カプコンが2024年3月22日に発売するPS5/Xbox Series X|S/Steam向けアクションRPG「ドラゴンズドグマ 2」のプレイレポートとインタビューをお届けする。
オープンワールドで表現されたハイファンタジーの世界で、ドラゴンに心臓を奪われた“覚者(かくしゃ)“として、AIの制御により行動する“ポーン”とともに冒険するアクションRPGの、12年ぶりのナンバリング続編である「ドラゴンズドグマ 2」。
いよいよ発売が半月後まで近づいてきた本作をいち早くプレイ、そして開発のキーマンにインタビューする機会をいただいたので、ぜひとも最後までチェックしてほしい。

プレイレポート:いくら時間があっても足りない! ヴェルムントでもバタルでも覚者様は大忙し
筆者が「ドラゴンズドグマ 2」をプレイするのは昨年開催された東京ゲームショウ2023のときに続いて2度目。前回はアーチャーとファイターという初期から選択可能なジョブ、そして前作「ドラゴンズドグマ」でも舞台となっていた人の王国“ヴェルムント”での1時間ほどのプレイだった。
一方、今回プレイできたのはゲームをある程度進行することで使用可能になる覚者専用ジョブである“魔剣士”と“マジックアーチャー”。本作から登場する新たな舞台、獣人の国“バタル”でのゲームプレイも含め、あわせて3時間半ほど、前回よりさらにガッツリとプレイさせてもらった。

魔剣士とマジックアーチャーはいずれも少々テクニカルな操作が要求されるジョブなので、プレイフィールを把握し切れたとは言い難いが、このゲームの体験の一端をお伝えできたら幸いだ。
魔剣士は魔双剣での近接アクションが強力で、かなり使い勝手が良い印象
最初にプレイしたジョブは魔剣士、冒険の舞台はヴェルムント。こちらのデータでは、バタルを調査するべく国を隔てる関所を超えるクエストが進行中……なのだが、最初に書いておくと、この魔剣士でのプレイでバタルへとたどり着くことは叶わなかった。
それは本作ではとにかく旅を続けているだけでさまざまな状況に遭遇し、ひとつひとつに対する選択が“重み”を伴うものであることが大きい。道中では気になる風景や、プレイヤーと同じように旅をしているNPC、あるいはポーンに出くわし、クエストが発生したり、仲間に引き入れたりすることができる。

遭遇するモンスターも多種多様。その上、周囲の地形が異なると有効な戦い方が変わったりと、どんな立ち回りをすべきか考えながら戦うのは、悩ましくも楽しい。巨大なボスクラスの敵にしがみついてよじ登って斬りつけ、やがて倒せたときの興奮は苦労を経たものだからこそ大きかった。
ポーンが敵の弱点属性を突く、回復魔法を唱えるといった手厚いサポートを行いつつ、状況に合った言葉を掛け続けてくれることもあり、彼らとの共闘感も、本作ならではの没入感に寄与している。


戦いに夢中になっていると日が暮れて、辺りは真っ暗になった。前作同様、「ドラゴンズドグマ 2」の世界の夜もまた本当に暗く、まさに“一寸先は闇”だ。かなり困ることが分かったので、次からは日が暮れる前に、早めにキャンプ地の場所を把握しなければと心に決め、“刹那の飛石”を使用。“戻りの礎”を設置した街へとワープで一時退却した。
多くのクエストがモンスターと対峙し、乗り越えなければ達成できない。各クエストの目的地に向かう道中そのものが困難でありながら魅力的なので、つい寄り道を繰り返してしまう。いつまで経っても本来の目的にたどり着けないわけだ(この体験がまさに開発陣の“思惑どおり”だったことが、本稿後半に掲載されているインタビューでは明らかになっている)。


魔剣士のプレイフィールとしては、接近戦が主体でありつつ、非常に使い勝手が良い印象を受けた。前後に刃がついている“魔双剣”は周囲の広い範囲を攻撃するため乱戦にも強く、カスタムスキルには空中の敵さえ追尾する直進距離の長い突進攻撃があった。補助魔法により、敵の攻撃から身を守ることもできる。遠距離攻撃を担う“魔弾”は今回あまり使わなかったが、溜め攻撃を攻防に織り交ぜる戦い方を習得できれば重宝しそうだ。
あるとき、強敵のオーガと戦っていると、こちらの攻撃でバランスを崩したオーガは川へと転落。水辺に生息する最強の魔物“ヒュージブル”に絡め取られ、まだまだHPが残っていたにも関わらず、一瞬で絶命してしまった。また、夜に墓地で遭遇した宙を舞う死霊のようなボスクラスのモンスターは、戦いが長引き、朝が来た瞬間に消滅した。いずれもこちらの攻撃で直接倒したわけではないにも関わらず、しっかり大量の経験値が貰えたのには少し驚いた。


シリアスなハイファンタジー世界を舞台としたゲームでありながら、こういった思わず脱力してしまうようなハプニング感があり、それが時としてプレイヤーにとってプラスとなる結果をもたらしてくれることが、「ドラゴンズドグマ 2」の作品世界をより愛おしくしてくれているように感じる。プレイを続ければこういったハプニングをこちらの意思で利用できるようになるかもしれないと思うと、それもまた楽しみだ。
そろそろ本腰を入れて主目的であるバタルへの入国を目指そうと地図を頼りに旅を続けるも、崖を越えるための橋が破壊されており、遠回りしているとまたさまざまな出来事が巻き起こり、そちらに夢中にさせられてしまう。
そうこうしているうちに2時間近くが経過し、まったくバタルに入国できる兆しが見えないまま、魔剣士でのゲームプレイを終えた。

多彩な弓技を駆使するマジックアーチャーで未知の国・バタルを冒険
後ろ髪を引かれる想いで魔剣士でのゲームプレイを切り上げ、今度はマジックアーチャーでプレイしてみる。こちらのデータでは最初からバタルに到着しており、この未知なる獣人の国を冒険することになった。

スタート地点は石造りの巨大な建造物が印象に残る都市。小高い場所に作られているようで、端まで向かってみると、雄大な景色が一望できた。見渡す限りのフィールドを早く冒険したい気持ちを抑えつつ、まずはバタルならではの文化である、中空に張り巡らされたゴンドラに乗車してみる。
ポーンが乗り込むのを待つのも忘れ、ひとりでハンドルを回してゴンドラの眺めを楽しんでいたところ、遠くから近づいてきたグリフィンの襲撃に遭遇。乗っていたゴンドラは木っ端微塵になり、操作していた覚者は地面に真っ逆さま。ひとり寂しく絶命してしまった。


のちに分かったことだが、ゴンドラのハンドルはポーンに回してもらうこともでき、これを活用すればプレイヤーは空からの襲撃への応戦に集中することも可能となる。レジャー感覚で楽しみたい気分にさせられるゴンドラも、「ドラゴンズドグマ 2」の世界では危険と隣り合わせであることを常に意識すべきなのだ。
バタルでもさまざまなモンスターと対峙することになった。グリフィンやゴーレムなど、前作でもお馴染みのモンスターも多く見受けられたが、この2体は「最初からバタルに出現させるためのモンスターだったのでは?」と感じるほどに景観とマッチしていた。


ゴーレムの身体中を移動していく弱点を攻撃することが有効打となる戦闘は、マジックアーチャーの本領発揮といった印象。ビシビシと弱点を射抜いていき、隙を突いてしがみつきからの攻撃をお見舞いするゲームプレイは爽快さと緊張感で手に汗握った。
マジックアーチャーは追尾性能の高い矢のほか、広範囲を爆発に巻き込む矢を放つのも爽快で、敵が無数に襲いかかってくるような乱戦時には非常に重宝した。魔剣士での操作感が残っていたこともあってか、多彩な遠距離攻撃の使い分けを楽しむところまでは到達できなかったので、製品版でじっくり試行錯誤したいと感じた。


バタルでの冒険は敵全般がヴェルムントよりも強力だったり、倒しても倒しても新手がやってきて対処し切れなかったりと、かなり歯ごたえがあるものになったが、通りかかったNPCが複数人で加勢してくれることもあったり、モンスター同士が敵対していて三つ巴の状況になったりと、やはりまったく同じシチュエーションというのは存在しなかった。
ここでも次から次へとやりたいことが生まれ、夢中になっているうちに体験時間は終了。検証し切れなかったことは山のように残っていたが、仕事ということも忘れて楽しんでしまうほど没頭できるゲームだったということは間違いなく言えそうだ。

先行プレイ映像も公開中!
この世界では、ほかのゲームの経験は通用しない:ディレクター 伊津野英昭氏、プロデューサー 平林良章氏インタビュー
ここからは、「ドラゴンズドグマ 2」のディレクターを務める伊津野英昭氏、プロデューサーを務める平林良章氏、おふたりへのインタビューをお届け。

なお、おふたりには東京ゲームショウ2023でもインタビューを行っている。前作との関係や、ポーンについて、AIや物理演算などの技術の進歩がもたらした新たな体験などはこちらのインタビューで掘り下げているので、あわせて読んでいただけたら本作への理解がいっそう深まることと思う。
「ドラゴンズドグマ 2」は“体験ドリブン型”のゲーム。答えを見つけるのは常に“あなた自身”
――先ほどまで「ドラゴンズドグマ 2」をガッツリと3時間半ほどプレイさせていただきました。「バタルに向かう」「鍛冶屋を探す」といった目的こそ定められていましたが、偶発的に遭遇するイベントや、探索における発見、歯ごたえのある戦闘など、やりたいことが次から次へと見つかる冒険に、本筋を見失うほど夢中になってしまいました。何かメインストーリーに集中してプレイするコツのようなものは、あるのでしょうか?
伊津野:まさにプレイして感じていただいた通りで、「ドラゴンズドグマ 2」ではメインクエスト、サブクエストと切り分けて、位置づけを変えることはしていません。「このクエストはクリアしないとエンディングまでたどり着けない」というものはいくつかありますが、そうしたクエストは決して多くはないんです。
一方で、冒険していると自然な流れで山ほどのクエストやイベントが発生するゲームです。それらに夢中になっていただけたのなら嬉しいですし、かといってすべてを引き受けて順序立てて攻略していく必要はなくて、依頼の深刻さや「協力してあげたい」という想いの強さで関わる/関わらないを判断するなど、プレイヤーの裁量で好きなように遊んでもらいたいですね。
それを繰り返していくことで、自然と世界の真相に近づいていけるようになっていたらいいな、と思っています。

平林:本作はアクションRPGですけど、RPGのゲームプレイって「ストーリードリブン型」と「体験ドリブン型」に分かれていくんだろうなと思っているんです。
ストーリードリブン型のゲームは作り手側が「与えていく」んですけど、体験ドリブン型はプレイヤーが能動的に「気づいていく」。ストーリードリブン型はコース料理のように「これを召し上がってください」、「次はこちらを」と、どんどん用意されたものがお出しされるので、同じような気持ちで体験ドリブン型のゲームに触れると、戸惑いはあるかもしれませんよね。
「ドラゴンズドグマ 2」と向き合うプレイヤーさんへ最初にお伝えしておきたいのは、「このゲームは体験ドリブン型だ」という気持ちでプレイすると、非常に楽しいゲームになっているんですと。どうぞ、ご自分の心の赴くままに冒険を楽しんでください。
伊津野:最速クリアを目指そうとすると、戸惑ってしまうゲームだとは思います。
平林:「先に進むためには何をすればいいのか教えてほしいな」と感じた方には「世界のどこかにある“その方法”を見つけるのは、あなた自身です」とお答えします。

伊津野:重要なクエストは、重要そうな奴が重要そうな感じで喋るので、なんとなく雰囲気で分かるとは思いますけどね(笑)。世界に触れて感じてもらうものがすべてなので、「これがメインクエストです」みたいなマークは一切付けていないです。
――それがまさにあのファンタジー世界で生きているというリアリティに繋がっていたと思います。
平林:「ファンタジー世界に転生できる」というのをいちばんシンプルなプレイの動機にしていただくと、「ドラゴンズドグマ 2」が目指す体験ドリブン型の遊びに合致したマインドで楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
バタルには序盤から行くことも可能。思想や文化土壌から構築したヴェルムントとの違い
――今回、東京ゲームショウ2023ではプレイできなかった獣人の国・バタルでの冒険が体験できました。ゴンドラを使って移動するギミックなど、ヴェルムントとはまた異なる文化がゲームプレイにも活かされていたのが印象的です。

伊津野:空を飛ぶモンスターに(ゴンドラを)壊されて、下に落ちませんでした?
――最初に乗ったときいきなりグリフィンに襲撃されて、落ちて死んでしまいました(笑)。ポーンがついてきているのを忘れてひとりだけゴンドラに乗っていたこともあり、襲撃に手も足も出ず……。
伊津野:でも、ポーンをいっしょに乗せないことでおもしろいことが起きる場合もあるんです。ゴンドラにいっしょに乗らなかった場合、下に道があればポーンは可能な限りそちらを通ってついてきてくれます。それで、落下したプレイヤーを受け止めてくれることがあるんですよ。
――あえて別行動にするメリットもあると。いま挙げられた例以外にも、体験ドリブン型のゲームとして作り込まれているからこそのドラマがいろいろと味わえそうですね。
伊津野:全員でゴンドラに乗っていると、共倒れになる可能性もありますからね。意図して仕込んでいるもの、偶発的におもしろいことが起こりそうなもの、いろいろと頑張って作りました。
――ほかに、バタルを冒険する上で注目してほしいポイントはありますか?
伊津野:アクション面でいうと、ヴェルムントからバタルに行くと難度が上がるんですよ。敵全体がグッと強くなるので、命からがら逃げ回るような状況が多くなると思うんですけど、そういった状況をどのように切り抜けるか? 大変かもしれませんが、試行錯誤を楽しんでいただけると嬉しいですね。

平林:あとは人々の考え方の根幹や文化土壌といった、パッと目には見えないところにもヴェルムントとのコントラストを作っているんです。どうしても地域色を出すとなるとビジュアルの違いに終始してしまいがちですが、今回は思想の部分から積み上げて文化の違いが生まれるような作り方をしています。
伊津野:ヴェルムントでは獣人が、バタルではポーンがそれぞれ肩身の狭い立場にあります。とくにバタルではポーンが“災いの元凶”とされているので、プレイヤーがポーンを連れて街中を歩くと「ポーンなんか連れてきやがって」と絡まれたりと、ヴェルムントでの冒険とは大きく異なる体験になると思います。基幹産業なんかも違っているので、モノの売値・買値も変わってきますね。加工品が安価で作れるお国柄だったりとかで。
平林:「新規的なナラティブ(物語体験)ってどういったところから生まれるんだろう?」というのを様々な側面からディスカッションして決めていきました。

――ゲームの展開としては、前半の舞台はヴェルムント、後半の舞台はバタルのようにパキッと分かれているのでしょうか? それとも、けっこう二国間を行き来するようなイメージですか?
伊津野:まず、バタルに行くことはゲーム開始直後から可能です。オープンワールドならではの体験をしていただくために、こちらの都合による制限は掛けていません。たどり着くのは大変ですし、先程お伝えしたように難度は高いですけど、なんとかなります。ちなみに、バタルにたどり着く方法もひとつではありません。
基本的にはヴェルムントを冒険している中でバタルに行けるようになるという流れなので、クエストの割合もその流れに合わせたものにはなっています。でも、ゲーム開始直後から受けられるバタルでのクエストもありますし、逆に終盤になってもヴェルムントで新たなクエストを受けることもできます。そこの順序を強制することはしていません。
――プレイヤーのレベルによって道中のモンスターの強さが変動したりといった要素はあるのでしょうか?
伊津野:そこは変動しません。地域ごとのモンスターの強さは変わりません。
――では、もし序盤でバタルに行った場合、正攻法で道中の敵をガンガン倒すというのとは異なる立ち回りを考える必要はありそうですね。
伊津野:そうですね。それなりのアクションのスキルが要求されたり、リムを稼いでレベルの高いポーンを借りるといった方法で乗り切ることになるかと思います。

魔剣士は「デビル メイ クライ」でもお馴染みの“裏タメ”キャラ。ウォリアーは「弱い!」との意見をもとに強化
――今回、初登場の“魔剣士”と、前作に引き続き登場の“マジックアーチャー”、ふたつの上級ジョブ(覚者専用ジョブ)でプレイできました。製品版ではほかにもさまざまなジョブでプレイできますが、これらジョブの選定はどのように決めていったのでしょう?
伊津野:いろいろと複合的な理由はありますが、マジックアーチャーは社内にもファンがとても多いジョブなんです。エイムが苦手でも遠距離攻撃が楽しめるのが好評で、「マジックアーチャーだけは絶対に外さないで!」とほうぼうから声があって(笑)、外す理由もなかったので採用しました。
逆にストライダーがなくなっているのは、近接、遠距離どちらでも器用に立ち回れ過ぎてしまうのが、アクションゲームのバランスとして良くないというのがあったからです。ほかのジョブとのバランスを鑑みると、弱くするしかなくなっちゃうんですよね。それではおもしろくなくなっちゃうのでジョブごとに用途を分けて、近距離に特化したシーフと、遠距離に特化したアーチャー、それぞれより強みを強化する形になりました。
魔剣士に関しては単純に「右手に武器、左手に魔法」で戦うのがカッコいいジョブを作ろうと。今回の目玉のひとつとして、「ドラゴンズドグマ オンライン」の雰囲気も取り入れつつ新たに用意しました。
魔剣士は「デビル メイ クライ」などでもお馴染みの“裏タメ”キャラなんですよね。戦いながら裏で魔法を貯めて、それをバーンと解き放つ! これができるようになるとワンランク上の立ち回りができるようになります。解き放つとき、さらにもう一度タイミング良くボタンを押すと魔法が広がって全員固まるみたいな、テクニカルかつ見栄えするのが魅力のジョブですね。

――「これを覚えたらより高度なアクションができるようになる」みたいな奥深さはどのジョブにも用意されているのでしょうか?
伊津野:もちろん用意しています。ウォリアーもおもしろいですよ。ウォリアーは……「弱い!」と、前作でユーザーさんからご意見をいただいていたジョブでした(苦笑)。一撃一撃は強力なんだけど、それだけではプラマイでプラスにならないというご意見だったので、そこをフォローできるような要素をいくつか入れています。
トレーラーでも公開している“早継ぎ”などがそうです。タイミング良くボタンを入力すると一撃一撃がバッ! バッ! バッ!と素早く繰り出せます。あとはタックルのようなアクションがあって敵の攻撃を受けながらも怯まずにゴリ押しができるなど、これらを立ち回りに絡めることで、ほかのジョブでは味わえないウォリアーならではの戦い方が楽しめます。
アーチャーならオートエイムは手動で狙い撃つのが苦手な人のために用意しているというのはもちろんあるんですけど、手動のエイムとオートエイムを用途によって使い分けることでワンランク上の戦い方ができます。そういった要素をどのジョブにも取り入れていますね。
――どのような立ち回りをすべきかがジョブによって大きく変わってきそうで、どれも極めがいがありそうです。
伊津野:どのジョブも、奥の深さが見えてくるところまで触ってもらえると、相性の良いジョブを見つけやすいかもしれません。

「ごっこ遊びに真摯に作る」ことで、大人の都合が見えたりしない体験に
――今回のプレイでは、道中に出現するボスクラスのモンスターとも相当な種類と戦うことができたのですが、ボスクラスであっても川に落ちれば即死するであったり、夜にしか出現しない相手が朝になると消滅したりと、意外な方法で倒せたことにも驚きました。
伊津野:深い水場に落ちると出現する“ヒュージブル”が最強のモンスターで、プレイヤーであれモンスターであれ命を奪うというのは前作から引き続き登場している要素です。あとは高いところから落ちたときも、だいたいのボスは即死しますね。
前作ではなかなかプレイヤーがこれらを狙って活用するのは難しかったんですけど、物理演算がより戦闘に密接に関わっている「ドラゴンズドグマ 2」では、より直感的に倒しやすい状況を作れるようになっています。
夜に出現するモンスターの倒し方についても、解法のひとつとして「朝まで逃げ切る」という選択肢を用意している感じですね。基本的に夜に出現する敵は1ランク~2ランクほど強いので、逃げ切るという選択もアリになっているんです。もっと強いモンスターに対して朝まで逃げ切らせるためのギミックが用意されている状況もあります。

――夜に出現する敵を倒すのに朝まで掛かった場合、「時間切れで倒せなかった」扱いになるゲームが少なくないと感じていたので、ちゃんと経験値もたくさん手に入って嬉しい驚きでした。「仕様の裏を突いた」ような喜びがあったと言いますか。
平林:それは「仕様の裏」ではないんですよ。先入観がそういうふうに思い込ませているんだと思います。
――確かに……。「ゲームってこうだよね」という先入観。
平林:そうなんですよ。本作をプレイしていると「この世界では、夜に出現するアイツは朝になったら死ぬんだ、それまで生き延びればいいんだ」「川に落とせば、高いところから落とせばどんな強大な敵もひとたまりもないんだ」といった知識が新たな経験を通して増えていきます。「じゃあ、あなたはどういう答えを出しますか?」と。「ドラゴンズドグマ 2」では、先入観が通じない世界であることを楽しんでもらえたらと思っています。
伊津野:「一撃で倒せる武器です、アイテムです」と説明されているものがボスには効かないみたいな暗黙の了解が、僕はあまり好きではないんですよね。
平林:分かります、分かります。
――状態異常が効かないとかもよくありますよね。
伊津野:うちのゲームでは「一撃で死にますよ」と言っていたらちゃんと一撃で死にます。
平林:自分も一撃で死にます。
伊津野:プレイヤーもそうだし、ラスボスだって一撃で死にます。前作から引き続き大切にしているところです。

平林:「ごっこ遊びに真摯に作る」ということですね。大人の都合が見え隠れするゲームにはならないようにしています。
お客様からすれば「ドラゴンズドグマ 2」とほかのゲームを、“同じようなジャンル”とカテゴリー分けすることもあるでしょうし、定義としてRPGならロールプレイを楽しむというのが通じる部分なのは確かです。けれど、それぞれのゲームが持っている世界観って、お互いにとって不可侵であっていいものじゃないかと思っているんですよね。
――それが「ドラゴンズドグマ 2」という世界の理(ことわり)をゼロから学んで、試行錯誤していくような体験の豊かさに繋がっているように感じました。
伊津野:「これができるってことはこういうこともできるんじゃないか!?」と、できること、やりたいことが膨らんでいくゲームになっていると思います。そうなるように、僕らは可能な限り応える、という作り方をしてきました。
「オープンワールドにおける流行の要素を取りれたほうがいいんじゃないか?」という誘惑は、手順上「生まれようがなかった」
――これまでの話でほとんど答えが出ていることについてあえてもうちょっと踏み込むのですが……。昨今のオープンワールドって「グライダーでいつでも滑空できる」とか、「どんな崖も登れる」といった要素を取り入れているタイトルが多くなっていると思うんです。「ドラゴンズドグマ 2」は前作で既にあったコンセプトを大きく進化させることで唯一無二のゲームプレイになっているので、遊べばそれらが不要であることがよく分かるのですが、「いまオープンワールドを作るなら、そういう要素を入れたほうがいいんじゃないか?」みたいな誘惑に駆られることってなかったのでしょうか?
伊津野:なるほど(笑)。それって考え方の順序の違いというか、それらの仕組み単体でおもしろいわけではないと思うんですよね。プログラミング上はできないわけではないんですよ、敵に登れるのに崖を登れないわけはないですから。
でも、「それができることで何がおもしろくなるのか?」「どんなおもしろさが提供できるようになるのか?」というのが重要だと考えています。
平林:「こういうふうに楽しんでもらいたい」という最初の設計思想が前作からキープしてきたものなので、それを最大限のものにするために尽力し切ったということだと思います。

伊津野:ほかのタイトルに引っ張られて取り入れたシステムって一切ないんじゃないですかね。
平林:自分たちが提供したいコンセプトを満たすために必要なのはどんな要素なのか? さまざまなアイデアについての議論は当然あったと思います。結果的にほかのタイトルと似ている要素もあるかもしれないですけど、楽しませたい体験を考える上での優先順位を変えたことはなかったと思いますね。手順上、“誘惑”の生まれようがなかったと言えます。
プレイヤーに冒険のモチベーションを持ってもらうために「あの場所まで行ってもらいたい!」と思っていろいろな要素を取り入れるというのは、水平方向であっても、垂直方向であっても共通だと思います。でも、その中で味わってもらいたい“体験”が、「ドラゴンズドグマ 2」は「ドラゴンズドグマ 2」ならではの回答になっているんだと思うんですよね。
伊津野:やっぱりあらゆる要素がそうなのですが、グライダーや崖登りにも「得るものと失うもの」がありますから。
平林:そこで選び取ったものが、個々の作品のカラーになっていくのでしょうね。ひとつ例を挙げると、「ドラゴンズドグマ」はシリーズを通して“夜が怖い”ゲームです。夜が怖いと、キャンプができる場所ってすごくありがたみがありますよね。ふたつに分かれた道があったとして、片方には何もなくて、もう片方にはキャンプ地の煙が見えるけど、リザードマンが何匹も待ち構えていたとします。
普通なら敵と戦わなくて済むほうを選ぶかもしれないですけど、途中で夜になってしまうリスクを考えると、キャンプがしたい……。そういった決断の瞬間が無数にあると思います。

伊津野:腹をくくって「リザードマンを全滅させるか!」という選択ひとつ取っても遊びが生まれるんですよね。
平林:楽しんでもらうための頭の使わせどころというのが、思想としてあるんですよね。ひとつひとつのアイデアそのものに対する良し悪しではなくて。
――「どういう体験をしてもらいたいか?」を総合的に考えることを大切にしていると。
伊津野:それで言えば、前作を作っていたときに僕が描いた仮マップに、グライダーで離れ小島まで行くというシチュエーションがあったんですよ。グライダーか、ハーピーを掴んで飛んでいくか。結果的にハーピーでちょっと飛べるというのは前作にも入っていて、本作ではさらに扱いやすくなっていますね。
平林:ハーピーを呼べるアイテム(奇鳥寄せの狼煙)がありますからね。ゲーム中でも手に入るんですけど、「ドラゴンズドグマ 2」にはデラックスエディションというお得なパックがありまして、特典としてこのアイテムが最初から貰えるのでね。ハーピーを掴んでグワーッと飛ぶのは、おもしろくて僕も大好きなんです。気になった方はぜひ(笑)。

――(笑)。ハーピーを使って飛ぶというアクションは、ハイファンタジーの世界観で、“敵にしがみつく”というアクションが重要な「ドラゴンズドグマ」シリーズらしい遊びだから導入した要素だった、ということですよね。
平林:「ドラゴンズドグマ」シリーズにおいて“掴む”は“ジャンプする”と同じくらいの基礎概念中の基礎概念ですから。
伊津野:今回、“掴む”の派生アクションもたくさん用意してますからね。“掴んで引っ張る”とか、“掴んで押す”とか。
平林:NPCを“抱える”のも“掴む”の派生です。巨大なものに“しがみつく”といったアクションから、自分と同じくらいの体躯の人を“抱える”、“持つ”というアクションまで、伊津野からするとすべて“掴む”という概念の派生なんだ、というところからスタートしているゲームなんです。最初に聞いたときは「土台のルールをひとつ増やしたなぁ」と思いましたね。
――思いがけず、「ドラゴンズドグマ」シリーズの開発思想の根っこの部分までお聞きすることができて、とても貴重なインタビューになったと思います。3月22日の発売がさらに楽しみになりました。本日はありがとうございました。
(C)CAPCOM
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