【E3 2013】「グランツーリスモ6」PVには僕らの新鮮な喜びがそのまま入っている―山内一典氏にインタビュー

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アメリカ・ロサンゼルスのLAコンベンションセンターにて開催中の「Electronic Entertainment Expo(E3) 2013」。ポリフォニー・デジタル 代表取締役プレジデント 山内一典氏に「グランツーリスモ6」の開発状況について伺った。

山内氏に「グランツーリスモ6」の開発状況やグランツーリスモの今後について伺うことができたので、ここではその模様をお届けする。

――現在の開発状況と、開発にあたって苦労した点は?

山内氏:僕らの中では半分くらいですかね。最後の最後で一気に完成度が上がっていくので、まだまだやることはあります。

GT6のコンセプトというのは、GTシリーズがこれまでやってきたことをもう一度見つめなおしてレースゲームとしての基本や基礎体力をつけ、リファクタリングやリビルディングすることを目指してやっています。コードもデータもそうで、どれも大変ではあります。

――最新のPVでライバルカーとの激しいレースが確認できますが、GT5と比べてAIは変更されているのでしょうか?

山内氏:そうですね。PhysXも変わってますが、PhysXだけでなくてAIも変わります。すべてが開発項目に入っています。

PhysXにしてもレンダリングエンジンにしてもAIにしてもサウンドのシミュレーションにしても、全ては基本が大事なんです。何かだけを取り出して良くするということはできなくて、ゼロベースに立ち返って根本からやり直すということが必要で、それをやっているところです。

――手応えはいかがですか?

山内氏:ゲームを制作している時というのは、コツコツ開発していると、ある日突然何かが達成されるんです。それがゲームを作っている時の醍醐味でもあるんですが、PS1やPS2の頃に比べるとゲームのハードウェアやソフトウェアが成熟したことで、そういった新鮮な驚きは減ってきているんですが、今回GT6で基本をやり直すことで、僕らにとって幸せな瞬間が度々訪れています。それは作っていて楽しい瞬間です。

例えば、新しいPhysXを開発していたある日の晩のことです。縁石を乗り越えてみたら「何これ」みたいな、そういうことって突然やってくるんです。それを狙って作っているわけではなく、結果としてそういうものができあがる。そういう瞬間はうれしいですね。なのでPVには、これでもかというくらいそういう瞬間が出てきます。あれは、僕らの新鮮な喜びがそのまま入っているんです。

縁石を乗り越えた瞬間にステアリングが取られて、タイヤが路面とどうコンタクトしているのかがステアリングを通じて、ドライバーにものすごく濃く入ってくる。かつ、その後バネ下のタイヤが暴れながら路面に接地して、その力がバネ上に伝わって、スプリングのダンパーが車体の動きを減衰しながら路面に戻っていく。その瞬間がドライバーに伝わってきますから、そこは確実に進化しているんです。

――今日プレイされている方の反応を見ていかがでしたか?

山内氏:まだ具体的には話せていないのですが、すごい行列ができていたので、たくさんの方がプレイしてくれればいいなと思います。

――E3で出展しているバージョンでの挙動などはいかがですか?

山内氏:基本的なポテンシャルはすごくある状態です。リアルになった分、サスペンションのセットアップなどがかなりシビアです。これまでのように曖昧な状態では動かないんですが、その代わりちゃんと設定が決まってくると、ものすごくしっかり走るようになるんです。

その辺りを今後は1,200台の車に対してやっていくんですが、それ自体はすごく楽しみです。リアルになった分だけ、自動車メーカーと同じように苦労してセットアップを決めなければならないということです。

――PS4が発表されましたが、具体的な動きは進んでいるのですか?

山内氏:まずは多くのユーザーが待っているPS3でリリースするわけですが、リリース後にオンラインでのアップデートを重ね、タイトルを成長させていって、プレイヤーがそろそろ全部遊び尽くしたかなと思う頃にPS4版は自然に現れると思います。ですから、待たせすぎることもないし、早すぎることも無いと思います。

――PS4というハードについてはどのような可能性を感じていますか?

山内氏:以前にPS4の紹介映像でも話したことがあるんですが、基本的にはニュートラルな良いマシンだと思っています。良くも悪くもバランスのとれた癖のないハードで、あとはソフト次第だと思っています。

――DUALSHOCK 4のR2L2ボタンの反り返りはグランツーリスモチームのこだわりだと聞いたのですが。

山内氏:2つあります。ひとつは、置いた時に間違って入力されてしまうのは無いよねという点。もうひとつは、ストロークに対して正確に値を出してほしい。当たり前ですよね。ポリフォニーには、コントローラーオタクがたくさんいるんですよ。

――今回のPVでゲマソーラーのステージがありましたが、今後GTにEV車をどんどん入れていく可能性は?

山内氏:EV自体にはEVの流行り廃りもあり、自動車メーカーの考えているトレンドがあります。1年でそういったトレンドが変わっていくのですが、今回テスラのモデルSを入れてます。ゲマソーラーというシチュエーションは、テスラにはすごくあっていると思っていて、PVにもテスラを入れています。

――ホンダがF1に参加すると表明していますが、今後ホンダのF1マシンが収録される可能性は?

山内氏:F1カーというのは常に1台しか入れちゃダメなんです。これはFOMの取り決めなんです。GTにはフェラーリがすでに入っているので、そう簡単に決断できる話ではないです。

――PS4「ドライブクラブ」が発表されていますが、GTとどのような違いがあると考えていますか?

山内氏:皆さんのほうが詳しいと思いますが、僕はよく知らないんです。これまで15年間作ってきて、いろんなトライをしてきて、GT6でも新しいトライをたくさんします。改良や変化すること、自分たちが思うことをコツコツ続けていくしかないんです。他のタイトルが何をやっているのかというのは、正直よくわからないです。

――長い年月レースゲームを作り続けていくモチベーションはどこにあるのですか?

山内氏:不思議ですが、飽きたことはないです。仕事をしていて辛いと思ったこともあまりないです。GT1の開発を始めた時から遡ると、20年近く同じチームで仕事をしています。人が増えてはいますが、ほとんどチームのメンバーが変わらずに、同じファミリーで作り続けています。広いゲーム業界でも20年間同じチームで作っていることは無いと思います。そういう家族的な結束力も、迷いなく前に進むひとつの理由なのかもしれないですね。

――ソフトが発売されるときは、達成感を感じると思うのですが、その後、すぐ次の作品へのモチベーションが沸き起こってくるのですか?

山内氏:あれが足りない、これが足りないという状態でリリースされていきます。リリースしたあとも、「もっとこうしてあげたい」と思い、それは尽きることが無いです。

僕自身は、自分自身がすごい高い理想を見ているというよりは、むしろ目の前にいるユーザーや会社を幸せにしたいだけなんです。それをひたすら続けている印象です。

例えば、今日会場で遊べるバージョンで、トップメニューからレース開始までの間に、一度も画面が止まらずにレースがはじまります。完全にシームレスに始まるようになっていて、ロード時間を完全に隠蔽しています。UIを高速化することによって、達成しているんです。そういうことをコツコツ解決していくだけでも人生は過ぎていきますね(笑)。僕だけの努力ではなくてチームメンバー全員が努力した結果です。

――ソフトと一緒にハードも進化します。新しいハードでできることが増えていきますか?

山内氏:常にあって、ハードウェアはセクシーなんです。それを使うことで何ができるかをイメージできますから。ただ、ステップ幅は、以前のように世代が1つ変わると100倍違うようなことは、今は起きないので、そうじゃない方法で魅力を作って行かなければならないです。良い意味で成熟してきていると思います。

――GTシリーズでリアルとバーチャルを融合させることを目指していますが、これはやりたいと思っていることを教えて下さい。

山内氏:難しい質問ですね。GT6のテーマのひとつが「リアルとバーチャルのエッジエフェクト・アクティビティ」です。リアルなものにバーチャルを近づけていくだけではなくて、僕らがリアルに影響を与え、リアルを変えることをやりたいです。

先月アナウンスイベントをやり、今月E3、今後もgamescomや東京ゲームショウなど、GT6がローンチされるまでに何度かお話する機会があると思いますが、その中で、GT6の大きなテーマであるリアルとバーチャルの境界で起きるおもしろい活動を徐々にお見せできるかなと思っています。

リアルを追いかけるということではなくて、リアルなものからあらゆる刺激を受けて、逆に僕らの側からリアルの側に差し出すものもたくさんあって、それが重なりあってきた時に何が生まれるのかが面白いと思っています。

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。

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