iOS/Android向けゲームアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」のiOS版が、4月15日、ブシモにて配信された。今回は配信前に試遊の機会をいただけたので、「ラブライブ!」好きライターの視点からのレビューをお届けしたい。

目次
  1. まずはシステムをざっくり紹介
  2. 自分好みのユニットを構築
  3. ライブパートはかなり歯ごたえあり
  4. フルボイスでかしこくかわいい!
  5. 総括

「ラブライブ!」は、サンライズ、ランティス、電撃G'sマガジンの3社合同企画としてスタートし、2013年現在様々なメディアで展開しているスクールアイドルプロジェクト。

統廃合の危機にある母校・音ノ木坂学院を救うため、スクールアイドルグループ「μ's」を結成した高坂穂乃果たち9人の少女によるスクールアイドル活動を描く物語だ。今年1月からはTVアニメ「ラブライブ!」が放送され、先日感動の最終回を迎えたのは記憶に新しいところ。

ちなみに「ラブライブ!」とは同プロジェクト全体の名称であると共に、メンバーたちが目指すスクールアイドルの甲子園的大会の名称でもある。歌って踊るアイドルの華やかさと、壁にぶつかりながら一緒に成長していく、部活の青春ストーリー的要素を併せ持った存在が「スクールアイドル」なのである。

まずはシステムをざっくり紹介

「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」のジャンル名は、リズムアクション&アドベンチャーゲームとある。大きく分けるとゲームは「カードコレクション&強化によるデッキ育成」「本格リズムアクションゲーム」「フルボイスのアドベンチャーパート」の3つの要素に大別される。

カードにはN(ノーマル)、R(レア)、SR(スーパーレア)、UR(ウルトラレア)の種類があり、体力、スマイル・ピュア・クールの属性パラメータ、特技といった項目が設定されている。練習で他のカードを合成するとレベルが上がり、パラメータが上昇する。同じカード同士を特別練習させるとレアリティがアップ(R→R+のように)し、カードイラストが変化する。カードはレアリティが高いほど強い……という感じで、ソーシャルゲームのスタンダードな文法に沿った仕様だ。

ノーマルは「転校生」として学院にやってくる本作オリジナルの女の子たちで、様々な個性を持っている……が、現時点でボイスが付くのはレア以上のμ'sメンバーのみ。スペック的には穂乃果たちμ'sメンバーが強いので、ガチャを回してμ'sメンバーが出るととても嬉しい。陣容が整えばμ'sメンバーだけでデッキを固められるので、一般生徒に関しては現時点では「そういう要素もあるよ」ぐらいの温度感だ。

さて、気になるのはカードを集めてデッキを強化することと、リズムアクションゲームの関係性だ。ライブ(リズムアクション)パートでは、画面上にデッキに含まれる9人の部員の顔アイコンが表示される。画面のセンターから9つの部員アイコンのどれかにリズムアイコンが飛んでいき、重なった瞬間に部員アイコンをタップすると、タイミングによって「PERFECT」「GREAT」などの判定がされる。

ここまではいわゆる音ゲー、リズムゲームの基本通りだが、ここで増加するスコアが、育てたカードのパラメータ(スマイル属性の曲なら、スマイルの値)によって増減するのである。ハイスコアを出して高いランクの評価を受けるためには、リズムゲームとしての腕を磨きつつ、デッキのカードの強さも上げるという複合的な工程が必要となる。

そして、最後の要素がお楽しみのストーリーパート。メインパートではμ'sメンバーが最大3人まで同時に画面に登場し、フルボイスでオリジナルストーリーが展開される。切りの良いところまで進むと、「○○のeasyをクリアせよ」「レベルを○○まで上げろ」などの課題が表示される。この課題を達成すると新しい楽曲が増えたり、新章に進めるようになる仕組みだ。

ライブパートでデッキに入れている部員はコンボ数に応じて「絆」ポイントが増えていき、「絆」がMAXになると各カード個別のサイドストーリーを楽しむことができる。カード育成、ライブパート、ストーリーパートが有機的につながっている構成となっている。

自分好みのユニットを構築

さて、実際に遊んでみたインプレッションに移ろう。ゲームをスタートすると、最初にμ'sメンバーから一人を選んで、その子のRカードを持った状態で始めることができるが、ここでは頼れる生徒会長・絢瀬絵里を最初のパートナーに決めた。他人行儀なのでここからはエリチカと呼ぶ。

このエリチカは特技「タイマーチャーム」と、センタースキル「スマイルパワー」を持っている。前者は“10秒ごとに36%の確率でスコアが200増える”、後者は“スマイル値が小アップ”という能力。特技はデッキに入れれば自動発動し、センタースキルは9人の真ん中に置いた時だけ発動する能力だ。ノーマルの一般生徒たちは特技なしなので、流石はレアカード、流石は「かしこい! かわいい! エリーチカ!」である。

後で同じカード同士を合成する特別練習も試してみたが、制服だったエリチカが3rdシングル「夏色えがおで1,2,Jump!」の水着衣装に変身!! 各カードは基本は私服や制服で、特別特訓をするとアイドルとしての姿に変わる傾向があるようだ。どちらのエリチカもとてもハラショー(素晴らしい)!!

最初は「一般生勧誘」(無料ガチャ)で手に入ったノーマルの一般生徒で脇を固めるが、やはりあまり強くない。ざっと見た感じではスーパーレア以上はかなり強いが、レアは得意属性でならある程度スーパーレアと渡り合える。特技の兼ね合いもあるので、手持ち資産の中で戦略的に構成する必要がありそうだ。

「特待生勧誘」(有料ガチャ)はレア以上確定=つまり現時点ではμ'sメンバーが出るので、最初に11連ガチャを回せばμ'sだけに囲まれたデッキ構成が可能だ。μ'sカードは各属性各レアリティで違ったパターンで収録されており、様々な衣装をまとった描きおろしもある。

ライブパートはかなり歯ごたえあり

ライブパートの楽曲は、開始時点では1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」のeasyモードが使用できる。これをクリアすればnormal、hardがオープンされる。まずはeasyに挑んでみたのだが、出てきた言葉は「これ、難しくないですか?」。

やることはタイミングよくボタンを押す、時々長押しや同時押しがあるといったオーソドックスなものだが、難易度設定がなかなかカラい。normal、hardと進むにつれて、「左で長押しを離すタイミングを測りながら、右手はリズムに合わせてタッチを続ける」みたいなことも要求される。ソーシャルゲームと言えば簡単なミニゲームで達成感を味わう印象があるが、本作のリズムパートは、家庭用ゲーム機の音ゲーに近いバランスで、かなりやり応えがある。

多少慣れても初期デッキではランクCがやっと。ただし、「完走」自体はそれほど難しくないので、音ゲーが苦手な人でもストーリーを進めることは可能だろう。デッキを強化すればクリアしやすくなり、いざとなれば課金アイテムによる継続コンティニューといったセーフティーネットもある。

各楽曲はショートバージョンで約2分。2分間μ'sの楽曲でリズムゲームを楽しむ間には、スキル発動時のカットインなどの演出も豊富に盛り込まれていた。

フルボイスでかしこくかわいい!

ストーリーパートでは、プレイヤーはμ'sのコーチというか、マネージャーというか、なんかそんな感じのふわっとした立場でμ'sに関わっていくことになる。あんまり細かいことは考えずに、友人として穂乃果たちとのスクールライフを楽しもう。

画面には、μ'sメンバーが最大3人まで、2Dウェストアップの立ち絵で表示される。そしてなんと言っても、全員がしゃべる! フルボイス! TVアニメ放送が終了して「「ラブライブ!」のアニメが終わっちゃったよぉぉ…」と死んだ魚のような目をしている諸兄にとっては、μ'sメンバーが会話して、あまつさえ自分がその輪の中にいるだけでも桃源郷の気分が味わえるだろう。しかも、どうやら継続的にストーリーの続きが配信されるらしい。クラウド時代、とってもハラショーね!

そしてさらに、メインストーリー以外に、各カードにサイドストーリーがあるのである。ノーマルの一般生カードにも、ボイスなしではあるがちゃんとショートストーリーが用意されていた。サイドストーリーのオープン条件である「絆」MAXはなかなか骨が折れる作業で、レアリティが上がるほどプレイ回数を重ねる必要がある。リズムゲーでμ'sの楽曲にとことん浸り、全部一人で見ることが可能なのかといぶかしむぐらいの数のサイドストーリーが待っているのだから、これはもうファンにとっては福音だろう。声について話すエリチカは、ますますかしこくてかわいい。

総括

長くなったが、トータルの感想としては「ついにソーシャルゲームにもこんな作品が出てきたか」という感じを受けた。ソーシャルゲームとしてのカードコレクション&強化の部分はスタンダードでそつがなく、良い意味で普通だ。そこに、家庭用ゲーム機に比肩するクオリティのリズムゲームと、フルボイスのアドベンチャーパートが加わったタイトルが、基本プレイ無料で遊べる時代が来てしまった。

特筆すべきは、各要素はスタンダードなシステムが、有機的に絡み合っていることだ。硬派な音ゲーの世界では、スコアやランクはあくまでプレイヤースキル依存的な風土があることが多い。そこに「カード強くしたらハイスコア出やすくしたらええやん?」的な要素を違和感なく組み込めるのは、ソーシャルゲームの世界ならではだろう。逆に、ソーシャルゲームのクリック&ガチャゲーになりがちな単調さが苦手な人にとっては、リズムゲームとして十全以上に楽しめるタイトルとしておすすめできる。

一般的な音ゲー・リズムゲームと比べた場合、当然ながらライブ映像の要素がバッサリカットされているが、考えてみれば「ラブライブ!」の場合、シングルCDやベストアルバムに最高のクオリティのPVがついているのだから、PVや楽曲のフルサイズに興味を持った人はそちらを手に取ればいい。「ラブライブ!」というプロジェクトの中におけるソーシャルゲームの位置づけとして、よく考えられた作品と言えそうだ。ハラショー。

今のところ一般生徒はおまけ的扱いなので、人気が出た女の子のレア以上への昇格や、アニメに登場する、μ'sメンバーの妹や母親や他校のライバルアイドルの登場なども勝手に期待したい。

なお、今回の試遊は、4月15日に配信されたiOS版のテストバージョン+Wi-Fiで行なった。まとまったデータ量を扱うので、最低限度の回線速度は用意したほうがいいだろう。楽曲、ボイス、リズムゲームとコンテンツとしてあまりにリッチなため、正式稼働後に快適さを維持できるかがやや気がかりだが、基本システムの動作はかなり軽快だった。

一ラブライバーの率直な気持ちとしては、早くやりこみたい、たっぷり楽しめそうなタイトルに仕上がって嬉しいの一言だ。URのかよちんがとてもかわいいので、今から食費を切り詰めておきたい。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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