8月21日~23日にかけて、パシフィコ横浜 ノースにて開催のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2024(以下、CEDEC2024)」。8月21日に行われた「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism 『KOGANE大作戦』 最適化と表現向上の取り組み」の内容を紹介する。
本セッションでは、バンダイナムコエンターテインメントより2023年11月にリリースされたアイドル育成&シミュレーションゲーム「アイドルマスターシャイニーカラーズ Song for Prism(以下、シャニソン)」について、リリース直前からの最適化と表現向上に関する取り組みを解説。
講演者である給前瞬氏(バンダイナムコスタジオ)は、リリース5ヶ月前より「シャニソン」に参加。2023年5月に実施されたCBT時点で発生していた処理落ち、端末の発熱問題、モーションのカクつきといった課題を解消し、リリースに向けた最適化を推進するべく、「KOGANE大作戦」という最適化推進チームが発足されたという(名称自体は「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」での“AKANE大作戦”をもじっているそう)。
最適化にあたってはまずプロファイラーで実機計測から始まることが大事ということで、実際に確認してみたところ、GPUの負荷がより高く、全体的に重く無駄な処理が多かったそう。リリースまで5ヶ月と期間が限られていたため、手を付けられるものを片っ端から解消していくことで対処することとなったが、すでに量産されている膨大なアセットがあり、負荷を犠牲に品質を削るには勇気が要ることから手を付けづらい部分になっているようだ。
メモリの使用量、解像度といった部分はもちろんのこと、モバイル向けのタイトルはGPUが起因となって処理落ちしていることが多いという。やはりクオリティと処理負荷はトレードオフの関係になっている点がさまざまな観点から紹介された。
そのほかにもポストエフェクトの重ねすぎ、独自のSRP(Scriptable Render Pipeline)の最適化などの問題を抱えながら、なんとかリリースへとこぎつけることができたそう。一方、時間の都合で手が施せなかった部分もあり、例えばSRPからURP(Universal Render Pipeline)への移行は、リリース後の2024年3月から6月にかけて実施することになったそう。
そうした問題点の解消を経て、リリース後には表現の向上に着手していく。具体的にはアップデート情報などでも触れられていた、HDRライティングの導入などの取り組みだ。実際に過去のシェーダーとの比較を映像で見ても、その違いがはっきりと見て取れるが、LDRとHDRについては好みが分かれるため、切り替えができるようなかたちでの実装となった。
最後に今後のアップデート予定が紹介されてセッションは終了に。運営タイトルならではの並行した改善の取り組みの難しさや、その上での品質向上のアプローチが垣間見えるものとなっていたので、詳細はタイムシフトにてチェックしてみてほしい。
CEDEC2024公式サイト
https://cedec.cesa.or.jp/2024/
THE IDOLM@STER(TM)& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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