セガより2014年12月11日に発売されたPS3用ソフト「シャイニング・レゾナンス」について、シリーズプロデューサーの澤田剛氏へのインタビューをお届けする。

目次
  1. 3Dで表現された王道のファンタジーRPGを作りたい
  2. マリオン使い・澤田氏からの操作指南も!
  3. 本編だけではなく依頼やキャラクターイベントも豊富に用意

「シャイニング・レゾナンス」は、人と竜、ふたつの姿をもつ少年を主人公に、失われた竜の力をめぐる戦いを描いたファンタジーRPG。魔法の音楽を奏でる武器「竜刃器(アルモニクス)」を手に戦う「竜奏騎士(ドラグナー)」たちとともに、ライブ感溢れるリアルタイムアクションバトルが楽しめる。

Gamerでは「シャイニング・レゾナンス」の特設サイトを展開し、ゲームシステムやキャラクターの紹介、プレイインプレッションとさまざまな角度から本作を紐解いてきた。そして今回、いよいよ発売を迎えたタイミングに併せて、シリーズプロデューサーである澤田剛氏にお話を伺うことができた。

企画の経緯やキャラクターづくりのエピソード、そしてゲームシステムにまつわるさまざまなポイントまでボリューム満点の内容で聞いてきたので、紹介していこう。

3Dで表現された王道のファンタジーRPGを作りたい

澤田剛氏

――本作の企画はいつ頃、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

澤田氏:PSP「シャイニング・アーク」が2013年2月に発売されましたが、「シャイニング・アーク」の開発が終わる前には、新作の構想を考え始めていました。なので、2年前くらいだと思います。開発が始まってからは「アーク」の反応を受けて変えていった部分もありましたが、発端としてはそこになります。

過去3作品はPSPで発売してきたのですが、すでにPS Vitaが発売されていたこともあり、まずはハードを変えようということになり、それを受けて世界観も少し趣を変えていこうという話になりました。シャイニングシリーズは色々切り口を変えていたり、ゲームジャンルも毎回違っていたりするのですが、今回は「王道のファンタジーRPG」をちゃんとやろうと決めました。なので、ドラゴンを作品テーマの中心に据えようというのは最初から決めていたコンセプトの一つです。

――シリーズとしては久々の据え置き機での発売となりますが、その意図をお聞かせください。

澤田氏:もちろんPS Vitaも検討はしたのですが、今回はTonyさんが描いたキャラクターを3Dでちゃんと表現したい、大きな画面で魅せたいと思っていて、どこまでできるかを追求する上での据え置き機選択となりました。シャイニングシリーズとして携帯機での発売が続く中、据え置き機で遊びたいというユーザーの皆様の声に応えたかったというのも、もちろんあります。

―今お話に出た通り、今作でも引き続きTonyさんがキャラクターデザインを担当されていますが、デザインのコンセプトはあったのでしょうか?

澤田氏:近年の作品はTonyさんをメインに起用していることが多いですが、作品によって全体のビジュアルコンセプトは変えています。今回は王道の「ファンタジー感」というところが重要なポイントで、姫がいたり、鎧の騎士がいたり、魔法使いがいたりといった、まずはべたべたの中世ファンタジーのイメージを大事にしています。

ソニア リンナ

さらに「メインキャラクター全員が主人公・ヒロイン級として独り立ちできるレベルの、印象的な華のあるデザインでお願いします」とTonyさんにやけにハードルの高いコンセプトでお願いして、実際にそういったキャラクターデザインに仕上がっていると思います。それも男女ともにというのが、さすがです。それと、主人公側が魅力的なのは当然として、今回は敵側の主要キャラクターもTonyさんに描いていただいているので、主人公側を食うぐらいにカッコよく印象的なデザインにするというのが重要なコンセプトでしたね。

ゼスト ジーナス

あと、今回エルフは和風だったり中華だったりと、オリエンタルテイストの文化を持つエルフ族という点で、今回の世界観の個性的な部分にしています。そこは今までと切り口を変えたいという意図があって、特にヒロインのキリカは和風なエルフという珍しいデザインになっています。

キリカ レスティ

――Tonyさんの手がけたイラストを元にした3Dモデルについてはフライトユニットさんが手がけていますが、お願いした経緯とモデルに起こす上で意識した点をお聞かせください。

澤田氏:そもそもフライトユニットさんは、PS2で発売された「シャイニング・フォース イクサ」という作品でモデルを手がけてもらっていて、その時のイラスト調の3Dモデルの完成度が注目を集めました。

当時私は直接のプロデュース担当ではなかったのですが、シリーズとしてはそこが発端になっていまして、今回改めてTonyさんのキャラクターでモデルをやってみない?と話をしたら、ぜひやりたいというお返事をいただけました。「イクサ」をやっていた頃よりもフライトユニットさんのノウハウも蓄積されていますし、Tonyさんのキャラクターを3Dでどこまで表現できるのかチャレンジしてみようというところで意気投合した感じです。

出来上がった3Dモデルはご覧の通りのクオリティで、発表した時にTonyさんのキャラクターがそのまま動いている、というユーザーのみなさんの驚きの反応が嬉しかったですね。Tonyさん本人も大変満足していました。

ユーマの3Dモデル アグナムの3Dモデル

――最初にモデルを見た際の印象はいかがでしたか?

澤田氏:最初にテストモデルとして作ってもらったのはソニアだったのですが、最初からイメージしていた以上の完成度で、これならいけると実感できたクオリティでした。むしろそのモデルを動かす舞台、背景や敵、街の人をなど、全体のアートディレクションを人物モデルと違和感なく、イラストチックなイメージで調整していくのは大変だったと思います。人物モデルだけよく出来ていても浮いていては困るので、そこを馴染むようにするのにかなりの試行錯誤と時間をかけたと思います。

背景もあまりリアルにしすぎると浮いてしまうし、かといってデフォルメしてしまっても合わないという感じで、リアルにちょっと寄せてはいるけれどイラストチックなトーンは残るように意識しています。

――リアル寄りなんですが、どこかRPGならではの街並みを歩いている感覚がありました。

澤田氏:アニメの背景美術画みたいな考え方ですね。アニメはセル画の人物が動いているのに、写真のようなリアルすぎる背景だと浮いちゃうので。あと、モンスターも少しイラスト的なタッチを残して、リアルにしすぎないようにするなど、イラストの雰囲気のまま3Dで動く世界を作るという最大の課題を、苦労の結果上手く実現できているかと思います。そこは、開発を担当したメディア・ビジョンさんがフライトユニットさんのモデルの魅力を最大限に活かすための舞台づくり、トータルのアートディレクションをしっかりやっていただけたからだと思います。

――Tonyさんのデザインは色の質感もすごく印象的ですが、そのあたりも画面全体の色彩に落とし込まれていたように思いました。

澤田氏:鮮やかさはすごく意識しました。リアルっぽくすると、暗い画面になったりしがちなのですけど、今回はフィールドも少し明るめにして、キャラも背景も映えるようにしています。岩肌とかリアルなところはリアルなのですが、植物や建物などは少しイラストっぽくしていたり、Tonyさんのイラストと同じようにコントラストをはっきりさせたり、写実とイラスト感のバランスを常に考えている感じです。

リアル寄りではあるものの、イラストのようなテイストは失わず、日本人が思い描くRPGの代表的なイメージを。ディレクターはよく“RPGの空気感”と言っていましたが、それをフィールドマップの雰囲気作り全体のコンセプトにしていました。

――BGMはこれまで主に歌曲に携わってきたElements Gardenさんが担当されていますが、どのようなオーダーをしたのでしょうか?

澤田氏:Elements Gardenさんとの繋がりで言うと、シャイニングシリーズで最近は主題歌を何度も担当していただいていて、「シャイニング・ブレイド」あたりからは「歌」がテーマというところで、キャラクターソングも担当していただいていました。

今回は、主人公たちの武器が楽器であったり、ストーリーでもより音楽性が強くなったりということもあり、歌だけではなくBGMもトータルで担当していただくことになりました。

――実際に曲が上がってきたら、すんなりOKという感じでしたか?

澤田氏:BGMは基本的に大まかなリクエストを出した後はおまかせしています。藤田淳平さんを中心に、民族楽器が得意な藤間仁さんとオーケストラが得意なエバン・コールさんを加えた3人で分担してやっている感じで、それぞれの個性、得意なところが発揮された素晴らしくファンタジックな曲たちが仕上がりました。それぞれ聴き応えがあると思います。

――歌については、キリカ&ソニア(CV:早見沙織&瀬戸麻沙美)による主題歌の「虹の旋律」を耳にする機会が多かったと思います。こちらはどういったコンセプトで制作されたのでしょうか?

澤田氏:今回はいわゆるアーティストの主題歌というよりは、作品の中ともう少しつながりが深い感じの楽曲にしたいという考えがありました。テーマソングというよりは劇中のキャラクターによる歌というイメージで、キャラソンとはまた違う感じでもあります。早見さんと瀬戸さん二人のハーモニーで美しくファンタジックにいこうというのはかなり初期から決めていました。

――曲自体の発表も比較的早く、作品のイメージを感じることができたのはよかったですね。

澤田氏:主題歌というよりも作品のイメージソングという方が正確で、なんというかBGMに近い位置づけで作品の一部として制作しています。アニメやゲームの主題歌らしい曲とは最初からコンセプトが違っていて、藤田順平さんも二人の声を美しい楽器のように意識して制作した曲だとおっしゃっていました。二人の高い歌唱力を見越して、冒頭の部分が違う歌詞なのに同時に歌うなど複雑なことを色々と躊躇なく取り入れた難しい曲になっていたりするのですが、それをイベントで生で歌い切ってしまう二人はやっぱりすごいなと本当に感心しました(笑)。

――言われてみるとわかりますが、聴いていても違和感がないですね。キリカとソニアのキャラクターを創りだす上では、はじめから早見さんと瀬戸さんの声をイメージしていたのでしょうか。

澤田氏:私が手掛けるシャイニングシリーズでは、最初に声優さんを決めてからキャラクターデザインをしているのはよくあることで、ソニアは瀬戸さんの声に合うようにデザインしてもらいました。早見さんにはシリーズで既にいろいろなキャラクターをやってもらいましたが、キリカのようなタイプのキャラクターは初めてですね。ユーマ役の島崎信長さんやアグナム役の宮野真守さんも、おふたりにやってもらうというところから、Tonyさんが声をイメージしながらキャラクターデザインをしています。

――キャラクターデザインをする際は、情報は多ければ多いほうが良いですものね。

澤田氏:そうなんですよ。Tonyさんはアニメもたくさん見られているので、たとえばアグナムは「宮野さんにやってもらうなら、やっぱりこんな感じだな!」とか言いながら、楽しくデザインしていましたね(笑)。

マリオン使い・澤田氏からの操作指南も!

澤田氏に実際にゲームを操作してもらいつつ、
その内容について解説してもらった。

――先ほどお話に出た「王道のファンタジーRPG」という作品のテーマを踏まえた上で、本作のバトルシステムのコンセプトについてお聞かせください。

澤田氏:シャイニングシリーズはRPGではあるものの、フィールドを歩いていて敵と出会って戦うという王道のゲームシステムを採用したことがほとんどないということもあって、あらためてここでやらないとダメだよねというのが開発初期に下した大きな方針というか強い意志でした。

最終的にはアクション寄りになったかと思いますが、いわゆるコマンドRPG的なところとアクションのバランスは結構悩みましたね。PS3ユーザーの好みを考えてアクション要素は入れたかったのですが、あまりガチガチなものになってしまうとRPGでは無くなってしまうという悩みもあって、開発中はアクション寄りではなく、コマンドで発動する方向に寄っていた時期もありました。ですが、最終的にはアクション寄りではあるものの、コマンドを出して行動するといった、RPGっぽく遊べるような幅も備えたものにバランスよくできたかなと思います。

一方で、チューニングやスキルピースをカスタマイズしてくことで、アクションゲームっぽい遊び方にできるようにもしています。そのあたりはプレイヤーのスキルやキャラクターの選択次第で、遊び方の幅をもたせることができてよかったですね。

――ユーマは特に触りやすかったですね。

澤田氏:ユーマは初心者でもわかりやすいような操作感と強さにしてありますし、最初のチューニングにはオートガードがついていて、アクションが苦手な方でもオートガードを使っていけば最後までいけると思います。コンボもシンプルで、ブレイクもダウンさせられる突き攻撃になっています。ゲーマーな人はどこかで物足りなくなってくる時期があるかもしれませんが、チューニングでマニアックな遊びもできる設計にしてあるので試してみてください。ユーマは主人公なので、初心者でも使いやすいようにというのが一番のコンセプトでした。

――7人が参加するバトルはそれぞれキャラクターの個性が強く出ていますが、操作する上でオススメのキャラクターがいればお聞かせください。

澤田氏:ユーマはドラゴン変身という切り札がありますので、基本的にはパーティに入れて楽しんでもらいたいですね。もちろん外すこともできるので、ドラゴン変身なしで楽しんでもらうというのもありだと思います。あと難易度にもよりますが、キリカは回復係としてというのと、「聖印歌(ルーンソング)」も強力でわかりやすいので入れておいたほうがいいですね。

ユーマ以外に使いやすいのはソニアだと思います。ブレイク攻撃が連打できるので、ブレイクのチャンスに攻撃を当てやすく、敵をブレイクダウンの状態に持っていきやすいんです。最後の方までそこが強みになっているのと、実は一番防御力が高いので死ににくいというのはありますね。一方で、連続攻撃を畳み掛けられる代わりに一発一発の攻撃力は低くなっています。

ブレイクで一番重要なのが、敵の詠唱時間が一番ブレイク値が溜まりやすくなっていることで、そこがゲーム性のポイントになっています。敵の詠唱が終わると必殺技を喰らうリスクがあるのですが、詠唱中にブレイクできると形勢を一気に逆転できるので、その点でソニアがブレイクチャンスに強いのは間違いないと思います。

――逆にぜひチャレンジしてほしいというキャラクターはいますか?

澤田氏:難しいのはマリオンですね。その反面、慣れた時の制圧力が最強で楽しいんですよ。マリオンってHPが少ないし、防御力も低いし、MPも少ないのでAPとMPの管理がすごく難しいんですよ。ただ慣れると、敵を広範囲ブレイク攻撃でブレイクしてダウンさせて、残った敵も自分で掃討するという感じで、あっという間に戦闘が終わるという敵を完全制圧する快感が味わえます。

ザコ敵の制圧能力が特にすごいですし、ボス戦でも弱くないのですが、近づかれるとすぐに倒されてしまうんですよ。リスクエンカウント(※発生時は数秒プレイヤー側が硬直状態になる)が起こるときついので、スキルもリスクエンカウントの発生率をダウンするものを着けておくようにしています。

アタックからブレイクアタックにつなげるタイミングやAP、MPのサイクルがこのゲームですごく重要で、(実際に操作しながら)通常攻撃、ブレイク攻撃、フォース技の3つを一気に連発して畳み掛けることができたりするので、うまく回せるとダメージ効率が高くなります。

キリカの弓とかだとある程度強いチューンにできるものの攻撃のダメージソースとしては弱いし、連射能力はそんなにないのですが、マリオンの銃は3連発で出ているひとつひとつが前衛と攻撃力が変わらないほどにできるので、与えるダメージの時間効率が最強なんですよ。近づく必要もないですし、弾速も早いので敵をターゲットに捕らえた瞬間に攻撃できて、バトルエリア全体を戦略的に見極めて最も有効に戦えます。もう別のゲームになってしまっていますが(笑)、慣れてくると楽しいキャラクターですね。

あと「リロード」というフォース技扱いになっている特殊操作があるのですが、APを回復する最速手段のフォースになっています。加えて、次の攻撃のダメージがアップするので、上手く「リロード」を挟みながら戦うとより効率的に戦えるキャラクターになっています。火炎放射やレーザー攻撃、“チャージブラスター”というタメ攻撃などそのほかの射撃技フォース技も多彩で、その点もほかのキャラクターと違うと思います。

――マリオンに限らず、フォース技の選択で戦い方も変わってきますよね。

澤田氏:フォースの選択が一番重要で、次はスキルピースのセッティング、そしてベースとなるチューニングをどうするかでキャラの性能が変わってきますし、戦い方自体も変わってくると思います。

チューニングについては、基本的に初期のチューニングのままでも最後まで行けると思います。ただ、やり込みたいという人はいろいろ試してもらうという感じです。

――プレイする内にランクも強化されますよね。

澤田氏:スキルピースをはめるスロット数が増えるものもあるのが重要ですね。ユーマは初心者でも触りやすいように、少し攻撃が遅めになっているのですが、攻撃スピードを早くするチューニングもあります。アクションゲームが苦手な人には制御が難しいですが、もちろん早くなる方が時間ごとのダメージ効率が上がるので強くなります。

――選択肢は本当に多いなと思います。

澤田氏:しかも、ランクを上げるとステータスもアップするのですが、チューニングによってアップするステータスが違っていて、ユーマの初期チューニングはオートガードだけでなく防御力自体もアップするので初心者向けの配慮がされています。

――ボス戦では受けるダメージも多いので、ガードも重要になってきますよね。

澤田氏:ガードについては押しっぱなしでもダメージを減らすことはできるのですが、マニアックな要素として「ジャストガード」を入れてあるんですよね。

――ジーナス戦ではあまりガードを意識せずに戦っていたら倒されてしまいましたね。

澤田氏:ジーナスとゼストは強力なライバルなので泣かされるかもしれません。ただ、そこでもユーマのオートガードを上手く使ったりすると攻略の糸口はあると思います。

――実際、ジャストガードも含めてガードを意識してから戦闘が一気に楽になりました(笑)。

澤田氏:そうでしょう。ジャストガードをするとノーダメージになるのですが、ゴブリンのブーメランですらジャストガードが可能なので、上手くなると小刻みにジャストガードできるようになると思います。

――敵の攻撃もある程度テンポがあるので、ジャストガードの際は意識しています。

澤田氏:中にはジャストガードをしやすくするチューニングを持っているキャラクターもいて、スキルピースにジャストガード時間を長くするというものもあって、攻撃を全て受けられればダメージを喰らわない敵もいるので、そういったチャレンジもできるようにしています。もちろん、アクションが苦手なユーザー向けには難易度をカジュアルに下げてもらって、しっかりレベルさえ上げてもらえば十分クリアできるようになっています。

――これだけ話を聞いていてもすごくボリュームがありますよね。

澤田氏:クリアするのにも時間はかかると思うのですが、クリアしただけではこの奥深いバトルシステムで育てたキャラクターがもったいない、ということで発売から無料DLCとしてランダム生成ダンジョンを配信していて、本編中・クリア後も存分にやり込みが楽しめるようになっています。バトルは相当作りこんでありますし、クリア後に手に入るスキルやチューンもたくさん仕込んであります。

本編だけではなく依頼やキャラクターイベントも豊富に用意

――街でできることもかなり多いですよね。

澤田氏:シャイニングシリーズは全体的にそうではあるのですが、色々な街を旅するというよりは、中心となる拠点の街をしっかり密度高く作って、最終的にはそこで生活している人々を含めて、街を好きになってもらおうというところをいつも意識しています。ストーリーとしてもその街を気に入ってもらって、その街を守るために戦うというプレイヤーのモチベーションとキャラクターの想いがシンクロできれば最高だと思うので、街にいろいろな要素を仕込んでいます。コミュニケーションシステムも結構用意されていますし、街の人の依頼も相当用意しています。

――序盤を遊んだ限りでは、一度受けて達成するまで頑張ったらまた次の依頼が発生したりといったことがありましたね(笑)。

澤田氏:街の人の依頼クエストを楽しみすぎてメインストーリーが進まないというね(笑)。あと天候でフィールド上の高レベルモンスターの出現が変化したり、クエストを受けることで新しい中ボスがフィールドに配置されるといった、オープンフィールドとまではいかないものの、全体のフィールドを箱庭的につなげて、その中でいろいろな仕掛けを用意しているので、隅々まで楽しんでもらいたいと思います。

それと、日本での王道RPGといえば、パーティが連なって歩くというイメージがあるじゃないですか。今回はそれを3Dでちゃんとやりたいというところにこだわっています。最終的に実現することができましたが、4人歩いてシームレスに戦闘に移行するというのは大変でした。

――RPGでは戦闘に移行する際の読み込みが気になったりするので、気にしないでいいという点はうれしかったですね。

澤田氏:フィールドでそのまま戦えて、戦闘が終わった後もシームレスに移動に戻れるというところがポイントですね。エンカウントタイプの戦闘で一番気持ち悪いのが戦闘開始までの読み込み時間で、待っているしかないので演出を入れたりして待ち時間を誤魔化したりするのですが、今回はバトルの開始も終了も待つことがないというのがとても快適だと思います。

――戦闘を繰り返すことへのストレスもなくプレイできていました。

澤田氏:思った以上にストレスレスにできたので、そこはすごく開発としても満足しているところです。フライトユニットさんのモデルのクオリティが高いぶん、容量も多かったりしたので、4人をフィールドで歩かせるのに苦労しましたが、よくやれたなと(笑)。

画面イメージとして動画だけ見ているとオンラインゲームっぽい雰囲気に見えるところもあると思います。フィールドを仲間と走っていて敵と出会って、仲間と一緒に敵と戦うという、当たり前のことではあるのですが、NPCと一緒に旅をして冒険をして戦う、そこに一緒に仲間がいるという感じを出したかったので、フィールドやクエストの構造や構成がクエスト式のオンラインRPGみたいな考え方で作ってあります。

――街にいるキャラクターたちのイベントも思った以上に多いと思いました。

澤田氏:お腹いっぱいすぎるくらいあると思いますね(笑)。クリアした後にもたくさん出て来ますよ。

――ナイトイベントやデートのような、相手と対話するようなイベントを入れた理由をお聞かせください。

澤田氏:元々、「シャイニング・ウィンド」から入れようと思っていたのですが、王道のRPGにこういう恋愛要素が強いのはどうかという社内で議論もあったりして、ファンディスクというかたちで切り分けて発売しました。その後、「シャイニング・ハーツ」ではしっかりと入れることにして、そういったシリーズの恋愛システムを受け継いで発展してきたものを今回も導入しています。選択肢を使ったイベントなどは、開発部署が同じということもあり、「サクラ大戦」のシステムを活かしているところもあります。キャラクターとより絆を深めたいというプレイヤーの想いに答える要素です。

――デート中のキャラクターのリアクションも豊富で、ここまでやるのかという感覚でしたね(笑)。

澤田氏:2人で街を歩いたりするのも前作「シャイニング・アーク」から入っていて、今作はその発展形になっています。その時はヒロイン1人固定だったのですが、今回は女性キャラ達はもちろん男性キャラ達も含めてデートできるという点も凝っているところです。キャラクターとコミュニケーションを深めたいというユーザーの方のニーズに対して、今回は徹底的にやっているという感じです。

もちろん、やらなくてもゲームはクリアできるので、プラスαの要素ではありますが、そこでしか手に入らないパーソナリティやスキルピースもありますので、バトルに直結している側面もあったりします。

――難易度調整はカジュアル、スタンダードとありますが、バランスはどう意識されたのでしょうか?

澤田氏:ここ何作かのユーザーの皆様からの反応をうけ、デフォルトのスタンダードは歯ごたえがある難易度にしています。本編だけだと簡単ではないのですが、これまで以上に脇道をたくさん用意して、それを含めたトータルで難易度バランスを調整しています。

「王道のRPG」っぽさでいうと、昔のRPGって結構簡単にゲームオーバーになったじゃないですか。本作でも最低でも一回は全滅すると思うのですが、そのハードルをクリアする方法はいろいろと用意しています。

それはレベルアップをするという手もありますし、チューニングやパーティメンバーを変えてみたりしてみるとクリアできるようになっています。やはり試行錯誤しながらハードルを越えるために考える楽しさをRPGに求めていきたいなと思っていて、適当にやってレベルを上げてさえいればクリアできるというゲームにはしたくなかったので、そこはいろいろと考えながらプレイしてみてください(笑)。

――合間にセーブポイントがなくて、ゲームオーバーになった時は切なかったですね(笑)。

澤田氏:セーブもあまり自由にはできないようにしていて、セーブポイントを要所要所に置くようにしています。あとボスの連戦の時、「BPMゲージがなくなって絶望した」という声もありましたね(笑)。序盤はチュートリアルも兼ねて難しくはしていないので、ドラゴンと歌のパワープレイの繰り返しでクリアできるゲームと思われるかもしれませんが、中盤くらいからドラゴンと歌も一生懸命考えて使うようにしなければダメなんだなと考え方が変わっていくと思います。難易度については、いつでも簡単なカジュアル難易度との切り替えができるのですが、開発者としてはスタンダードで遊んで欲しいので、ぜひ挑戦してもらって、ボスを倒した時の達成感を味わってほしいです。

もちろん、難易度をカジュアルにすればドラゴンや歌でのパワープレイもできますので、ストーリーやキャラクターを楽しみたい方、アクションが苦手という方はゲームが始まったらすぐに難易度をカジュアルに切り替えてもらって遊んでもらうといいと思います。

――最後に本作の魅力について改めてまとめていただきつつ、遊ばれる方へメッセージをいただけますでしょうか?

澤田氏:王道のファンタジーRPGをわかりやすく表現したかったのと、ドラゴンを自らの手で操って戦ういう、他にはない切り口をやってみたかったというのがまずあります。その上で、最近のシャイニングシリーズの音楽、歌というテーマをストーリーはもちろん、ゲームシステムにも上手くシンクロさせた奥深いバトルシステムを完成させることができたので、ぜひ味わってみてほしいと思います。もちろん、Tonyさんのキャラクターデザインも魅力的で、それがいい感じに3Dで動くし、動かせるし、そしてそのキャラクターとコミュニケーションできる楽しさもあります。

今回はゲームのやりこみ度という点でも、RPGとしてのやり応えをものすごく用意してあり、長く遊べるように作っているので、全部遊んでほしいと思っています。年末年始はずっと遊んでいけると思っていますし、DLCを活かして本編とは違った楽しみを広げる仕掛けも用意しているので、しばらくの間付き合っていただけると嬉しいです。

――ありがとうございました。

発売に合わせてのインタビューは以上となるが、この他にも発売後に展開するダウンロードコンテンツについて、いろいろとお話を伺ったので、そちらの内容については後日お伝えする予定だ。こちらも楽しみにしてもらいたい。

シャイニング・レゾナンス

セガ

PS3パッケージ

  • 発売日:2014年12月11日
  • 15歳以上対象
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シャイニング・レゾナンス フィギュア付き特別限定版

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  • 発売日:2014年12月11日
  • 15歳以上対象
  • PS Storeダウンロード版

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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