スクウェア・エニックスが2015年4月23日に発売予定のニンテンドー3DS用RPG「ブレイブリーセカンド」の特集企画第三回。今回は前作「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」のレビューをお届けしよう。
「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」はシリーズ第1作「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」の完全版というべきタイトルだ。メインのストーリーはそのままに、新たなシステムや要素が多数追加。ユーザーインターフェイスやキャラクターの能力などのさまざまな見直しもはかられており、かなりプレイしやすくなっている。これから「ブレイブリーデフォルト」をプレイするなら本作が断然オススメだ。
物語は突如出現した闇に風のクリスタルが飲まれるところから始まる。時を同じくして、カルディスラ地方に巨大な大穴が出現。付近にあったノルエンデという村が消滅するという事件が起きる。ただひとり難を逃れた村の少年・ティズは、大穴をのぞむ渓谷で風のクリスタルの巫女・アニエスと出会い、世界を覆う闇の謎をつきとめるべく冒険の旅に出ることになる。
主人公はノルエンデ村の生き残りティズ、風のクリスタルの巫女アニエス、エタルニア公国元帥の娘イデア、 記憶喪失の青年リングアベルの4人だ。 |
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イベント時のキャラクターのセリフはすべてフルボイスなので臨場感たっぷり。 |
ストーリーは本編というべき「メインシナリオ」と強力なボスキャラクターたちと戦う「サブシナリオ」で構成。サブシナリオは物語の世界観やメインシナリオで起きている出来事に関わっているものが多く、プレイしておけば本編をより深く理解できる上、後述するジョブも入手できるなど、いろいろなメリットがある。もちろん、メインシナリオだけを進めていくことも可能で、自分なりの楽しみ方ができるというわけだ。
メインシナリオとサブシナリオは両方とも、発生場所がマップ上にアイコンで表示されるようになっており、どこに行けばよいのか迷う心配はまったくない。メニューの下画面で妖精のエアリーが次にすべきことや冒険のヒントなども教えてくれるので、サクサク進められるだろう。
「ケアル」、「ファイア」、「ブリザド」など、ほぼすべての魔法が「ファイナルファンタジー」(以下「FF」)シリーズを踏襲しているのも特徴のひとつ。「FF3」や「FF5」などでおなじみのジョブチェンジシステムも導入されており、「アビリティ」と呼ばれるジョブ特有の能力を習得し、ほかのジョブと組み合わせて使用できるなどストーリー、システムとも誰でも楽しめるファンタジーRPGの王道というべき内容になっているのだ。
戦略性にあふれたスリリングなバトルが展開
では、本作がヌルいゲームかというと、決してそんなことはない。特に歯応えがあるのがモンスターとの戦闘だ。クリスタルにとりついた魔物やサブシナリオに登場するボスキャラクターなど手強い敵が非常に多く、力押しだけではなかなか勝ち抜くことはできない。特定の状態異常を防ぐアクセサリーを装備したり、ジョブやアビリティの組み合わせを工夫したりと、敵の能力を見極めて対応する戦略性が要求されるのだ。
さらに面白いのが、タイトルにもなっている「ブレイブ&デフォルト」システムだ。どちらも戦闘時に使用するコマンドで、「ブレイブ」は「BP」というポイントを消費することによって1ターンに複数回行動できるようにするというもの。逆に、「デフォルト」は防御以外の行動ができなくなる代わりに「BP」を溜めることができる。
BPは先のターンから前借りすることも可能で、例えばBPがゼロの状態のときに「ブレイブ」を発動し、そのターンで2回行動したとすると、次のターンではそのキャラクターは一切行動できなくなるのだ。ちなみに、筆者はあるボスキャラクターとの戦闘で、敵の体力が残りわずかと読み、仲間全員を最大までブレイブさせて攻撃をたたみかけたが、倒すことができず次のターンで誰も行動できなかったため、連続攻撃を受けて全滅してしまうということがあった。このようにBPを前借りして一気に勝負をかけるか、それともいったん溜めるか。「ブレイブ」と「デフォルト」の使い分けや使用のタイミングが、勝負を分けるポイントになるというわけだ。
もちろん、初心者のためのシステムも多数用意されている。もっとも役に立つのが3DSの通信機能を利用した「フレンド召喚」だ。すれちがい通信やインターネット通信などで出会ったプレイヤーのキャラクターを呼び出せるというもので、さまざまなアビリティを繰り出すことができる。強敵との戦闘でかなり役に立ってくれるので、RPGに不慣れな人は大いに利用するといいだろう。
データ自体は本体に記録されているので、現在でもかなりのプレイヤーとすれ違うことが可能だ。実際、筆者が今回の企画のために本作を3DSに装着して出歩いてみたところ、数日で10数人がゲストになった。また、戦闘の難易度や敵とのエンカウント率を下げる機能も搭載されているので気軽にプレイできる。
意外な展開が待ち受ける衝撃のストーリー
意外性に富んだシナリオも魅力のひとつだ。運命に導かれるように集まった4人のキャラクターが、クリスタルを闇から解放するべく冒険を繰り広げるという、一見オーソドックスな物語に見えるが、実はゲームを進めていくにつれて恐るべき事実が明らかになっていく、意外性あふれるストーリーになっているのだ。
もちろん、随所に伏線も張られており、特に秀逸なのが主人公のひとりであるリングアベルの持つ「Dの手帳」だ。これには未来の出来事が書かれているのだが、物語の根幹に関わる、ある重要な記述が早い段階から見られるようになっている。非常に大胆な仕掛けと言えるだろう。謎が解き明かされていく過程も無理がなく、真実が判明したとき、「そうだったのか!」と思わず膝を打つこと間違いなしだ。
さらに、「終章」と「真終章」の2種類のエンディングが用意されており、真終章ではラスボスとのバトル時にゲームシステムを利用する形で、この世界の真実を知ることができるようになっている。ネタバレになるので詳しいことは言えないが、驚きの内容になっているので、ぜひ真終章までプレイしてみてほしい。
また、すべてを知った上で最初からプレイし直した場合にも、いろいろな発見があって初見時とは違った楽しみ方ができる。メンバーズサイトを介すれば、「フライングフェアリー」のセーブデータを引き継いだ状態で始められるので、1作目をクリアしたけれど本作はこれからという人は利用するといいだろう。
ぱっと見はやや古くさく感じるが、非常に遊びやすく、ゲームを進めていくほどのめり込んでしまう本作。多彩な強敵やクエストの配信など、やり込み要素も盛りだくさんで、本編をクリアしたあとも長く楽しむことができる。システム、シナリオ、ボリュームのいずれも文句なしの万人にすすめられる一本だ。
次回は「ブレイブリーデフォルト」のサウンドについて解説。サウンドクリエイターのRevoが手掛けた楽曲の魅力や現在リリース中の「ブレイブリーデフォルト」関連のCDなどを紹介していく。
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MAIN CHARACTER DESIGN:Akihiko Yoshida.
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