2013年8月21日~23日の3日間にわたって、パシフィコ横浜にてゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2013」が開催された。ここでは、「新時代到来:諸兄、ゲームつくろうぜ! ~PlayStation 4のビジョン、気持ちよく作れる制作環境~」講演の模様をお届けする。

秋山賢成氏
秋山賢成氏

本講演では、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア開発サポート部の秋山賢成氏から、PS4のシステムや開発環境についての概要説明が行われた。PS4の発売前ということもあり、一部開発中のものがあると前置きされたものの、現在発表されている内容などをチェックできる講演となっていた。

まずは、PS4のアーキテクチャのコンセプトから語られた。PS4はAMDのCPUとGPUを始め、8GBの高速で大容量なメモリ、500GBのハードディスク、BDドライブなどが搭載されており、次世代コンソール機に相応しいスペックを持ちつつも、開発者にとって馴染みある、使いやすいアーキテクチャになっているという。特徴的なところとしては、ゲームリソースを使うことなく利用できるビデオチップが搭載されている点も挙げられた。

続いてはPS4のコントローラ「DUALSHOCK 4」について。方向キーやアクションボタン(○×△□の各ボタン)、振動機能やモーションセンサーなど、「DUALSHOCK 3」の機能は全て備わっている。それに加え、コントローラにタッチパッドが付いている。このタッチパッドは二点のマルチタッチと、押すアクションに対応している。解像度も1920×754と高く、感触のいいタッチを実現しているという。

タッチパッドと並んで大きな特徴となるのが、ライトバーの存在だ。ライトバーは青、赤、緑、ピンクの4色でユーザーを特定することができるようになっている。ほかの色に変えたり、あるいは点滅させたりといった動作も、ゲーム側で操作することができるとのこと。

また、PS3のコントローラから比べて大きく変わっているところは、スタート/セレクトボタンがオプションボタンになっていることを始め、シェアボタン、ヘッドセット用のソケット、スピーカーの搭載などが挙げられる。すでに知っている人も多いと思うが、PS4ではゲームプレイを録画することができ、シェアボタンではこの録画の停止やスクリーンショットの撮影といった機能を使うことができる。

ヘッドセット用のソケットは、文字通りというか、ヘッドセットを有線接続するためのソケットになるのだが、全てのPS4にヘッドセットが同梱されることがポイント。標準でヘッドセットが同梱されることにより、ボイスチャットや音声認識を使った要素も手軽に利用できるようになるだろう。

そしてコントローラについているスピーカーは、エフェクト音や警告音など、テレビスピーカーとは違う音を、ゲーム体験に合わせてユーザーの手元から出せるようになっている。ほかにも細かい変更点ながら、PS4本体がスタンバイ状態であってもコントローラの充電が可能になっているのは嬉しいところ。

本体には同梱されないが、周辺機器として「PlayStation Camera」がある。このカメラは二眼となっており、それぞれ1280×800の解像度、85度の視野角を持っている。カメラを使用するゲームを開発することはもちろん、シェア機能を使ってカメラでプレイヤーの顔を出しつつゲームの中継をするなど、さまざまなことに活用することが可能だ。

二眼であるため、プレイヤーがカメラからどれくらいの距離にいるかのデータを取得できるほか、マイクも付いているため音声認識もこれひとつで行えるようだ。PlayStation Moveと組み合わせて使用できることもポイント。

ハードウェアの次は、ソフトウェア機能の紹介も行われた。本体起動後のホーム画面は、PS3ではクロスメディアバー、PS Vitaではタッチベースの情報更新型LiveAreaと呼ばれるUIが採用されていたが、PS4では新たに「PlayStation Dynamic Menu」というUIが作られている。PS4の新UIでは、ゲームを起動せずとも、プレイヤーが興味を持つであろう新しい情報を簡単に入手できるようになっているという。

また、ポイントとなるソフトウェア機能には、「フレンドシステムの改善」「Companion Apps」「Play as you download」などがある。まずフレンドシステムについてだが、PS4では既存のアカウントに実名とプロフィール写真を付与することができる。

実名の情報に関しては、フレンドに申請を行い承認された場合のみ、つまり両者で合意があった場合のみ表示される仕組みになっている。これはシステム上はもちろん、インゲームでも同じ扱いになるとのこと。ほかにも、フレンドの最大人数が100人から一気に2,000人と、大幅な拡張が予定されている。

続いての「Companion Apps」は、フレンドとのチャットや最新のゲームプレイ動画をチェックしたりと、“どこでもプレイステーション体験”をコンセプトにしたアプリで、iOS/Android向けに提供される予定のもの。iOS/Android上で作ったアプリが、PS4とネットワーク越しに連動可能になる。自宅のLANに接続することでPS4とつなげることで、例えばRPGやアクションゲームでダンジョンのマップを表示させるといった、セカンドスクリーンのような役割としても活用することが可能だ。

「Play as you download」は、ストアでゲームを購入したらすぐにプレイが開始できるようにするための仕組み。現状では、ゲームのデータを全てダウンロードしなければゲームを始められないが、PS4上ではゲームプレイに必要な最小限の部分だけダウンロードが終わると、残りはゲームプレイ中にダウンロードをさせることができる。

最後はCEDECというイベントに合わせて、PlayStationのライセンスデベロッパーに提供されている「PhyreEngine」や、同エンジンに統合可能なミドルウェアなど、開発環境に関する話題となった。ここでの内容は「GTMF 2013」での講演と重複する部分も多かったが、秋山氏は開発者にとってPS4は「やりたいことをとりあえず作ってみたら、意外と動く」という、豊富なリソースが魅力だとアピールしていた。

実際にそのデモンストレーションとして、SCEのデザイナーにボーン数やポリゴン数の制限を抜きにして“とりあえず作ってもらったもの”が披露された。いろんな制限を考えずともパフォーマンスが十分に発揮でき、デザイナーが自由に作ったため、さらに豊かな表現も可能とのこと。製品にするためにはブラッシュアップしなければいけないが、プロトタイプが早く作れるため、試行錯誤の時間も多く取れるようになるだろう。

最後は集まった業界関係者に向けて、クリエイターの支援や開発のサポートについての説明を行い、講演を締めくくった。

今回のCEDEC用に作られたキャラクター。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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