千葉・幕張メッセにて9月25日~28日にかけて開催の「東京ゲームショウ2025」。ハピネットブースで試遊できた「エトランジュ オーヴァーロード」のプレイレポートと、新川宗平氏へのインタビューをお届けする。
元ゲーム会社社長の小説家である喜多山浪漫氏による悪役令嬢ジャンルのウェブ小説「エトランジュ オーヴァーロード」。悪女として処刑された公爵令嬢“エトランジュ・フォン・ローゼンブルク”が、悪魔たちが住まう地獄に堕ちても己のスタイルを貫き生き延びる姿を描く本作が新川宗平氏のプロデュースでゲーム化され、2026年3月26日に発売される。

攻略に関連したギミックを活用するSUSHIレーンがおもしろい!
地獄に堕とされた悪役令嬢エトランジュが、成り上がりを目指す痛快アクション・アドベンチャー「エトランジュ オーヴァーロード」。ゲームはバトルで拠点を制圧しながら仲間を増やし、地獄を制覇するために冒険をくり広げる内容となる。

今回のプレイアブルでは、バトル部分でエトランジュと仲間たちを操作して全3ステージを遊ぶことができた。製品版にはプレイアブルキャラクターが10人以上用意されているが、今回の試遊では、エトランジュと、スイーティア、ヒャッハー、アリアの4人が操作できた。角巻わためさんが演じるスイーティア、白上フブキさんの演じるアリアもキャラクターにピッタリの声。新鮮な感覚ながらゲームのなかにしっかり溶け込んでいた。


遠距離攻撃が得意なエトランジュ、移動速度が遅めだがミトンによる近距離攻撃が強いスイーティア、弓矢による遠距離攻撃が得意で、移動速度も早いヒャッハー、動きは愚鈍であるものの斧による近距離攻撃がとても強力なアリアとしっかり差別化されており、いろいろなキャラクターを使うのがおもしろい。




操作の基本はLスティックで操作キャラクターを移動。Aボタンで攻撃、Bボタンでダッシュ、十字ボタンの左右で操作キャラクターの切り替えとなる。キャラクターが戦闘不能になったときは接近してYボタンを長押しすることで復活させることが可能だ。

ステージの星型のアイテムを取ると、ZRボタンで必殺技が使用できる。アリアなら転がりながら広範囲を攻撃するものだったりスイーティアならHPを回復するものだったりと操作キャラクターごとに効果は異なるが、どれも優秀なのでしっかり活用していきたい。


バトルで特徴的なのがアイテムやギミックが並んだSUSHIレーン。攻撃力アップやダメージ無効化、敵に投げつける爆弾など多彩なものが流れてくる。回転寿司のようにループしているので、取り逃してもチャンスはある。このSUSHIレーンの活用がステージクリアのカギとなる。

ステージは敵を殲滅するものからはじまり、レーンに出現するマカロンを回収するものも。クリア条件によって立ち回りも変わってくるので新鮮な気持ちで楽しめる。

今回の試遊はバトルの一部分を楽しめる内容だったが、すでに大きな可能性を感じる作品。製品版は多彩なキャラクターで多彩なステージに挑めるということで期待が高まる。
新川宗平氏インタビュー

――本作は2023年2月から連載されている喜多山浪漫さんの「エトランジュ オーヴァーロード」が原作です。新川さんはなぜこの作品をゲーム化しようと思ったのか、また、開発をジェムドロップさん、販売をブロッコリーさんが担当することになった経緯を教えてください。
新川:ゲーム化に至る経緯ですが、喜多山浪漫さんは一心同体というか、ちょうど奇しくも同時期に会社を辞めて独立した仲間のようなものなんです。そんな彼が小説を書いて、私がプロデュースをするという関係でやっていこうということで最初に取り組んだのが「エトランジュ オーヴァーロード」です。彼は会社を退職後、早い段階で小説を書き溜めていたので、KADOKAWAさんに相談をして電撃マオウさんでコミック化をしてもらいました。そして時を同じくしてブロッコリーさんに企画を持っていって、ゲーム化しませんかと相談しました。ブロッコリーさんもほぼ1発でオッケーをいただいて、ゲーム化することが決定しました。
※編注:9月28日に新川宗平氏が喜多山浪漫氏と同一人物であることを公言。
https://x.com/soheiniikawa/status/1972250467645460961
――ブロッコリーさんを選んだ理由というのは?
新川:「エトランジュ オーヴァーロード」は喜多山浪漫先生が悪役令嬢ものが大好きなことで生まれた作品ですが、悪役令嬢ものって悪い女の子がヒロインをいじめたりといった悪いことをして処刑されたあとに生まれ変わり、反省して人生をやり直すというような物語のテンプレートがあります。ただ、喜多山先生は反省しなくちゃいけないというところに納得がいかないところがあり、「別に反省しなくてもいいんじゃないの?」というのが着想になって生まれた作品です。
そして、ブロッコリーさんに企画を持っていったのは、私が前職時代に「うたの☆プリンスさまっ♪」の開発で大変お世話になっていたという関係もあるのですが、今や、乙女ゲーの巨頭として君臨しているからですね。悪役令嬢ものは乙女ゲーからの派生ジャンルでもあるので、非常に相性が良いんじゃないのかなと思ったんです。悪役令嬢ものは女の子に人気ですし、男の子も好きな人が多いジャンルなので、ブロッコリーさんの新しいコンソール展開としても良いんじゃないかとご提案したところ、快諾をしていただき、ご一緒させていただくことになりました。
――その経緯でいくとアドベンチャーゲームに落ち着きそうですが、SUSHIレーンミュージカルアクションというジャンルになった経緯はなんだったのでしょうか?
新川:アドベンチャーゲームにしなかった理由としては世界で売ることを前提として考えていたからですね。どうしても海外ではビジュアルノベルがゲームとして認識してもらえなかったり、文字数が増える関係で翻訳コストがかかりすぎてしまうことが分かっていたので、アドベンチャーゲームという選択肢は排除しました。

――分かりました。ではジェムドロップさんと組んだ経緯を教えてください。
新川:私とジェムドロップの北尾さんは日本一ソフトウェアの新卒第1号組の同期なんですよ。北尾さんは私が日本一ソフトウェアを辞めたことを知って、岐阜まで駆けつけて来てくれたんです。そして、せっかく来てくれたし、一緒に温泉でも入りに行くかと、昔よく行った下呂温泉に私が車を出して1泊したんです。そこでお酒を飲みながら将来の話をしているなかで、小説が原作の作品をゲームにしたいと思っているんだという話をしたところ、北尾さんが引き受けるといってくれたんです。この言葉にはウルッと来てしまいましたし、北尾さんには非常に感謝しています。
――そこからゲーム制作に漕ぎ出すわけですが、その道のりは新川さんからみていかがでしたか?
新川:小説も出来上がっていてキャラクターの個性も分かりやすかったので、料理の仕方という点ではそんなに迷わなかったんですね。ゲームの遊び方をどうするのかというところがいちばんのキモになるのですが、そこははかなり早い段階でジェムドロップさんがプロトタイプとして3通りのゲームシステムを実際に動くものを作って「このなかでどれがいいですか?」と提案してくれました。そのなかにSUSHIレーンの原型となるものがあり、これがいいとお伝えしたところ、ジェムドロップさんもそう考えていたみたいで、両者の意思が一致して決まったという感じでした。そこからはジェムドロップさんにゲーム開発はお任せして、うるさく監視するようなこともなく、ジェムドロップさんの持ち味を生かせるようにやっていただきました。

――本作のミュージカルパートも最初から実装が決まっていたのでしょうか?
新川:最初からではないですが、早めの段階で入れることを決めました。「エトランジュ オーヴァーロード」のゲームに関して目指せゲーム業界のディズニーではないですが、総合エンターテイメントにしたいなと思っていて、お話、キャラクター、演出、音楽が一体になったミュージカルという要素は外せないなと考えました。ちょっと暑苦しいぐらいクドい演出をしているので、ミュージカルというよりインド映画っぽくなっちゃっているかもしれませんが(苦笑)。ただ、非常に満足のいく総合エンターテインメントに仕上がったのではないのかなと思います。

――豪華声優陣も見どころです。新川さんの作品ではおなじみの水橋かおりさんもいらっしゃいますが、キャスティングはどのように決まっていったのでしょうか?
新川:エトランジュに関しては早い段階で水橋かおりさんに決めていました。私が作る作品のメインを演じるのが水橋さんであることはお決まりのようにもなっていますし、自分にとって水橋さんは戦友みたいなものですからね。また、ホロライブの角巻わためさんや白上フブキさんに演じていただくことになったのは、普段の実況を観ているなかでキャラクターのセリフを読み上げているときに、セリフをしっかり演じていると感じたからですね。しっかりハマるキャラクターがいれば声優もいけるんじゃないかなと。わためさんとフブキさんは前の会社のときからご縁があったこともあり、オファーさせていただいたところ、快くお引き受けくださり、わためさんに関しては主題歌も歌っていただくことになりました。
――こちらもご縁があったわけですね。
新川:はい。それ以外の声優さんに関しては基本的にブロッコリーさんが選出してくださいました。「エトランジュ オーヴァーロード」は乙女ゲーの派生ジャンルである悪役令嬢ものということもあり、イケメンのキャラクターたちも存在します。そういったキャラクターたちに有名男性声優さんの方に入っていただけたのはブロッコリーさんのオーダーがあったからですね。また、ジェムドロップさんのほうで選んでくださった声優さんもいますね。

――ホロライブのおふたりは話題性だけではなく、演技を実際に聴いて、新川さんがそこを評価したことも決め手になったんですね。
新川:そうですね。役者さんやアイドルさんを起用した作品のなかではあまり演技が上手ではないかなと感じることもあります。上手い人は上手いですし、有名な方を客寄せパンダのように起用するのは相手にとっても失礼だと思います。ちゃんと実力があり、かつキャラクターに合っているということを前提に起用させていただきました。そのため、あくまで声優としてオファーしたという形ですね。


――角巻わためさんさんが歌う、Elements Garden製作の主題歌の聴きどころを教えてください。
新川:Elements Gardenさんを選んだのは前の会社でもお仕事をさせていただいたことがあったからで、今回の曲は上松範康さんに作曲していただきました。主題歌は私からのオーダーでミュージカルソングにしてもらいました。ゲームのなかにミュージカルがあるので主題歌もミュージカル風にしたいという狙いがありました。曲の最後に決めゼリフのようにエトランジュ・フォン・ローゼンブルクと名乗っており、完全にエトランジュの歌になっています。この曲を聴いたらエトランジュという女の子がどんな女の子なのかということが1発で分かるようになっているので、主題歌からも彼女のことを理解できるように意識して作りました。
――ゲームのメインとなる部分の“SUSHIレーン”アクションの見どころを教えてください
新川:SUSHIレーンの上に流れてくるアイテムやギミックを上手に使って有利に運んでいくのが、このアクションゲームとしてのおもしろさです。また、ミッションクリア型でステージごとにお題が変わってくるので、いくら敵を倒しても勝利することはなく、タイムアップで終了してしまうみたいなことも起きます。このミッションのバラエティが非常に豊富で、飽きさせない作りになっているところが特徴と思っています。例えば、同じマップでもSUSHIレーンの形や出てくるものが変わるだけでも、遊びかたは全然変わって来ます。こういったゲームデザインはさすがジェムドロップさんで、よく出来た作りだなと思います。ちなみに私自身はアクションゲームが得意ではないのですが、そんな私でも快適に楽しめています。
――初心者救済処置も用意されていると。
新川:そうです。SUSHIレーンをカスタマイズしたり強化したり、武器を強化したりといろいろな成長要素が入っているので、アクションゲームの難易度が高いと感じたときは、成長要素を駆使すればクリアできるようになっています。逆にアクションゲームが好きな方は成長させずに縛りプレイで楽しんで欲しいですね。
――成長要素のやり込みも含めるとガッツリと遊べるボリュームになっていそうですね。
新川:そうですね。フルプライスで売ってもまったく遜色のないゲームになっていると思います。


――マルチプレイに関してはいかがでしょうか?
新川:もともとマルチプレイを入れる予定はなかったです。ただ、シングルプレイでテストプレイをしていたところ、出来上がっていけばいくほど、「これ、マルチプレイ欲しいよね」という考えになっていったんです。なので、基本的にはシングルプレイでしっかり遊んでいただける作りにはなっていますが、誰かと集まったときやオンラインでマルチプレイをやりたいという気持ちになったときに楽しんでいただければなと考えています。ただ、おまけというには労力が大きすぎたので、おまけとは言いません(笑)。ぜひパーティゲームとしても楽しんでいただければと。みんなとワチャワチャと遊んだほうが楽しいと思う部分も絶対にありますので。
――最後に発売を楽しみにしてるユーザーにひとことお願いします。
新川:発売は3月26日とまだ時間はありますが、ぜひその間に小説や漫画で「エトランジュ オーヴァーロード」の世界を楽しみながらゲームを待っていただければと思います。小説は小説ならではのおもしろさ、地の文がたくさんあって、感情表現がたくさんある、読み込めるというところの楽しみもあります。漫画もへかとん先生がすごく構成がお上手なので、同じ物語の筋ではありますが、ぜんぜん違うものかのように楽しむことができます。そして、ゲームはゲームで、ゲームシステムとしてのおもしろさであったり、ミュージカルシーンがあったり、ぜんぜん違う楽しみ方ができるので期待していてください。それぞれどこから入っても楽しめるようにしてありますので、最終的には「エトランジュ オーヴァーロード」の世界をまるごと楽しんでいただければなと思います。
――ありがとうございました。

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