「S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy」レビュー:リマスター版で蘇る独特の世界観「ゾーン」という不気味で魅力的な世界でサバイバルを体験する魅力

プレイレポート・レビュー
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GSC Game WorldがPS4向けに配信中の「S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy」(パッケージ版は2024年6月27日発売予定)。同作に収録された「S.T.A.L.K.E.R. : Shadow of Chornobyl」の内容を中心としたレビューをお届けする。

※CERO Z(18才以上のみ対象)のタイトルとなりますので、ご覧いただく際はご注意ください。

本作は、ウクライナのGSC Game Worldが開発し、2007年から2009年にかけてPC向けに発売された「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズ三部作を、現世代の技術でリマスターした作品だ。

本作の舞台は、チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所事故の二十数年後の、事故現場周辺の立入禁止区域「ゾーン」だ。ゲーム内の設定では、事故による放射能汚染の影響で、「ゾーン」では現実には起こり得ない異常現象が発生している。この「ゾーン」では「STALKER」と呼ばれる命知らずたちが様々な目的を持って活動をしている。

なお、本レビューでは「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl」の内容を中心に記載している。本作では続編の「S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky」、そして3作目の「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Prypiat」もプレイできる。

ゲーム内の時系列としては「Clear Sky」→「Shadow of Chornobyl」→「Call of Prypiat」という順番になっている。後に発売された作品はシステムやグラフィックスが洗練されており、ストーリーの理解を深めるためにも発売順にプレイすることをオススメする。

一方で、手っ取り早く「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズの魅力や世界観を感じたい方は「Call of Pripyat」をプレイするのが良いだろう。

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「ゾーン」に眠る謎を追う「S.T.A.L.K.E.R. Shadow of Chernobyl」の魅力

まず、第1作の「Shadow of Chernobyl」のストーリーから紹介していく。主人公は、多くの死体を積んだ謎のトラックで運ばれていたただ1人の生存者である。事故で大破したそのトラックを発見したある「ストーカー」は、主人公を背負い商人の元を訪れる。

彼は記憶を失っており、唯一の手がかりになるのは彼が持っている端末だけだ。端末に残されていたのは「ストロレックを殺せ(KILL THE STRELOK)」というメッセージのみ。その目的や、「ストレロック」の正体は謎に包まれている。

主人公は、商人の依頼を受けながら、さまざまな派閥、クリーチャー、アノマリーが待ち受ける「ゾーン」の中に足を踏み入れていくことになる。

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本作の大きな特徴の一つが、「A-Life」と呼ばれるシステムだ。これは、ゲーム内のNPCが独自のAIを持ち、自律的に行動するというものだ。開発段階ではプレイヤーの視界外でもNPCが自律的に行動すると計画されていたが、最終的にはある程度の範囲で動くシステムになった。

それでも自律的にNPCが動いているのは面白い。今では確かに珍しくはないかもしれないが、NPC同士が協力したり、時には争ったりする。敵対する派閥のNPCが交戦し、双方が負傷や死亡することも、変異した野生のミュータントに襲われることもある。

スクリプトやシナリオに基づいて動いている印象だが、どういうシステムで実装されているであれ、NPCが自律的に動いているのが面白い。クエストのキーになるNPCが戦闘に巻き込まれて死んでしまいクエストが失敗することもある。

そうなってしまった場合は、NPCが死ぬ前のセーブデータを読み込まなければ死んだNPCは復活しないので、もしかしたら想定もしていないゲームプレイになる可能性もある。

後述するが、そういった上で独自の思考で動くNPCたちが、この「ゾーン」という地帯の過酷さや、生きることの難しさを感じさせてくれる。この世界でプレイヤーが生きている、この世界でサバイバルをしているという感覚が味わえる。

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そして、本作におけるサバイバル要素は、プレイヤーに「ゾーン」での生存の厳しさを体感させる重要な役割を果たしている。その中でも特に、食料や水の管理、負傷や放射線被曝への対処、そして荷物の管理は、ゲームプレイの中心となる要素だ。

まず食料と水は「ゾーン」で生き延びるために欠かせない資源だ。プレイヤーキャラクターは、一定時間が経過すると空腹や喉の渇きを感じるようになる。これらを放置していると、最終的には死に至ることもある。そのため、探索の合間には常に食料と水の確保が必要になる。

さらに、出血や放射線被曝への対処も必要だ。「ゾーン」では、敵対NPCとの戦闘や、アノマリーとの遭遇によって、怪我を負うことがあるのだ。また、放射線量の高いエリアに長時間滞在していると、被曝をする。そのため、これらに対処するためのアイテムも確保する必要がある。

もちろん、戦闘で使う武器や銃弾なども必要だし、これらのサバイバルに必要なアイテムを管理する必要がある。だが、インベントリは重量制で、所持しているアイテムの重量が一定値を超えると、最終的には動けなくなってしまう。もちろん戦利品も持ち帰りたいので、この部分の管理がまた悩ましい部分だ。

こうしたサバイバル要素は、「ゾーン」の過酷さを物語るだけでなく、プレイヤーにその過酷さを実感させる役割も果たしている。常に死と隣り合わせの緊張感の中で、限られたリソースを管理しながら探索を進める。そこにはこの「ゾーン」という舞台で“生活する”醍醐味がある。

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そして、本作の世界観とストーリーは、ゲームの核心部分だ。それが、プレイヤーを本作の、そして「ゾーン」の不思議で魅力的な雰囲気に引き込む大きな要因となっている。

主人公は、「ストレロックを殺せ」という指令を受けているが、その理由や「ストレロック」の正体は明かされていないというところから始まる。さらに、主人公自身が記憶喪失であるため、自分が誰であるのか、なぜこの指令を受けたのかもわからない。この設定が、プレイヤーと主人公を巧妙に同期させている。プレイヤーも主人公も、今の状況がわからないながらに「ゾーン」という未知の世界に足を踏み入れ、その謎を解き明かそうとするのだ。

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また、本作の世界観は現実世界の歴史ともリンクしている。チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故は、現実に起こった悲劇だ。ゲームはこの事実を基盤としつつ、そこに虚構の要素を織り交ぜることで、独特の世界観を構築している。これにより、「ゾーン」は単なる架空の世界ではなく、現実と地続きの、言わば「パラレルワールド」のような存在として感じられるようになっている。

「S.T.A.L.K.E.R.」3部作のストーリーと世界観は、謎と曖昧さを武器に、プレイヤーの想像力を刺激するのだ。未知なる世界を探索する恐怖と興奮、そして真相を求める知的好奇心。そして、現実と虚構が交錯する独特の世界観。これらが相まって、「ゾーン」という唯一無二の舞台を作り上げている。そこはまさに、プレイヤーの冒険心を掻き立てる、魅惑の禁断の地なのだ。

高難易度とグラフィックの古さが課題。コンシューマー機への移植とオフィシャル日本語字幕が大きなメリット

ネガティブな点を挙げるとするならば、本作の難易度の高さがある。一応、難易度調整はあるものの、最低難易度でも、「本当に難易度が下がっているのだろうか?」と思うくらいには敵にダメージが与えられないし、敵からのダメージはボコボコに受けてしまう。正直言ってゲームの序盤から投げたくなるくらいの難易度だった。

ただ、クイックセーブとクイックロードが利用できるため、難所の前後でセーブ/ロードを繰り返しながら進めることがオススメだ。ゲームが少し進めば強い武器も手に入るので多少は戦いやすくなる。

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また、グラフィックスもキレイにはなっているが、ベースが当時のものなので、最新のタイトルと比較すると見劣りする部分があるのも正直なところ。リマスターされても、独特の無骨さは健在である。最新のAAA作品にあるような滑らかで美しいグラフィックスではなく、正直言ってもグラフィックス面はそれほどの進化はない。

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本作の価値は、YouTubeなどの動画配信サイトでも取り上げられるなど、一部で熱狂的な人気のあるゲームをコンシューマー機で遊べることにある。また、オフィシャルの日本語字幕が入っている点も大きい。PC版も有志の日本語MODという形で日本語でプレイできたが、技術面もハードルが高かったし、万人にお勧めとは言いがたいのも事実だ。そういう意味で手頃になったのは非常にありがたいポイントだ。

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「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズが持つ唯一無二の体験が何よりの魅力

「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズは、その独特の世界観とゲームプレイにより、多くのプレイヤーを魅了してきた作品だ。過酷な環境での生存を描く緊張感あふれるサバイバル要素、AIによって自律的に行動するNPCたち、そして現実と虚構が交錯する不可思議な世界観。これらの要素が見事に融合し、「S.T.A.L.K.E.R.」は他に類を見ない没入感を生み出している。

本シリーズは単なるFPSではない。サバイバル、ロールプレイング、そしてアドベンチャーの要素を持つ、独特のジャンルのゲームである。過酷な環境の中で生き延びること、世界の謎を解き明かすこと、そしてそこに生きる人々との交流を通じて自らの物語を紡ぐこと。「S.T.A.L.K.E.R.」は、これらの体験を独自の方法で提供している。

「ゾーン」という異世界に1度足を踏み入れると、もう戻ることはできない。放射能に汚染された大地、うごめく敵対勢力、そして未知なる異常現象。この過酷な世界を生き抜くために、プレイヤーは知恵と勇気、そして時には運を必要とする。しかし、その先には得難い達成感が待っているのだ。危険と隣り合わせの世界で生きること、そこで自分の物語を紡ぐこと。「S.T.A.L.K.E.R.」は、そんな体験を可能にしてくれるのだ。

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今回のリマスター版は、この傑作に現代のプレイヤーが触れるチャンスを提供している。新しいプレイヤーにとって、これはこの上ない冒険の機会である。また、古くからのファンにとっては、「ゾーン」への帰還の機会となるであろう。そして、2024年9月5日には発売予定の続編「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」に向けて、この難しく不可思議で魅力的な世界「ゾーン」をじっくりと体験してほしい。

本稿の締めくくりとして、最後に筆者からこの言葉を贈る。
「グッドハンティング、ストーカー!」。

得意分野はビデオゲーム全般だが、メタバースやAI関連の記事も積極的に執筆中。ライター業以外にもVTuberとしての活動や、メタバース内ではラジオパーソナリティや、DJとしての顔もあり、肩書きが混雑してきたのが最近の悩み。 X(旧Twitter):https://twitter.com/denpa_is_crazy note:https://note.com/denpa_is_crazy/n/n57f97c18adef

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