株式会社MAGES.は8月7日、ベルサール秋葉原にて、Xbox 360専用ソフト「ファントムブレイカー」の全国大会「ファントムブレイカーチャンピオンシップ2011 魅影演舞」の決勝大会を開催した。
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多数の美少女が参戦する格闘ゲーム「ファントムブレイカー」だが、今回の全国大会では7月から各地で開かれた地方予選を勝ち進んだ6名に、当日参加枠の予選を勝ち抜いた1名を加えた合計7名の選手たちが参加。大会当日は選手たちの応援や、全国レベルの試合をひと目見ようと多くのファンが会場に駆けつけた。
当日のMCは「ファントムブレイカー」の登場キャラクターである“インフィニティ”役の瀬水暁さんが担当。さらにスペシャルゲストとしてMAGESの代表・志倉千代丸氏と、同ゲームで“心愛”役を演じる又吉愛さん、さらに“フィン”役の金田朋子さんをスペシャルゲストに迎えての華々しい顔ぶれでの大会となった。
オープニングのトークで、金田朋子さんは自身が演じる“フィン”について、「フィンはちょっと浮いた(常に地面から滞空している)キャラなので、謎めいた魔性の女という感じがします。カタカナ言葉の台詞が多く、演じるのはなかなか大変でしたが、大好きなキャラクターです」とコメント。“心愛”役の又吉愛さんは「心愛は自分の自由に演じさせていただいきました。ただ、わがままな部分もあるので、嫌われるようなキャラクターとならないように注意しました」と収録時の心境を語ってくれた。
ファントムブレイカー日本一の称号を手にするのは誰だ! 白熱のトーナメントスタート
大会はトーナメント方式で試合時間90カウントの2ラウンド先取り勝負。試合開始に先立ち志倉氏自らもシード枠として決勝大会に参加するというサプライズも発表された。
1試合目は当日参加枠から勝ち上がってきた“れりあ”選手と、関東Aエリア代表“LEy”選手とのカード。ふたりとも使用キャラクターは同じ“影霧”ながら、“れりあ”選手はHardスタイルで、“LEy”選手はQuickスタイルだ。1ラウンド目からガンガンお互いの攻撃がかち合う“相殺”が発生し、取られたら取り返す好勝負を展開。最終ラウンドまでもつれ込んだ激戦を制したのはHardスタイルによる堅実なプレイでチャンスをモノにした“れりあ”選手だった。
2試合目は今大会唯一の男性キャラである“蓮”を使う“レロス”選手と、“柚葉”使いの“サトチー”選手だ。この戦いも一進一退の攻防が続き、試合は1対1のまま3戦目までもつれこむ。序盤はお互いにワンチャンスから確実にコンボを決めていたが、大観衆を前にして緊張したのか、お互いにコンボの精度が今ひとつで、最後は残り5秒という際どいタイミングでサトチー選手がラウンドを制した。
3試合目は“心愛”使いの“Sava0130”選手と、“柚葉”使いの“こうや”選手の一戦だ。キャラクター性能的な相性から7:3で“柚葉”が有利とされているが、“Sava0130”選手の“心愛”は積極的に攻めこみ、“柚葉”相手に互角以上の戦いを繰り広げた。こちらもまたしても3ラウンド目までもつれこむ大接戦となったが、気絶した相手へしっかり定石となるコンボを決めた“こうや”選手が勝利し、準決勝へとコマを進めた。
続く4試合目は“たまき”選手と、シード枠として出場した志倉千代丸こと“ガチャ丸”選手による注目の一戦で、お互いに使用キャラはQuickスタイルの“美琴”だ。“ガチャ丸”選手は試合前から「今日は簡単に優勝もらっちゃいますよ」などと、散々強気な発言を繰り返していたが、蓋を開けてみれば“たまき”選手のワンサイドゲームであった。あっという間に負けてしまった“ガチャ丸”選手に「今までで一番試合時間が短かったですよ!」というツッコミを放つ瀬水さん。これにガチャ丸選手は「だって、僕が知らない技を使ってるんですよ?」と必死の弁明。会場からは爆笑が巻き起こった。
準決勝となる1試合目は“れりあ”選手と“サトチー”選手による接戦が展開した。空中戦に強い“サトチー”選手の“柚葉”を“れりあ”選手の“影霧”がどうやって捌くかがポイントとなったこの一戦。ぴょんぴょん飛び込んでくる“柚葉”を、“影霧”が出の早いジャンプ弱攻撃で潰していき、じわじわ追い込む展開に。最後はがタイムアップによる判定勝ちで“れりあ”選手の“影霧”が勝利を収めた。
準決勝2試合目は、“たまき”選手と“こうや”選手による激しい一戦。自らを破った“たまき”選手に対して「僕に勝ったからには優勝してもらわないと」と“ガチャ丸”選手がプレッシャーをかける一幕もあったが、試合に集中する“たまき”選手にはまったく影響することはなく、またもや最終ラウンドまでもつれ込んむ展開に。緊迫の最終ラウンドは“たまき”選手がワンチャンスから超必殺技まで繋ぐ高火力のコンボを決めて、見事勝利を掴み取った。
観戦者たちが固唾を飲んで見守る中始まった決勝戦は、“ガチャ丸”選手から「優勝」を厳命された“たまき”選手と、当日参加枠から勝ち上がってきた“れりあ”選手による予想外の一戦だ。キャラクター相性では美琴のほうが有利と言われているが、手数で攻めるQuickスタイルの“美琴”に対して、“影霧”は一撃の威力が高いHardスタイルなので、“影霧”の一発逆転も十分考えられる。
リーチの面でアドバンテージを得る“美琴”に対して、“影霧”は機動力を活かして一瞬で間合いを詰めていき、お互いに一歩も退かない白熱する試合展開に。1ラウンド目は“れりあ”選手が取り、優勝に王手をかけた2ラウンド目は、両者とも要所要所でエマージェンシーモードを発動して相手のコンボをかわし、決勝にふさわしい高レベルな対戦が繰り広げられた。最終的には残り体力が僅かとなり、中距離からの牽制でしのごうとする“たまき”選手に対して一瞬の隙をついて間合いを詰めてコンボを叩き込んだ“れりあ”選手が2ラウンド目も制して見事優勝を勝ち取った。
なんと全国から勝ち上がってきた強豪たちを破り、当日参加枠の選手が優勝するという大どんでん返しに、来場者はもちろん主催したMAGESスタッフも驚きを隠せないといった様子だったが、新たな王者の出現に会場からは惜しみない拍手が贈られていた。
大会の最後には“ガチャ丸”選手から社長へと戻った志倉氏から、今後のアップデートで「ファントムブレイカー」にオンラインでの対戦プレイを観戦できる“観戦部屋”を実装することが発表された。詳しいスケジュールは未定だが、今回のような高レベルな対戦を自宅でも観戦可能となるそうなので、続報を期待してもらいたい。
最後に、優勝者である“れりあ”選手と志倉氏にお話を伺うことができたので、その模様を紹介しよう。
「ファントムブレイカーチャンピオンシップ2011 魅影演舞」優勝者“れりあ”選手
――まずは日本一の栄冠おめでとうございます。
れりあ選手:ありがとうございます。
――今日の優勝は、やはりキャラ対策などの研究が功を奏したのでしょうか?
れりあ選手: 元々は出るつもりなかったんですが、友達に勧められて当日予選に出ることになったんです。決勝大会に出場した方々とは、普段ネット上でよく対戦しているのですが、そんなに勝てたことはありませんでした。今日はなんか“ノリ”みたいなものがあって、そのおかげで勝てたような感じですね。
――ネット越しとリアルでは、やはり対戦しての印象が違いましたか?
れりあ選手:やはり相手と対面でプレイするのは違いますね。お客さんもたくさんいたので少し緊張しました。
――使用キャラを“影霧”にした理由は?
れりあ選手:キャラクター自体がかわいかったからですね。ほかのゲームでも、まずはキャラから入って、それから「どうやって勝つか」というのを考えてます。
――「ファントムブレイカー」の魅力は?
れりあ選手: エキサイティングなところですね。普通の格闘ゲームとは違った盛り上がりと、「萌え」ではなく、「燃え」る要素があるからでしょうか。
――最後にアジアチャンピオン決定戦へのいきごみを聞かせてください
れりあ選手:飛び入り参加した手前、自分が台湾へ行くのは気が引けるので、他の選手に権利を譲りたいくらいなんですが、こうなった以上はやるだけやってやろうと思います。
――ありがとうございました。
「もうお笑いキャラは金輪際御免です(笑)」志倉千代丸氏の囲みインタビュー
――本日ついに日本一が決定しましたが、その感想をお願いします。
志倉氏:思っていた以上に強者揃いでしたね。自分が見たことのないコンボとかが出てきたので、改めて「ファントムブレイカー」は奥深いなと思いました。
――自分で実際に戦ってみていかがでした?
志倉氏:向こうの攻撃は当たるんですが、こっちの攻撃は避けられたり、防御されて全然当たらないんですよ。あとは読み合いですね。相手に完全に読まれていた場面があったので、レベルの高さを感じました。
――今後、観戦モードを実装するとのことですが、それによってどういう変化が現れるとお考えですか?
志倉氏:今日のような戦いが自宅で見られるので、それがプレイヤー全体のレベルアップに繋がればと思っています。うまい人のプレイは見ているだけで勉強になりますからね。
――今日の大会を見て、今後のアップデートの参考になるような部分はありましたか?
志倉氏:今日の大会で使われたキャラのほとんどは、恐らく「強キャラ」ではないかと思っています。その中で“美琴”が、決勝大会まで勝ち残るとは正直思っていなかったので、今後のバランス調整の参考になりました。もちろん全国レベルのプレイヤーだけを見て調整してもバランスがおかしくなってしまうので、あくまでひとつのサンプルとして参考にしたいですね。
――「ファントムブレイカー」の続編や他機種への移植はあるのでしょうか?
志倉氏:せっかく格闘ゲームで第一歩を踏み出せたので、これをベースに皆さんの応援があればやっていきたいです。個人的にはまだまだプッシュしていきたいとは考えているんですけれど、皆さんがついてきてくれなければ意味がないので、そこらへんはバランスを見ながらやっていくつもりです。
――台湾でアジアチャンピオン大会が開催されますが、アジア圏への広がりについてお聞かせください
志倉氏:台湾でも格闘ゲームはけっこうプレイされているので、その人達にどう遊んでもらうかですね。モチベーションを長く保ってもらうために、昔はこういうゲーム大会ってもっと多かったと思うんです。だからこうしたゲーム大会を積極的にやっていくことでプレイヤーのハートを盛り上げたいですね。
――最後に、ファンに向けて一言お願いします。
志倉氏:「シードで出て、もし優勝しちゃったらどうするの?」と、真面目にスタッフと相談していた僕がバカでした。僕も練習して、次回の大会までには、もう少しまともに戦えるようにはなりたいなと思います。お笑いキャラとして出るのは、金輪際御免だと思っていますので(笑)。今後とも、応援よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
志倉千代丸社長のいうとおり、間口は広く、初心者から上級者までが楽しめる奥深さを兼ね備えた「ファントムブレイカー」。まだ触ったことがないという人も、“れりあ”選手のようにまずはキャラクターから入ってみてはいかがだろうか?