スクウェア・エニックスが2月24日、東京・日本橋三井ホールにて開催した「ロマンシング サ・ガ」ライブイベント「One Night Re:Birth」取材レポートをお届けする。
開演前のアナウンスは、2012年11月23日に同会場で開催されたライブ「THE NEXT STAGE~gentle echo meeting 3~」に引き続き、声優の杉田智和さんが担当。今回のライブ構成は「Re:Birth / 聖剣伝説 伊藤賢治アレンジアルバム」など、伊藤賢治さん自身によるアレンジアルバムの収録曲を中心としたもので、アンコールを含め全18曲が披露された。
今回出演した伊藤さん(key)、土屋玲子さん(vn)、寺前甲さん(gt)、上倉紀行さん(gt、kb)、榎本敦さん(b)、山内優さん(ds)、和田貴史(manipulator)という顔ぶれは「Re:Birth II / ロマンシング サ・ガ バトルアレンジ」のメンバーそのまま。新たなアレンジを施した曲も織り交ぜており、以前のライブに参加したファンも一層楽しめただろう。
まずは「バトル1メドレー」「四魔貴族バトルメドレー」と、場内を一気に熱くさせるバトルナンバーを演奏。ここで伊藤さんが、たくさんの声援により今回のライブが実現できたと、改めてファンにお礼を述べる。続いてのバンドメンバーの紹介では「カミさま」こと上倉さんをスルーしたことにツッコミを入れる…という台本通りの流れで会場を沸かせていた。
さらに「玄城バトル」「術戦車バトル」「Believing My Justice」では伊藤さんが迫力あるキーボードパフォーマンスを見せ、ファンも大きな手拍子で応える。また「ロマンシング サ・ガ」の思い出話では、当時10歳くらいだったという上倉さんが「ジャミルを選んだらすごく難しくて、主人公っぽいかなとアルベルトを選んだけど、あまりに敵が多くてゲームに対する今後の付き合い方を考えました(笑)」という苦労を語り、伊藤さんも「酷いゲームっていうのも褒め言葉だよね」とすかさずフォロー。なお、上倉さんは3人目のホークでクリアまで辿りついたとのこと。
ここまでは「Re:Birth II」からの演奏となったが、もちろん「Re:Birth」からもということで「マナの嬰児」を披露。7曲目は、新規アレンジで「サガ フロンティア」の「Battle #5」というサプライズが待っていた。そして「サガ フロンティア」といえばこの人と、同作のディレクターを担当した河津秋敏さんがゲストとして登場。これまでのライブにも度々足を運んでおり、前回の伊藤さんの生歌も「歌を聞いたのはカラオケ以来だったから、懐かしい」と思いながら聞いていたそうだ。
伊藤さんのスクウェア(現:スクウェア・エニックス)入社当時をはじめ、若かりし頃の「ファイナルファンタジー」シリーズを手がけた坂口博信さん、植松伸夫さんのほか、とても気に入っていたのに容量不足でボツとなった曲など、思い出話は大きな盛り上がりをみせる。また、河津さんが「イトケンというとバトル曲が人気だけど、みなさんはゲームの辛いこととか思い出さないのかな(笑)」と、全体攻撃に即死が付与されていた「メイルシュトローム」について振り返る一面も。伊藤さんも「人数分のラストバトル曲を書けと言われたときは、本当にどうしようかと思いました」と語り、その後に1週間ほど疲労で動けなくなったことを告白。しかし、河津さんに褒められたことはとても印象深く覚えているそうだ。
このほか、ニコニコ生放送の配信を見ているユーザーの質問にも答えようとするものの「とてもこの場で言える話じゃない」と苦笑いする一幕が。河津さんは「4という数字が見えますが…今の段階でお話しできることは何もありません。しかし、年齢に関係なく、やるときはやります」と発言。ファンとしては、今後に期待といったところ。なお、現在配信中のソーシャルゲーム「エンペラーズ サガ」において、過去に発売したサウンドトラックを所持しているとレアカードが貰えるキャンペーンも実施中だ。
改めて土屋玲子さんが登場し、バイオリンを加えての「ポドールイ」「ALONE」を演奏。バラードコーナーと題されたとおり、しっとりと染み入る曲へファンは静かに耳を傾けていた。10曲目の「戦闘2 -勇気と誇りを胸に-」では、一転してアグレッシブなバイオリンとアコースティックギターの美しい旋律に酔いしれることとなる。さらに「Re:Birth II」ではアコースティックなアレンジとなった「七英雄バトル」が、原曲に近いハードロックアレンジとして再び披露。ファンからは、待ってましたと言わんばかりに一際大きな歓声が上がる。
ここで「Re:Birth II」の次回作が制作決定という、大きなニュースが飛び出すことに。生放送の視聴者と観客で、が4つのタイトル案から1つを選ぶこととなったが、どちらの結果も「Re:Birth II 閃(せん)」で満場一致。タイトルをはじめ収録曲も今後正式に発表となるが、ファンからの要望にはしっかりと応えていくという。ちなみにライブで演奏こそされないものの、大人気の「下水道」のほか、さきほど初披露となった新アレンジの「七英雄バトル」は収録となるようだ。
ラストは「ロマンシング サ・ガ2」「ロマンシング サ・ガ3」それぞれの「ラストバトル」と「決戦!サルーイン」と、ラストを飾るに相応しい曲での締めくくりとなった。
アンコールでは「バトル2」と新規アレンジとなった「邪聖の旋律」に続き、シークレットゲストとして岸川恭子さんが登場。「愚者の舞」「熱情の律動」に伸びやかなボーカルが加わり、ライブの最後を華やかに飾っていた。
ライブ終演後、伊藤さんや河津さんのほか「エンペラーズ サガ」のプロデューサー・市川雅統さん、さらに「サガ」シリーズの渋谷員子さん、キャラクターデザインの小林智美さんにお話しを伺えたので 、合わせて紹介する。
――2年前の「THE NEXT STAGE~gentle echo meeting 3~」が好評ということで、今回はそのお礼という位置づけとのことですが。
伊藤賢治さん(以下、伊藤さん):そうですね、今回はやりきったと思います。
――ニコニコ生放送や、間近で観客の反応を見ていかがでしたか。
伊藤さん:みなさん、良い意味で「真面目」という印象ですね。ちゃんと乗ってくれて、こちらとしても嬉しかったです。
――誕生から20年以上経ちますが、これだけ多くの方に「サガ」シリーズが愛されていることについてどう感じられましたか。
河津秋敏さん:ゲームのファンの方がメインかと思いますが、伊藤さんの曲が大好きだという方も多いでしょう。彼に支えられている部分も大きく、感謝しています。それぞれの曲ごとに「この曲は、こういうつもりで入れたんだ」とか、ライブ中には話しきれていない思い出も多いです。
――渋谷さん、小林さんは、実際にライブを聴かれていかがでしたか?
渋谷員子さん(以下、渋谷さん):ライブには初めて来ました。「ロマンシング サ・ガ」はオーケストラっぽい印象が強かったんですけど、ロックだったんですね。あと、やっぱり最後はサルーインなんだなと(笑)。このあたりを聞いていたら、当時を思い出しました。
やっぱり私は「ロマンシング サ・ガ」に思い入れがあるので「下水道」とかの話もよかったです(笑)。本当に想像以上に良いライブでした。
小林智美さん(以下、小林さん):日本人は「農耕民族」と「狩猟民族」がいて、盆踊りとかは農耕っぽくて、縦ノリは狩猟っぽいと思うんです。私は高校生ぐらいの頃にすごく洋楽にハマっていた狩猟タイプなので、今回のライブは「帰ってきた」というか、素晴らしいなと感じました。
――ちなみに当時、デザインに関してお二人での打ち合わせなどはあったんでしょうか?
小林さん:何もないです。投げて、受け取るっていう感じですよね。勝手にやっていました(笑)。 サルーイン、デス、シェラハあたりはリテイクもなかったかと思います。
渋谷さん:絵を持っていくと、河津さんが大体「こう来たか!」って言ってましたね。
伊藤さん:そういえば、ジャミルは描きなおしてましたよね?最初はもっと男性的というか、丸くて小兵っぽかったような。
小林さん:まずは「こんなタイプどうかな」って描いた後にシナリオが出来上がってきたので、その中に「女装をする」というのがあったのを知らなかったんです。そこで、女装できるビジュアルじゃないとまずいので直しましたね。
――そんなシリーズを現代に蘇らせたのが、ソーシャルゲームの「エンペラーズ サガ」ですね。
市川雅統さん:「エンペラーズ サガ」には音楽が入っていないのですが、例えばiPhoneやAndroid端末で歴代の音楽を聴きながら遊んでいただければと思います。今日のライブで「ロマンシング サ・ガ」ファンの思いを強く感じたので、こうした思いをずらさず、制作を続けていきたいと思います。幸い好評を頂いてますので、今後も楽しんでいただきたいですね。
――今回発表となった新アルバムですが、今現在のビジョンについてお話しください。
伊藤さん:実は3週間くらい前にあったリハーサルで「こういう話がありますよ」と聞かされたばかりなんです。「そんなのあるんだ?!」と、こちらもびっくりしたんですね(笑)。これから改めて企画が進んでいくと思いますので、もう少しゆっくりと待ってください。一応夏くらいみたいですが、秋とか冬とか…(笑)。遅くとも今年中には出したいと思っています。
――前回の「Re:Birth II」発売からユーザーのさまざまな反応があったかと思いますが、前回収録した曲を再度アレンジするといったことはありますか?
伊藤さん:今回、改めてハードロックバーションの「七英雄」を演奏しましたが、とても好評だと感じたので、これは残しておきたい。しかし、他を焼き直しというのは今のところないですね。新しい曲を取り入れるつもりです。
――今後、こういうライブをやってみたいというような希望はありますか?
伊藤さん:フルオケとまではいかなくても、ストリングスオーケストラでのクラシックコンサートをやってみたいですね。これまでピアノ単体での参加はありますけど、自分名義というのはありませんから。フルだとお金もかかっちゃいますので(笑)、ストリングスのチームでピアノを囲んだクラシカルなコンサートをやってみたいです。
――ファンの方に一言お願いします。
伊藤さん:スクウェアに入社したのは21歳でしたが、あっという間に今年でもう45歳です。そこから24、5年経ってもたくさんの方に来ていただけて、さらに20年以上も昔の作品の曲が好きだといってくださるのを、とても嬉しく思います。これからも、こういった期待い応えていきたいですね。
――ありがとうございました。
Re:Birth II/ロマンシング サ・ガ バトルアレンジ
2012.8.29発売
SQEX-10327
定価¥3,000(本体価格¥2,857)
Re:Birth /聖剣伝説 伊藤賢治アレンジアルバム
2011.10.19発売
SQEX-10272
定価¥2,500(本体価格¥2,380)
Re:Birth 公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/seiken_rebirth/
Re:Birth II 公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/rsaga_rebirth/
エンペラーズサガ 公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/mobile/etc/emsaga/
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