ポノスがモバイルゲームを中心に展開する「にゃんこ大戦争」。同作がどのようにして生み出されたのか、そしてゲーム運営の考え方やIP展開を紹介するメディアセミナーが行われた。
“となりの人を笑わせたい”から1億DL超えのゲームに
1990年に創業し、現在は京都に本社を構えるポノス。コンシューマ向けの開発を経て、モバイル展開へとシフトしていく中で生み出されたのが「にゃんこ大戦争」だ。

本セミナーに登壇したCOO兼開発部長の佐野星一郎氏によると、その誕生は“となりの人を笑わせたい”というシンプルなアイデアからだったという。デザイナーが面白い絵を描いてとなりのデザイナーを笑わせようとしたエピソードが膨らむかたちでゲームへと昇華されていった。

同作の魅力として挙げられたのがモノクロのシンプルなキャラクターデザイン。そのデザインからの拡張性によって、タイトルの世界観がさまざまなエンターテイメントと融合して届けられていると、佐野氏はその理由を語った。

「にゃんこ大戦争」の人気の秘訣を語るうえで欠かせないのがグローバルな人気の高さだ。現在も毎月新規で100万DLペースを継続しており、2026年3月には全世界で1億1111万DLを突破したという。世界166カ国で展開する中、英語版は国内(約3割)を上回る約5割ものユーザーベースを獲得している。


それらの取り組みをほぼ全てインハウス(業務の内製化)によって実現しており、それによってIPとしての権利が内部に集約されていることも同社の大きな特徴だという。そうした体制の中でゲーム運営に取り組んできたことが、14年目を迎えるほどの長期タイトルになれた要因であると話す一方、初期のコンセプトである“笑わせる”も大事にしているようだ。
ちなみに、IPとして“にゃんこっぽさ”を出すためにどうしているのかという話題に及ぶと、現在のエンタメにおいて各社が取り組むブランドマネジメントにおける共通言語化をポノスでは行っていないことが明かされる。企画検討の判断の際も社歴の長いスタッフを中心ににゃんこの良さを共通化できているからこそ、持続的に提供できているとその秘訣を語った。
ゲーム、プロモーション、ライセンス、MDの4軸で展開する“にゃんこIP”
「にゃんこ大戦争」は、現在においては“にゃんこIP”としてモバイルゲームを軸としながらもさまざまな事業領域へと展開。同社ではそれらを特段区別することはしていないということだが、対外的な事業区分として大きく4つの注力事業があるという。


まず基幹となるゲームに関しては、日本版13周年でTVCMも含めて展開した「にゃんこレンジャー」など、周年ごとに大型の施策を準備。このテーマ決めは1年~1年半前には決定しており、そこから各チームが連動して準備を進めていくこととなる。
また、「にゃんこ大戦争」で度々注目されるのがコラボの数々。特に「エヴァンゲリオン」シリーズとのコラボは2018年から継続に行っており、以下の動画のような幅広い仕掛けを行ってきた。
(C)カラー
そのほか、ファミリー層への訴求を図ったSwitch版「ふたりで!にゃんこ大戦争」や、ライトに遊べる3マッチパズル「パズルで豊作!にゃんこ村」などの展開も行っている。


プロモーションとして積極的に行っているのは主に展示会やポップアップなど。全国4会場を巡回した「みんなで出撃!にゃんこ大戦争展」は累計来場者数が44,000人以上になったことが紹介される。

また、台湾でのコラボ商品や公式グッズの販売(一部商品)の展開や、英語版10周年のインゲーム、アウトゲーム連動の施策などグローバルでの取り組みも紹介。事業を縦割りにせずにひとつのエンターテイメントとして楽しむコンセプトのもと、近年では各種アワードでも評価されているという。


ライセンスにおいてはさまざまなパートナーとの取り組みを行う中、「にゃんこ大戦争」のBGMを楽譜にし、期間限定で無料配布するというユニークな施策も。夏の吹奏楽コンクールや野球応援シーズンに向けたもので、大阪桐蔭高校の吹奏楽部が演奏する動画も公開されている。

マーチャンダイジングの取り組みとしては、ECサイトの「にゃんこ大商店」を展開するほか、ほぼ毎月のペースでポップアップも実施。グッズに関してもゲームと連動した商品をはじめ、アパレルや黒板消しなどのアイデア商品が用意されているほか、絵本やクイズブックなどの知育に役立つコンテンツ、玩具など幅広いコンテンツを展開している。これらのアイテムを提供することで、にゃんことともに過ごす物理的な時間が増え、生活に根付くことに触れた。


2027年の日本版15周年、そしてさらなる未来を見据える
今後の展望として、「にゃんこ大戦争」、ひいてはポノスが大事にしてきた、面白いもので世界と戦うというカルチャーは変えず、その上でエンタメのタッチポイントや体験が多様化する現在のトレンドに対応するかたちでチャレンジしていきたいと中長期の取組みを話す一方、直近では2027年が15周年の節目になることもあり、そのタイミングで祝えるようなものを準備していることにも言及しつつ、セミナーは締めくくられた。
その後の質疑応答ではセミナー内で語られた内容に関する質問がいくつか寄せられた。ゲームのDL数の推移として北米を中心にスマートフォンゲームユーザーが増えている東南アジアでも伸長を見せていること、国内の常設店については検討しつつも現時点では立地などの条件もあって見送っていること、商習慣なども異なる海外でも遊んでもらうためにはゲームとしての面白さが必要であることなど、一つ一つの判断や成果に関する背景が語られていた。
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