アトラスが2024年10月11日に発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/PC(Windows、Steam)用ソフト「メタファー:リファンタジオ」。本作のプレイレビューをお届けする。
本作は、アトラスのスタジオ・ゼロが制作を発表していた新作RPG「PROJECT: Re FANTASY」の正式タイトルだ。橋野桂氏、副島成記氏、目黒将司氏ら「ペルソナ3」「ペルソナ4」「ペルソナ5」を制作したクリエイター陣がスタッフに名を連ね、アトラス作品好き、「ペルソナ」シリーズ好きの筆者としてもずっと注目していた作品となる。
そんな筆者だが、「メタファー:リファンタジオ」を触るのは、6月に開催された「アトラスフェス」での試遊以来となる。その間、ずっと情報は追い続け、9月に実施の完成披露会「ワールドメタファーサミット」にも参加。体験版の配信も一ファンとして嬉しい情報だったが、「東京ゲームショウ2024」があったため、今日までプレイはできていなかった。
悔し涙を流しそうになりながら体験版のプレイはおあずけとなったが、その結果、今回のプレイでは本作の導入から新鮮な気持ちでプレイすることができた。今回は、改めての紹介になってしまうが、本作の魅力的なストーリーや戦闘などに注力しつつ、「メタファー:リファンタジオ」の基礎となる部分からお届けしていく。
混乱渦巻くユークロニア連合王国で始まる王位争奪
物語の舞台は、8つの種族が生活している“ユークロニア連合王国”と呼ばれる3つの国からなる連合国。初代王によって興され、強大な魔法を受け継ぐ強い王家によって併合、統治されてきた連合国だが、長きにわたる経年から次第に腐敗し、今や格差と差別に引き裂かれた“美徳なき国”へと堕落しつつある。
広大な国土には、危険な動物たちに加え、“ニンゲン”と呼ばれる謎の怪物がはびこり、もはや都市の外には安全もない。そんな中、ユークロニア王国の王子、国王が暗殺され、統治者不在の王国にさらなる混迷と不安がもたらされる。
“エルダ族”の少年である主人公は、相棒の妖精“ガリカ”と共に、この国の王子にかけられた呪いを解くため旅をしている。王子を蝕む死の呪い解く方法はただ1つ。“呪いをかけた術者の命を奪うこと”。
その特命を果たすため、二人がやってきたのは“王都 グラン・トラド”だった。…というのが本作の導入部分のあらすじとなる。
アトラスというと、「真・女神転生」「ペルソナ」シリーズといった現代劇を描いた作品のイメージが強いが、「メタファー:リファンタジオ」ではファンタジーRPGというジャンルの中で幻想劇が描かれる。
ファンタジーであるがゆえに全てを1から考えて、作ることの挑戦や苦労はイベントに登壇していた開発陣から語られたが、今までのRPGで培ってきたものを活かしつつ、ファンタジーの世界で冒険、旅をできるというのは「メタファー:リファンタジオ」ならではの大きな魅力だ。
またプレイヤーにとっては幻想の世界となるが、その幻想世界に住んでいる彼らにも“幻想”があるという。その世界は、プレイヤーにとっては現実世界そのもの。お互いがお互いの世界を、ありえない夢物語と思っている。
ゲームの世界の住人が我々の住む現実世界のことを語るシーンも作中にたびたび登場するのだが、果たしてストーリーに関わってくるのか、その場合どのような展開が繰り広げられるのか、たやすくは想像できない分、非常に気になるポイントとなっている。
世継ぎの王子、そして国王までもが凶刃に倒れ、統治者を失い混乱に陥るユークロニア連合王国。次の王になるのはいったい誰なのか? 玉座を狙う有力者たちの思惑が渦巻く中、王の葬儀の場で事件は起こる。
きたる10月の“英雄の日”までに、国民の信託を最も集めし者が次なる王となる資格を得る。国民投票によって全国民に王位争奪を競い合わせるという、亡き王の壮大な魔法が発動するのであった。“民意で王が決まる”というかつてない出来事に混乱を極める人々。そんな中、主人公は己が使命を果たすため、争奪戦に身を投じることを決意する。
かくして始まる、王国全土を巻き込んだ王位争奪。その旅の中で、主人公のもとに集ってゆく多様な仲間たち。壮大な世界変革の旅が、彼らを待ち受けているのだった。
ゲームが進行していき、グラン・トラドより外の世界へ向かうことになると、移動の手段として登場してくるのが“鎧戦車”。作戦室や仮眠室、食事を作るスペースも存在し、旅の拠点ともいえる鎧戦車では、仲間との交流も楽しめる。
またゲーム序盤から存在はしていたものの、鎧戦車による移動ができるようになると、さらに存在が重要となってくるのが日付の概念。ストーリーによっては決められた日付までに目的を達成しなければならない場面や、この日以降にストーリーが進展していくといったものがある。
その日までに攻略、自由な時間を過ごすことになるのだが、鎧戦車で外の世界を移動する際は、目的地までの距離によって必要な日数が存在する。“今の時間をどう利用するか”は本作を進めていく上で、非常に重要なポイントとなってくる。
旅の道中、行先での仲間や街の人との交流は“旅感”を味わう上でも重要ではあるが、それによって得られる主人公独自のパラメータ“王の資質”もゲームを進めていく上でキーとなってくる。
「ペルソナ」シリーズでいう“人間パラメータ”と考えればイメージしやすいと思うが、王の資質によって解放される要素や仲間との交流もあるので、ストーリーを進めつつ、こちらのパラメータも上げていきたい。
バトルは“ファスト&スクワッド”へ進化
本作では、“ファスト&スクワッド”と呼ばれるシステムが搭載されており、これまでのコマンドバトルにない戦い方が展開されていく。ダンジョン内の移動時に敵へ直接攻撃を加えるアクション“ファスト”と、コマンドバトルで戦う“スクワッド”を切り替えて戦うことができる。
ファストで攻撃を続けていき、敵の“ブレイクゲージ”をゼロにすれば“気絶”させることも。気絶している敵にスクワッドでコマンドバトルにもっていくと、味方の先制攻撃から始まり、有利な状態からバトルがスタートするという仕組みだ。
また、フィールドで行える“妖精眼”を使えば、敵の危険度などを把握することが可能。敵の危険度については色で判別でき、青なら格下、黄なら同格、赤なら格上となり、初めて出会う敵は白で表示される。格下相手ならファストのみで倒すことができるようになっており、ストレスフリーで敵を一掃し、経験値などを入手できるものとなっている。
ちなみに、フィールド上で敵からの攻撃を受ければ、敵の先制攻撃からコマンドバトルがスタートしてしまう。何度かその場面に出くわしたが、そうじてかなりつらい状況から戦闘を組み立てていかなければならなくなる。
同格はもちろんだが、格上の相手ともなると、いきなり壊滅的な状況からということもあるので、そうならないよう敵の攻撃から始まるスクワッドは、なるべく避けていきたいところだ。
コマンドバトルは、“プレスターンバトル”をベースとしたシステムを採用。各ターンに行動回数を表す“プレスアイコン”が表示され、それを消費することで攻撃やスキル、アイテムの使用などが行える。
また、「ペルソナ」シリーズなどでもおなじみの攻撃やスキルの属性や耐性、弱点を突くといった要素は健在。弱点を突いた攻撃やクリティカルが発生した場合は、通常の行動よりもプレスの消費を抑えることができる。
さらにバトルには前列/後列といった概念も存在。キャラのターン開始時に自由に変更できるのだが、こちらでは主にダメージの増減に関わってくる。敵によっては前列/後列の概念を利用した攻撃を仕掛けてくるものもいるので、切り替えが重要になってくる場面も存在してくるというのは理解しておく必要がある。
コマンドバトル中、主人公たちは道中で覚醒して得た“アーキタイプ”の力を使用することが可能。さまざまなアーキタイプが存在し、キャラごとに自由に変更でき、使用できるスキル、必殺技の“ジンテーゼ”も異なってくる。
ジンテーゼは必殺技である以上、強力なものとなっているが、その分消費するプレスアイコンも攻撃やスキルと比べて多くなっていたので注意が必要だ。
魅力的なキャラたちが続々登場! 意外な一面を見られるシーンも
主人公や仲間たち、敵対するキャラ、その他の人物など、本作にはさまざまなキャラたちが登場。特に仲間のキャラたちは触れ合う機会も多く、どんどんと愛着が湧いてくる。またイベントシーンでは、それまで抱いていたイメージとは違った、意外な一面を見られるシーンも多々存在する。
例えばストロールとヒュルケンベルグ。二人ともクールな印象を持つキャラだが、ストロールは思ったことをすぐ口にするタイプなのでツッコミ役に回る場面も見られ、ヒュルケンベルグに至っては動揺した時の表情やゲテモノ料理でも難なく食せるといった、普段の言動からは見られない、考えられないようなシーンも。
これによってさらにキャラへの愛着が増していくというポイントは、キャラを本作の魅力の一つとして感じていた筆者にとっても非常に嬉しいポイントだった。おかげでプレイしながら好きなキャラがどんどんと増えていくという、いわば箱推しのような状況になりつつある。
先にも述べたように、仲間キャラはもちろん、その他のキャラ、敵対するものでも魅力的なキャラたちがどんどん登場するので、プレイしながらぜひ自分のお気に入りキャラたちを見つけてみてほしい。
アトラスが作るRPGである以上、プレイボリュームがあることは覚悟していたのだが、想像をはるかに超えるものとなっていた。そのためすべての要素を体験し、紹介することは叶わなかったが、発売後に改めて魅力を紹介できる機会があれば、ぜひお届けできればと思っている。
元々注目・期待していたタイトルではあったが、今回のプレイを通してさらに本作への期待が高まり、「早く製品で時間が溶けるほどにプレイしたい!」と思ってしまったほど。
アトラスファンはもちろん、RPG好き、もはやゲームをプレイしている人全員にオススメしたい作品である「メタファー:リファンタジオ」。2024年10月11日発売と手に取れる時期が迫ってきているので、配信されている体験版をこなし、ぜひ本編もプレイしてみてほしい。
(C)ATLUS. (C)SEGA.
※画面は開発中のものです。
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