筆者のお気に入りのゲームサウンドトラックを紹介していく「ゲームサントラ紀行」。第2回は、「ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア」(以下、「FFXIV 新生エオルゼア」)を取り上げます。

「FFXIV 新生エオルゼア」は、2013年8月27日にPC/PS3ソフトとして発売。エオルゼアという世界を舞台にしたMMORPGです。
「パッチ2.0」とも呼ばれている本作ですが、一度「ファイナルファンタジーXIV」(パッチ1.x。通称BEFORE METEO時代)をサービス終了させ、大幅な作り直しをして、“新生”したタイトルとなります。現在BEFORE METEO時代は遊ぶことができないため、実質「FFXIV 新生エオルゼア」が今の「FFXIV」の起点と言えるでしょう。
「FFXIV 新生エオルゼア」の楽曲をメインに手掛けているのは、「ナナシノゲエム」などの作品でも知られている、祖堅正慶氏です。本稿では、「FFXIV 新生エオルゼア」――パッチ2.0時代の楽曲について振り返りたいと思います。
なお本稿には「FFXIV 新生エオルゼア」のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
パッチ2.0はやはり「天より降りし力」
「天より降りし力」はイベント、ダンジョンなど、現在でも様々なところで使われていますが、「FFXIV 新生エオルゼア」を象徴するような楽曲と言えるでしょう。オーケストラでの壮大で力強い「プレリュード」から始まり、歴代「FF」バトル曲のイントロへと繋がる、王道ファンタジーを全開で行く一曲です。
序盤の弦楽器が奏でる「これからバトルに臨むんだ!」という力強さと、後半の管楽器が奏でる「まだまだやれるぞ!」というプレイヤーを奮い立たせるような力強さのコントラストが非常に絶妙な曲で、10年以上が経った今でも筆者は「FFXIV」と言えばこの曲がまず頭に浮かびます。
この曲がかかる場面で印象的だったのは、新生時代の「蘇る古の武器」を作る過程で開放できる討伐戦だったドルムキマイラ討伐戦と、ハイドラ討伐戦です。
今ではあまり想像がつかないかもしれませんが、パッチ2.x時代はどちらの討伐戦もかなり高難度の部類でした。もちろん、大迷宮バハムートに比べれば全然……という感じですが、当時は8人パーティで挑んだはいいものの死人がそこかしこに溢れてみんなで仲良く床ぺろぺろ、全滅することも多々あるコンテンツでした。
それでもレリックを作るため、何度も何度もドルムキマイラ討伐戦とハイドラ討伐戦に通い詰めました。フレンドが作るために手伝いにも行きました。そこでも死ぬのでまた行く、というループです。「天より降りし力」も死ぬほど聞きました。神曲に助けられて再び挑む気力が湧く、というのは「FFXIV」あるあるですね。


「プレリュード」のアレンジと言えば、主に「FFXIV 新生エオルゼア」エリアのID中ボス戦で使われていた「名誉に賭けて」も捨てがたいです。
こちらはまずバックに薄く「プレリュード」が流れてそこからメインメロディが「プレリュード」のスイッチするというアレンジになっています。メインメロディの「プレリュード」は、王道のリュート。それでいて緊張感を保つアレンジになっており、「バトル曲にこういうアレンジもあるのか」と、リリース当時は感嘆の溜息を洩らしたものです。
オーケストラコンサートではどうしても「天より降りし力」にスポットが当たってしまうので、「名誉に賭けて」も聞いてみたいところです。
「Distant Worlds」で演奏された「原始の審判」に感銘を受けた
筆者が「FFXIV」の曲を始めて聞いたのは、2010年11月に開催された「FF」シリーズのオーケストラコンサート「Distant Worlds:music from FINAL FANTASY Returning home」でした。まだBEFORE METEO時代の「FFXIV」すらリリースされていない頃の公演です。
この公演は東京国際フォーラムで2日間に渡って開催され、1日目は「FFXIII」の楽曲が、2日目は「FFXIV」の曲が演奏されたのでした。BEFORE METEO時代の楽曲は植松伸夫氏の作曲で、「潮風の集う街 ~リムサ・ロミンサのテーマ~」、「ザナラーンの黄昏」、「Answers」、「原始の審判」の4曲が演奏されたのですが、筆者はこの4曲の中でもスーザン・キャロウェイさんの歌い上げる「Answers」で震え、そして「原始の審判」が終わる頃には手が血切れそうなほど大きな拍手を舞台に送っていました。
「原始の審判」と言えば、「イフリート討滅戦」の曲です。……が、当時はサービス前ですので、どこでかかる何の曲などかはさっぱりわかりませんでした。でも「こんなかっこいい曲でバトルができるなんて、一体どんなゲームなんだろう」ととてもわくわくしたものです。
残念ながら前述の通り旧「FFXIV」はサービスを一度終了するという結果になってしまいましたが、「FFXIV 新生エオルゼア」にもイフリート討滅戦があって「原始の審判」が引き続き使われることがわかった時は、小躍りして喜んだものです。
それほどまでに鮮烈な印象だった、「原始の審判」。イフリートの壮大さと強大さ、炎の熱さすら感じられるような重厚なイントロ、そこに重なる高音のコーラス……何もかもが初めて聞いた時から耳に残って消えなくなってしまった曲でした。
BEFORE METEO時代からの曲とは言え、「FFXIV 新生エオルゼア」では一番最初に戦うことになる蛮神戦の曲としても非常に相応しい、荘厳さが漂う一曲だったと思います。
ぜひもう一度、生のオーケストラで聞きたい一曲です。

なお、このコンサートはDVD化されていますので、「原始の審判がオーケストラコンサートでやっていただって!?」とガタガタしてしまった方は、ぜひDVDをご覧ください。筆者も未だに見直す、大好きなコンサートです。

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「FFXIV 新生エオルゼア」でもよく使われている植松氏のBEFORE METEO時代の曲は「ネメシス」も挙げられます。こちらはティンパニの使い方が「FFV」の「バトル2」を彷彿させて、とても植松氏らしい一曲ですね。IDのボス戦曲などでよく使われていますので、この曲も印象深いプレイヤーは多いのではないでしょうか。
「究極幻想」の話を聞いていってほしい
筆者の2.0時代の最推し曲は、「究極幻想」です。
「究極幻想」は、「FFXIV 新生エオルゼア」のラストバトルのひとつとなる「アルテマウェポン破壊作戦」の後半戦で流れる曲です。最終決戦に相応しい厳かなコーラスから始まり、こちらも王道のオーケストラ楽曲か、と思わせますが、コーラスの独唱が終わったところから各楽器が機械的なリズムを刻み始めます。これがまさに「究極の兵器であるアルテマウェポン」を彷彿とさせるに相応しいメロディで、神々しさすら感じます。
いわゆる電子楽器的なものは使われていないのですが、オーケストラでこの機械的なメロディを表現しているのが素晴らしい一曲です。

この曲が筆者の最推し曲になったのは、初見の時のことです。筆者最愛のキャラクターであるサンクレッドがアシエン・ラハブレアに憑依されているとわかった時から、きっと最後にサンクレッドは死ぬと思っていました。なので、魔導城プラエトリウムでネロやガイウスと戦ったあたりから既にべそべそだったのですが、この「究極幻想」があまりにも最終局面に相応しい盛り上げ方をしてくるもので、完全に涙腺が崩壊してしまい、「サンク……おまえ……死ぬのか……」という気持ちでいっぱいになってしまったのです。

なお結果は皆さんもうご存知の通りですね。ただ筆者はその時の感情がどうしても抜けなくて、今でも「究極幻想」を聞くと泣いてしまいます。オーケストラコンサートでも、タオルを握りしめて聞いています。例えサンクが生きているとわかっている今でも、あの時「死んじゃうんだ」と思った気持ちは永遠に忘れないと思います。
そんな「自分の体験」とBGMが密接に結びついているのが、「FFXIV」の楽曲です。ここまで物語と体験、音楽が密に交わったゲームは、なかなかないのではと思います。
単純に「場面にあった音楽」を作っているだけではなく、「いかにプレイヤーの体験を盛り上げる音楽を作るか」まで考えられていて、感情の盛り上げ方が最高に上手いんですよね。だから、まるで麻薬のようにゲームそのものにハマっていってしまうのですが、ましてやMMORPGという特性上、主役は自分自身(光の戦士)ですから、思い入れも半端ないというものです。
ただ、この素晴らしいBGMたちがなかったら、筆者はここまで「FFXIV」という作品に魅力を感じていなかったように思います。こんなにも感情を揺さぶる音楽を集めてくれて、ありがとうございます。

本稿で挙げた楽曲は、サウンドトラック「A REALM REBORN : FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」に全て収録されています。ゲームのプレイ中には聞き取れなかったような音まで96khz/24bitのハイレゾリューション音源で収録されていますので、ぜひそちらを聞いてみてください。それでは、良いエオルゼアライフを!

A REALM REBORN:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack
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