ソニー・コンピュータエンタテインメントが12月11日に中国・上海のメルセデス・ベンツ・アリーナにて開催した「PlayStation press conference in China」。イベント終了後、SCE織田博之氏らにインタビューを行った。
「PlayStation press conference in China」のレポート記事でもお伝えしたとおり、PS4とPS Vitaについて中国での発売日と価格が発表され、いよいよ中国市場にプレイステーションが投入されることになった。
本稿では、「PlayStation press conference in China」終了後に、ソニー・コンピュータエンタテインメント デピュティプレジデント(アジア統括)の織田博之氏、スクウェア・エニックスの橋本真司氏、コーエーテクモゲームス 森中隆氏と鈴木亮浩氏にお話を伺うことができたので、その模様をお届けしよう。
ソニー・コンピュータエンタテインメント 織田博之氏インタビュー
――カンファレンスを終えての感想をお聞かせ下さい。
織田氏:我々もそうですが、お客様も待ちに待った発表を行うことができてホッとしています。
――もりだくさんの内容でしたね。
織田氏:そうですね。単にプレイステーションのプラットフォームを中国にもってくることが目的ではなく、中国ローカルのデベロッパーさんと一緒にマーケットを作ることを目標としていたため、登壇者の方が多くなってしまいました。
――価格についてがんばったという印象を受けたのですが、あの価格にした理由は?
織田氏:納得してお求めやすい価格から入っていこうと。我々、パートナー、流通さんで相談させていただいた結果、納得感のある価格を出しました。
――価格の発表時に会場から歓声があがっていましたね。
織田氏:実はWeChat(中国のスマートフォン向けチャットアプリ)などで、いくら位で発売されるかというやり取りがされていたんです。例えば、PS4だと2999元や3499元などと賑わっているなか、2899元という価格を発表したので驚かれたのだと思います。
――ソフトの価格はどのようになりますか?
織田氏:基本的にはグローバルスタンダードの価格体系を中国にも適用したいと考えており、今のところ中国だけの特別な価格体系は考えておりません。
――ローンチ時のタイトル数は?
織田氏:私が知りたいぐらいですね(笑)。すでにセンサーシップの審査を通過して許可が出ているタイトルが二桁数あります。何タイトルかは直前になってから発表したいと考えています。どのタイミングでソフトを届けるかについては、これから1ヶ月間かけて続々とニュースを出したいと思います。
――センサーシップに対する勘所はつかめたのでしょうか?
織田氏:非常にクリアで、健康的であるという点が最初に出てきます。暴力的やエロティックな表現であったり、政治的な問題であれば、出す前にわかります。センサーシップに出す前にどのタイトルを中国で出すかは判断しています。
――今回、PS Vitaも大きく扱われていましたが?
織田氏:学生さんは学生寮に住んでいて、プライベートスペースがあまりないんです。携帯機に根強い需要があるということは市場調査でもわかっていまして、特に日本のタイトルにも興味を持っている方も多いのでPS Vitaをやってみようと考えていました。そうしたところ、デベロッパーさんからもPS Vita向けに作らせて欲しいというお声を頂いており、良い予感がしています。
――中国での海賊版対策は?
織田氏:歴史的にはいろいろとありましたが、PS3、PS4、PS Vitaに関しては、ジェイルブレイクされていないんですね。ですから、海賊版やコピー版のソフトは存在していないんです。そういった意味では、ソフトウェアメーカーさんにも安心して中国でソフトをリリースいただけると思います。
――決済手段は?
織田氏:今後発表しますが、中国のお客様が一番使いやすく便利な決済手段を用意しています。
――発売日が2015年1月11日と発表されましたが、この日に決定した理由は?
織田氏:今年は2月19日が中国の旧正月の元旦になります。旧正月の直前は日本のボーナス商戦以上に盛り上がる時期です。この最大の商戦期にあわせてローンチをしようと考えました。
――龍のデザインの限定版は何台くらい販売されるのですか?
織田氏:数は申し上げられないのです。中国のデザイナーの方に作っていただいたのですが、日本人が考えるよりも怖めのデザインだったのですが、これが良いらしいです。お任せしました(笑)。
――グローバルでは販売されないのですか?
織田氏:中国限定です。
――今後の抱負をお願いします。
織田氏:大変お待たせしました。中国市場に非常に期待しています。ただ、期待と同時に時間がかかったり、乗り越えなければならならいハードルもあります。期待を持ちつつも、着実に数多くのゲーマーの皆さんにプレイステーションのタイトルとサービスをお届けしたいです。これからも頑張ります。
――ありがとうございました。
スクウェア・エニックス 橋本真司氏インタビュー
――中国展開が決まりましたが、今の心境は?
橋本氏:台湾・韓国・香港と順番に展開してきましたが、やっとこの日を迎えることができて幸せですし、これから中国本土の皆さんにしっかりとソフトをお届けしなければいけないなと責任も感じています。
――中国市場についてはどのようにお考えですか?
橋本氏:未来の予測が全て当たるわけではありませんが、かなりの市場が期待されていますし、人口の多さからも我々も応援のしがいがある市場だと思っています。そのためにも今回来てタイトルを発表しました。今後、中国の皆さんと仲良くやっていきたいと思っています。
――中国市場では、御社タイトルのどのような点をアピールしていきたいですか?
橋本氏:同じアジア圏で我々のデザイナーのキャラクターは、中国の皆さんと親和性が高いと思っているんです。実際自分が台北ゲームショウや香港のアジアゲームショウ、韓国で皆さんにお会いした時に、皆さんから「もっと早く来て欲しかった」とよく言われています。言葉の壁がありますし、欧米も大切ですが、アジアの皆さんにも早くお届けできるように努力していきたいです。
――今日もファイナルファンタジーのタイトルコールの際に会場が沸きましたね。
橋本氏:アジアの他の国でお買い上げいただいて実際に遊ばれている方も多々いらっしゃいました。フルローカライズは今日発表したばかりですので、そういう意味ではストレス無く遊んでいただける環境がやっと整ったのかなと思います。
――PS4版の発表は、今日のためにとっておいたんですか?
橋本氏:SCEさんから中国でのビジネスプランをお聞きした時にPS4とPS Vitaでの展開だったんですね。PS3版は用意していたのですが、PS3が無いということで、せっかくのコンテンツを中国の皆さんへは半分しかお届けできないことになってしまうんです。SCEさんのPS4の戦略が決まった段階で速やかに大切なソフトを遊んでいただきたいなと考え急遽動きました。
――ということは、中国市場ありきでのPS4版になるのでしょうか?
橋本氏:日本の市場を見ているとPS3は堅調です。先週アメリカで売り場を回ったんですが、急速にPS4にシフトしていたんです。ハード自体が無くなってしまうと作ったものが遊んでいただけなくなってしまうんですね。「ファイナルファンタジーVII」もそうですが、遊んでいただける環境が代わった以上は、同じバージョンでもそこに用意したいと考えています。クラウドといったサポートできるものもありますが、やはり直接ハードに合ったように調整したものを用意することが、コンテンツを預かる立場だと思うので、ひとつひとつちゃんとしたバージョンを作っていきたいと思っています。本来であれば一から全て揃えることが筋なのかもしれませんが、開発環境の都合やいきなり全てのタイトルを作ることはできないので、早くお届けできるものから順次お届けしたいと考えています。
今までPS1、2、3は下位互換がありましたが、今回PS4ではじめてそれが無くなりました。そこで、PS Nowといったクラウドビジネスにシフトされるのはわかっているのですが、そこまで時間的な問題もあるので最適化を考えると我々の企業努力でやっていったほうが良いかなと思って順番に行っています。
――中国市場ではPS4とPS Vitaのどちらが期待できると感じていますか?
橋本氏:価格やタイトル、ユーザーさんも含めてアジア圏でPS Vitaはすごい伸びているんです。おそらく欧米よりも市場シェアは高いです。欧米市場向きのハードと日本を含めたアジア向きのハードを分けた時に、ひとつのハードがたくさん売れることが一番良いのですが、市場に合わせて我々も動いていかなければならないんです。そういう意味でいうと、PS Vitaのラインナップはしっかりと揃えていかなければならないと思います。アジア圏にはたくさんのお客さんがいますからね。
――中国のユーザーはどのようなゲームを求めているとお考えですか?
橋本氏:(カンファレンスで)たくさんのラインナップを見て、剣でも格闘が多いので、アクションゲームがメインストリームかなと思いました。うちなりの特徴があるので、逆に他社ができないカテゴリだと思っているので、そこは我々なりの味を出していけば良いかなと考えています。
――今回、中国デベロッパーのタイトルが発表されましたが、いかがでしたか?
橋本氏:とても野心的なものから、我々日本のクリエイターでは想像のつかないアプローチもあって、学ぶべき点もありましたね。アイデアのバリエーションがたくさんあると思いました。
――Eidosといった海外タイトルも、今後中国市場に投入されるのでしょうか?
橋本氏:もちろん、承認がもらえるのであれば、順次出したいと思っています。ただ、ローカライズ作業が発生するので、中国市場に向くソフトを考えながら展開したいです。今日の「ファイナルファンタジー X/X-2」に対するお客さんの反応を見ていると、うちに対して期待されるタイトルのイメージがあるんだと思いました。
――ローカライズで苦労する点は?
橋本氏:英語だったら綴りが間違っているといった点がわかりますが、中国語はまったくわからないですね(笑)。簡体字と繁体字の違いもわからないので、ベテランの人に見てもらうしかないですね。
――中国市場に向けての意気込みをお願いします。
橋本氏:大変お待たせしましたが、中国の皆さんにも簡体字版をお届けできることが大変幸せです。これからもファイナルファンタジーを中国本土を含めアジアの皆さんにお届けしていきたいと思います。
――ありがとうございました。
コーエーテクモゲームス 森中隆氏、鈴木亮浩氏インタビュー
――カンファレンスを終えてのご感想をお聞かせ下さい。
鈴木氏:私の作品は三国志が題材ですので、発祥の地である中国での発表ということでうれしく思います。発表の時に、会場の皆さんが盛り上がっていたので、そこがとても嬉しかったです。
森中氏:プレイステーションの20年目となる節目に中国でコンソールが発売されるというタイミングで、作品として立ち会えたことが非常にうれしいです。三國無双は1から5まで関わっているので、鈴木と一緒に作ってきた三国志ベースのタイトルをコンソールゲームとして投入できることをうれしく思っています。
――討鬼伝の開発時から、ゆくゆくは中国市場で受け入れられたらいいなと思ってましたか?
森中氏:そこまでは思っていませんでしたが、中国でプレイステーションが発売されるという話を受けたら、是非という気持ちでしたね。討鬼伝はSCEさんとタッグを組んでやってきたタイトルなので、PS Vitaが行くところに討鬼伝もついていこうという気持ちでした。
――中国のユーザーにどのような点を注目して欲しいですか?
鈴木氏:「真・三國無双7 猛将伝」には呂布の物語が入っています。中国では呂布があまり人気がなく、ただの裏切り者と言われるみたいなんです。最強という点にスポットを当てて、無双ならではのキャラ付けをしてしっかりとストーリーを作ってあるので、人気の無い呂布だからこそストーリーを楽しんで貰いたいなと思います。
森中氏:ひとつは、マルチプレイをぜひアドホックで楽しんでもらいたいですね。中国には、アドホックのように集まって遊ぶという文化が無いと思うので、その先駆けとなる作品になればいいなと思っています。もうひとつは、日本の歴史を扱っているので、このゲームをプレイすることで日本の文化に興味をもって貰いたいですね。
――中国市場でPS4とPS Vitaは成功すると思いますか?成功のために必要なものとは?
鈴木氏:成功すると思います。希望的観測も含まれていますが、去年PS4のアジア地域のローンチイベントに参加させてもらったんですが、香港での盛り上がりがすごくて注目度が高いんだなと感じました。今回、中国全土に向けての発売が発表され、あの価格を見たらSCEさんの本気度がわかったので、きっと成功すると思います。
森中氏:私も希望を込めて成功すると思います。成功のために必要なものとしては、いかに情報が伝わるかだと思うんです。昨日視察をしたんですが、台湾や香港から入ってきているものが当たり前のようにごったにで並んでいるんですね。公式にやっているよりも、グレーな感じで広がっているイメージがありました。そういったゲーム市場にプレイステーションが正面から参戦して、うちの国でもしっかりと販売が開始されたということがゲーマーに伝わり、ゲームを買う行動につながれば成功していくと思います。
――中国市場への意気込みをお願いします。
鈴木氏:真・三國無双は三国志を題材としていますので、そのお膝元である中国でなんとしても成功したいと思っていますので、力を入れて頑張って行きたいです。
森中氏:中国でスタートするタイミングに立ち会えたことを幸せに思っています。ぜひSCEさんとタッグを組んで広げていきたいなと思っています。
――ありがとうございました。
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