本日9月27日、東京・新宿ロフトプラスワンにおいて、「Falcom jdk BAND Live & Talk Show Vol.5 ~近藤社長に聞く!『閃の軌跡II』と『イース』PS4参戦~」が開催された。

目次
  1. 「閃の軌跡II」主題歌の「閃光の行方」をアコースティックバージョンで披露!
  2. セットリスト
  3. 「閃の軌跡II」発売を迎えて、近藤氏が制作秘話を語る
  4. 「イース」新作は“ケフィン”後の冒険が描かれる

「閃の軌跡II」主題歌の「閃光の行方」をアコースティックバージョンで披露!

今回も、Falcom jdk BAND(以下、jdk BAND)によるアコースティックライブで幕を開けた本イベント。岡島俊治さん(ドラム)、水谷美月さん(ヴァイオリン)、榎本敦さん(ベース)、宮崎大介さん(ギター)の編成でまず演奏されたのは「Fate Of Fairies」。岡島さんは事前の告知通り、3つのツボならぬ、3つのウドゥ・ドラムでのパフォーマンスを披露してくれた。

そして、前回のイベントでは欠席となった小寺可南子さん(ボーカル)が登場して挨拶すると、会場からは割れんばかりの握手が。9月は多数のイベントに出演していることから岡島さん共々にお疲れな様子ではあったが、黄金色のグノーシスならぬ生ビールで「発情期!」と乾杯し、公開打ち上げ(?)がスタートした。

前回に続き、先日発売されたばかりの「軌跡 jdk アクースティックス(音響空間) Mizuki Mizutani VS. Kanako Kotera(以下、jdk 軌跡 アクースティックス)」(以下、「軌跡 jdk アクースティックス」)中心の編成となった今回のライブ。前回は小寺さんが不在ということもあってインスト曲が主なセットリストとなったが、今回は「Maybe it was fated」「セルリアンブルーの恋」などボーカル曲を多数披露した。

そして、岡島さんが制作した「英雄伝説 閃の軌跡II」(以下、「閃の軌跡II」)の主題歌「閃光の行方」もアコースティック編成ならではの別アレンジバージョンで演奏。音が押し寄せてくるようなカッコよさが魅力の原曲とは違う、メロディアスかつテンポ感の良い楽曲に会場からは手拍子がこぼれた。

セットリスト

M1.Fate Of Fairies(「英雄伝説 空の軌跡」)
M2.Maybe it was fated(「英雄伝説 空の軌跡」)
M3.閃光の行方 アコースティックVer.(「英雄伝説 閃の軌跡II」)
M4.クロスベルの午後(「英雄伝説 零の軌跡」)
M5.セルリアンブルーの恋(「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」)
M6.PANDRA(「イースVI」)

「閃の軌跡II」発売を迎えて、近藤氏が制作秘話を語る

続いては、岡島さんと日本ファルコム 代表取締役社長の近藤季洋氏が登場し、9月26日に発売を迎えた「英雄伝説 閃の軌跡II」に関するトークを展開した。

メインクエストのみを進めてクリアしたという報告もちらほらあるという本作だが、近藤氏によるとそのボリュームは80時間以上にも及ぶという。その理由としては前作にも増してクエストが多いということ、そしてVII組のメンバーに限らず、士官学院のメンバーをカレイジャスに乗せていくことがあるという。

また、前作ではエピソードごとに区切られる章仕立てだったのに対して、今回は部仕立てとなっている。その中では自由に行動できるタイミングもあるということなので、まだプレイが進んでいない人はその点にも注目してもらうといいのではないだろうか。

これだけのボリュームについて、岡島さんから「もともと『閃の軌跡II』を作るつもりだったんでしょ?」ともっともな質問が。近藤氏はもともとは一本で作るつもりだったことを告白。ただ、未だ語られていない帝国での事件など、これまでのシリーズで張られてきた伏線の数々を並べた結果、難しいという判断に至ったとその経緯を語った。

そんなゲームの見どころは、前作のラストからどういう風に物語が始まっていくのかだという。内戦下の帝国でVII組が集結していくことになるのだが、学生である彼らが全てを解決できるわけではない。そんな中、持っている力で何を成していくのかという部分に注力して描かれていくようだ。

ストーリー全体を通して、「閃の軌跡」シリーズとして明かさなければいけない謎については当然触れているということだが、その一方で軌跡シリーズ全体を通して深まっていく謎もあるという。現在、「閃の軌跡II」に続く次回作の制作に入っているということだが、「空の軌跡 3rd」にまだ隠されている伏線などについても言及していたので、そのあたりの内容についても、「閃の軌跡II」を進めつつ楽しみにしたいところだ。

そんな本作の開発エピソードだが、その期間は10ヶ月ほどとのこと。本作を含めて今年で10年を数える軌跡シリーズだが、これまでに8作品がリリースされるなど、RPGタイトルとしては異例のペースといえる。

近藤氏によると、軌跡シリーズの開発のコンセプトとして、「空の軌跡FC」から「空の軌跡SC」、「零の軌跡」から「碧の軌跡」というように、同じ舞台で新たな物語を描くことによって時間的なコストを抑えることを意識したという。当初は「空の軌跡SC」が発売されるまでに2年かかるなど、開発スタッフのノウハウがなかったことから苦労はあったようだが、現在はスタッフとも阿吽の呼吸で開発しており、プレイ時間が80時間にもおよぶゲームを10ヶ月で作ることが達成できたのだと話していた。

続いて、近藤氏からの「今回はボスが強いと感じている人もいるのでは?」という逆質問からゲームの内容について触れることに。今作では、前作「閃の軌跡」を経て主人公たちが強くなっていること、そして「神気合一」といったリィンの能力や新システム「オーバーライズ」を組み合わせるとパーティ側が強くなってしまうことから、必然的に敵のバランスもそれに準じたものに。ただし、単にパラメータを挙げると戦闘が単純になってしまうため、先述のシステムを惜しみなく使ってもらうことで戦闘を進められるバランスになっているそうだ。

また、前作「閃の軌跡」は各キャラクターのクラフトが強力なゲームとなっていたが、今作ではアーツが強化されているという点も特徴として挙げられた。それを体現しているのが、序章から登場し、専用のアクセサリを装備することで短い時間でアーツを発動できるトヴァルだ。

序章でボスとして登場する魔煌兵戦では、トヴァルにアーツを多用させるのが攻略のポイントだと近藤氏が言及。実際、一番最初にテストプレイを行った近藤氏は、トヴァルにクラフトを使わせて挑んだところ、ゲームオーバーになってしまったそう。まだゲームバランスの調整段階だったため、スタッフに「トヴァルが弱い」と言おうと思ったそうだが、何の考えもなく設計しているわけがないと思い直して「聞いたら負けだ」と再挑戦して、気づくことができたのだとか。

そういったかたちで近年はテストプレイをして、気づいた点をスタッフに伝えるのが、開発後期における近藤氏の役割になっているという。企画・シナリオが終わって、スタッフが開発の追い込みに入っている中でプレイすることで、フィニッシュワークにどういった方針で臨むかなど、先々の準備を行っていくのだそう。

このように各セクションが協力し、チームとして行うゲーム制作の喜びを、1人ではできないことをみんなでできることだと話した近藤氏。昔は会議ではAとB、2つの意見があった時にどちらかを選ぶことが必要だと思っていたそうだが、現在ではAとB、それぞれのいいところをとってCを作るといった、お互いのアイデアを理解することによって、チームでの制作におけるロスを無くすことが大事だと話していた。

これは音楽制作に関わる岡島さんも同感の様子で、一人で作るデモの段階ではこれでいいのかわからない時が多いものの、楽器での生の演奏、そしてボーカルが乗った時に初めて納得が生まれるのだとか。

主題歌である「閃光の行方」もそういった曲のひとつということだが、そもそも制作は「閃の軌跡」の時だったことがここでは明かされた。当初からオープニングで流れる曲を想定して書いていたそうだが、曲の密度が高いことから「閃の軌跡II」で使いたいと判断したことから今回の起用に至ったとのこと。

ちなみにコーラスを厚くしてほしいというオーダーから、本楽曲では岡島さん自身のコーラスが組み込まれているそうだが、これは日程がギリギリだったなどの理由によるものだという。このようにクリエイティブは基本、環境や予算などの理由から予定通りに運ぶことはないものの、無理と諦めなくても着地できる地点があるのだという、クリエイターならではの視点でのトークもあった。

「閃の軌跡II」のコーナーで最後に触れられたのは、「神気合一」と並ぶリィンの特殊クラフト「騎神召喚」について。CPを消費する通常のクラフトとは異なり、EPを消費して使うことができるようになっているのだが、情報公開時にも触れられていたように、当初は他と同様、CPを使うクラフトとして用意していたという。

こちらも近藤氏がテストプレイをする中で、リィンがクラフトを中心に攻めるキャラクターでCPが不足気味になってしまうこと、EPが余るケースが多いことから、現在のかたちに落ち着いたのだとか。結果的に、リィンがより使い勝手の良いキャラクターになったと過程を振り返った。

「イース」新作は“ケフィン”後の冒険が描かれる

そして後半では、9月1日のSCEJA Coferenceで発表された、PS4/PS Vitaで展開する「イース」の新作について。1月に開催されたイベントでタイトルの核心に触れまくっていたのだが、当然のように社内外からはあの後ストップがかかった模様。今回も何やら不穏なコメントがあったような気がするがそこには触れず、今回のイベントで明らかになった内容について紹介していこう。

「イース」新作についてはタイトル名はまだ明かされていないものの、制作はすでに数ヶ月が経過しているという。まず注目されるのがPS4で発売されるという点だが、これはSCEからPS4の話があった際に、マシンのスペックとして将来的には移っていくのだろうと感じたこと、そしてスタッフのモチベーションが高かったことから制作に踏み切ったという。その一方で、前作「イース セルセタの樹海(以下、セルセタの樹海)」をPS Vitaで展開したことで、引き続きPS Vitaでも出したいと考えたことでPS4/PS Vitaというマルチプラットフォームでの展開となったようだ。

PS4の魅力について近藤氏は、ゲームを作りやすい仕組みであること、そしてスペックが高いので容量やメモリなどの関係でこれまで難しかったことが採用できる点にあるという。実際、PS4での開発を進めるにあたって、まずは「セルセタの樹海」をPS4上で動かして見るところからスタートしたそうだが、わずか2ヶ月ほどで動作までを実現できたとか。

気になる開発の進行度については明言を避けたが、2015年には必ず届けたいとは思っているとのこと。ここからはゲーム内容に関するトークが展開したが、中には現在アイデア段階のものも多分に含まれているとのことなので、予めご理解いただきつつ、読んでもらいたい。

まず先日のトレーラーでも明かされた通り、「イースVII」「セルセタの樹海」に続いて複数キャラクターによるパーティ戦闘を採用。ただし、毎回同じものになってしまってはつまらないので、1人で戦うパートについても検討しているそう。

開発においては、「セルセタの樹海」にてアドルが未知の領域に挑む中、地図を作るシチュエーションが良かったものの、99.9%まで達成した場合に残りの0.1%を見つけられないといった問題もあったため、エリアごとに細かく達成率を設定すればよかったという反省点があるという。また、本作では「イース」シリーズにおけるパーティアクションの完成形を目指しているということで、ジャンプの仕様などアクションにおけるさまざまな点でチャレンジしているようだ。

今作は新たにキャラクターの表情をモデリングで制作し、その変化をスムーズにすることで新たな雰囲気作りを目指しているという。また、今作では“海”と“霧”キーワードとしており、アドルのイメージとして色濃いである“漂流”についても、今回はネタではなく、前後関係も含めてよりリアルに描いていきたいとそのコンセプトを話した。

ちなみに、「イースVII」をもってこれまで明らかにされたアドルの冒険は全て描かれたことになるが、8作目に該当する本作では、今までの「イース」のフォーマットを残しつつも、アドルの新しい冒険を描いていきたいそう。気になるその時系列だが、「イースVII」からは遡り、アドルが20歳の「イースV」と23歳の「イースVI」の間、“砂の都ケフィン”の冒険の後が描かれることがここで明らかになった。

そのほか、シナリオを作る以前に、スタッフがさまざまなシチュエーションを用意したアーリーイメージや、キャラクターのデザイン案なども公開。これらのイメージは直接ゲーム内に登場するわけではないということなので参考程度に見てもらえればと思うが、ここでも新作に関する気になる話題があったので、紹介しよう。

今作ではガリア地方のゲーテ海が舞台となることはすでに発表されているが、登場人物に関する方針として人数を絞ること、そしてパーティにはみんなが咬み合わない、馬の合わないキャラクターたちが集まるようにしたいという。すぐにイメージは湧きづらいとは思うが、岡島さんが挙げたOVA「イース 天空の神殿」でアドルが村八分にされたようなシチュエーションが近しいとのこと。新作では「イース」本来のファンタジックな魅力やアクションの楽しさは当然残しつつも、冒険の中で起こりうる苦難も描いていきたいとその理由を語った。

また、トレーラーでもあったようなアドルが崖を這い上がる仕組みを入れて、例えば崖を登った先に海岸線が見えるといったような、過去の「イース」で感じられた冒険を進める中での達成感を3Dで表現したいと近藤氏が話すと、岡島さんもファルコムのゲームの魅力として「景色を見て、音楽を聞いて、眺めている、なんでもない時間が重要」だと応えていた。

ちなみに、先日のトレーラーで流れた音楽についても実は「閃の軌跡」の際に岡島さんが提出したものだったことがこの場で明らかに。9月1日のSCEJA Conferenceで発表することになった時、ムービーを流そうにもまだ曲を準備できていなかったものの、元々「イース」らしい雰囲気に仕上がっていた岡島さんの曲があったことから、近藤氏が「曲あるじゃん!」と思い、急遽使用したというエピソードが語られた。

その後は、アクションステージ1つぐらいのコストで考えているというボス戦へのこだわりを過去作を踏まえて話したりとトークは非常に盛り上がったが、残念ながらここでタイムアップに。最後に、11月29日(土)の夜に新宿ロフトプラスワンにて次回のイベントが開催されることが明かされた。今回は「閃の軌跡II」の発売直後ということもあってネタバレは控えた内容だったが、次回は発売後2ヶ月が経過しているということもあり、ファンにとってはこれまた気になる内容となりそうだ。

英雄伝説 閃の軌跡II

日本ファルコム

PS3パッケージ

  • 発売日:2014年9月25日
  • 12歳以上対象
英雄伝説 閃の軌跡II

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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