アメリカ・ロサンゼルスにて6月16日(現地時間)より開催されている「Electronic Entertainment Expo(E3) 2015」。ここでは、ソニー・コンピュータエンタテインメントの期待作「人喰いの大鷲トリコ(The Last Guardian)」のゲーム紹介とミニインタビューをお届けしよう。
「人喰いの大鷲トリコ」は2016年に発売が予定されている、遺跡を舞台に巨大な生物・大鷲と少年との絆を描いくアクションアドベンチャーゲーム。本作は、ゲームデザイナー・上田文人氏が手がけてきた「ICO」「ワンダと巨像」からの共通テーマとして、バーチャルの世界に新たなキャラクターを作り上げ、それらをより魅力的に表現し、存在させることを目的としている。
ここで行われたプレゼンテーションでは、SCEカンファレンスにて公開されたトレーラーより、少し巻き戻った場面からプレイされることに。画面上では、少年とトリコ(大鷲)が出会う場面から物語が始まった。
建物内の一室に閉じ込められていたトリコの背中には、2本の槍状の物体が刺されていた。少年がトリコに声をかけ、その背中から凶器を取り除いたことにより、信頼関係の第一歩を進めたというシナリオだ。建物の開いた隙間から差し込む光がなんとも美しいことか。
トリコの外見について上田氏は、「トリコは特定の動物をモチーフにしたわけではなく、猫や犬や鳥などをミックスし、ペット動物の可愛さと、野生動物の獰猛さの中間くらいを狙ってデザインしました」と語ってくれた。
青と黄色の蝶が舞う、静謐でありどこか神秘的な一室から開放されたトリコは、そのまま少年の後をついてくる。この少年というのも、決して自身の身の上話を語ってくれるわけではないのだが、子供らしい怖いもの知らずな部分や、やんちゃで活発な性格が、全てアクションから伝わってくる。
文字や言葉ではなく、動作という象形記号でプレイヤーに感情を伝えていくことの現れだろう。それだけにトリコはもちろんのこと、この少年という存在についても気になってしまうのだ。
画面では、少年が壺や樽を力いっぱいに持って投げ、トリコがそれを噛み砕くアクションなどが見られた。大鷲の体躯や身体能力をうまく使い、2人は互いに協力しながら難所を乗り越えていく。
ちなみに本作、現時点で公開されているゲーム画面では高所にフォーカスされているのだが、全てのステージが高所というわけでもなく、中には地面の安定した広い場所も存在するという。そして、画面上に見えている場所については、全てゲームのステージとして設置されているとのことだ。
しかし、こういった高所の恐怖感が舞台装置として作用されているところを見ると、この後に続くであろう、勇気と感動のエンターテイメントを引き出す演出に一層の期待がかかってくる。
なお、ステージギミックの攻略法は1つだけではなく、場所によってはトリコに先に行ってもらったり、トリコににしがみついて進んだりと、さまざななパターンを想定しているとしている。
上田文人氏ヘのインタビュー
――タイトルの名称が「人喰いの大鷲トリコ」と「The Last Guardian」の2通りありますが、そこのところを教えて下さい。
上田氏:元々本作は「トリコ」のコードネームで開発がスタートしていて、僕の希望としては、日本向けには「トリコ」の名称を正式に入れたいなと思っています。ただ、「トリコ」という名称が欧米などの地域ではあまりよろしくないようなので、思索している途中です。
――トリコと少年以外のキャラクターは存在しますか?
上田氏:敵のような存在はいます。少年は敵とはあまり戦えないのですが、その代わりにトリコは戦えるという関係になっています。それ以外の存在についてはまだ秘密です。
――少年とトリコの関係が悪くなることはありますか?
上田氏:微妙な変化はあると思いますが、それによってゲームをクリアできなくなるのはまずいので、2人の関係が壊れるということはありません。
――ゲーム中はどのような操作をしているのですか?
上田氏:そこまで複雑な操作はないです。少年を動かす基本的な操作が、トリコに訴えかける時の操作に変わるといったものです。
――ゲーム中に成長要素はあるのでしょうか。
上田氏:成長要素という言葉自体に色々な意味があるので、詳しくお聞かせすることはできませんが、ゲーム中で変化は起きます。ビジュアルや信頼関係の変化も予定しています。
――デモ中、トリコが紫色のオブジェクトを見て目の色を変えますが、あれはなんですか?
上田氏:あれはトリコが嫌いなこの世界のマークです。
――開発に時間のかかった理由はありますか?
上田氏:理由としてはたくさんありすぎて一言では語れないのですが、当然ほかのゲームにもあるように、フレームレートやメモリなどの技術的な問題は標準としてありました。ただ、PS4だからといってゲームの内容を変えたこともなく、元々こういうゲームを作りたいというビジョンに向かっていましたので、スペックに左右されない普遍的なゲームにするという思いに変わりはありません。
もちろん、最適化という観点では、PS4のスペックにより処理負荷の問題などが随分と楽になったのは確かです。