セガより2027年1月15日に発売予定のPS5/Xbox Series X|S/Xbox Game Pass/Xbox on PC/Xbox Cloud/PC(Steam)用ソフト「STRANGER THAN HEAVEN」。Summer Game Fest 2026に出展されたデモ版のプレイと同日に行われたRGGスタジオ代表/制作総指揮 横山昌義氏へのインタビューの模様をお届けする。
「STRANGER THAN HEAVEN」は、居場所のない男たちが、居場所を求めて戦った50年の物語となっており、激動の近代日本を5つの時代、5つの街(福岡・小倉、広島・呉、大阪・ミナミ、静岡・熱海、東京・新宿)を通して描く完全新作のタイトル。主人公の大東真(演:城田優さん)をはじめとする豪華キャスト陣の競演に加え、喧嘩の生々しさを追求したコンバットシステム、ショービジネスで成功を目指す興行師の要素などが注目を集めている。
インタビューでは、タイトル名に込められた想いや、3部作の予定から1本に凝縮されたという開発秘話をはじめ、コンバットシステム、そして国内外の豪華キャストが奇跡的に集結したキャスティングの裏側について語られた。


なお、「Summer Game Fest 2026」に出展されたデモ版のプレイレポートは、別記事で紹介しているので、そちらもあわせてチェックしてほしい。
商品名っぽくない名前に込めた覚悟と、3部作構想から1本に凝縮された大東の半生
――「STRANGER THAN HEAVEN」というタイトルには、どのような意味や思いが込められているのでしょうか。
タイトルはかなり考えて、最後までなかなか決まりませんでした。分かりやすい名前をつけるかという選択肢もありましたが、この「STRANGER THAN HEAVEN」というのは、ものすごく商品名っぽくない名前なんですよね。映画だと「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のように、少し詩的というか小説的というか、何か1つのものを明確に言い表さないタイトルは結構あると思うのですが、ゲームではあまりないパターンだと思いつつ採用しました。
「天国よりも奇妙な場所」という意味合いもありますし、「STRANGER」という言葉が持つ「よそからやってきた部外者」のようなニュアンスをどうしても入れたくて。いろいろ考えた中で、やはりこの「STRANGER THAN HEAVEN」という言葉しかないなと思いました。
ただ、英語のタイトルということもあり自分では自信がなかったので、海外スタッフや関係者にたくさん意見を聞いたんですよ。そうしたらみんな、このタイトルが一番好きだと言ってくれて。ただ、最後は社長に結構反対されましてね(笑)。「なんかお前っぽくない。横山っぽくない」と。「では、どんなのがいいですか?」と聞いたら「『ドラゴンパンチ』みたいな名前じゃない?」と言われました(笑)。社長も英語が分かる人ゆえに、「なんか商品名っぽくないよね」といろいろ言っていたのですが、周りのみんなが「STRANGER THAN HEAVENがいいですよ、絶対大丈夫です」と後押ししてくれたので、そこで腹をくくってこれにしました。
最初から世界共通のタイトルにしたかったので、日本語タイトルを作ったり和訳したりする気はなかったんです。その点は結構いろんな人に驚かれましたけど、思い切ってこの作品の中身を一番表す言葉でいこうと決めました。

――長いスパンの時代の移り変わりや、1人の人生を描いていくという発想は、企画の当初からあったのでしょうか。
ありました。まさにそういうものをやりたいと思って考えたストーリーだったんです。シリーズを長く作ってくる中で、ずっと私の中で解消できない疑問として「彼らはどうしてこういう生き方を選択したんだろう?」というのがありまして。
現代劇を描くと、すでに極道組織が現存する中に落ちていったり、ああいう世界に足を踏み入れざるを得なかった人間を描くことになるのですが、そもそも最初の人たちというのは、どういうところからこういう集まりを作っていったのだろうと。これまで作ってきたシリーズの始まりの部分というか、「こういうふうに人間の集まりができあがっていったんだろうな」というのをちゃんと描いてみたかったんです。
実は、最初は3部作で考えていたんですよ。50年間という流れは長すぎるから、前編・中編・後編の3部作くらいにして、もうちょっとライトにまとめる形にしようかなと。今の時代、あまりにも長いゲームはハードルが高いというか、重いかなと思ったんです。だけどね、作っていると全部プレイさせたくなっちゃうんですよ。
それに、前中後編が短いスパンで一気に出ればいいですが、間が1年など空いてしまうと、遊ぶ方も作る方も途中でモチベーションが下がってしまうじゃないですか。だったらもう、1本のゲームに全部入れるという形にしました。
――大東の50年という壮大な半生を共に歩む作品ですが、彼の人間性の変化やゲーム全体のボリューム感、そして本作のフィールドの広さや作り込みの密度について教えてください。
ゲーム全体のボリューム感は、まだ正しく測れてはいないですが、やはりすごい大ボリュームだと思います。特に長いのはメインストーリーですね。
皆さんもこれまでの「龍が如く」と比較して考えると思うのですが、マップのサイズ自体は同じくらいだと思います。ただ、無理に大きくはしていなくて、5つの時代や都市によって大きさはかなり異なります。
作り込みに関しては、これまでのシリーズよりも入れる建物は増えています。かなり中に入れるようにしていますので、そういうところの作り込みは激しくなっています。ただ、当時の建物は今の建物と比べると階層構造が異なり、全体的に低いですからね。入れる場所が増えていても、高いビルをずっと登っていくようなシチュエーションは逆にないので、そういった意味ではトータルでは同程度なのかなとも思っています。
メインストーリーは、狙って長くしたというよりも、結果的に長くなってしまったという感じですね。ただ、それ以外のサブストーリーの部分などで言うと、これまでのシリーズでお約束的にインフレしてきた、広がってきた部分があると思っていて。そういうものは今回、もうゼロリセットして、この「STRANGER THAN HEAVEN」というゲームを成立させるために必要なものだけをやっているんです。
今回プレイしていただいてメニュー周りなどを見て分かったと思うのですが、スピンオフや外伝作品ではないということは、多分肌で分かってもらえたと思うんですね。バトルの操作が物語の肝なので、そういうことなんです。改めて自分たちがこのストーリーを成立させるために必要なサブストーリーや、ミニミッションだけを厳選して入れています。
なので、いわゆるプレイスポットと言われる部分も少ないです。なぜかと言うと、遊びが少ないのがあの時代なんですよね。無理に遊びを入れてもやはりしょうがないので、そこはある程度の嘘をつきながら、時代に即したものだけを入れています。過度に増やしたり、それこそ今の時代に流行っているようなものは一切入っていません。




――これまでの情報発信を見ても、今作はすごくシリアスなトーンが強い印象を受けます。RGGスタジオの作品ならコメディ要素もあるんじゃないかと思ってしまうのですが、その辺りの線引きはいかがでしょうか。
今回はあまりないです。現代劇なら「どこまでがコメディで、どこからがリアルか」というのはユーザー側も感覚で分かると思うんですよ。
例えば、権田原組長というおむつを履いたヤクザの組長がいても、「変な人だな」とプレイヤーも理解してくれる。けれど、この時代でそれをやってしまうと、変に誤解されてしまう。この時代を描くこと自体が、現代人の目から見ると「こんな常識があるんだ」と驚くものですし、海外の人が見れば「日本にはこういう倫理観があるんだ」と感じるはずです。それ自体がもうコメディというか、トリッキーに見えるんですよね。リアルからかけ離れたおかしなことでコメディを入れたいというよりは、新しい体験をしてもらうことで、その衝撃をユーザーに持たせたいんです。
現代劇だと、すごくトリッキーなサブストーリーやミニミッションを入れるのが実情なのですが、今回はあえて入れる必要はないと思っているんですね。もちろん笑える話が一切ないわけじゃないですが、これまでのシリーズのような、あのトガったトリッキーなサブストーリーを意識して作ってはいないです。だけど、そもそもあの時代にいる人たち自体が、現代から見れば独特なんですよ。「なんでこんなことで怒っているんだろう」とか「なんでこんなことで命をかけようとしているんだろう」という時代だったりするので、世界そのものが大きな驚きに満ちている。そこはちゃんと線引きをしています。
時代と舞台に隠された点と線―再現ではなく、どう嘘をつくかの表現論
――5つの時代(1915年の小倉、29年の呉、43年の大阪、51年の熱海、65年の新宿)という舞台を選んだ基準を教えてください。
時代に関しては、主人公の設定から逆算して考えているだけですので、狙ってこの年代にしたというのはほとんどないです。
ただ、最初に小倉に到着するということと、最後に神室町(新宿)に行くということだけは決めていたので、それを点と線でつないでいった結果、間にある年代がこのような形になったというわけです。人生の中で起こった重要なエピソードとして、本当にやりたいことだけでつないでいったらこうなりました。
トレーラーでも少し触れていますが、大東は若い頃に密航船に乗って小倉にたどり着くんですよね。そこで大塚明夫さんが演じる八島の親分のところで世話になりながら、日本での生き方を学んでいく。その中で歌の才能を発掘されて、いろいろあった上で広島(呉)に行くことになります。
広島に関しては、トレーラーの中でも少しヒントが入っていますが、彼は極道組織の中に入ることになります。その組織を描く上で必要だったのが1929年の呉だったんです。呉といえば「仁義なき戦い」などの舞台として有名な場所ですから、自然とそういう発想に至りました。



――この5つの時代と街をリサーチする上で、こだわった部分や大変だったところを教えてください。
すごく簡単に言うと、どう嘘をつくかがもう勝負なんですよ。リアルな街をリアルに再現することは全くしていないので。私たちのスタジオが作るゲームだと「街を再現しているのが楽しい」と言われるのですが、あんまり再現しているつもりはなくて、あれは表現なんですよね。
再現だったら、今時ああいうマップのデータを持ってきてそのままテクスチャを貼り付けてゲームを作った方がよっぽど再現になるのですが、私たちはいつもオリジナルの空間としてフィクションをやっていくんです。そのフィクションの入れ方をどうするかということですね。だから、当時の小倉にタイムスリップしたとしても、絶対に実際のあの街ではないんですよ。今の私たちが遊んだ時に楽しい1915年の小倉じゃないと、エンターテインメント作品として意味がないので、リアルな再現はしていないです。
なので、そういう嘘の付き方をどう派手にやるかというのが大変でした。ただ調べてみて驚いたのは、すべての時代に路面電車があるんですよ。私が一番びっくりしたのは、1965年の新宿に路面電車が走っていたことですね。本当に靖国のあたりから花園神社の方に向けて路面電車が走っていた。そんなの調べないと知らなかったので、調べてみて驚いて「あ、ちょうどいいから入れよう」という感じで組み込んだりはしています。そのバランス調整が一番苦労したところです。


誰もやったことのない左右分離のコンバットシステムと、骨に響く手応えへの執念
――コンバットシステムとして、左半身・右半身それぞれの身体を意のままに操るという説明がありましたが、具体的にどのような操作感になるのでしょうか? 従来のシリーズのアクションと比べた時の手触りや爽快感の違いを教えてください。
ちょっとプレイしていただいたので、そこは十分に感じてもらえた部分かと思います。ただ、今回プレイしていただいたロムは、敵をあえて少し強く設定しているんですよね。すぐに倒せてしまうと操作感が分からないという面がありますので。例えば小倉での雑魚戦も、通常より体力を削れなくしています。操作感を覚える前にボタンを連打して倒せてしまうと、使い分けが皆さんに伝わらないと思いますので。
あくまで今回のロムは、その操作方法や使い分け、「防御はこうやってやるんだ」というのを分かってもらうために、あえて簡単には倒れない敵にしてあります。実際の製品版はもうちょっと違うバランスになりますし、武器を使うとかなり強力になっていくので、そこはメインストーリーの流れやレベルによって、これからチューニングしていく部分でもあります。
全編にわたって敵があんなに硬かったら、永遠に終わらないですから(笑)。出会うたびにあれをやらされていたら、おそらく300時間や400時間とかになってしまうので、それはないです。そこは割と爽快に遊べます。ただ、その爽快感はプレイヤーの腕前にもよるとは思いますけれど、武器を使えば相当な戦力差が生まれるはずです。
あれで完全にフィックスしたというわけではなく、アクセシビリティの部分も含めて広く意見をもらいながら調整は続けていきます。こういうカメラ操作に慣れている人と慣れていない人で反応は相当変わると思っているので、どう合わせていくかは今もまだチューニング中ですね。
ただ、無駄に誰でもクリアできるように、何も動かさなくても勝てるような調整はあまりやる気がなくて。世界中のクリエイターが悩んでいる点だと思いますが、「ゲームでしか味わえないストーリー体験とは何なのか?」という部分があるじゃないですか。ゲームのキャラクターを動かして一心同体になって、共に苦労を乗り越えていくからこそ感動できる。それがゲームの良いところだと思うんです。
RPGの場合は、敵を倒しながらキャラクターと共に成長し、レベルを上げて難敵を倒すから感動する。アクションゲームの場合は自分の操作が上手くなることで、あるいは武器の強度を上げることで敵を倒して爽快感を得る。このゲームにおいては、あの操作で自分が意のままに大東を操れるようになって、この苦しい時代を生き抜いていくというところを味わってほしい。そういうストーリー体験の味付けになるような、難易度調整も含めたゲーム設計を考えていきたいなと思っています。
――意識的にこれまでの「龍が如く」シリーズよりも難しくしていたりするのですか?
難しいか難しくないかというよりは、「龍が如く」をプレイしている人が同じ操作感で楽しめるということは全く意識していない、ということですね。先ほども言った通り、本当に続編としては考えていないので、ゼロから私たちが完全新作を作った時に「この主人公設定とこのアクションで一番面白いのはどれだろう?」と考えて作っています。
実は、左手と右手の操作を分けるというのは、私が何年も前からやりたかったことなんですよ。もうここで喋ってしまうので企画としてはボツなのですが、昔ボクシングゲームを作りたくて。究極のボクシングゲームと、究極のダンスゲームを作るのが私の夢なんですよ。ダンスゲームってどうしても音ゲーになってしまうじゃないですか。私の本当の理想は、このコントローラーだけでウィンドミルやムーンウォークを好きなように出せるゲームなのですが、これはおそらく永久に無理で、結局コマンド入力などになってしまう。その夢の一部を入れたのが、「龍が如く0」の時の真島のダンサースタイルだったんですけどね。
話が逸れましたけれど、誰もやったことのないような操作感でありながら、納得感のある入力スタイルのゲームというのを、そのボクシングゲームの企画としてずっと温めていたんです。左右を分けて操作するというアイデアの、さらに発展した形も考えていたんです。いずれやろうと思っていたところ、今回「いいな」と思って、先倒ししてこちらに持ってきてしまったというのがあります。

――左右の手で戦う仕組みもあって、打ったら返すというような、かなり重たいアクションという印象を受けました。元々狙っていたのは、この人を殴る重さだったのでしょうか。
ここは賛否があるところではないかと思うのですが、私は開発チームに「遅くしてほしい」とすごく言っていたんですよ。実は今の形でも、初期よりは早くなっているんです。それでもまだ、もっと遅くしたい。まずは1回、人間ができるパンチのスピードからスタートしてほしいという話をしたんです。井上尚弥選手のような超人的な速さではなく、まずは普通の人間が繰り出せるパンチの速度を基準にしてほしいと伝えました。
バトルチームが作ってきた最初のモックは、今までの「龍が如く」と同じくらいのスピード感のモーションだったんですよ。でも、左右の手を使い分けたいとなったら、自分のモーションもそうですけれど、敵のモーションが速すぎるとそれに反応できないですよね。速すぎるとただの連打ゲームになってしまうので、まずは人間のリアルな動きの速さまで落として作りました。
ゲームの中で人間の本当の動きで見るとものすごく遅いのですが、遅すぎてもゲームとして成り立たないので、相手の攻撃をちゃんと左右で見分けられて、かつこちらも狙って打てるという適度なバランスを取ったのが、現在のテンポ感です。ただ、まだ場合によっては調整していくと思います。相手の攻撃を見るだけではなくて、自分がしっかり殴っているという手応えも大事なんですね。
今回、ものすごくこだわったのが音なんです。打撃音もかなりこだわっていて、今までのSE(効果音)は「パン!」という少し派手な破裂音が多くて、その方がユーザーに当たったことが伝わりやすいのですが、「ビンタの音みたいだからやめてくれ」と伝え、もっと骨と骨がぶつかるような「ゴツ」という鈍い音になるよう、効果音も調整しています。そういう当てた際のリアリティをすごく大事にしていまして。
あとは、例えばハンマーを豪快に振っていても、相手に当たった瞬間にちょっと止まるんですよ。今まではそのまま振り抜けて相手が吹き飛んでいたのですが、当たったら1回止まる表現を入れた。刀も同じで、鎖骨で止まるようにしています。刀を振り下ろしたら、骨だからここで一度止まる。そこから押し切るという感じに変えるなど、そういうアナログ感というか、“やった感”の手応えをゼロから見直して作っているのは、めちゃくちゃこだわっています。
――刃物を使うこともそうですし、命に手をかけるバトルの重み、人を殴ることの重みがすごく伝わってきます。
そうですね、やはりあの時代は助からないですからね。助からない時代だからこそ、やられる前にやるしかない。そういう時代だったと思うので、そこはすごく大事にしています。太ももを狙うといった描写などは、少しリアルすぎるくらいですが、本当にそういう怖さを考えてこだわって作っています。
あと、今回のロムで大阪のステージにいたあの敵と戦いました?(笑) あいつは一撃必殺系の大ダメージ攻撃をしてくるのですが、ああいう怖さは最後まで絶対に入れてほしいと私がリクエストしたんです。一瞬でやられてしまうという怖さは、ボスや中ボスには入っているんですよね。やはりそこの、やられるかやられないかという緊張感は、すごく味わってほしいなと思っています。
夜のライティングなども、暗いところは本当に暗いです。路地裏の本物の怖さがあるんですよ。ゲーム的な視認性を保ちつつ、あの暗闇の怖さは残したくて。現代のように街灯がたくさんあるわけではないですからね、昔は夜にみんな出かけない。でも大東は出かけないといけないので、そのギリギリの視認性の中で目を凝らしながら進むような、夜の街の怖さを表現しています。斬られた時にやばいと思えるような、あの時代を真剣に生きる感覚になって、ゲーム全体を通じて入り込んでもらいたいなと思っています。

過酷な時代を生き抜く唯一の道ショービジネスと、奇跡的に呼び寄せた豪華キャストの真実
――今回、身体の操作と並んでプレイヤー主体で遊べるショービジネスの要素が柱になっています。この要素は大東のメインストーリーやバトルとどのように連動していくのでしょうか。
バトルとどうこう連動するというよりは、基本的には装備と、やはりシノギ(経営)なんですよね。結局、主人公の設定やストーリーを考える中で軸になってくるのが、今回この部分だったりするんですよ。
大東はどうやってこの時代を生きていくかというと、彼はハーフ、ミックスですよね。この時代に見た目的にも目立ちますし、虐げられる。世の中的にも「スパイじゃないか」と疑われるような時代の日本に来てしまった。彼は天国だと思って日本に来たのに、そんな目に遭う。
そうした中で、彼がその見た目や言葉、国籍の壁を超えて生きられる唯一の道がエンタメビジネスだった。歌などはやはり世界共通だったりするので、良いものは良いと人が素直に言える、それを体現するためにこのショービジネスシステムが入っているということなんです。
それに必要な遊びとしてゲームにどう散りばめていったらいいのだろうと考えて、あの音集めを入れました。彼の才能の中に音をプロデュースする、音を記憶するという能力があって、それを開花させてくれる人がオルフェウスだったりする、という流れで、自然とストーリーと一緒にできあがってきた要素なんです。ストーリーのど真ん中にある要素が、このショービジネスなんです。
大東が自分で歌う時もありますけれど、それは序盤だけで、どちらかというと彼がプロデュースサイドに回って興行をしてお金を稼いで、そのお金で地位を作って生きていく。裏を返すと、それがなければ彼らには地位はないですよ、この時代に。お金の力と成功によって地位は保障されるけれど、そうじゃなければ地位が一気に失われる時代ですので、そんな過酷な環境下で彼らはどうやって生きていくのだろう、というところまで楽しんでもらいたい。ショービジネスというゲームシステム自体は、そういう背景から生まれているものです。
――大東はかなり波乱万丈な人生を歩むことになりそうですね。
すごいですよ! 詳しくは言わないですが本当にすごいです。今公開しているトレーラーの段階までは、何か成功しているように見えるかもしれないですけど、もう本当に大変で、生きているよりしんどい人生を生きていくと思うので。どうやら私は、しんどい人しか描けないみたいで(笑)。まあ、ハッピーな人は描いていても興味ないですからね。

――今日はバトル中心の試遊でしたが、風鈴や扇風機など、環境音の作り込みも印象的でした。あれらの音もアドベンチャーパートで収集できるのでしょうか。
実はバトル中も音を収集できるんですよ。ほんの少しトレーラーなどにも入れているのですが、バトル中であっても「これだ」と思った瞬間に音を集められたりするので、特殊なケースでは関係してきます。
風鈴の音なども、気になったところから収集していって、その音自体をそのまま曲に変換するというよりは、人を介して音や楽曲に落とし込んでいく。曲作りと歌詞集め、演奏者集め、そして興行までを一通りセットでやっていくのが今作の醍醐味になります。


――今回、国内外、そして時代をも超えた豪華で異色のキャストが発表されて大きな話題となっています。この驚きのメンバーを起用した経緯や狙いについて教えていただけますか。
よく「話題性のためにキャスティングしているんじゃないですか?」とお客さんから言われることもあるのですが、そのことを私に言ってくれる時点で、要するに目立っているということですから、つまり効果が出ているということなんですよ。
キャスティングについて私がものすごく勉強させられたのは、「龍が如く0」を作った時でした。あの時に堂島組の若頭補佐として、小沢仁志さん、竹内力さん、中野英雄さんという3人を起用したのですが、彼らは知名度はもちろんありますけれど、ワールドワイドで元々知られている人たちというわけではないですよね。だけど、とにかく役に似合うんですよ。そして、似合うキャスティングに敵うものはやっぱりないんです。あの3人は未だに世界中で言われますし、ゲームのキャラクターとしてあの役にバチッとハマっている。そうであれば、それが正解だと思うんですね。
…たまには本音で喋りますけれど、ゲームクリエイターとしてはキャスティングばかりが騒がれるのは本意ではないんですよ。やはり一番注目してほしいのはゲームシステムであったり、ストーリーですから。でも、役者さんたちの演技や質感が、作品全体を面白くしてくれるというのを「0」の時にものすごく教わりました。なので、知名度や話題性だけではなく、シナリオのキャラクターに合うかどうかというのを軸に据えるようにしています。あとはもっと言えば、最初からこの人を起用したキャラクターを作りたいと思った時は、逆にアテ書きに近い形でシナリオを作っていくので、それくらい大きな要素だと思っています。
今回のストーリーを考えていく中で、やはり一番私たちがこれまで挑んでこなかったのが、西洋人の血が入っている、見た目も声も設定も含めて純日本人ではない主人公を据えるということでした。ただ、思いついてしまったんですよね。そういう人間のほうが、当時の日本でより苦しい思いをしますし、きっと何か乗り越えるものが多いだろうと。それをやろうと思った時に、関わる人間を作っていくと、自ずとオルフェウスのようなキャラクターが必要だったり、同じような境遇を持った人間が必要になってくる。そうやってキャストが固まっていく中で、たまたまスヌープ・ドッグさんサイドとのご縁ができて、「それならもうバッチリだ」というところからスタートしました。
――たまたまでは、なかなかそこまでの縁はできないですよ(笑)。
でも本当にたまたま接点ができて、「興味はありますか?」という話になったんですよ。本当に最初は別件だったのですが、その時に「私の作品に出てみませんか?」という話を私がしたところ、大変興味があるというお返事をいただきまして。それで阪本にアメリカに行ってもらって、人を通じてコミュニケーションを取りながら進めていきました。
あの歌やカルチャーの部分で、バックボーンを感じさせてくれそうな人をキャスティングしたかったので、スヌープさん以上の存在なんていないでしょう。なので、これはバッチリだと。では主人公をどうしようと考えていた時に、何人かの俳優さんにお会いして話をする中で、バックボーンも含めて城田さんが適任だったんですよね。彼自身がスペイン人とのハーフで、少し似た境遇を持っていた。「お父さんとお母さんが逆転しているだけで、境遇が一緒じゃないか」という話になって、それでキャスティングが固まっていくんですよ。だから割とそこから自然にはめていったという感じです。アテ書きではなくて、そっちから自然に寄っていった。城田さんは英語もできて日本語もできて歌も歌えて、さらに50年間にわたる老いの部分もすべて表現できる演技力がある。そんな役者さんは、なかなかいないですよ。だからもう「彼しかいない」と思ったくらいでした。
ディーンさんに関しても、英語もできるし歌もやれる。歌のシーンがそんなにあるかどうかという話ではないのですが、バックボーンとしてそれを持っている何人かに絞られた中でお話しさせていただいてオファーしました。私たちが希望したキャストがもうほぼ100%の形で叶っているので、すごく幸せな状況が作れたなと。本当に、タイムスリップしてもう一度同じキャストを揃えようと思っても、二度とできないくらい、色々な縁が舞い込んできました。
ちょうど岩木源造をどうしようかなと考えていたら、東映さんとのつながりから(菅原)文太さんの話が降って湧いてくる。何か、全ての縁を呼び寄せたような感覚ですね。
ディーンさんに最初にお話しした時は「詐欺の企画書だと思った」と言われましたからね(笑)。「こんなキャストが集まるわけがない、嘘の企画でよくある怪しいプロデューサーの書類に見えますよ」と言われて。セガを騙る何者かに大掛かりな詐欺に遭っているんじゃないかと怪しまれていたくらいです(笑)。




――キャスティングの手順としては、誰から決まっていったのですか。
主人公役とスヌープさんが一番早く決まりました。そこがしっかりと確定したので、「あ、この話で進んでいいな」と、そこからどんどん決まっていきました。Tupacさんに関しては、スヌープさんと結構コミュニケーションができるようになってからですね。「こういう役柄の人間がいるのだけれど、実はTupacが良いんじゃないか?」という話になりまして。スヌープさんの息子さんのコーデルさんも、未だにTupacさん側の関係者と多くのつながりがあり、紹介してもらったのがあのルートなんです。
実現するのは結構大変だったりもするのですが、関係する方やご遺族の方の了承を丁寧に得ながら進めています。当時のヒップホップやギャングの抗争を知る人たちからしたら、嘘のような、まさに奇跡的な光景だと思いますよ。

主人公・大東真の誕生と、日本のファンへ届けたい誤解なきゲーム体験
――大東という主人公はどのように作っていったのでしょうか。モデルとなった人物などはいるのですか。
実はもっと前の段階で、全然違うキャラクター設定を一度考えていたんですよ。違う舞台やストーリーを考えていたのですが、どうもピンとこない。私の中で物語の始まりというのはいくつかパターンがあるのですが、その時は国籍のことも含めて、あまり考えていなくて、ただ、当時の社会で虐げられた人間が事件に巻き込まれ、親分になっていくような流れになるのかなと思っていました。
だけど、途中で行き詰まるんですよ。「これでは普通のヤクザじゃないか」と。主人公がこういう生き方を選択する背景を考えていた時に、「もしかしたら主人公はハーフだったのかもしれない」というアイデアが浮かんできたんです。
これは、実は6~7年前から私が温めていたストーリーだったんですね。なので考える時間は結構あって、今の設定に固まったのは4~5年前くらいですね。「龍が如く7」が発売されてしばらく経った頃に「こうかな」という風になって。でも、「見た目が違う状態で日本に来てしまった人間が主人公だったのかもしれない」と思いついてからは早かったです。そこから一気にキャラクター像が固まっていきました。



――発売日も発表されましたが、今後、一般の方が実際に触れる機会や体験会などは実施されるのでしょうか。
絶対にあります。今日触っていただいて、皆さんがどのような感想を持つかは分かりませんが、やはり実際にプレイしてみないと分からない部分がかなりある作品だと思っていて。触っていただく機会をたくさん作ることは大切だと考えています。
特に日本市場が大事だなと思っていて、私たちは完全新作と言っていますし、そういうつもりで作っていますけれど、なんだかんだ言ってこれまでのシリーズが好きだった方が最初に興味を持つと思うんですよね。その時に、あまりにも触り心地とゲーム性が違うので、びっくりしてしまうと思うんですよ。「コンボを決めようとしたら決まらない」とか「なんだかよく分からないけれど、バンバン武器を切り替えているぞ」となってしまったら大変ですから(笑)。
そこはやはり、体験していただく機会を作って、誤解がない形で入ってもらいたいなと思っています。同じ感覚のまま来てもらうと少し驚くと思うので、しっかりと「こう面白いんだ」というのを理解した上で遊んでいただきたいですね。
――最後に、日本のファン、ユーザーへ向けて一言メッセージをお願いします。
実はね、日本でまだ全然理解されていないなと思っているんですよ(笑)。今の感覚だと、海外のほうが盛り上がっている印象もあるくらいで、これは私たちにとっても珍しい経験なんです。海外のファンが多いからそう感じるだけなのかもしれないですが、日本の皆さんがついてきやすいというか、もう少し理解しやすい要素というのは、これからしっかり伝えていくフェーズに入っていくのかなと思っています。
「STRANGER THAN HEAVEN」という、まだ馴染みが浅い言葉という部分もありますしね。これからいろいろなイベントや仕込みも考えているので、ぜひ楽しみに待っていてください。
まだTGSに出るとは明言してはいけないのでしょうけれど、去年のTGSのステージで「また来年お会いしましょう」と私がメッセージを書いているんですよ(笑)。なので、その通りのことが起こります。そこでものすごくよく理解していただけるように、今楽しんでもらえる計画を練っていますので、ぜひご期待ください。

(C)SEGA
※画面は開発中のものです。
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