これは利用者さんが塗った塗り絵をパッケージにしているんです。塗り絵の素材は「ぬりえラボ」さんから購入しています。

ぬりえラボさんは、福祉施設で絵画指導をされたり、施設活動用の塗り絵素材を提供していらっしゃいます。素敵な絵柄に惹かれ、先方にコンタクトを取ったところ、パッケージ使用をご快諾いただき、いつも応援してくださっています!

その素材の中から、YUI WORKの利用者さんが各々お好きな絵柄を選び、1~4週間かけて、丁寧に色塗りします。その塗り絵をパッケージにして届けることで、利用者さんの丁寧な手作業の集大成を、商品の中身(=チョコレート)だけでなく、商品の外側からも見ていただきたい!と思っています。

また、チョコレートを食べるだけでは終わらず、その後も取っておきたいと思っていただいたり、大切な方へのプレゼントに選んでいただけたら良いなと。

今も新商品を考える時は、これまで作ったパッケージを見ながら試行錯誤していますね。

利用者の方が塗り絵されている様子。完成後に厚紙に印刷され、厚紙を切り抜いてパッケージに。
切り抜きも利用者さんが行っており、
切り抜く位置によって1個1個パッケージの図柄が異なってくる点も魅力のひとつ。
1枚の塗り絵はある程度の枚数使用すると別の塗り絵を使うため、イラストとの一期一会の出会いも楽しめる。

「アイドルマスター SideM」、そしてBeitと巡り逢った理由

――理由(ワケ)あってチョコレート作り、だったのですね。では「アイドルマスター SideM 315プロダクション お仕事コラボキャンペーン」に応募されたのはどんな理由からでしたか。

兼子氏:YUI WORKの利用者さんの中に「アイドルマスター SideM」のプロデューサーさん(「アイドルマスター」シリーズのファンの総称)がいらっしゃるんです。その方がキャンペーンの情報を知って「コラボに挑戦してみたい」と相談いただいたことがきっかけですね。YUI WORKは利用者さんの「やりたい!」を叶える場所であることを目指していますので、ぜひ実現させようと、その利用者さんと、チョコレート製造の兼子と、広報デザインの山城とで企画チームを発足しました。

山城氏:私はBeitの3人が、それぞれ異なるバックグラウンドからアイドルを目指し、プロデューサーの皆様に、笑顔と元気を届けていることを知りまして「それぞれ異なるバックグラウンドを持つ私たちYUI WORKも、一人ひとりができることを繋ぎ合わせ、皆様に笑顔を届けたい。その思いが繋がって幸せが広がる取り組みになりますように。」という想いから、Beitとのコラボレーションをより強く希望しました。また私は、その利用者さんからBeitの楽曲“スマイル・エンゲージ”を紹介していただき、とても素敵な歌だと感銘を受けました。

――コラボチョコレートの販売ページ(https://shop.yuichocolate.com/items/58061518)からもパッケージと味にすごくこだわってくださったことが伝わってきます。それぞれどのように制作を進めたのでしょうか。

山城氏:パッケージのコンセプトは「特別な贈り物」です。プロデューサーの皆様にとって、チョコレートを食べたあとも、宝箱のように取っておきたいと思っていただけるようなパッケージを目指しました。

また初回販売をバレンタインシーズンに据えていたのですが、ちょうどBeitの雰囲気(ロゴデザインや衣装デザイン)が、このシーズンとの親和性が高い印象を受けましたので、「冬ギフト」としての顔を持ちながら、同時にBeitのカラーやイメージを取り入れたデザインにしました。

そしてパッケージのこだわりは、その作りにもあります。手のひらサイズのボックスを開けると、小さなリーフレットと、3つの箱が重なっており、その各箱を開けますと、それぞれのアイドルをイメージしたチョコレートと、ここだけのオリジナルステッカーが入っている仕様になっています。

これは「宝箱を開ける時のような、ドキドキワクワク感を楽しんで欲しい」という想いと「すべてがキレイにまとまっていること」を追求した形になります。

これらはすべて、発案してくださった利用者さんに「アイドルマスター SideM」やBeitのことを教えていただき、意見を交わしながら「プロデューサーの皆様にとって、どのような商品だと嬉しいか」と「私たちが実際にできることは何か」という点をすり合わせ、試行錯誤しながら作り上げたものです。「どの文字フォントを使うか?」「雪の結晶はどの形が良いか?」といった小さな部分だけでも数十種類の候補から検討し、細部の微調整も含めると、試作は数百回にまでのぼり、すべてのアイテムに精一杯の思いを込めました。

――Beitの楽曲のひとつ“TOMORROW DIAMOND”終盤、3人がキラキラの光が入った箱を開けながら正面に差し出す振付を連想する素敵な発想だなと思いました。また今回のチョコレートでは味でもBeitの3人をイメージされていますよね。個人をチョコレートの風味で表現されたのは個人的には初めてでした。

兼子氏:YUI CHOCOLATEが“可能な限り複雑で強い香りを持つチョコレートを作る”ことを大事にするチョコレートブランドであることから発想しました。ハワイで学んだことなのですが、“Bean To Bar”の工程は先ほども言ったようにシンプルなので、方法さえわかれば誰でもできるんです。ただそれを仕事にするには「自分がどんなチョコレートを作りたいのか」をしっかり持っている必要があって。「地元の特産品を使ったチョコレート」でも「スパイスの効いたチョコレート」でも何でもいいのですが、目標を定め、そこに向けて作り方を調整していくということが大切なんです。それでYUI CHOCOLATEを立ち上げる時、私は“可能な限り複雑で強い香りを持つ”チョコレートを作ろうと決めました。

先ほどカカオ農家が儲からないという話をしましたが、それはカカオ豆に評価基準がない、というのがひとつの要因だと思います。たとえばコーヒー豆には統一された評価基準があるので、その基準に当てはまる「良いモノ」を作れば、その分高価に販売でき利益にもなりますが、カカオ豆には基準がないからそうならない。それで今カカオ豆の統一的な評価基準を決めようという動きがあるのですが、私もしっかりその流れに乗って、カカオ豆の品質を公正に評価し、豆の生産者に適正な報酬が支払われる仕組みがある世界を目指していきたいと思っています。

Beitの3人それぞれをイメージした風味のチョコレートにしたのも、カカオの風味の違いを最大限生かしつつ、バラバラの道から交わった3人の個性を込められると考えたからです。

――Beitの3人に当てはめていく制作は振り返ってどのような経験でしたか。

兼子氏:チョコレートについては、「どのチョコレートが、どのアイドルの雰囲気にマッチしそうか」をイメージしながら試食し、こちらの組み合わせに至りました。

⚫オルティノラ 79% ❄ 鷹城 恭二⚫
カカオ成分が最も高く、ビターでクールな風味。

⚫ガーナ 61% ❄ ピエール⚫
最も甘みがあり、親しみやすい魅力的な風味。

⚫テーブルランド 75% ❄ 渡辺 みのり⚫
お花の香りを連想させる、上品で大人な風味。

チョコレートの原材料は、どれもカカオ豆と沖縄県宮古島産きび糖のみで、風味の印象は「各産地のカカオ豆の特徴」と「きび砂糖の配合量」によって決まります。カカオ豆の焼成時間やきび砂糖の配合量などを細かく調整しながら、それぞれのアイドルをイメージできるような「風味」を目指しました。

それぞれのカカオが持つ香りの特徴を一番活かしつつ、食べやすい配合を目指す。
たとえば鷹城さんのチョコレートのオルティノラ産カカオは今回の3種の中では
もっとも苦みが少ないカカオで、だからこそ砂糖が少なくともチョコレートにできるが、
砂糖が少ないため、結果として一番ビターでクールな風味が仕上がる、とのこと。

山城氏:利用者さんから「SideM」やBeitのことを教えていただいたり「アイドルマスター SideM GROWING STARS」を実際にプレイもしてみましたが、「プロデューサーさんが抱く、Beitのイメージ通りのチョコレートを作ることができるだろうか」と最初は不安でしたね。“Bean to Bar”のチョコレートは、私たちに限らず手間暇かかるため、全体的に高い価格設定なんですが、それだけ期待したのに期待と違っていたと思われないか、十分に商品開発をする時間が足りないとずっと思いながらの作業でした。でもそれだけあって、みなさまが喜んでくださった時にはすごく嬉しかったですね!

兼子氏:今振り返ると、Beitの3人それぞれへの理解を深めつつ、各産地のカカオ豆の特徴と結びつける作業は、とても面白い経験になりました。

――販売開始後にはどのような反響がありましたか?

山城氏:想像を超える反響の大きさに驚いています。初回販売はスタート数分で完売となりました。企画当初は一度きりの販売を想定していましたが、プロデューサーさん方から「Beitとコラボをしてくれてありがとうございます!」「どれだけ時間がかかっても良いので再販希望です!」「でも施設の皆様の体調に無理のないように…」と、本当に多くのあたたかいメッセージを頂きまして、販売継続に踏み切ることができました。

追加販売後も、お求めの声に対して生産が追いつかず、心苦しい瞬間も多々ありましたが、初回販売から時間が経った今も、商品をお待ちいただいているプロデューサーさんがいらっしゃることが、まだまだ頑張ろうというモチベーションになっています。

――体制について、実際ご無理はないのでしょうか。

兼子氏:最初は正直、同時にここまでたくさんのチョコレートを作って発送したことがなかったので、ペースをつかむのに時間がかかってしまいました。ただ、おかげさまで最近になって、どういう体制であればどのくらいの量をどのくらいの時間で作れるのかという見通しが立つようになってきたんです。このことは継続して事業を続けていくためにも大事なことですし、今後の糧になると思います。

――「アイドルマスター SideM 315プロダクション お仕事コラボキャンペーン」で関わってみて「アイドルマスター SideM」とはどのようなコンテンツであると感じましたか。

山城氏:“スマイル・エンゲージ”の中に散りばめられた言葉の通り、互いに寄り添い繋がることで、みんなで一緒に幸せを感じることができる、本当に素敵なコンテンツだと思います。また、今回のお仕事コラボキャンペーンを通して、他のメーカー様のお取り組みについて知ることができたり、多くのプロデューサー様に初めてYUI WORKを知っていただけたりと、まさに楽曲の中で歌われているような輪の広がりを実感しています。

たくさんある作品の中で、しかも「SideM」の中でもたくさんアイドルの方がいる中で、こんなに想いが重なるBeitというアイドルに出会えて、その出会いからまた輪が広がっていって、本当に貴重な機会をいただけたなと感じています。

兼子氏:やりがいのお話をしましたが、「SideM」を通じてたくさんの方とお会いすることができました。やっぱりチョコレートは人と人とを繋ぐ媒体だな、と改めて自分が思うチョコレートの魅力を強く感じられて、とても嬉しい機会をいただけました。

――その出会いひとつにアニメイト通販さんとの出会いがあり、11月からの「チョコレートバー 3種入りボックス〈アイドルマスター SideM Beit ver.〉」の販売に繋がるのですね。

【YUI CHOCOLATE】アイドルマスター SideM お仕事コラボ商品 今後の販売について
https://shop.yuichocolate.com/blog/2022/09/27/112015

山城氏:そうなんです! 実現までお時間がかかってしまったのですが、先ほど兼子からもあったように、やっと体制を整えることができてきて、またお客様対応をはじめ、様々なケースにも慣れて余裕もできてきましたので、やっとこの秋からバレンタインシーズン頃まで、継続販売させていただくことになりました。

――2022年11月〜2023年2月まで毎月1回ずつの受注なのですね。

山城氏:アニメイト通販様での受注は、その予定です。またこの期間内、YUI CHOCOALTEオンラインショップでも複数回、販売機会を設ける予定です。一ヶ月の中で、アニメイト通販様とYUI CHOCOLATEで販売日時をずらす予定ですので、この秋冬シーズンは月に2回、ご購入いただく機会があります。なので、これまでよりもご購入いただきやすくなるのではないかと考えています。

アニメイト通販様が、私たちのような小規模事業所を見つけてくださってすごくありがたいです。私たちにとって一番ハードだったのが、実は生産以上に発送だったんです。作ることはできても一度にたくさんの数を発送することが難しい。でもそこも助けていただけるということで、やっとみなさまに素早くお届けできます。これを機にプロデューサーさん方には「長い間お待ちいただき、本当にありがとうございました」とお伝えしたいです!

――ありがとうございました。最後に、これから今のお仕事を続ける中で目指していきたいことをお聞かせいただけますか?

山城氏:YUI WORKが「利用者さんがご自身の仕事に誇りを持って、いきいきと楽しく働ける居場所」になることを目指しています。そんな環境の中で生み出されたプロダクトを、世の中の多くの皆様に知っていただき、好きになっていただけることで、さらにYUI WORKとYUI CHOCOLATEが発展していけるよう、邁進したいです。

兼子氏:今回のコラボである程度まで進んだとはいえ、生産体制をさらに整えたいという想いがまずあります。あとは、ゆくゆくはカカオの生産に携わりたいです。良いチョコレートを作るには良いカカオ豆が必要なので……でも日本で育てるということではなくて。カカオは実は温暖化が進めば、いずれ日本でも大量生産が可能だろうと言われているのですが、今は難しいですし、何より私の思うチョコレートの面白さって、赤道近くで獲れたカカオがヨーロッパでチョコレートになっていたりする、その「遠さ」にあるんです。なのでカカオが育ちやすい海外での生産に携わっていけたら、と思っています。

それに私たちはただのチョコレートメーカーではなく「B型事業所のチョコレートメーカー」なので。日本と海外の障がい者支援の方法についても意見交換しながら、現地の障がい者支援に繋げたいと考えています。コロナ禍に入る前に話が進みそうだったのが、コロナに加え向こうの政治が不安定になったりで頓挫してしまったのですが、いつか再開させたいです!

――今後の新商品も楽しみにしています。ありがとうございました!

兼子氏・山城氏:ありがとうございました!

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