タイトーは本日2月13日、千葉・幕張メッセで開催されている「ジャパン アミューズメント エキスポ2015(JAEPO 2015)」の同社ブースにて、アミューズメント施設への新決済システム導入に関する記者発表会を実施した。
タイトーがアミューズメント施設初となる、新決済システムを導入するとして行われた本発表会では、同社が運営するアミューズメント施設「タイトーステーション」にマルチ電子マネーを導入していく「タイトー eマネー推進計画。」を展開することが明かされた。ここでは登壇者から語られた、導入の経緯とその狙いについて紹介しよう。
冒頭でマルチ電子マネー導入に関する説明を行ったタイトー 代表取締役社長 飯澤幸雄氏によると、アミューズメント機器におけるオペレーションの売上高は、年々右肩下がりとなっているという。その改善に目を向けるにあたり、着目したのが業界で40年以上に渡って実施してきた“1プレイ100円”に代表される、ワンコインオペレーションだ。
近年ではコンビニエンスストア、自動販売機、公共交通機関などさまざまな業界で電子マネー導入が進んでおり、2014年の国内電子マネー市場は発行枚数が約2億3282万枚(日経MJ調べ、2014年6月8日)、決済金額が約3兆円となっており、2018年度には5兆円に拡大すると見込まれている(野村総合研究所調べ)。
消費増税後も電子マネーの利用額は増えており、シニア層も含めて普及が広がっている現状、そして2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催を見越して経済産業省がキャッシュレス決済を推進するなどの発表もあるなど、電子マネー決済は追い風を迎えている。
そんな中、タイトーとしても電子マネーを使いたいというユーザーの意見を受けて実証実験を実施したところ、好評だったことからマルチ電子マネーの導入を決定したという。
そのメリットとして、まずは価格設定を柔軟にすることで1プレイ100円という既定の概念を取っ払うことができ、決済そのものもスピーディーに進めることができる。それを受けるかたちで、これまで運営上での大きな枷となっていた、手作業によるオペレーターの両替金の対応、集金の労力が軽減される。
現在は主要な電子マネーが複数使える端末を開発中であり、2015年5月から順次導入、来期には40店舗を設置予定だという。実証実験でのノウハウを活かした対応により、既存ゲーム機のほぼ全台に設置、将来的にはフランチャイズ店への展開を目指すという。これらは10数億円規模の設備投資となるが、コインオペレーションから脱却し、業界を変えていくという強い意志を盛って取り組んでいくことが語られた。
続いて登壇した電子マネー推進プロジェクト サブリーダー 宮方詩穂氏は、アミューズメント施設でよくある、両替の手間・コイン詰まりなどの事例をもとに現状の問題点をピックアップし、そこからユーザーの声をヒアリングしたところ、普及が広がり、利便性を理解している電子マネーを使いたいという意見が多かったという。
先述の通り、タイトーステーション 新宿東口店で行われた実証実験では、“ゲームを中断せずに遊べる”“両替が必要ない”“ポイントが溜まってお得”といったメリットが挙げられたそうだが、その際には電子マネーを使った施策は行わなかったことから、実際にどういった施策ができるかを一例として紹介。
まずは価格設定の1円単位での変更が可能となったことから、例えばショッピングセンター内の施設の場合、ポイントデーに合わせた%を割引したりと連携して盛り上がりを作ることができる。
先ほど話したコインオペレーションの問題点についても日々の業務を減少させ、より高品質なサービスを提供できるとし、併せて電子マネーを通したリアルタイムな売上情報をもとに、ユーザー属性や傾向などの疑問や予測に対してデータで判断し、すぐに対策ができることを挙げた。
そして、数十円単位での追加プレイ、装備の強化といった1プレイ100円の提供のベースが変わること、さらには独自ポイントの付与、オリジナルデザインカードの販売といったプレイヤーへの新しいサービスを提供できることなど、今後の可能性についても語られた。
本システムの導入は2015年5月のタイトーステーション アリオ蘇我店からスタート、その後は月に4~5店舗で導入していく。その中で導入の可能性を模索していくとのことだ。