NEOWIZがPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用タイトルとして開発中のソウルライクアクション「Lies of P」の先行プレイレポートをお届けする。
目次
「Lies of P」は童話「ピノキオ」の物語にインスパイアされており、人間の青年のような見た目をした人形・ピノキオが、ゼペット爺さんを見つけ出すため、狂気に囚われ、襲い来る人形たちを退けながら探索を繰り広げる。
開発スタッフはフロム・ソフトウェアのソウル系タイトルを強くリスペクトしており、本作を宮崎英高氏(フロム・ソフトウェア代表取締役社長)にプレイしてほしいと考えているほどだという。本稿ではそうした背景も鑑みて、「DARK SOULS」シリーズや「Bloodborne」との比較も行いながら“「Lies of P」ならではの魅力”をお伝えできればと思う。
今回プレイできたのはチャプター2。ゲームの構成要素が出揃い、探索や敵とのバトルも本格化してくる局面だったようだ。なお、プレイはPC版で行っており、開発途中のバージョンとなるため、製品版では仕様が変わる可能性がある。予めご了承いただきたい。
プレイフィールは「DARK SOULS」よりも「Bloodborne」寄り
「Lies of P」はベルエポック時代(19世紀末~20世紀初頭)のフランスを舞台としており、近代的かつ陰鬱な街並みや、スタミナゲージはあれどスピーディなプレイフィールは「DARK SOULS」シリーズよりも「Bloodborne」に近い印象だ。
まずはソウルライクの肝である、アクション部分から触れていこう。いわゆる道中で頻繁に登場する雑魚敵は、しっかり対処すれば苦戦することはない。多くの敵は数回の通常攻撃や強攻撃(チャージ攻撃)で容易く仕留めることができた。
それでも、相手の行動をきちんと観察しなければ手痛い連続攻撃を食らうこともある。複数人で襲いかかってきたときはなかなか厄介で、いかに1対1の状況を作る立ち回りをするかが重要だった。敵を斬り倒す感触は爽快で、サクサク進めるときの気持ちよさと、それでも常に気を引き締めておく必要がある緊張感のバランスは、見事にソウルライクの魅力を体現していた。
「Bloodborne」にはガードが無かったが、本作にはある。加えてスピーディな回避行動も繰り出せるので、敵の攻撃にどうやって対処するかの判断は常に悩ましい。ガードなら安全にダメージを軽減できるが、多少のダメージが入るので、頼りすぎは禁物。一方の回避は避け切れなければ大きなダメージを受けてしまう。
闇雲に攻撃を仕掛けるのではなく、敵の行動パターンをよく見て、強敵に対してはトライ&エラーも繰り返して、戦い方を突き詰めていくことになるだろう。
こうした無骨な攻防に彩りを添えてくれる要素が本作にはいくつかある。まずは換装可能な機械の右腕で、特殊な攻撃を繰り出せる“リージョンアーム”。アームの種類によって効果が大きく異なる点や、基本的な使用回数は定められており、この回数はチェックポイントで休めば回復する点など、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」の“義手忍具”に近いものだと言える。
もうひとつは敵を攻撃するなどして貯まるゲージを消費することで使用できる、攻撃系スキルの“ブレードフェーブルアーツ”と、防御・回避系スキルの“ハンドルフェーブルアーツ”。これらは装備している武器を変更すると性能が変わるようだ。
リージョンアームと2種のフェーブルアーツは、ここぞというときに使用することで攻略に役立つと同時に、戦闘にメリハリをもたらしてくれるシステムだ。これらを如何に活かしていくかで、生存率は大きく変わってくるように感じた。
死角や背後からの奇襲も! 敵配置はこだわり抜かれた嫌らしさ
1対1と複数の敵を相手取るのとでは、難易度が大きく変わってくる本作の戦闘。加えて、ゲームを進めるほど嫌らしさが垣間見えてきたのがマップの構造と絡めた敵配置の妙だった。
敵の中には死角に隠れていたり、死体のフリをしてアイテムを入手したタイミングで襲いかかってきたりするものもいる。分かりやすく大通りの真ん中にいる敵に気を取られていたら、脇道から現れた敵に背後を取られてしまい、気付いたら1対複数の状況に……といった局面もあった。こちらの手が届かない高所から飛び道具を放ってくる敵も厄介で、どういった行動を取れば被弾することなく倒しに行けるのかを考えさせられた。
そういった意味でも初めて通るエリアの探索はとくに気が抜けない。そしてそれは敵配置を把握してから再度探索するとき、逆に敵を出し抜ける楽しさにも繋がっている。一度通ればハシゴを降ろすなどして二度目以降はショートカットできる場所も多く、トライ&エラーのやり甲斐と快適さにも気を配られている印象だ。
探索を続けていると、スタンダードな雑魚敵以外にも厄介な敵の数々と相対することになった。ボスクラスでも無いのに異様に耐久力が高い上、怯ませづらい敵。一度中ボスとして登場した敵が、再登場時は道中で雑魚敵と一緒に現れるなど、ひと捻り加えられたシチュエーションも見受けられた。
マンネリを感じさせることなくプレイヤーを常に苦しめようとしてくる点も、ソウルライクのファンにとってはご褒美だろう。同時に、倒した敵が強力であるほど、有用なアイテムや装備品をドロップする可能性が高いこともあり、強敵であるほど立ち向かってみたくなるあたりもまた絶妙だ。
リージョンアームの換装やオリジナル武器の作成で、自分だけのピノキオに
本作ではチェックポイントとして“スターゲイザー”と呼ばれる装置が点在しており、ここで休むことで体力や回復アイテムの個数、リージョンアームの使用回数や、倒した敵などがリセットされる。到達したことのあるスターゲイザー間をワープすることもできる。新たなスターゲイザーを見つけてチェックポイントにして、探索範囲を広げていくわけだ。この点も「DARK SOULS」シリーズなどをプレイしたことがあれば、感覚は掴みやすいだろう。
スターゲイザーにはほかにも様々な機能がある。代表的なものは敵を倒すたび手に入る“エゴ”を振り分けて、ピノキオのステータスを強化できる点だ。エゴはアイテム購入にも使える。何度も敵を倒して稼げば、ステータス強化と有用なアイテムの買い溜めで、ボスクラスの強敵に万全の状態で臨むといったこともできる。
リージョンアームの交換や、武器の強化もスターゲイザーの機能だ。リージョンアームはアンカーを敵に打ち込んでタイミング次第で怯ませるものや、近距離に電撃を放つもの、遠くから射撃攻撃を行えるものや、火炎放射により継続ダメージを与えるものなどが用意されており、プレイヤーの趣向によってどれを愛用するかは変わってきそうだった。
筆者は最初に装備されていたアンカーを打ち込むアームがしっくり来なかったので、射撃攻撃のアームで敵に見つかる前に先制攻撃を仕掛けたり、近づくのが危険な敵の体力を遠くから削るといった運用をしたところ、かなりの活躍を見せてくれた。もちろんアンカーを使いこなすプレイヤーも居るだろうし、製品版ではより多彩なアームが使えるようなので、いろいろと試しながら自分にとって“最高の右腕”を見つけ出すのも楽しそうだ。
武器に関しても「Lies of P」独自の要素が盛り込まれている。本作に登場する武器はその多くが“刃”と“柄”に分かれており、別々の武器の“刃”と“柄”を組み合わせることが可能。その場合、性能は“刃”のものに、攻撃モーションは“柄”のものに準拠したオリジナルの武器になるのだ。刃の重量が大きいとモーションも遅くなるため、数値上は強そうに見えても使い勝手はあまり良くないかもしれず、いろいろな組み合わせを試行錯誤したくなるだろう。
重量と言えば、性能が高い武器や防具は重いものが多い。ピノキオの総重量が上がると、移動速度が下がり、回避行動にも悪影響を及ぼすことがあった。回避を重視して軽い装備品を使うか? それとも高性能の装備品を使い、多少の攻撃ではびくともしないピノキオを目指すか?
総合的なキャラクタービルドにおいて考えるべきことは、なかなか多岐に渡りそうな印象を受けた。
「手強さ」と「優しさ」を兼ねた完成度の高いソウルライク
このように、「DARK SOULS」シリーズや「Bloodborne」が持っている魅力を大きく踏襲しつつ、独自性も垣間見えた「Lies of P」。その上で、手強さはそのままに先行作品よりも「優しさ」を感じる調整も見受けられた。
とくに印象的だったのが、本作も「DARK SOULS」シリーズなどと同様、敵に倒されるとエゴを失い、回収するには倒された場所まで行かなければならないのだが、ボス戦で倒された場合、エゴはボス部屋の前に配置され、部屋に入ることなく回収できた点だ。まだ勝てそうにないボスが待ち受ける部屋に、エゴを回収するためだけにリスクを犯して入る必要がないのは、心理的な面でかなり楽に感じられた。
今回のプレイではチャプター2のボスがどうしても倒せず時間切れになってしまい、悔しい思いをした。しかし製品版のプレイならば、たっぷり時間を掛けてピノキオを強化したり、有用なアイテムを多く集めた状態でボスに挑むなど、プレイヤーの積み重ねによって難所の難易度を調整することができる。
ソウルライク系のタイトルはその多くが“死にゲー”とも呼ばれるほど、何度も敵に倒されながら活路を見い出すことになる手強さも特徴だ。と同時に、多くのタイトルではアイテムを適切に運用したり、ときにはちょっと卑怯な搦め手を駆使すればあまり苦労せずに突破できるような“抜け道”も用意されている。この点もまた、幅広いユーザーに愛されてきた理由と言えるだろう。
「Lies of P」もこうした「手強さ」と「優しさ」という二面性を継承しており、とくに「優しさ」に関しては本家フロム・ソフトウェアのタイトル以上に手厚いものになっていると感じた。
魅力的な世界設定や、独自性も備えたゲームデザインを持ち合わせた、完成度の高いソウルライクとして、本作は多くのプレイヤーの期待に応えるタイトルになっているように思う。期待して、発売される日を待っていてほしい。
リリースは2023年8月!8K画質の公式壁紙を読者プレゼント
最新トレーラーでは、2023年8月にリリースされるとの情報も入ってきている本作。Steamでのプレイを考えている人はウィッシュリストに登録しておくと良いだろう。また、プレイレポートにあわせて公式壁紙を提供頂いている。8Kという高画質になっているので、是非ダウンロードしてデスクトップを飾って欲しい。
壁紙ダウンロード
https://www.dropbox.com/s/wzm56ehszehg1v8/Hotel%20Krat.png?dl=0
(C)NEOWIZ All Right reserved.
※画面は開発中のものです。
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー