2025年3月8日、9日に国立代々木競技場 第一体育館にて「ラブライブ!スーパースター!! Liella! 6th LoveLive! Tour ~Let's be ONE~」東京公演が開催。本稿では9日に行われたDay.2公演の模様をお届けする。
目次

「ラブライブ!スーパースター!!」は、「ラブライブ!」シリーズ第4作として、2020年1月にプロジェクトが始動。表参道と原宿と青山という3つの街のはざまにある新設校「私立結ヶ丘女子高等学校」を舞台に、スクールアイドルグループ「Liella!」の姿を描いている。
Liella!は、澁谷かのんを中心とした結ヶ丘女子高等学校の新入生5人で結成。TVアニメの展開にあわせてかのんたちは2年生、3年生と進級するなかで、新メンバーが4人、2人と加わり、11人に。同様にキャストも1期生5人でスタートし、2期生4人、3期生2人が加入。11人体制で活動している。
6thライブは、5都市10公演のツアーとして開催。この東京公演を皮切りとして、愛知、宮城、福岡、大阪をめぐる。2024年10月から放送されたTVアニメ3期にスポットを当て、関連楽曲を中心に披露された。なお本稿については、3期のストーリー展開に言及していることを、あらかじめご了承いただきたい。
出演者(敬称略)
伊達さゆり(澁谷かのん役)
Liyuu(唐 可可役)
岬 なこ(嵐 千砂都役)
ペイトン尚未(平安名すみれ役)
青山なぎさ(葉月 恋役)
鈴原希実(桜小路きな子役)
薮島朱音(米女メイ役)
大熊和奏(若菜四季役)
絵森 彩(鬼塚夏美役)
結那(ウィーン・マルガレーテ役)
坂倉 花(鬼塚冬毬役)
11人がひとつのLiella!になるまでや「ラブライブ!」に挑んだ軌跡をステージで表現


開演時間となり、メンバーの紹介やライブロゴを映し出す映像を経て、ライブがスタート。その1曲目は、TVアニメ3期オープニングテーマである「Let's be ONE」。メンバーが躍動するオープニング映像を背景に、同じように歌い踊るシンクロパフォーマンスを展開。ここではTVサイズのショートバージョンとなっていたが、TVアニメ3期を背負ってのライブと印象付ける光景が広がっていた。続いて歌われた「青春HOPPERS」では、ロックサウンドにのせてノリノリに歌い、会場をより熱くさせていった。



MCパートでは11人が横に並び、「私たち、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル、Liella!です!」と、指をL字型にして重ねたLiella!ポーズを決めての挨拶や、恒例となっているメンバーのコール&レスポンスを交えたキャストそれぞれの挨拶も行われる。トークでは、この国立代々木競技場は作品の舞台となっている結ヶ丘女子高等学校に近しい場所であることや、Day.1公演の3月8日に誕生日を迎えた岬さんがテンション高く話しをしていたり、坂倉さんの名前“さくら”と3月9日にちなんた“さくの日”として活躍に期待する声、ファンが掲げているグッズは胸元でもよく見えるといった話題が飛び交い、終始にぎやかなものに。

ここからは、TVアニメ3期の映像を挟みながら挿入歌などを披露され、作中のストーリーを感じられるステージが展開される。
まずは、結那さんによる「Butterfly Wing ~Piano Size Ver.~」。TVアニメ2期ではLiella!のライバルとして登場し、スクールアイドルという存在にも挑発的な態度を取っていたマルガレーテは、3期において結ヶ丘に編入するものの、Liella!とは対峙し新スクールアイドル部を立ち上げようとする。そのなかでマルガレーテが、人もまばらな状況で歌った楽曲であり、結那さんが歌唱する姿もさることながら、たまたま目撃したかのんさながらに、ステージの端から伊達さんが見守るという、作中のワンシーンを体感でき、入り込むようなステージとなった。
マルガレーテのステージを見たかのんは意を決するシーンがありつつ、それをほうふつとさせるように、伊達さんがメインステージからセンターステージへと全力疾走し、歌ったのは「いつものピースサイン」。トロッコに乗り込んだLiyuuさん、岬さん、ペイトンさん、青山さんも登場し、1期生5人で歌唱。かのんや同学年である3年生同士の絆をどこか感じさせる楽曲であり、ラストには伊達さんがセンターステージで背を向けて高々と掲げたピースサインが目を引くものに。
留学が突然中止となり結ヶ丘に通うものの、Liella!には戻らず新スクールアイドル部に加入したかのんと、夏美のスクールアイドル活動に疑問を持つ妹の冬毬の3人が、ユニット「トマカノーテ」を結成。そんな3人がリモートライブに挑もうとするシーンが流れたのち、歌われたのは「Bubble Rise」。作中ではそれまでのマルガレーテの立ち振る舞いから逆風状態にありつつも、歌声を届けたいという思いを、スクリーンにはライブMVで、ステージでは伊達さん、結那さん、坂倉さんが歌い踊り伝えていく。
ステージには結那さんと坂倉さんが残り、ここで2人が歌ったのは「dolce」。地上波放送時の特別パート「リエラのうた3」で流れた楽曲であり、3期生である2人でのデュエット披露がここに実現。柔らかいタッチで描かれたマルガレーテや冬毬の姿が映し出されたメルヘンチックな映像にのせて、優しい気持ちになれるような歌声を響かせる。
四季とメイがライブ前にやりとりをするシーンを経て、披露されたのは「Special Color」。このときは8人のLiella!が新たな可能性を見せるべく、四季をセンターに据えて第3話で歌われた楽曲。ライブではセンターステージに8人のキャストがそろい、大熊さんを中心にパフォーマンス。また薮島さんも四季に寄り添うメイのごとく、ダブルセンターに近い感じで随所に見せ場を作り、歌い終わった後、四季が倒れかかりそうなところをメイが受け止めるシーンを大熊さんと薮島さんが再現し、歓声が沸いていた。
このあと歌われたのは、「ファイティングコール」。オリジナルはLiella!の全体曲ではあるが、ライブではセンターステージに残った2期生4人(鈴原さん、薮島さん、大熊さん、絵森さん)によるステージとなり、第4話終盤の映像を背景に歌い出す。この4話は夏美と冬毬にスポットを当てた内容で、終盤では雨が降っているなか、2年生4人がステージ衣装をまとって、夏美が冬毬に語りかけるなかで雨が上がり、そして虹のかかった空に向かって4人がジャンプするというシーンが描かれている。歌い出しでは絵森さんにスポットライトが当たり、その光が広がって行くような光景も、4人が手を重ねてジャンプする光景も、その4話終盤をほうふつとさせるもので、作中では描かれなかった“その後の光景かもしれない”と思えるステージとなっていた。
進路に悩む可可の姿やTVアニメ1期における可可とかのんのシーンの回想、そして帰省した可可を追って上海の地に降り立った10人の姿のシーンが流れつつ、センターステージにLiyuuさんが一人たち、歌ったのは「星屑クルージング ~上海 Ver.~」。可可のソロ曲の中国語バージョンとなるもので、アニメと同様に上海の夜景をイメージさせる映像を背景に、自身としても上海出身であるLiyuuさんが優しく語りかけるように歌う。
そのあとステージでは伊達さんが姿を見せ、Liyuuさんと背中合わせになると、歓声が沸き上がり、2人が歌ったのは「Tiny Stars」。TVアニメ第1期の序盤にかのんと可可が出会い、スクールアイドルの活動継続をかけて歌った思い出の曲を披露する。さらにメインステージで11人揃ったところに、作中では上海音楽フェスで歌った「絶対的LOVER」を披露。さまざまなハートマークを作る振り付けが随所に盛り込まれ、“好き”が詰まったステージとなった。
MCパートでは開口一番、Liyuuさんが「ようこそ、上海へ!」と挨拶しつつ、キャスト陣も11人で上海に行った経験があることから、美味しい食べ物のトークに華が咲いていた。一方、トマカノーテの3人が青を、Liella!の8人は赤を基調とした衣装をまとっており、まだライバル状態にあることに触れつつ、ライブが再開。結那さんと坂倉さんによる「真っ赤。」では、ライティングによって赤く染まったステージで、スクリーンにはリリックビデオさながらの歌詞を映し出す演出を背景に、大人びたステージを展開。どこかマルガレーテと冬鞠の心の迷いを示すような光景にも見られた。
そしてセンターステージでは、トマカノーテの3人とLiella!の8人が向かい合うように立ち、「Dazzling Game」を歌う。作中では第8話において、結ヶ丘からスクールアイドルの祭典「ラブライブ!」にエントリー出来るのは1チームというなかで、「負けた側は勝った側の願いを1つ聞くこと」という約束のもと、雌雄を決するべく学園祭でのライブで披露した楽曲。お互いに向き合って火花を散らすかごとく歌い上げる姿に、青と赤の炎が浮かび上がる映像演出やライティングはもとより、ライブ映像を再現するかのような、客席が振っているコンサートの色も、上手下手で真っ二つに分かれて対決の盛り上がりを後押しする。


しかしながら、曲の途中ではそれぞれ青と赤の衣装を脱ぎ、それが混ざったかのような紫を基調とした衣装となり、円を描くような立ち位置になるなど、11人としてのステージに変化。激しさのある曲調もあわさって、熱気は最高潮に。特に幼なじみであり、これまでのLiella!、そしてトマカノーテとLiella!をそれぞれけん引したかのんと千砂都の気持ちと絆を表すように、終盤における伊達さんと岬さんが向かい合って歌う姿は激アツと言えるものだった。



歌い終わったあと、8話の終盤で11人が手を繋いで宣言された「Liella!です!」のシーンも映し出される。さらに、第9話のラブライブ!地区大会で披露したものを再現するという形で、改めて「Let's be ONE」をフルバージョンで披露。ついに11人がひとつになったLiella!の姿を示す光景となっていた。
ラブライブ!東京大会に向けて作詞を引き受けたきな子が思い悩む姿、生徒会長の後継者選びに悩む恋の姿、お互いに相談する光景のシーンが流れつつ、ステージには鈴原さんの姿。きな子がチョークを手に歌を歌いながら黒板に絵を描くシーンを背景に、その歌である「あふれる言葉」を、ミュージカルさながらに歌声を響かせる。それを見ていた恋の姿をほうふつとさせるように、ステージに登場した青山さんも何かを決めたような表情を浮かべる。
そして、第10話挿入歌であり、前述のラブライブ!東京大会で披露した勝負曲でもある「笑顔のPromise」の披露に。きな子のセンター曲であり、鈴原さんを中心にパフォーマンス。青山さんと手を結んだり目を合わせたりする光景も、後に新生徒会長となるきな子と恋の関係性をイメージできるものだった。
このあと歌ったのは「Within a Dream」。10人で作った花弁が花開き、青山さんが歌い出し、どこか優雅さとタイトルの“夢の中で”を意味するような温かい気持ちになれるステージが展開される。1期生5人がステージに残り、「ひとひらだけ」を披露。春を迎えると卒業する3年生メンバーの心情を描いたようなバラードソングで、きれいなハーモニーに聴き入りつつ、せつなさも感じさせるものに。
物語はクライマックス。前人未到の2連覇をかけたラブライブ!決勝に挑む11人の姿を映し出しつつ、ステージではキャスト11人が円陣を組んで気合い入れを行う。そして歌われたのは、第11話挿入歌である「スーパースター!!」。大舞台で躍動するメンバーの映像を背景に、キャストも躍動。ポップで明るく楽しいという気持ちにさせてくれる楽曲で、それぞれメンバーの関係性をほうふつとさせる振り付けもあり、11人のLiella!の集大成たるステージとなっていた。
MCでは、決勝後さながらの余韻に浸るようなキャストの姿がありつつ、Liella!がラブライブ!2連覇したことを報告すると、会場一体で喜びを分かち合う。マルガレーテと冬毬は初めての経験となるなかで、結那さんがその思いを語りつつ、優勝の景色をマルガレーテに見せてくれたことに感謝の言葉を送ると大きな拍手が送られ、坂倉さんも絵森さんに寄り添いながら喜びを分かち合っていた。
ライブが再開となり、まず歌われたのは「結ぶメロディ」。TVアニメ3期第12話放送後の「リエラのうた3」で流れた楽曲であり、春の卒業と旅立ちをイメージさせる楽曲。流れる映像には桜が舞う光景とともに、これまでLiella!が着用してきた衣装も描かれているという、それだけでもエモーショナルな気持ちにさせてくれるもの。ライブでは、1期生5人がステージ上段に立ち、2期生と3期生が一段したから見上げるような形で歌い進める。さらに1期生がメインステージから花道を歩き、それを見守る2期生と3期生という姿もあり、12話をイメージさせるような、自然と目が潤んでしまう光景も。
そして、歌われたのは「始まりは君の空 ~11 Ver.~」。Liella!のデビューシングルの11人バージョンであり、まず12話のクライマックスをほうふつとさせるように、センターステージで1期生がパフォーマンスをし、メインステージから2期生と3期生がその光景を見守りつつ、曲の途中からは歌唱に参加。さらにセンターステージに駆け寄り、11人が集結して歌声を重ね、最後は12話での記念写真をほうふつとさせるように、ぎゅっと集まってピースサインなどを決めていた。
アンコールを求めるLiella!コールがあがるなか、キャスト陣が語るLiella!のこれまでとこれから、Liella!の好きなところを一言で表すインタビュー映像の上映を経て、アンコールがスタート。まずは、TVアニメ3期エンディングテーマである「DAISUKI FULL POWER」から。ライブTシャツ姿に着替えたキャスト陣が、アニメ映像でメンバーが手にしているメガホンを持ってのパフォーマンスに。





このあと歌われた「QUESTION99」では、「Q」を連呼する歌詞が特長的なポップソングで、キャスト陣がトロッコに乗り込み、会場のさまざまなところで歌声と「Q」を届けていく。また5thライブ(「ラブライブ!スーパースター!! Liella! 5th LoveLive! ~Twinkle Triangle~」)のテーマソングになっていた「シェキラ☆☆☆」も披露。オールディーズかつゴージャスな雰囲気も漂うナンバーで、クラップも交えながら会場一体となって盛り上がっていた。
ライブもクライマックスとなり、締めくくりの挨拶をしようとするなかで、突如として“大地を感じる?”という言葉が聞こえ、キャスト陣がざわつく。説明と実演をした大熊さんの話しとそのポーズによると、両膝をついて両手の手のひらを床に付けて“大地を感じる”ことのようで、ここでは大熊さんだけではなく結那さんも参加し、“初大地”を体験した様子。さらに結那さんは、手の平と膝に根っこが生えて立ち上がれないと主張する一幕も。ちなみにキャスト陣の反応はさまざまで、その表情や視線も含めて客席は盛り上がっていた。
リラックスムードになったなかでの挨拶では、それぞれが感謝の言葉が送りつつ、ライブの感想を語る。結ヶ丘があるとされる場所から近しく、代々木公園野外ステージをはじめとする、TVアニメで描かれた各所から近い位置にある国立代々木競技場でライブができたことの喜びや、TVアニメ3期を背負ったライブであることや、ツアーの今後に向けた意気込み、仲間との絆やアフレコでのエピソードなど、どれもLiella!が好きという気持ちが伝わるもので、そのたびに大きな拍手に包まれていた。
ラストナンバーとなったのは「君・街・空・星」。雲が広がる大空や広がる自然、電車が通る日常の映像を背景に、どこかLiella!のこれまでとこれからを風に例えて表現しているようにも感じられる楽曲を伸びやかに、そして力強く歌声を響かせていた。
降壇時には2期生の4人が残り、第4話終盤で2年生メンバーが手を繋ぎ、かけ声とともにジャンプするシーンを再現。そして4人がお互いに見つめ合いながら抱き合うという絆を感じさせる光景が。その目にはうっすらと光るものがありつつも笑顔で手を振り、ライブを締めくくった。
ラブライブ!のライブステージは、作品とシンクロした世界を楽しむことができるのが特徴。前述のように今回はTVアニメ3期の世界観を味わえるものとなっていた。また、それがただ単に順を追って披露するだけではなく、2度歌われた「Let's be ONE」や「Tiny Stars」、さらには挿入歌CDのカップリング曲もストーリーの流れやメンバーの気持ちにそった、より意味を感じられるように披露されたことも印象的で、これまでもTVアニメにスポットとあてたナンバリングライブは行われてきたものの、今回はより作品とシンクロし、TVアニメ3期の世界に入り混んだような感覚を覚えるステージとなっていた。
もちろんツアーは始まったばかりであり、11人がフォーメーションダンスを駆使して歌い踊る光景は何度見ても壮観で、パフォーマンス力は折り紙付きのもの。それでいても、より成長、そしてよりよいステージを見せていくコメントも聞かれるなど、ツアーを通じてさらにファンたちを魅了していくことを確信できるようなライブと思えた次第だ。

桜小路きな子がお気に入りのライターが見た「あふれる言葉」&「笑顔のPromise」での成長の証し(余談)
また余談ではあるが、筆者お気に入りのメンバーが桜小路きな子であることを踏まえて印象的だったところもある。きな子は北海道からひとり東京の高校に出ると決心し、結ヶ丘に入学。運動も勉強も苦手というなかでスクールアイドルに出会い、自分を変えようと頑張るメンバー。TVアニメ2期から登場し、TVアニメ3期では2年生として奮闘する姿が描かれている。ちなみに3期できな子の好きなシーンといえば、第9話でマルガレーテと仲良くなるために、縄跳びを手にして二重跳びをどれだけ長く跳べるか挑もうとするところ……というのはさておき、ライブ中に流れていたシーンのなかでも端々に同じ2年生メンバー(メイ、四季、夏美)との絆を感じさせるものがあるなか、ステージでも「ファイティングコール」や、降壇時の2期生4人でのシーンをはじめとして、随所に絆を感じるとことがあった、というのがまずある。
さらに触れておきたいところとしては、「始まりは君の空 ~11 Ver.~」。2期生と3期生が歌唱に加り、センターステージに歩み寄るなかで、鈴原さんが伊達さんと背中あわせに立ち、そしてお互いに手を取って向き合いながら歌うシーンがあった。TVアニメ2期では、東京に上京してきたばかりのきな子がLiella!と出会い、知らなかったスクールアイドルの存在と魅力をかのんが語ったり、夜の街中でかのんに声をかけられLiella!に誘われるシーンもあるなど、きな子にとってかのんはスクールアイドルへと導いた存在。それはTVアニメ3期でも、かのんがLiella!に戻らないと説明されたときに、その意図を理解していても寂しがっていたり、3年生メンバーの卒業を悲しんでいる様子からも伺えるもの。そんなふたりが手を取り合って歌う光景そのものがエモーショナルな気持ちになれるものであり、その2人を姿を鈴原さんが伊達さんが体現していると感じられるものとなっていた。
何より、最大の見せ場でもあり最も心に残ったのは、「あふれる言葉」と「笑顔のPromise」だろう。第10話で歌われた楽曲となっており、この話数のサブタイトルは「桜小路きな子」となっているぐらい、きな子にスポットが当たった内容。前述のように、ラブライブ!東京大会に向け、かのんから推薦されてたきな子が作詞に挑み、そして披露する姿が描かれている。
「あふれる言葉」は、ひとり作詞に悩むなかでメンバーたちからの励ましのメモを見つけ、そしてチョークを手にしたきな子が黒板にイラストを描きながら歌う楽曲。鈴原さんもひとりステージに立ち、そのシーンを背景にチョークを手に取る動きから歌い出す。心情を言葉にするようなミュージカルをイメージできる曲調で、メロディとともに言葉が次々と溢れ出すかのように、動き回りながらのびのびと歌うきな子と同じように、楽しい気持ちを表すように動いたり飛んだりしながら歌う鈴原さん。全身できな子を表現しつつも全くブレることなく歌声を響かせ、特にロングトーンがきれいに出て、直接心に響かせていると感じさせるもの。なにより、このシーンで印象的なのは、歌声とともに悩み顔だったきな子の世界が開けて、見る人の心を明るく照らすような“笑顔”。楽しく歌っていることが伝わる笑顔も含めて、鈴原さんがきな子そのものと思える表現力の高さが伝わるステージで、それを見ているだけで涙腺を刺激するものだった。
ちなみに、このときのきな子を恋が見ていて、次期生徒会長を託すことを決意するシーンがあり、ライブでは青山さんが再現するように姿を見せていたのだが、終わりの挨拶のなかで青山さんは、Day.1での「あふれる言葉」を見て演出を変えたと語っており、それだけのパフォーマンスを発揮するものだったと同時に、Liella!として少しでもよりよいライブを、という意識の高さも感じさせた。
「笑顔のPromise」は、Liella!楽曲におけるきな子のセンター曲。明らかにセンターとわかるぐらいに目を引くような、きな子のイメージカラーであるメイズイエローをうすく彩ったドレス風衣装をひとりまとい、大きめのリボンがついたカチューシャをつけて、アニメMVではきな子が、ステージでは鈴原さんが中心となって、オレンジに包まれたステージで心が温まるような楽曲を11人がパフォーマンス。要所要所では鈴原さんがソロパートで、きな子としての純朴で真っ直ぐな歌声を響かせるところも心に残るもの。
さらに、鈴原さんが青山さんと目をあわせたり、両手を重ねて握るシーンもあれば、曲終わりにきな子が目をつぶっての笑顔を見せるシーンも、鈴原さんがシンクロするように笑顔を見せつつ、青山さんがそっと肩に手を添えて目を合わせ、満面の笑みを見せるという、きな子と恋の関係性を表すような光景もあり、目が潤んでしまうものだった。
終わりの挨拶のなかで鈴原さんは、わざわざ青山さんの隣に移動し、「笑顔のPromise」を披露できたことの喜びを語る。TVアニメのなかできな子と恋の関わりはあまり強く描かれなかったものの、3期第10話できな子と恋の想いがつながったことが本当に嬉しかっことを話し、鈴原さんの要望で「笑顔のPromise」における“結ぶ”ことを示す両手を重ねて握るシーンを再度実演。TVアニメ3期が始まるまでこの振付が言えなかったこともあり、「恋ちゃんとこの楽曲をこの場所でできたのが、とってもとっても嬉しかったです!」と鈴原さんが興奮気味に語ると、青山さんは満面の笑みで鈴原さんとハグをするなど、鈴原さん以上に喜んでいる様子が伺える一幕があった。
「あふれる言葉」と「笑顔のPromise」のステージを見ていて、何よりも感じたことと言えば、センターに立って堂々とパフォーマンスをするきな子と鈴原さんから醸し出される、成長の証しと思える“頼もしさ”。TVアニメ2期では運動が苦手というきな子が練習についていくのに精一杯というなかでも、ラブライブ!優勝を目指して練習についていく決心をしたことや、3期においても、マルガレーテから客観的に厳しい評価を突きつけられても食らいついていくことなどがあったことを思い返せるところがあり、個人的にきな子のビジュアルが公開されたときに一目惚れするぐらいだった筆者から見ると、きな子がひとりで、そしてセンターに立って歌うということそのものに感慨深さを感じてしまう。それは鈴原さんも同様で、筆者がライブやそのトークで見たり聞いたりした範囲ではあるが、ラブライブ!シリーズでは初めての一般公募オーディションに一歩踏み出して応募したことや決まったときの決意、つい口に出てしまう自身に対するネガティブな言葉、きな子初めてのソロ曲「ビギナーズRock!!」をライブで初披露した4thライブツアー(「ラブライブ!スーパースター!! Liella! 4th LoveLive! Tour ~brand new Sparkle~」千葉公演において、自身としてうまくできなかったことに対して、悔しい気持ちを素直すぎるぐらいにあらわにしていたことなども思い返しつつ、きな子や2期生、Liella!、ラブライブ!に対する愛着やライブにかける思いを口にし続けていたことを思えば、きな子とともにセンターに立って歌う姿は、涙なしでは見られないもの。そして、どこか「ラブライブ!スーパースター!!」のキャッチコピーである“私を叶える物語”を体現しているようなきな子と鈴原さんのステージと思えた次第だ。
今後の展開として、Liella!による初の地上波冠番組「Liella!のちゅーとりえら!!」の放送が決定。日本テレビにて4月3日24時59分より5週連続で放送予定で、ラブライブ!シリーズとしても初の試みとなるキャストによる地上波冠番組としている。また、Liella!の3rdアルバムの発売も発表。約2年ぶりのリリースとなるアルバムでは、Liella!11人で歌う新曲1曲に加え、メンバーソロ楽曲11曲とTVアニメ3期OP&ED主題歌を含む全14曲を収録。発売は5月28日を予定している。
「ラブライブ!スーパースター!! Liella! 6th LoveLive! Tour ~Let's be ONE~」特設サイト
https://www.lovelive-anime.jp/yuigaoka/live/live_detail.php?p=6thlive
東京公演Day.2セットリスト
M1.Let's be ONE ~TV Size~ / Liella!
M2.青春HOPPERS / Liella!
M3.Butterfly Wing ~Piano Size Ver.~ / ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)
M4.いつものピースサイン / 澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、唐 可可(CV.Liyuu)、嵐 千砂都(CV.岬 なこ)、平安名すみれ(CV.ペイトン尚未)、葉月 恋(CV.青山なぎさ)
M5.Bubble Rise / 澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)、鬼塚冬毬(CV.坂倉 花)
M6.dolce / ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)、鬼塚冬毬(CV.坂倉 花)
M7.Special Color / Liella!
M8.ファイティングコール / 桜小路きな子(CV.鈴原希実)、米女メイ(CV.薮島朱音)、若菜四季(CV.大熊和奏)、鬼塚夏美(CV.絵森 彩)
M9.星屑クルージング ~上海 Ver.~ / 唐 可可(CV.Liyuu)
M10.Tiny Stars ~TV Size~ / 澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、唐 可可(CV.Liyuu)
M11.絶対的LOVER / Liella!、澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)、鬼塚冬毬(CV.坂倉 花)
M12.真っ赤。 / ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)、鬼塚冬毬(CV.坂倉 花)
M13.Dazzling Game / Liella!、澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、ウィーン・マルガレーテ(CV.結那)、鬼塚冬毬(CV.坂倉 花)
M14.Let's be ONE / Liella!
M15.あふれる言葉 / 桜小路きな子(CV.鈴原希実)
M16.笑顔のPromise / Liella!
M17.Within a Dream / Liella!
M18.ひとひらだけ / 澁谷かのん(CV.伊達さゆり)、唐 可可(CV.Liyuu)、嵐 千砂都(CV.岬 なこ)、平安名すみれ(CV.ペイトン尚未)、葉月 恋(CV.青山なぎさ)
M19.スーパースター!! / Liella!
M20.結ぶメロディ / Liella!
M21.始まりは君の空 ~11 Ver.~ / Liella!
ENC1.DAISUKI FULL POWER / Liella!
ENC2.QUESTION99 / Liella!
ENC3.シェキラ☆☆☆ / Liella!
ENC4.君・街・空・星 / Liella!
(C)2024 プロジェクトラブライブ!スーパースター!!
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