角川ゲームスが本日1月17日に実施したWii U/3DS用ソフト「ロデア・ザ・スカイソルジャー」の先行体験イベント「RODEA THE SKY EXPERIENCE TOUR 2015~第1弾~」。本稿では一般ユーザーによる試遊やトークイベントの模様をレポートしていく。
東京・秋葉原「Bar Rhythm(バーリズム)」にて行われた本イベントは、2015年4月2日に発売が予定されている「ロデア・ザ・スカイソルジャー」ゲーム本編の先行体験を主題とした、完全招待制のプレミアムイベント。
会場では、抽選30名枠に当選した一般ユーザー向けの先行体験会をはじめ、ボス戦のタイムアタック大会、さらに角川ゲームスのディレクター・長谷川仁氏と、開発・プロペの代表取締役社長である中裕司氏によるトークイベントも行われた。
今回はそんなイベント模様の一部を紹介していくので、興味がある人はぜひ一読して頂けたら幸いである。
長谷川仁氏&中裕司氏によるトークイベント
最初に実施されたトークイベントは、長谷川仁氏と中裕司氏に加え、ゲーム好き女優として幅広く活躍中の結さんが登場。ここでは「ロデア・ザ・スカイソルジャー」開発秘話を主題にトークが進められることに。
初めは「本作はどんな想いから生まれたのか?」という題目。長谷川氏はこれまでCERO C、CERO Dなどに属するゲームを連続して作っていたことから、小さい子供の頃に夢見た、そしてずっと作ってみたかったという「どこまでも広がる大空の大冒険」をテーマにしたゲームを、中氏と制作することを決めたという。また、裏には「CERO A(全年齢対象)を作りたい!」という現状への反目もあったようだ。
一方、中氏はセガ時代にセガサターンにて発売した夢の中を飛ぶゲーム「NiGHTS(ナイツ)」のことから話を進める。確かに、ファンからすれば「ロデア」も「NiGHTS」も似ているというより、同じ発想の泉から湧き出てきたゲームという印象を受けることだろう。中氏は当時、何故「NiGHTS」の続編を作らない? と周囲からよく言われていたそうだが、スティーブン・スピルバーグ氏の映画「E.T.」にまつわる逸話として、「続編を作るということは、最初のE.T.を崩してしまうことになりかねない」というスピルバーグ氏の考えに感銘を受け、自分なりに作らなかったと述べた。
しかし、ドリームキャストで開発されたマルチコントローラーを使い、傾斜センサーを利用したもっと自由に飛べる「NiGHTS」の続編を、当時テスト段階まで開発していたとか。しかし、当時のセンサーでは地面との関係で360度をぐるっと飛ぶことが難しく、中々納得できる形にまでは仕上げられなかったようだ。そんな中、新たに登場したハード「Wii」のWiiリモコンで環境が一変。これを起点に、中氏は自由に飛べるゲームを作ると考え、最初のプロジェクト作品「天空の機士ロデア」を構想したとのこと。
が、色々な企業に企画書を持ち寄ってみても、中々企画が通らなかったそうな。昨今のゲーム事情では、新作アクションゲームというジャンル自体が中々難しい領域であるようだ。しかし、角川ゲームスの長谷川氏と出会った際、最初からガシッと波長が合い、「一緒に夢見ていける」と思ったのである。
次の題目「犬猿の仲」では、長谷川氏と中氏のぶつかり合う関係性についての話が。中氏は「こういうゲームを作ろう」と決めたら自分を信じ、完成系を目指して一直線に進むという姿勢のようだが、他社の担当と話を進めていると、「ここはこうする方が良い」という類のアドバイスを受けることが多く、その上で議論を始めるとか。そんな中でも今回の「ロデア・ザ・スカイソルジャー」、ひいては長谷川氏ほど激しく議論(喧嘩)し続けたゲームは今までになかったとか。
これには“時代の変化”が大きく関わっていたようで、当時の開発背景ではWiiでの新作発表から、Wii U/ニンテンドー3DSといった新ハードの登場、そしてプレイヤー層などの変化もあり、そういった時代の流れの中で「新作を出す」ということに、両氏はガツガツとぶつかりあったとコメントしていた。またその結果、一番最初の計画書からすれば、現在では全く別物のゲームになっているようだ。
今でこそマップを踏破していくステージクリア型のアクションゲームになっているのだが、当初は広い大空を舞台に、探索したり戦略を考えたりする(オープンワールド的な)ゲームであったようだ。しかし、「やっぱり中さんだからマップクリア型じゃないとダメでしょ」という長谷川氏の言葉で、仕様が一気に反転。しかし、それに応じるプロぺの対応も凄まじい速度であったと、長谷川氏は感心しながら述べていた。
この流れで次は、本作といったら触れずにはいられない題目「ロデア生存確認!」に。そもそも「ロデア・ザ・スカイソルジャー」というのは、2010年に発表されたWii「天空の機士ロデア」が、Wii U向けに再構築されたタイトルなのである。そしてこの「天空の機士ロデア」については、「ロデア・ザ・スカイソルジャー」初回生産分スペシャルパッケージに同梱されることが決定している。これだけで、さまざまな紆余曲折があったことが伺えるだろう。
ここまでが背景にある本題目では、昨年11月の発表会で正式発表され、「とうとう発売することになった!」と一同が感極まっていた時の前後の裏話が語られた。なんでも、この正式発表の一ヶ月前に「正式発表する」ということを聞かされていた中氏は、これまで何回も発表会があったこと、その後に形にならなかったことを覚えており、発表会当日まで色々とまったく信じていなかったそうな。
さらに発表会当日。中氏は発表会が執り行われる品川の会場「ザ・グランドホール」ではなく、ライブなどでお馴染みの「ステラボール」に間違って足を運んでしまう。人っ子一人いない状況を見て「騙された!」と思い、そこから家に帰ってしまったとか。幸い、発表会開始時刻ギリギリになって会場に中氏が到着したため、関係者一同もホッとしたとのこと。しかし、中氏は今にあっても「実際に店頭にゲームが並ばないと実感できない」としている。
ちなみに、年末に発売日が正式に発表されたことで、中氏と長谷川氏はヒット祈願と称して東京タワーの外階段“600段”を踏破したようだ。その様子は一個前の題目で使用されていた写真の現場でもあったことが、ここでついでに明かされていた。
続いては「Wii U版と3DS版の違い」について。ここは前述した開発段階での時代の変化が大きく関わっており、最初はWii版の開発途中に3DS版を追加し、その間にWii Uが普及してしまったことからさらに対応機種を足し、今に至るとしていた。この多機種展開については、ニンテンドーハードのどれかを持っていれば遊べるという環境にし、より多くの人にプレイしてもらうことが目的と語っていた。3DS版も携帯機ならではのポイントは押さえているが、Wii U版はスペックを思う存分利用して開発したことから、空の表現などはほかのハードよりもオススメできるそうだ。
続いて、同梱特典「天空の機士ロデア」。現時点ではWii用ソフトの開発は止められていないので、まだ後に出る作品があるかもしれないが、現時点でのWii最後のゲームタイトルは「天空の機士ロデア」の可能性が高いとか。Wiiというハードについても両氏は思いが深いようで、体感的コントローラーの先駆けであるポインティングデバイス「Wiiリモコン」は、長谷川氏にとっては発明であったとしている。
しかし、リリースされた当初から「ストラップを付けないと危ない」などを筆頭に、さまざまな規制がかけられ、ソフト分野の人たちはゲームの良いところが出し難くなってしまい、肩身の狭い思いをすることもあったとか。それでも試行錯誤を続け、どうやったら広い空を自由に飛べるかに注力し、今の「天空の機士ロデア」ひいては「ロデア・ザ・スカイソルジャー」があるとした。
「天空の機士ロデア」は決して開発段階のゲームや、ましてや最新作のオマケではなく、これ一つでシッカリと遊べるゲーム性が追求されている。両氏からしても両タイトルは想像した以上に別のゲームであり、操作の違いがまったく別物の印象を与える作品として位置付けていることが述べられた。Wiiの販売棚を設置している店舗も少なくなっている最中、両タイトルをこういう形で発売できることに2人とも感謝を口にしていた。
ここで、ユーザーがこの後プレイするステージを、長谷川氏がプレイすることに。5年もの歳月を本作と過ごしていることから、その腕前は並々ならぬものであるとか。しかし、Wii版については「プロぺ陣が絶対に負けない」と中氏が張り合っており、上手さを張り合う場面も繰り広げられた。また開発裏話として、本作の主人公・ロデアを演じる声優・中村悠一さんに追加収録を3年越しに頼んだら、「え?まだ出てなかったんですか?」と言われてしまったとか。
なお、本作は上述した通り、自由に大空を飛ぶスカイアドベンチャーであり、全く新しいものを目指して制作されたアクションゲームである。世界観設定に実弥島巧氏を、セリフなどの掛け合いに脚本家・加藤陽一氏を招いたストーリーも見どころとしており、ようは全部が魅力の塊だ。筆者は画面をビュンビュン飛び回る爽快感と、オブジェクトにクレヨン調のエフェクトがかかっていることで、絵本のような優しいタッチの世界となっているのが印象的であった。
※ゲームのストーリー、メインキャラクター、アクションなどの基本概要はこちらの記事で。
ゲーム中はロデアを操作し、ターゲットした対象に向かって直線飛行をしたり、障害物を避けるように小回りしたり、急上昇・急降下などの空中アクションを、アクション用のゲージが無くまで連続して使用することができる。ゲージは地面に足を着く、道中のオブジェクトから出てくるゲージ回復アイテムを入手すると随時回復。スタイリッシュにプレイできるようになれば、地面に足を着けずにクリアを目指すこともできるのだろうか?
なお、本作について両氏は、アクションゲームは自分で探し、進み、クリアする楽しみが大切であると語った。RPGはキャラクターにレベルがあるが、アクションゲームは自分自身にレベルがあるものだと考えていることから、どんどんプレイし、上手くなっていく楽しみを味わってほしいとし、トークイベントを締めた。
「ロデア・ザ・スカイソルジャー」をユーザーが先行体験
先行体験では会場内のユーザーが4チームに分かれ、それぞれ順番にステージ1をプレイすることに。会場内では空き時間中にWii版と3DS版のプレイに加え、軽食・ドリンクも振る舞われていた。
軽食は写真を撮りたがる人が後を絶たないほど愛の溢れる仕上がりとなっていて、ゲームプレイでも休憩タイムでも、皆思い思いに楽しんでいたようだ。
ちなみに魚型のサンドイッチは、本作に最初に出てくる敵「ハコフグ」がモチーフにされている。魚類を模った敵の中でも、一等可愛いのがこのハコフグだとか。この時間は中氏がユーザーのために給仕したり、ユーザーと一緒に談笑をしていたり、長谷川氏と結さんはプレイ中のユーザーへのアドバイスや応援に回るなど、ファンとの交流を楽しんでいる様子であった。
今回筆者はゲームをプレイすることはなかったのだが、本作は誰でも遊べるゲームであり、同様に誰でも手軽に遊べるゲームではないという印象を受けた。それは、1時間や2時間のプレイ時間では、アクションの醍醐味を存分に引き出すことができないからだ。
「360度の大空を自由に飛び回れる」ことで、プレイヤーにはまず3D空間の認識能力、視点や立ち位置をしっかりと把握するための操作技術が必要とされる。狙った場所に自動で飛んでいくシステムのアシストは受けられるものの、プレイしているユーザーは「行きたい場所に行く」「攻撃したい場所に飛ぶ」という単純なアクションにも手間取ってしまう場面がチラホラ。ボタンをナビゲート通りに押しているだけでクリアできるといった“簡単・手軽”なゲームにはなっていない。昨今では極めて珍しい、純粋なアクションゲームとしての在り方が追求されているようだ。
これは決して悪い意味ではない。ゲームの難易度や相手の数値を左右するだけの難易度ではなく、プレイヤーに与えられる操作の自由度が大きいからこそ、生まれ出てくる課題なのだから。本作からは、アクションゲームの根底にある“上手くなることへの欲求”をしっかり押さえた骨太な仕上がりを感じられる。筆者なりにまとめれるのであれば、子供時代に1つはプレイしておきたい「ゲームのやりがいを学べるゲーム」としておきたい。
最後は全員でボスタイムアタック!
最後の企画は、第5話に出現する本作最初のボス「鋼鉄巨人デオゴルダム」の討伐タイムアタック大会。デオゴルダムはゲーム中、あるところを守るために存在しているガーディアンであるようだ。また、本作には“色々な形をしたボス”が出現することも、結さんのMCスキルにより引き出された。ありがとうございます。
なお、こちらはタイム計測前に全員が一度プレイしてみることに。あまりに大き過ぎるその巨体にサイズや距離の感覚が惑わされていたり、どうすれば倒せるのかも分からないといった様子も散見。程なく弱点の位置がスタッフから明かされたのだが、スムーズに倒せた人は少なかったようだ。
しかし、いち早くコツをつかんだ人は邂逅一発目で早くも撃破。次のプレイを待っている人も、プレイ中の様子やスタッフの助言を蓄えたのか、徐々に倒し切れる人が増えていた。
そして参加者が全員ボスと相対した後、いよいよタイムアタックがスタート! 制限時間5分の勝負だというのに、早速飛び出たタイムは2分8秒。これで決まりか? と思われていた最中に1分35秒が飛び出るなど、ハイペースな記録更新合戦。最終的に1分18秒で1位、1分35秒で2位のユーザー2人がメインスクリーンを使っての頂上対決に臨むことに。
いきなりの壇上勝負に緊張を隠せない2人。さらにモニターが大変大きいがために、先程とはプレイ感覚が違う模様。さらにさらに機材のトラブルなども介したため、勝負は2戦目で決することに。
「2分切ります」の意気込みで1分50秒台を記録しつつも敗退してしまった2位のユーザーには、Wii U初回生産分スペシャルパッケージ&3DS版「ロデア・ザ・スカイソルジャー」+開発者と写真撮影が、スムーズなプレイで1分30秒台を叩きだした1位の優勝者へは、上記に加えてサイン色紙も贈られることとなった。なお、全参加者にはロデアをプリントしたオリジナリティTシャツが贈呈された。
そしてイベントはここでお開き。来月2月以降からは招待制という形式に限らず、全国各地のゲームショップ店頭などで先行体験の場が設けられる予定だ。両氏および結さんも今後色々な場に姿を現し、本作の魅力を伝えていくとのことなので、気になる人は随時続報をチェックしておくといいだろう。
そしてイベントのラストには一般ユーザーを交えた記念撮影も実施するなど、最後までファンを楽しませていたのがニクい。