Chimera Entertainmentが2024年5月24日に早期アクセスを開始予定のPC(Steam)用ストラテジーゲーム「ソングス・オブ・サイレンス」。メディア向けに用意されたクローズドベータで、本作に軽く触れてみた感想をお届けしていく。

目次
  1. 自動戦闘を眺めながら、適切なタイミングでスキルカードを使用する手軽なバトル
  2. 領土を広げ、拠点をアップグレードし、ヒーローを強化していく、王道SLGの楽しさ

本作はファンタジー世界を舞台とした戦略SLGだ。すべてを飲み込み“沈黙”と呼ばれる現象に脅かされており、その中でも複数の国家が領土をめぐって争っている。

ストーリーは絵画のようなイラストを用いて描かれるのだが、使われているイラストはどれも美麗で、普通にアートブックが欲しくなる出来栄えだ。後述するが、ユニットやスキルカードの絵柄もすべて同じテイストで描かれており、アートスタイルとしての統一感が素晴らしい。アルフォンス・ミュシャの作品が好きな人などは刺さるのではないだろうか。

とはいえ、まだベータ版ということもあってか、要素自体はそれほど多くはない印象だ。それでも楽しさの一端は十分に垣間見えたので、筆者が感じた本作の魅力をいくつか紹介していこう。なお、今回のプレイ環境では英語表記となっているが、Steamのストアページには日本語字幕にも対応すると記載されている。

絵画のようなアートスタイルが目を引くファンタジーSLG「ソングス・オブ・サイレンス」を体験!の画像

自動戦闘を眺めながら、適切なタイミングでスキルカードを使用する手軽なバトル

本作は、フィールドに配置されたユニット同士が接触することで、部隊vs部隊のバトルが始まる。

戦闘自体はかなりシンプルで、事前に編成しておいたユニットたちが自動的に敵を攻撃し、決着が付くのを見守る形式だ。戦闘が始まってからプレイヤーができることは、部隊長であるヒーローのスキルカードを使用するタイミングを考えることのみ。一時停止もできるため、RTSなどの細かい操作が苦手な人でも気楽に遊べるのは嬉しい。

絵画のようなアートスタイルが目を引くファンタジーSLG「ソングス・オブ・サイレンス」を体験!の画像

スキルは部隊長となるヒーローによって異なり、空から流星を降らせる攻撃スキルや、精霊の戦士のようなユニットを好きな場所に召喚するスキル、味方にバフ効果を与えるスキルなどが存在した。ヒーローのスキルで戦闘を補助しつつ、戦況を有利に進めていくのが、本作のバトルの基本となる。

なお、スキルは一度使ってもリチャージが済めば何度でも使えるため、基本的にはチャージが済みしだい使っていくのがよさそうだ。

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ただし、スキルカードは使用可能になるまでに一定時間経過する必要がある。戦闘開始後にすぐさま使うことはできないため、最初の数秒はユニットの能力のみで戦わなければならない。

ここで重要になるのが、部隊を構成するユニットの編成と配置だ。例えば弓兵は攻撃射程が長いが、敵に接近されてしまうとその強みを生かせない。なので、弓兵の前には前線を構築できる盾持ちのユニットを配置して壁にする、といった具合だ。

では前列をガチガチに重装部隊で固めればいいじゃないかというと、それも難しい。騎馬隊のような突撃力に優れたユニットは戦列を易々と突破してくるし、なにより一部隊に編成できるユニットの数はリーダーによって変化するからだ。Aのヒーローは合計で6ユニット編成できるが、Bのヒーローは最大で3ユニットしか編成できない、ということもあった。

よってヒーローのスキルや強み、編成制限に合わせた部隊編成を考えるのが重要に感じたし、本作のおもしろい部分であるとも思う。

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加えて、ユニットの特性による相性もある。それを顕著に感じたのが、空を飛んでいるユニットだ。グリフォンのような空飛ぶ獣に乗ったヒーローを使えたのだが、敵の前衛を飛び越えて後列に迫ることができる強みを持つ一方で、クロスボウのような遠隔武器によって大きなダメージを受けてしまっていた。

戦闘を繰り返すことでヒーローがレベルアップしていくのも特徴だ。レベルが上がると、3つのスキルカードから1つを選んで取得することができる。新しいスキルを得ることもできるし、既存のスキルの能力を強化するものもあった。

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また選べるスキルカードの中には、戦闘で使うものではなく、フィールド上で自軍の街に施設を追加できるようになるカードもある。施設を追加すると、その施設専用の兵士を雇うことができるようになるため、間接的な戦力アップにつながるのだ。

ヒーローやスキル、編成するユニットなどを考慮して自軍を増強していく楽しさは、ベータ環境の現段階でも光るものを感じた。

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領土を広げ、拠点をアップグレードし、ヒーローを強化していく、王道SLGの楽しさ

本作には大きく分けて2つのモードが用意されている。1つはストーリーに沿ってゲームを進めていくキャンペーンモード。もう1つが、自由に使用勢力を選び、NPCやほかのプレイヤーと領土を取り合うスカーミッシュモードだ。

キャンペーンでは、主人公のローレライの視点で物語が進んでいく。冒頭で自らの国を失い、数少ない配下を従えて転戦することになるのだが、さすがキャンペーンだけあってシチュエーションが豊か。“沈黙”の怪物たちの領域を細心の注意を払いつつ進むシーンなど、単に領地を取り合うだけではないゲームが展開される。

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逆に領地の拡張や施設のアップグレード、部隊の自由な編成などはあまり味わえないため、そういったザ・SLG的な遊び方をしたい場合は、後述のスカーミッシュがおすすめだ。

しかしキャンペーンでは、物語に合わせて多彩なアートワークが描写される。本作の美しいアートの数々は個人的に激推ししたい要素なので、発売されたらぜひキャンペーンモードをプレイしてみてほしいと思う。

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一方でスカーミッシュは、戦略SLGの醍醐味を味わえる。勢力を選ぶことはもちろん、マップサイズや相手にする勢力なども自由にカスタマイズ可能だ。最初は1つの領地と1人のヒーローで始まるのだが、初期ヒーローをランダムにする設定もあるので、設定を変えれば何度でも遊べそうだ。

敵対勢力のほかにも盗賊や怪物といった中立勢力もいるため、序盤は自国周辺の安全を確保しつつ、国力の向上に努める必要がある。最初は1人だったヒーローも2人3人と増加していき、多方面作戦もできるようになっていく。

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戦略SLGというとゲームとして重い印象があるものの、本作では基本的に数体のヒーロー(+編入したユニット)のみの操作でほぼ事足りるため、操作感はかなりライト。拠点のアップグレードも、ターンごとに得られる資材を消費してアップグレードを行うか、ヒーローの持つ拠点改善系のスキルを使うか程度なので、非常にわかりやすい。

ちなみに敵の拠点を攻略した際には、その拠点を自分のものにするほか、略奪して焼き払うこともできる。略奪すると即座に資源を得られるが、焼き払った拠点は廃墟と化し、そこからモンスターが出現するようになってしまうというデメリットも。

このように拠点をめぐってユニットを送り込み、自国の領土を増やして敵を殲滅できれば勝利となる。

絵画のようなアートスタイルが目を引くファンタジーSLG「ソングス・オブ・サイレンス」を体験!の画像

なおスカーミッシュでは、敵部隊を倒した際に戦利品として荷馬車のようなものが手に入る。これは部隊のリザーブと呼ばれる控えの枠に自動的に編入されるのだが、この「リザーブに入る」というのが地味にユニークな要素となっている。

リザーブは本来、控えのユニットを置いておく場所だ。リザーブに配置されたユニットは戦闘には参加しないが、戦闘外であれば自由に配置されたユニットと入れ替えることができる。つまり、その部隊の戦闘継続力が上昇するということだ。

ただし、戦闘に勝った際の戦利品は、このリザーブ枠に入ってしまう。戦利品は城や砦などの大きめの拠点に持ち帰ることで資源となるので、戦うからにはなるべく手に入れたい。だが、リザーブにユニットを入れすぎると戦利品が獲得できないし、逆にリザーブユニットを少なめにすると、複数の敵に囲まれた際に生き残ることが難しくなる……というように、部隊編成を思案する際のスパイスとなっていた。

絵画のようなアートスタイルが目を引くファンタジーSLG「ソングス・オブ・サイレンス」を体験!の画像

まだベータ環境ということもあり、要素がそれほど多いわけではなかったが、逆にシンプルだからこそ手軽に遊べる良さもあった。ここからどういう方向に開発が行われるにしろ、美しいアートスタイルで描かれるファンタジー世界は、それだけで独自の魅力を放っている。

本作のビジュアルで心を刺激された人は、本作が正式にリリースされる日を楽しみにしていよう。

2008年から、主にゲームメディアを中心に活動しているフリーランスライター。海外ゲームを遊ぶ比率が多く、ファンタジーやSFがテーマのものが大好物。特にミニチュアゲームの「ウォーハンマー」やTRPGの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は、もはや人生になくてはならないものとなっています。

それはそれとして日本のかわいいキャラも好きで、「Fate/Grand Order」や「ウマ娘」もプレイ。最近は「ウマ娘」の影響でダンスを始めました。

※画面は開発中のものです。

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ソングス・オブ・サイレンス公式サイト
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