2023年5月25日に発売された、Dimfrost Studioが手掛けた「Bramble:The Mountain King」(以下、「ブランブル」)のプレイレビューをお届けする。

目次
  1. 姉を探すために踏み込んだ森は狂気の色を宿していた
  2. アクションの難易度は高い
  3. 序盤の穏やかな雰囲気から一変する世界が怖い

本作は、幼い少年が、さらわれた姉を救い出すため「ブランブル」を冒険するダークホラーアドベンチャー。本稿でのプレイには、PS5を使用している。

姉を探すために踏み込んだ森は狂気の色を宿していた

本作の主人公は、オーリという少年だ。オーリはある夜、悪夢にうなされて目が覚める。隣で眠っているはずの姉リリモールへと目を向けると、そこに姉の姿がない。オーリは姉を探すために、夜の森へと出かけていく。

そこに広がっていたのは、美しい自然が広がる、豊かな世界。やがて無事にリリモールを見つけることができたオーリは、リリモールとふたりでその世界を楽しんでいた。オーリが見つけた光る石を使って石当てゲームを楽しんだり、妖精とかくれんぼをしたり、森はふたりを祝福しているかのように鮮やかだった。

しかし、幸せな時間は長くない。突如、巨人が現れてリリモールはさらわれてしまう。オーリは姉を救い出すため、森の更に深いところへと旅していくこととなる。

そこでオーリを待っていたのは、狂気に満ちた世界だった。巨大な肉切り包丁を持った怪物がオーリを狙ってきたり、巨人が灯りを持って獲物を探していたり、オーリの行く手を様々な狂気が遮ってくるのだ。

オーリは様々な困難をくぐりぬけ、リリモールを助け出すことができるのだろうか。

アクションの難易度は高い

本作は、明確な章仕立てにはなっていないものの、マップによって様々なギミックが設定されている。

前述の通り、肉切り包丁をひたすら振り下ろしてくる怪物がいる場面を潜り抜けなければならない章もあれば、ゾンビの群れに襲われないようにそっと逃げ切らなければならない場面もある。何章もの細かいマップが繋ぎあわさって、「ブランブル」の世界は描かれている。

各章のギミックは非常に豊かで、いかに怪物の目を盗んで先に進むかという場面もあれば、アクションを駆使して進む場面もある。特にオーリの前に立ちはだかる中盤のボス・森の魔女ではアクションを駆使した緊迫のバトルもある。

アクションの難易度は全体的に少々高めといったところだが、操作自体は、移動(しゃがみ移動)、ジャンプ、光る石で周囲を照らす、エイム、狙ったところに石を放つ、というこの程度しかなく、非常にシンプル。つまりはたったこれだけの操作で、トライ&エラーを繰り返して進むゲーム性だ。

初見でいきなりあっさり抜けられるチャプターは少なく、何回も死んではチェックポイントから再開する、というようなパターンが多い。幸いチェックポイントはかなりこまめに設定されており、筆者の場合、大幅に戻されたというような場面はほぼなかった。

謎解きの種類は様々用意されており、パズル的な要素を持ったような場面もある。時には大胆な行動に出てみることで道が開けるようなパターンもあったりするので、アクションの腕はもちろんのこと、何回も試行錯誤しながら、いかに”気づき”を得るかが重要なゲームと言えるだろう。

惜しむらくは光る石を使ってのバトルで、エイムの動きが筆者の操作性と合わず、設定をいじってみたりもしたのだが、どうにも噛み合うことがなかった。これはもしかしたら、筆者は元々「リバース」派であることも関係しているのかもしれない。

このエイムの動きはコントローラ操作ならではの可能性もあるので、Steam版などでマウスを使用してプレイする場合は気にならない可能性も高い。

どちらにしても、少々独特なエイムの動きに慣れないと、一部のボス戦では苦戦を強いられることとなる。こればかりは個人差も激しいと思うが、一応覚えておいてほしい(しかもエイムを使うのが本作でも屈指の難所ばかりなのも、なかなかに辛かった)。

アクションの難易度が高いとは述べたものの、基本的には何度もトライして、死んで、学習して、それを活かして乗り越えていくというゲーム性のため、最初からノーダメージクリアを狙う等のプレイでなければ、充分“誰でもプレイできる”範疇の難しさである。実際、「アクションは好きだけど致命的に下手」という筆者でもクリアはできたので、その点は安心してほしい。

ただし、日本のアドベンチャーゲームほど、操作性については親切さがない。エイムについても序盤のリリモールとの石当て遊びの中で一瞬説明が出てきたきりで、いざ必要な場面になったところでもう一度説明が出たりすることはないので、注意してほしい。その時その場で、操作についてはしっかり覚えておこう(OPTIONボタンで出てくるメニューから操作の確認はできる)。

序盤の穏やかな雰囲気から一変する世界が怖い

本作では、とても美しく、それでいて進めば進むほど異様な世界が広がってゆく。

ともすれば叫びだしそうなこの世界で、姉のために健気に進んでいくオーリの姿に心を打たれる。そしてオーリはただの少年であり、ヒーローではない。だから、万物を救うことはできないのだ。

時にはそんな現実を突きつけられ、だからこそこの物語の終わりもわからなくなる。そこにあるのはハッピーエンドなのか。はたまた悪夢は終わらないのか。最後の最後まで、プレイヤーはそれを考え抜き、想像力を掻き立てる多彩な演出の数々に目を奪われながら、狂った世界をプレイすることとなるだろう。

ちなみに、この本作の独特の世界観は、北欧神話にインスパイアを受けているのだそう。北欧神話が好きならば楽しめることはもちろん、ホラーが好きという人にもオススメのタイトルとなっている。

ホラー要素ばかりではなく、幻想的な美しいシーンもあって見惚れてしまう。

難しい操作自体はなく、シンプルに世界観にのめり込めるゲームだ。また、画面が非常に美しく、リアリティもあり、臨場感に溢れている。

試行錯誤を繰り返しながら進んでも、クリアまでは6時間かからない程度だったので、手軽に良質なゲームを遊びたい人にもオススメだ。ただしクリア時間はアクションの得手不得手でだいぶ左右されるゲーム性のため、あくまで参考程度にしてほしい。

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