Behaviour Interactiveが開発中のビルド&レイドゲーム「Meet Your Maker」のオープンベータテストが、本日2月6日より開幕! 本作を先んじて体験したライターが、その特徴や魅力をお届けする。
「Meet Your Maker」は、世界中のプレイヤーが作り上げたアウトポスト(基地)を攻略し、最深部にある資源を奪って脱出を目指すゲーム。プレイヤーは持ち帰った資源をもとに自分を強化したり、アウトポストを作り上げたりしていく。
本作を手がけるのは、Behaviour Interactive。大人気ホラーゲーム「Dead by Daylight(デッド・バイ・デイライト)」の開発スタジオといえば、ご存じの方も多いだろう。そんな彼らの新たな作品として注目を集めているのが、本作「Meet Your Maker」だ。
本作の舞台となるのは荒廃した未来の地球。地球上の生命を救うために作られた実験体・キメラを管理し、資源を収集して進化を手助けすることが、プレイヤーの目的となる。
ただし残された資源は数少ない。それゆえに生き残った人類が資源を奪い合う、というのがゲームのテーマとなっている。とはいえ、プレイヤー同士が直接戦闘を行うことはない。ほかのプレイヤーが建設した基地へ侵入し、奥にある資源を奪って脱出するーーそれが本作における対戦だ。
実際にプレイしたところ、かなり独特の魅力が詰まった作品だという印象を受けた。そこで本記事では、筆者が体感した本作独自の特徴と、それが生み出すおもしろさについて紹介していこう。
なお、オープンベータテストが本日、2023年2月6日(月)23時から2月14日(火)13時59分まで実施される。ただしSteamでのみの実施となるため、その点は注意しよう。
資源を奪って自分や基地を強化する、シンプルながらもエンドレスな快感
ベータテストということもあるかもしれないが、本作の流れは非常にシンプル。聖域と呼ばれるプレイの拠点から他プレイヤーの基地へおもむき、資源を回収してくる。そうやって集めた資源を使い、自分や基地をアップデートしていく。これの繰り返しだ。
広大なフィールドなどはなく、聖域と襲撃先の敵の拠点のみが、プレイヤーが動き回れる世界となる。窮屈ではあるが、生物が住めなくなった環境というストーリー性とマッチしており、この世界の悲壮感が感じられた。
ただ襲撃と建設のサイクルを繰り返すだけと侮るなかれ。それぞれの要素については後述するが、ゲームのテンポのよさと、自らが設計した基地がうまくハマったときの爽快感がとにかく気持ちいいのだ。
聖域の機能も多すぎず、わかりやすい。装備&設備の強化やアンロックを担当するNPCと、物語上の特別な存在であるキメラ、出撃や拠点の管理を行う指令センター、そしてリプレイを閲覧できる機材があるのみ。ゲームに必要なものを最低限取りそろえただけではあるが、おかげでやることに迷うことがない。
なかには、ほかのプレイヤーと物資を奪い合うことにためらいがある人もいるだろう。しかし安心してほしい。本作では、基地が襲撃されて物資が奪われても、基本的にはプレイヤーの所持している物資には影響しない。
そのため気兼ねなく他プレイヤーの基地を襲えるし、自分の基地もガチガチの防衛策を考えることに頭を悩ませずともいい。現に、見た目やおもしろさを優先した基地を設置している人もいた。プレイヤーの損をなくすことで対戦の心理的ハードルを下げ、基地の表現の幅を広げているのは、非常に好印象だ。
一方で、「もっと奪い奪われる関係がいい」というガチガチの対戦派の人もいるかもしれない。そんな人は、基地の設定を“過活動”に設定するのがオススメだ。この設定では、侵入者を倒した際に手に入る物資が増える代わりに、物資を奪取されると所持している物資が実際に減ってしまう。
本作では襲撃時のリスタートには制限がないため、いずれは物資は取られてしまうだろう。しかし、それまでに侵入者を倒す回数が増えれば、奪われる以上のリターンが望めるはずだ。堅実に遊びたい人も、スリルを求める人も同じ舞台で遊べるのは、素直に嬉しい。
ちなみに、襲撃することで手に入る資源には、大きく分けて2種類ある、ひとつは、助言者たちのレベルアップに自動的に使われるジェンマット(遺伝子構成物質)。もうひとつが、装備や罠のアンロックなどに使うものだ。
ジェンマットを入手することにより助言者がレベルアップしていくのだが、レベルアップした助言者を“処理”することで、キメラのレベルも上がっていく。処理ボタンを押すと、レベルが上がった助言者が地面に吸い込まれ、分解されてキメラの養分となるのだ。
「せっかくレベルが上がったのに、処理しないとキメラの経験値にならないなんて……!」と思いきや、じつは実害がない。助言者はクローン人間のようで、処理した次の瞬間には新しい助言者が生まれてくる。最初は戸惑うかもしれないが、助言者のレベルが上がったら、気にせず処理してしまおう。
キメラのレベルが上がると、ボーナスとして追加の資源を得ることができる。現状、それ以外の機能はないように見えたが、もしかすると製品版ではキメラのレベルに応じて、物語が進むのかもしれない。このあたりは製品版を待つしかないだろう。
プレイヤーによって作られた基地の攻略は、まさに千変万化のおもしろさ
襲撃時にプレイするステージは、例外なくほかのプレイヤー(または開発スタッフ)が実際に作った基地となる。そのため、同じステージはふたつとして存在しない。高い塔のような基地を作るプレイヤーもいれば、広大な空間を用意して敵の集団と戦うような基地を作るプレイヤーもいて、遊ぶたびに新鮮な気持ちでプレイできる。
死んでも無制限にリトライできるのも特徴だ。基本的に1発攻撃を受けると死んでしまうのだが、失うものはないうえに、基地の罠や敵の配置も変わることはない。死がそのまま攻略の経験値となって自分の中に蓄積されていく感覚は気持ちよく、死亡からリスタートまでのテンポも快適。トライ&エラーを繰り返しながら、徐々に目的地まで進んでいく過程はかなり楽しめた。
アクションはオーソドックスなシューターでとっつきやすい。射撃武器に加え、近接武器と、グレネードなどのギアを装備することができる。襲撃時のスタート地点で装備の変更もできるため、ステージやプレイスタイルに合わせたカスタマイズをしたうえで挑戦可能だ。
しかし多くのシューターと違い、射撃武器の弾がかなり少なく設定されている。初期で渡される銃は2発、アップグレードしても3発しか弾を持てないと言えば、どれだけ弾が制限されているかわかるだろう。射撃でのゴリ押しは難しく、いつ、どこで弾を使うかを考えて立ち回らねばならない。
しかも、弾はまっすぐ飛ばず放物線を描くため、遠くの敵に当てるのが難しい。この所持弾数の少なさと射撃の難しさが、プレイの緊張感に一役買っている。
補足すると、発射した弾は着弾地点に刺さり、触れることで回収することが可能だ。よって、撃っては拾いを繰り返して進んでいくのだが、この“拾える”という仕組みも絶妙!
弾を回収しようとした結果、それを見越して設置された罠に引っかかることもあるし、倒した敵ごと回収不能な穴へと吸い込まれていく場合もある。そうなれば、手持ちの弾が少ない状態で攻略せざるを得ない。そんな事態を避けようと、敵を倒す位置を考えて立ち回った結果、今度は反応が鈍くなって意図しない罠にひっかかるということも。
限られた弾薬と、どこにあるかわからない罠が、ドキドキ感を味合わせてくれる。最奥にある資源の奪取という目的と合わさって、気分はさながらピラミッドへと踏み入る盗掘家だ。
そして何度か死んだあとは罠の配置が知識として残るため、大胆な行動も可能になっていく。このスローペースとハイペースの切り替わりが心地よく、夢中になって遊んでしまった。プレイヤーごとに罠の配置にもクセがあり、「この基地の作者だったら、ここに罠がありそうだな」と予想しながら進んでいくのも楽しい。見破れたときにはドヤ顔できるし、うまくハメられたときには悔しくも「してやられた!」と感嘆すらしてしまう。
なお、本作では二段ジャンプとグラップリングフックといったアクションも使用できる。基地を立体的に建造するプレイヤーも珍しくないため、これらのアクションを使いこなすことで、スムーズな攻略が可能だ。とっさに罠を回避したり、天井に刺さってしまった弾を回収したりと活用場面は多いため、早いうちに慣れておくことをオススメしたい。
襲撃終了後はリザルト画面が表示されるが、ここでは自分が挑んだ基地を評価することもできる。筆者は、うまい構造の基地や、見栄え良く作られている基地には、結果がどうあれ評価を送るようにしていた。基地を作る側の立場になってみれば、挑んだプレイヤーからの評価はきっと励みになるだろう。
侵入者が死ぬ姿を想像すると、楽しくてしかたがない基地建設
本作最大の特徴が、自分で基地をデザインできること。基地建設は積み木に似ており、さまざまな形状のブロックを組み合わせてダンジョンを作っていく。ブロックの種類は豊富かつ形もさまざま。想像力の許す限り、どんな基地だって思いのままだ。
ただし、ゲームとして成立させるために最低限のルールもある。まず、入り口から侵入者の目標となる資源の回収場所までは、しっかりと経路が引かれていなければならない。つまり、資源を壁で囲って取られないようにするのは不可能だ。
入口から資源の場所までは、ハーベスタと呼ばれるNPCが巡回している。ハーベスタはジャンプできないので、段差ではしっかり坂を用意することを忘れずに。ハーベスタが往復できるルートがないと公開できないため注意しよう。逆にいえば、自分が襲撃側になったときは、ハーベスタのあとを追えば、資源の場所にたどりつけるというわけだ。
また、基地は購入時のサイズによって使用できるコストが決められており、そのコスト内で基地を建造しなければならない。ブロックや罠、番兵は配置にコストがかかるため、いたるところに罠を敷き詰めたり、100体を超える番兵を配置したりといった基地は実現できないだろう。
こういった制限があるなかで、いかに資源までの道を危険なものに作り替えるかというのが、プレイヤーの腕の見せどころだ。
前述した通り、資源を奪われたからといって、“過活動”にしていなければ自分の所持資源に影響はないので、あえて効率を無視した作りにしたり、デザイン重視で作ったりしてもいい。特にブロックに張り付けられる装飾やペイントはコストがかからないため、こだわろうと思えば細部まで作り込めるのも、ビルディング好きにはたまらない部分だ。
個人的には、罠や番兵の配置が最高におもしろかった。あえて目立つところに罠を置き、侵入者が罠を射撃で破壊するように誘導する。そして弾を回収しようとしたところで、死角に設置した罠が発動……! というように、実際のプレイヤーの動きを想像して罠を配置しているときが一番楽しい。自分の中の悪い部分が頭をもたげてくるようだ。
もちろん建設した基地は自分でテストプレイして、動きを確認することもできる。配置した番兵は想定通りに動いてくれるのか、罠がしっかり起動するかなど、自分の身をもってチェックすることで、より良い基地ができあがっていく。
こうして完成した基地は、稼働状態にすることで、ほかのプレイヤーが挑戦できるようになる。誰かが基地に挑むと指令センターが赤く点灯するので、侵入者が来たことを察知するのは簡単だ。侵入者が中で死んでいれば、死んだ場所に資源と、死因を示すスカルストーンが残されている。資源を回収するために基地編集画面に行った際、たくさんスカルストーンが落ちていたときの喜びは格別だ。
指令センターの脇には、プレイヤーのリプレイを閲覧できる設備が設置されている。ここでは、自分の基地に侵入してきたプレイヤーたちのリプレイも見ることが可能。プレイヤーたちがどこを警戒するのか、どんな立ち回りをするのかを生の視点で見られるため、基地の改良にも役立つのは言わずもがな。それ以上に、自分のしかけた罠に引っかかって死んでいく姿を見ると、思わずにやにやしてしまい、基地作りにどんどんハマってしまう。
注意点としては、同じ基地をいつまでも使い続けられるわけではないということ。基地は稼働させると一定量の資源を自動で抽出する。資源の埋蔵量は最初に決まっており、抽出できる資源がなくなると稼働を停止してしまう。こうなると、ほかのプレイヤーが襲撃できなくなるため、基地としての収入がゼロになる。
対処法は主にふたつ。ひとつは資源を使い、新しい基地を購入すること。基地によって使用できるコストは異なるため、資源に余裕があるなら前回より大きい基地を購入し、さらなる巨大基地の建設を試してみるのもいい。
もうひとつは、現在使っている基地のレベルを上げ、再稼働させる方法だ。こちらには資源ではなくプレステージポイントというものが必要になる。プレステージポイントは、侵入者を死亡させたり、称賛をもらった場合に手に入るので、基地をそれなりに作り込む必要がある。
基地のレベルが上がることで、少しだけ最大コストが増えるという恩恵もあり、お気に入りの基地を強化しつつ使い続けることができる。ただし、基地レベルを上げるたびに必要なポイントは増加するため、いつかは停止せざるをえないかもしれない。
とはいえ、懸命に作った基地にはやはり愛着が沸くもの。実際にプレイしていても、続けられる限りはこの基地を使っていたいという気持ちになっていた。
クセの強いビジュアルと、資源を奪い合うというテーマを聞いたときは、正直どうかと思ったものだが、遊んでみると評価は一転。よく練られた仕組みと遊びやすさで、仕事とは関係なく遊んでしまっていた。
一方で、基地のビルディングに魅力の多くを注ぎ込んでいる面もあり、ここを楽しめるかどうかで本作へのハマり具合も変わるだろう。筆者個人としては、今すぐにでも製品版を出してほしいと思うほどにおもしろかったので、今後の展開にも期待したい。