各界の著名人がゲームの未来について語った「FOST設立20周年記念講演会」

発表会・イベント取材
0コメント 仁志睦

12月4日、公益財団法人 科学技術融合振興財団(FOST)は東京・明治記念館にて「FOST設立20周年記念講演会」を開催した。各界の著名人がゲームの未来について語った講演をレポートする。

「FOST」は「科学と技術の融合したシミュレーション&ゲーミングの研究助成」を目的として1994年に設立された公益財団法人で、設立基金10億円はコーエーテクモホールディングス代表取締役社長の襟川陽一氏が個人で出資したもの。シミュレーション&ゲーミングに関する研究への助成と優れた研究者、実務者への「FOST賞」の贈呈をおもな活動目的としており、20年間の研究助成件数は529件、総助成金額は3億3600万円となっている。

本講演はこのFOST設立20周年を記念したもので、「ゲームの未来」をテーマにゲームソフトメーカー、プラットフォーマー、研究者、メディアなど各界の著名人が、それぞれの立場からゲームの今後や課題、将来への期待などを語った。

登壇者(登壇順)

公益財団法人科学技術融合振興財団理事長 襟川陽一氏
ソニー・コンピュータエンタテインメント取締役 SCEJAプレジデント 盛田厚氏
ディー・エヌ・エー取締役 ファウンダー 南場智子氏
東京大学大学院教授 馬場章氏
KADOKAWA・DWANGO取締役 浜村弘一氏


レベルファイブの日野晃博氏からのお祝いの花も届いていた。

襟川氏が3つの立場からゲームの未来を語る

襟川陽一氏
襟川陽一氏

最初に登壇した襟川陽一氏はFOST理事長、コーエーテクモホールディングス代表取締役社長、ゼネラル・プロデューサーのシブサワ・コウという3つの立場から講演を行った。

まず、FOST理事長として財団設立の経緯や意義、おもな活動などを紹介。研究助成については、近年はネットワーク、インターネット、モバイル、クラウド、AIなどを切り口としたものやシミュレーション言語、シミュレーションシステムといった開発環境をテーマとした研究が多いとのことで、2013年度ではゲーム実況、学習支援、防災シミュレーションといった研究も助成の対象になったという。その上で、襟川氏は「今後もシミュレーションが豊かな社会と文化の実現に貢献できますよう、研究者や実務家の方々を支援してまいりたいと思います」と抱負を述べた。

コーエーテクモゲームスの代表取締役社長の立場からは、同社を例にしたゲームビジネスモデルや成長戦略などが語られた。まず、襟川氏はコーエーテクモゲームスが2009年のテクモとの経営統合以来、4年連続で増益を続けていることを紹介し、その要因として同社の経営方針である「IP創造と展開」を挙げた。

IPとは知的財産権のことでゲームタイトル、キャラクター、ゲームシステム、背景音楽、コンピューターグラフィックスなどを指す。襟川氏はこのIPを新規に創造し、多方面に展開することによって収益性を実現するというのがコーエーテクモゲームスの成長戦略であると説明。家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、スマートフォンなど、さまざまなプラットフォームへのゲームの展開や「北斗無双」、「ゼルダ無双」、「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」といった他社IPとのコラボ展開などを、その例として挙げた。

もちろん、技術の進展によってマーケティングやビジネスモデルは変化していく。実際、スマートフォンの普及が進んだ2010年を境にゲームのビジネスモデルは劇的に変わってきていて、例えば世界最大のゲームソフト会社であるエレクトロニック・アーツ社は、アイテム課金やダウンロード課金といったデジタルビジネスの売上が50%を超えているという。コーエーテクモゲームスも2013年度は20%だったが、本年度は30%になる見込みで、今後も世界レベルでデジタルビジネスが伸びていくだろうと襟川氏は予測。必然的に、ゲーム開発もダウンロードコンテンツに適合した作り方になっていくだろうと語った。

最後にシブサワ・コウの立場からクラウドゲームや今後について発言。襟川氏はストリーミング機能を活用しつつ、クラウドサーバーにスーパーコンピューター並の処理能力を持たせることを夢見ているそうで、これが実現すれば、今までにない雄大な表現力で圧倒されるゲームになると確信していると熱い口調で語った。

クラウドゲームは将来的な夢だが、今後2、3年で取り組みたいテーマも3つあるとのこと。ひとつは歴史シミュレーションの継続的な発展で、その一環として来年30周年を迎える「三國志シリーズ」最新作の開発を進めているそうだ。ふたつめは50~60代のシニア層に向けたゲームを作ることで、シニアの感性を満足させる日本の文化に根差した社会性を持ったものにしたいという。3つめは斬新で展開力のあるゲームシステムを作りだすこと。この部分ではSCEが開発を進めているバーチャルリアリティシステム「Project Morpheus」に特に注目していて、「武将となって戦場を駆け抜ける」など、いろいろなアイディアが実現できるだろうと語った。

最後に、現在開発中の新作タイトル「Ni-OH 仁王」を紹介。非常に特徴的なシステムを持つアクションRPGで、日本の歴史や文化を世界に発信するという意味も含めて力を入れていると語った。

ゲームの枠にとどまらないプレイステーションの取り組み

盛田厚氏
盛田厚氏

ソニー・コンピュータエンタテインメント取締役 SCEJAプレジデントの盛田厚氏は、プレイステーションがゲームエンタテインメントにもたらしてきた変化や今後の方向性について語った。

まず、盛田氏は20周年を迎えたプレイステーションの進化や歴代のハードがもたらした影響などについて説明。「プラットフォームが新しくなるたびに遊び方が進化するのが、ゲームビジネスの醍醐味であり特徴でもある」と語ると同時に、それらの遊びの進化を実現してきたのがゲームクリエイターたちであり、「プラットフォームが提供した刺激を受けて、さまざまな新しいゲーム体験を生み出してくれました」と、感謝の念を述べた。

現在は、さまざまなコンテンツやハードウェアがネットワークと融合しているが、この点について、かつて久夛良木健氏が「PS3はないよ、ネットに融けちゃうからね」と語っていたことを紹介。同氏が言っていたことがようやく現実になってきたと、その先見性の高さを讃えた。ここ数年はスマートフォンやタブレットにゲームをダウンロードして楽しむカジュアルゲームの市場が拡大しており、これを家庭用ゲームの危機とする論調も多いが、盛田氏は「ゲームをプレイする人のすそ野が広がっていてビジネス拡大のチャンス」と肯定的にとらえているそうだ。

実際、プレイステーション4は世界での売上台数が1350万台を突破しており、これは過去最高の普及スピードであるのはご存じのとおり。このプレイステーション4が起こそうとしている最大の変化がメディアのデジタル化だ。これはディストリビューション(流通)だけではなく、ゲームの楽しみ方にも変化を及ぼしているとのことで、さまざまなダウンロードコンテンツのほか、体験版を試してから本編を購入するという形での販売の促進やスマートフォンで一般的になっているフリー・トゥ・プレイの導入など、ディスクとダウンロードの双方向で新しい売り方や楽しみ方を提供できるようになったと盛田氏は述べた。さらに、プレイステーション4の発売後、オンラインのメンバーシップサービスである「PlayStation Plus」の会員数が4倍になったことも紹介。こうしたネットワークサービスがプレイステーション4をさらに拡大していくためのポイントになるだろうと予測した。

続いて、プレイステーションでこれから起こしていきたい進化について言及。最初に挙げられたのが、襟川氏も述べていた「Project Morpheus」だ。体験した人の多くが驚いてくれるそうで、クリエイターの反響も非常に大きいことから、「今までとは一段違う、未来のエンターテインメントを提供できる可能性があるので、大事に育てていきたい」と語るなど期待の高さをうかがわせていた。

次に紹介されたのがプレイ動画をネットにアップロードする「シェア機能」で、これを使って「自分のプレイを見せる」、「人のプレイを観戦する」といった新しい楽しみ方が生まれてきているという。盛田氏は渋谷のスクランブル交差点でワールドカップ予選を観戦して盛り上がる人たちを見たことから、「人はみんなで一緒に盛り上がりたい、感動を共有したい」という気持ちが強いのだと改めて実感したそうで、そうした体験をこの「シェア機能」でもっと身近なものにしていきたいと語っていた。

もうひとつがビデオや音楽などのノンゲームサービスの拡充で、これまでなかなか実現できなかった「プレイステーションを家庭内のエンターテインメントのハブにする」という目標を目指せるところまできたのではないかと盛田氏は述べた。そのほか、「PlayStation Now」や「PlayStation VUE」といったクラウドベースのデバイスに依存しないサービスの展開も紹介。日本でもTorneやnasneという形でテレビソリューションを展開しているように、「ゲームエンターテインメントの視点からのAV機器の提案」を今後も続けていきたいとのことだ。さらに、ゲームにとどまらず、いろいろなメディアやデバイスのボーダーをなくしていき、「日本だからできる“何か”を業界全体でやっていきたい」と展望を語った。

最後に盛田氏は、「プレイステーションは常に未来を意識してきました。今後も同様に未来を見据えて走り続けていきたいです」とコメント。具体的な内容として、「求められているものを求められている人に提供する」、「ユーザーの皆さんが想像しているものを超えるゲームの世界を提供する」、「エンターテインメントと呼ばれるサービスを融合させて、人と人や世界をつないでいき、それによってプレイステーションの世界を広げていく」という3つを目標に掲げ、まとめとした。

ディー・エヌ・エーの波乱万丈なゲーム事業を振り返る

南場智子氏
南場智子氏

ディー・エヌ・エー取締役ファウンダーの南場智子氏は、経営側からの視点で同社の悲喜こもごものゲーム事業の変遷を振り返った。まず、南場氏はディー・エヌ・エーのゲーム事業がフィーチャーフォンでのフラッシュゲームから始まったことを紹介。内容はいたってカジュアルなもので、アバターの販売と広告が収益の中心だったそうだ。

次に、同社はもっとゲームの表現を豊かにして課金モデルを作るべく、JAVAアプリゲームに進出したが、こちらは起動に時間がかかる上、通信環境に左右される部分も大きかったため快適性に欠け、まったくの鳴かず飛ばずに終わったという。この頃、すでにGREEが破竹の勢いだったことから、焦っていたという南場氏だったが、ここでご存知のように「怪盗ロワイヤル」が大成功。ケタ違いの収益を上げたわけだが、この成功体験が呪縛となって、のちに長く苦しむことになったと南場氏は述懐した。

ディー・エヌ・エーはこのあとプラットフォームをオープン化してさらなる成功をおさめるが、最初は収益性が下がるなど多くの反対があったそうだ。しかし、自社の開発リソースに限界があったことから、多様なユーザーのニーズに応えるためオープン化を実施したのだと南場氏は語った。結果、カードバトルゲームをはじめとする新たなタイプの人気ゲームが生まれ、同社はさらに飛躍。この当時、すべての携帯電話事業者のパケット通信量の約2割をディー・エヌ・エーのMobageが占めていたそうだ。

やがてスマートフォンアプリが隆盛になるとディー・エヌ・エーは退潮。この時期のことを南場氏は「地獄を見た」と表現する。同社のスマートフォン向けアプリが振るわなかったのは「人気ゲームの外側を変えて、表現を豊かにするだけで乗り切ろうとしたから」(南場氏)とのことで、それまでのヒット作が少人数で作られていたことから、過去の成功体験にとらわれて、開発人数を増やすといった切り替えがなかなかできなかったという。

現在は、「FINAL FANTASY Record Keeper」の登場によって成功をつかみつつあるが、南場氏が開発陣に成功要因を聞いたところ「剣を振って気持ちいいキャラクターの動き」と答えたという。これはかつてゲーム機でのプレイ体験や快感をスマートフォンで提供することに集中したからで、そのためには「技術の蓄積」が必要なのだという。

さらに、南場氏はこの開発者が、開発中のゲームを「面白くない」と言うのがもっともつらいと語ったエピソードを紹介。彼はゲームを出すかどうかの最終判断をするエグゼクティブプロデューサーであるため、「面白くない」の一言で数々のプロジェクトにボツを出してきたのだと述べた。もちろん、スタッフは誰ひとり怠けていないことを承知の上で、場合によっては自分がアイディアを出したものでもだ。これを踏まえて、南場氏は「結局、ただ表現が豊かになっただけではダメなんです。ユーザーが気持ちよくなったり、面白いと思えるかどうかなんです」と自嘲気味にコメント。さらに、「そこの判断がディー・エヌ・エーの経営陣は弱い」と指摘されたことも明かした。

現在はGoogle PlayやApp storeといったアプリマーケットが主流で、ディー・エヌ・エーもいちゲーム提供者として他社と競争しているわけだが、「プラットフォームをあきらめていいのかな?」とも考えているそうだ。それは現在のアプリマーケットが配信と課金決済しか行なっていないからで、南場氏はプラットフォームにはマーケットメイクの役割があり、そのひとつが“値決め”だと考えているのだという。例えば、コンソールゲームの価格はだいたい5000円前後がコンセンサスになっているが、それによって投資家はビジネスプランの算段が立ち、事業がしやすくなると説明。そのようなプラットフォーム作りをいつかは目指したいし、自社以外のところが作ってくれてもかまわないと語った。

ちなみに、「モバイルゲームの未来はまったく分からない」、「3年後にはこういうゲームが流行るという人を私たちは信じません」とのこと。ただ、これまでの経験を踏まえて、過去のパターン・先入観を否定するところから始める。そして、あくまでユーザーと向き合うことが重要と総括し、講演を終えた。

デジタルゲーム研究の現状と世界に追いつくための課題

馬場章氏
馬場章氏

東京大学大学院教授でFOSTの理事も務める馬場章氏は、ゲーム研究におけるデジタルゲーム業界の変化と健在の課題について語った。まず、馬場氏はデジタルゲームを「現代の知的複合体」と定義。特に、コミュニケーション、インタラクティブ、グラフィック、サウンドといった複数の芸術要素をあわせ持つことから「総合芸術」とも呼ばれていることなどを紹介した。

次に、2008年と2013年の家庭用ゲームソフトの売上本数を比較し、ゲーム業界がどのように変わったか説明。2008年はランキングに携帯機と据置機が混在していたが、2014年は上位を携帯機が独占していることから携帯型ゲーム機への移行が確実になったこと、「ポケットモンスター」「モンスターハンター」「ドラゴンクエスト」「どうぶつの森」などビックタイトルの人気はさほど変動していないこと、上位タイトルに売上本数が集中するようになったことなどを変化の事例として挙げた。また、売上の面では分からないが、ソーシャルゲームの隆盛やスマートフォン、タブレットがゲーム機の主流のひとつとして定着したことなどにも言及。ゲームと社会との接点は拡大、多様、複雑化していると語った。

では、デジタルゲーム研究は2008年と現在でどのような変化があったか。これは光と影が表裏一体で、良い部分では若手研究者の増加や学部・学科、研究機関の新設、研究対象の広がり、新概念の発案・導入、学際性のさらなる進展などが挙げられるという。だが、その反面、研究者は増えているのに大学内のアカデミックポストが増えていない。少子化に対応するための生徒集めに利用されていることが多く、大学や学部、学科によってかなりレベル差がある。ゲーミフィケーションなどの新概念が間違った意味で使われているなど、問題点も少なくないそうだ。

さらに、近年は欧州がゲーム研究の中心となっており、日本は大きく遅れを取っている状態だと馬場氏は述べる。実際、現在の欧州のおもな研究機関である、イギリス・コベントリー大学のシリアスゲーム研究所やオランダ・コペンハーゲンのIT大学のコンピュータゲーム研究センターなどは各国に人材を輩出するなど、グローバルな展開を見せているという。そのほか、中国、韓国、北欧諸国、イランなど各国にさまざまなゲーム研究所が設立されているが、日本では組織として確立しているのは立命館大学のゲーム研究センターだけとのことだ。

ちなみに、デジタルゲーム研究はゲームの面白さを分析し、その面白さがどのように生じるのか解明して、面白いゲームを開発することを目的としていて、おもに「デジタルゲームと人」、「デジタルゲームと社会」「デジタルゲームと技術」という3つの分野に分けられるという。現在のトレンドはシリアスゲームやゲーミフィケーション、ARGの理論化と実践。生理心理学研究の活性化、ゲームデザイン研究の具体化と実践など。ここで、馬場氏は「ゲーム研究の世界では2番はダメで、1番にならなければならない」と語り、日本は遅れているのではないかと課題を投げかけた。

最後にゲームの未来について研究者がすべきこととして、4つの課題を提示。ひとつめは「安心・安全で快適なゲームプレイ環境の構築」で、これには開発者、保護者、教師などの協力が必要になるという。ふたつめはレーティングを前提とした「いつでも、どこでも、誰でもゲームプレイができるようなユビキタス状態の実現」。3つめはゲームとの付き合い方を意味する「ゲームリテラシー/ルードリテラシーの普及」。最後は「日本がゲーム研究の発信地のひとつになる」というもので、それには資金が必要なことからFOSTの役割はますます重要になると結論付けた。

馬場氏はエンタテインメントゲームを活用した教育・学習やデジタルゲームの開発といった研究も行っているとのことだ。

ゲームコミュニティの形成・維持が生き残りの戦略に

浜村弘一氏
浜村弘一氏

KADOKAWA・DWANGO取締役の浜村弘一氏は「領域を超え始めたゲームコンテンツ」と題して、メディア側の視点から講演を行った。まず、浜村氏は家庭用ゲーム機の市場とスマートフォンゲーム市場の壁が消えて融合しつつあると説明。日本でも米国でも家庭用ゲームとスマートフォンゲームの両方を遊ぶ層が増加傾向にあり、ゲームIPの側も「パズドラZ」や「チェインクロニクルV」など、スマートフォンから家庭用にさまざまなタイトルが移植。さらに、カプコンの人気タイトル「バイオハザード リべレーションズ2」がダウンロード版を先行配信するなど、スマートフォン的な顧客の囲い込みと維持を目指していることを挙げ、ビジネススキームでも家庭用ゲームとスマートフォンゲームの差がなくなりつつあると語った。

こうした事象を集約するのが「リテンション」というキーワードだ。リテンションとは「維持」、「継続」という意味で、ゲームにおいてはファンの興味を喚起して人気を維持し続け、そこから新たなビジネス展開をしていくことだと浜村氏は定義する。マーケティングの面では、今なお高い人気を誇るスマートフォンアプリ「パズル&ドラゴン」がその好例で、「エヴァンゲリオン新劇場版」、「ドラゴンボール改」、「ビックリマン」など、他社のさまざまな人気IPとのコラボで話題を提供し続けることが、新規ユーザーの獲得と人気維持の大きな要因となっていたことは間違いないだろう。

家庭用ゲームのほうでも、例えば「モンスターハンター4」はジャンプやマガジンといった主要少年誌とのコラボのほか、ゲーム大会の開催やフリークエストの配信などを「4G」の発売まで継続的に行っており、このようにユーザーを囲い込み続けたことが、「4G」の人気の一因になっているのではないかと浜村氏は語った。また、「THE IDOLM@STER ONE FOR ALL」や「The Last of Us」などもDLCを配信し続けることによって高い人気を維持し続けている。

追加課金に消極的だった任天堂も「マリオカート8」などでDLCを導入。ユーザーコミュティに話題を投入し続けることによってファンの維持に努めている。特に浜村氏が注目していると語るのが「amibo」で、これはフィギュアの中に入っているデータを読み込んでゲームに反映させるというもの。ソーシャルゲームのアバターのようなものとも言えるが、フィギュアという実物があるので、「これならお母さんも納得して子どもに買ってくれるのではないか」と予測した。

ゲーム動画も「お客を囲い込む」という部分で、大きな注目を集めていると浜村氏は語る、現在、ゲームの動画は非常に人気が高く、YouTubeでは音楽に次ぐ再生数を誇っており、ニコニコ動画の生放送もゲーム実況が52%を占めているそうだ。世界的な人気を誇る実況者も次々に登場しており、例えばスウェーデン人のPewDiePie氏の動画は3か月間で約62億回も再生されていて、再生数に応じて得られる年間の広告収入は約400万ドル(約4億円)にも達するという。

実際、ユーザーの動画のほうが企業のアップする公式動画より人気が高い場合が多く、企業の側もこうした有名な実況者が形成する巨大なコミュニティを情報発信に利用するようになっているそうだ。この状況に目を付けたのがAmazonで、ゲーム専門の動画配信サイトTwitchを買収。ゲーム実況動画から販売ストアに直結するシステムを作り、ゲームの売上の増進をはかっているという。さらに、同様の例として、PCゲーム配信サイトのSteamがゲーム実況動画を自社で始めることも紹介された。

かつてスマートフォンが家庭用ゲーム機を飲み込むと言われた時期があったが、スマホゲームが順調な伸びを見せる一方、3DSは1600万台まで販売台数を伸ばし、プレイステーション4も全世界で空前の売上を記録している。浜村氏は「当時はスマホゲームユーザーと家庭用ゲームユーザーが別の層だったのが、ユーザーレベルでもコンテンツレベルでも混じり合い、両者にボーダーがなくなってきたからではないか」と、現状を分析。そして、これがゲームの未来の形ではないかと語り、今後は売り切り型のコンテンツがなくなっていき、継続的なサービスの運用による、ユーザーコミュニティの形成に成功したものが生き残る時代になるだろうと語った。

※画面は開発中のものです。

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