8月21日~23日にわたって開催の「CEDEC2024」。ここでは、8月21日に行われたセッション「『FINAL FANTASY VII REBIRTH』における会話イベントの量産とアニメーションワークフロー」の内容をお届けする。
登壇者はスクウェア・エニックスより、原龍氏。本セッションでは、2024年2月に発売した「ファイナルファンタジーVII リバース」(以下、「FFVII リバース」)のアニメーションに関するワークフローやプロシージャル関連のツールについてを紹介。
「FFVII リバース」では前作までと比較して広大なフィールドになった分サイドコンテンツも多大になり、それに合わせてカメラ付きの会話イベントについても量産体制の再構築と品質の向上が求められた。このような課題に対してどのような仕組みで改善に取り組んだのかという事例を中心にお届けする。
「FFVII リメイク」から「FFVII リバース」で進化した会話イベント
まずは、「FFVII リメイク」から「FFVII リバース」で進化した会話イベントについて語られた。
前作の「FFVII リメイク」のカットシーンは、カットシーンアーティスト主導で作られている。一方、会話イベントはゲームデザイナー主導で作られており、それによりカットシーンのクオリティの高さに比べて、会話イベントではどうしても品質差が産まれてしまうという問題があった。
しかし「FFVII リバース」ではイベントシーンが大幅に増えるので、カメラ付き会話イベントの量産体制見直しと品質向上が必要に。特に「ウィッチャー3 ワイルドハント」は、「FFVII リバース」の開発において参考になる部分が多かったという。
具体的には、カットシーンと比較して映像品質で大きく見劣りしないもの、量産に耐えられる実装工数であるもの、ゲームデザイナーでも作業でき、担当者の違いによる品質差が出にくいもの、アーティストがゲームデザイナーの手を借りずにブラッシュアップ作業ができるものが求められたそうだ。
そのためにはやるべきことを決めなければならない。まずはカットシーンと同様にシーケンサーで作業できるようにする、シーケンサーでのカメラやモーション、ライト実装を自動生成できるようにする、エクセルでカメラ無し会話イベントとして作ってからシーケンサーに変換する、などが挙げられる。
そうして出来上がったシーンの一例。そこに手動調整を入れると、効果的なところでカメラの調整が入る。
多人数でのほぼ自動生成シーンの一例や、全てが手動調整だったシーンの一例も紹介。カメラ付き会話イベント編集環境(Dialogue Editor)で重要なのは、プレビュー環境が独立していることだという。
「FFVII リバース」では、ゲームをプレイしながらシーケンサー編集するモードを用意している。スライドでは、カメラ付き会話イベント自動生成のアセット構成、カメラ付き会話イベント手動調整のアセット構成、カメラ付き会話イベント手動調整のアセット構成、カメラ・モーション・ライトを自動生成するジェネレータの構成などが紹介。なお、ジェネレータはブループリントでロジックを作成しているという。
さらに、ショット毎に使用するジェネレータを選択可能にし、ジェネレータで使用しているデータ定義はプリセット化、親ジェネレータと派生ジェネレータをプログラマが作成、派生ジェネレータとその他プリセットはアーティストが作成した。
肩越しショットカメラ自動配置ロジック、汎用ライト自動配置ロジック、肩越しショットのイマジナリーラインなども触れられた。
また、「FFVII リバース」のボイスは日・英・仏・独の4言語に対応。会話イベントは数が多すぎるため、尺合わせしない方針で収録していたが、日本語に比べて尺の長い言語ではショット内に収まらない、演技と合わないなどの不具合が「FFVII リメイク」で多発したため、「FFVII リバース」ではシーケンサー全体の再生速度を変更することで、ボイスの開始・終了タイミングが一致するように対応した。
しかし、実際に「FFVII リバース」の開発を終えたところ、結局「自動生成1:9手動調整」となってしまい、アーティスト手動調整が想定よりも多くなってしまった。とはいえ、多くのショットが自動生成のままいけたこともあり、工数削減としては貢献できたという。
アニメーションするメッシュのプロシージャル配置について
プロシージャル配置ツールの利点は、ゲームデザイナーが仮配置してブラッシュアップ作業をアーティストに引き継ぐことができる点。また、後から処理負荷の調整がしやすいのも挙げられる。ジュノンでのルーファウス歓迎式典ではSkeletal Mash群衆配置ツールが、フィーラーの登場シーンではVAT群衆配置ツールなどが使われている。
他、機械学習を使ったリップシンクの音素解析と機械学習の比較、エンジン標準のControl Rigを使用してのアニメーションポストプロセスなどが紹介され、本セッションは終了となった。
CEDEC2024公式サイト
https://cedec.cesa.or.jp/2024/
(C) SQUARE ENIX
※画面は開発中のものです。
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー