7月3日に小説「TERRA BATTLE 英雄失格」が発売されることを記念し、ミストウォーカーの坂口博信氏と、「TERRA BATTLE」のシナリオなどを担当し今回小説家としてもデビューをした波多野大氏が7月10日にトークショーを開催した。
今回のトークショーは、ウェブでの抽選と事前にアニメイト池袋本店にて整理券をゲットできたファンだけが参加できたもので、会場には幸運な「TERRA BATTLE」ファンが訪れていた。
その世界観の深さでファンを魅了し、スマートフォン向けのゲームとしては異例の早さで小説化が実現した「TERRA BATTLE」。そのトークショーでは数多くの「TERRA BATTLE」制作秘話や、今回のノベライズについての裏話が語られた。その模様をお届けしよう。
「TERRA BATTLE」のノベライズについて
初のノベライズに挑戦した波多野氏は「こういう場は慣れていなくて、すごい緊張しています」としきりに漏らすほどに緊張していたようで、「すごく幸せで、そして光栄です。とても楽しい時間でした。締切にはギリギリ間に合うかどうかというところでしたが、周りの方に助けられて無事に完成した時は少し泣いてしまいました。最後の1ヶ月は集英社の編集部に泊まり込んで書いていました」と、何度も言葉をつまらせながらも、ゆっくりとその想いを噛みしめるように述べた。
坂口氏がそんな波多野氏に「締切の日の朝6時に提出しなければならないところを、2時間くらい押して待ってもらっていたよね。僕が『FINAL FANTASY(以下FF)』シリーズを作っていた時もそういうことがあったけど、小説の世界でも同じなんだなと思いました」とその苦労を労う場面も。
スマートフォン向けRPGで小説を出すということでのねらいについては、「僕はあくまで依頼をもらう側なので、一番良い形でお届けできればそれでいいと思っていました。今回はダウンロードスターター企画のひとつだったということもあって、主に「TERRA BATTLE」を実際に遊んでくれている方がニヤリとできるような方向性にしたつもりです」と、波多野氏。
坂口氏は何度も波多野氏のことを「大先生」(波多野大氏を”波多野大先生”と表記すると”大先生(だいせんせい)”と読めてしまうため)と笑い交じりで呼びながら、「色々なメディアで出すことで色々な人に見ていただけるということ。『FF』の頃から集英社さんとお付き合いがあったこともあって、周りの情熱に支えられて無事に出せました」と、今回のノベライズについて、その想いを語った。
二人の出会いは?
二人の出会いはWii用ゲームソフトの「ラストストーリー」の制作時で、一番最初に坂口氏に会った時、波多野氏は当時まだ専門学校生だったそうだが、普通に就職をする気にならず派遣会社に登録して仕事を探していたら「ラストストーリー」の制作を紹介されたそうだ。当初は「ラストストーリー」のイベント部分のみを担当するはずだったが、やがてシナリオ部分も担当することになったとのこと。
派遣業務の登録からゲームのシナリオライターになる、という道には筆者も大変驚いたが、その道を目指す人にとっては「そういうルートもあるのか」と、目から鱗が落ちたことだろう。
「『ラストストーリー』っていつだったっけ?」という坂口氏の言葉に「2011年1月27日ですよ!」とその発売日をしっかり覚えていた波多野氏からの手厳しい一言に、坂口氏が「よく覚えているね(笑)」と頭を掻く場面もあった。
「ラストストーリー」は元々Xbox用ソフト「ブルードラゴン」の制作チームがメインで作っていたが、そこに波多野氏が合流。坂口氏のプロットを元に波多野氏がキャラクターのセリフなどを書き起こしていたそうだ。
「ラストストーリー」はバトルや細かいイベントなどの面白さを追求していた結果、途中でメインのストーリーが上手くつながらなくなってしまうなどの苦労もあったようで、当時の大変だった様子を波多野氏、坂口氏両名ともにしみじみと述べた。
なお、「ラストストーリー」と「TERRA BATTLE」の大きな違いについて尋ねられると、坂口氏が「大きな違いはないですね」としながらも「まずゲームシステムありきというのが前提で、そこにシナリオをあわせていく感じでした」と、スマートフォン向けゲームならではのゲーム制作の手法について述べつつも、当時はまだスマートフォン向けのゲームでシナリオに力が入っているものがあまりなかったこともあって、ゲーム体験としてグッとくるものにしたい、という波多野氏の思惑もあったようだ。
だが、坂口氏としてはスマホ向けのゲームでシナリオや音楽に力を入れても誰も読まないし誰も音楽を聴いていないのではないか、という不安も大きかったとのこと。
確かに普段スマートフォン向けのゲームを遊ぶ際には音をミュートにしたままで、そしてストーリーは読み飛ばすというプレイヤーも多いだろうが、それらの不安要素は結局成功に繋がり、「TERRA BATTLE」の魅力として多くのファンに受け入れられたことになる。
「TERRA BATTLE」ではキャラクターのプロフィールなどを細かく読んでくれているファンも多く、スマートフォン向けの作品としてはすさまじい速度で攻略本が発売されたり、ファンライブが開催されたり、そして画集なども発売されている。
今回の小説についても、あえてゲーム内で使用できるプレゼントコードの類をつけなかったのは、純粋に世界観やストーリーを愛してくれているファンのための作品にしたかったからだそうだ。
初期の設定や、今後の「TERRA BATTLE」は?
「TERRA BATTLE」ではかなり細かい世界観の設定がされており、各キャラクターのネーミングなどにも一定のルールがあることが語られた。
例えばケモノ種族には名前に濁音が入っていたり、岩人の場合は半濁音が入っていたりしたが、開発の後半になってきて段々そのルールを守り続けていくとキャラクターが誰が誰だかわからなくなってきてしまったために少しルールから逸脱してしまった、と波多野氏が語ると、会場のファンからは笑い声が上がった。だが、多少のルールは変わりつつも、初期の案はほとんど今も残っているそうだ。
坂口氏が「アミの意味(”アミ・ナ”や”アミ・マリー”、”アミ・サンドラ”などのキャラクター名に頭に”アミ”とついているものたち)ってあるの?」とファンが持つ疑問と同じ問いを波多野氏に投げかけると、「追々その理由はシナリオでわかります、今仕込んでます」と、坂口氏も知らない設定があることが明かされた。
詳しいゲーム内の設定などについては波多野氏が作成しているそうだが、剣の設定を書いたはずがリリースされたらその剣の絵の横にヒトが追加されていることもあったりし、波多野氏も坂口氏も大変驚いたような出来事もあったそうだ。
「TERRA BATTLE」のキャラクターデザインなどをほぼ一手に引き受けている藤坂公彦氏によって唐突に追加されていたそうで、藤坂氏の「TERRA BATTLE」への熱量がわかる貴重な秘話だ。
今後の「TERRA BATTLE」については、ネタバレになる部分は話せないが、という前置きがあったうえで、「この世界の行く末は坂口さんと決めていたので、そこに向かっていくことになると思う」と波多野氏。
現在は32章まで配信中だが、既に34章まではほぼ書き終えていて、今は35章を絶賛執筆中とのこと。
各キャラクターが故郷の星に戻ったら大変な出来事が起こっていた、というようなストーリーもあっていいと思う、と今後の展開についてうかがわせる発言もチラリ。
今回のノベライズもそういうストーリーをいれる案もあったようだが、今回はパルパとペペロペに焦点を当てたかったそう。
ユーザからの質問に答えます!
「大先生の一番好きなキャラクターはなんですか?」という質問には、「ヤップカー」と答えた波多野氏。
その理由は「ヤップカーはプロフィールが何も書けなくてすごく悩んでいたキャラクターだったから」と、生みの苦労を述べたあと、「うちは三人子供がいて、子供に絵本を読み聞かせているときにそういえば絵本好きのキャラクターはいなかった、と気づいた」とヤップカーのプロフィールが出来上がった時の様子をしみじみと語った。
坂口氏はひたすらのアマゾン推し。アマゾンをDNA再構築してくれと藤坂氏に頼んでいるようだが、なかなか藤坂氏がそれを実現してくれないようだ。
「覇権を握っている大国はあるのか」という問いには、波多野氏はしばらく唸ったあと「あると思います。終わりかけの世界だから保身に走る国とか色々あるとは思いますが、僕のイメージとしてはあります」と述べると、坂口氏も「そのうちどこかで出せれば」と答えた。
「オルバなどには家族がいるようですが、再構築した体にも家族はいたんでしょうか?」という少しディープな質問内容には、「家族については、再構築すると別人になって全然別の生活をするので、再構築後に同じ家族と生活することはありません」と述べ、「再構築にも一応ルールがあります。ライファーは、ウクセアのキメラやクローン作製技術をヒトに転用したものです」「ライファーは作ろうとおもえばオルバを二体も三体も作れるけれど、世界全体のバランスを保つためにそういうことはしない」「ガチャをやると絶対起こるキャラクター被りを「TERRA BATTLE」ではなくしたかった。設定上、オルバがオルバに会うというようなことは起こしたくなかったので、ああいうシステムにしました」と、話が弾む場面も。
あまりに深い世界観については二人で認識のズレがないかどうか、波多野氏と坂口氏でこのトークショーの直前に再確認しあったと笑った。
「ププルは大人になりますか?」という質問では「解らないですね、再構築すればなるかもしれないですけれど、みんなが”再構築で大人になる”と思っているだろうから、逆にその期待を裏切りたいという気持ちもあります」と波多野氏。
「キャラクター作成時にはパラメータなどが先に決まるのか、イラストからなのか、キャラの設定からなのか教えてください」という質問には、ゲームのバランスをとるためにパラメータがまず決まることが多い、とのこと。
「パルパなどの、契約しなくても仲間になるキャラクターは今度も出ますか?」との質問には「条件を満たしてクリアすれば仲間になるキャラクターなどは今後もありえる」としつつも、「ラストストーリー」のコラボの時の話を出し「条件が誰でも簡単に満たせてしまうとつまらないし、だからといって難易度が高すぎてもいけないので、それを考えるのも大変」と語った。
「ペペロペを復活させて仲間にしてください」という要望には、坂口氏が「この小説を10冊買えばペペロペ甦るとかじゃないの?(笑)」と答えると、会場は爆笑の渦に包まれた。
「ライファーに取り込まれると何年くらい生きられるんですか?」という質問には、坂口氏も「わからない」としながらも、波多野氏が「ライファーは神様なので、ずーっと何百年も生きられるんじゃないですかね」とフォローをいれていた。
「坂口さんとしては何章までやるつもりですか?」という運営にも関わるような問いについては、坂口氏は「どうなんでしょうね」と首をひねりつつ、「内部では色々話していますけど、さすがに言ったらマズいです(笑)」と軽く交わした。だが、「せっかく楽しんでいただけているので、メインストーリー以外にも各キャラクターが星に帰った話とかもあっていいですよね。それこそオルバとオルバが邂逅するとかもあるかもしれません。ビジネス的な話になると、三年、五年とこのゲームが続くのならば遊んでいただけているうちは続けたいです」と「TERRA BATTLE」への意欲を滲ませる場面も。
最後は本日の来場者へのプレゼント大会が
トークショーのラストは、波多野氏とのじゃんけん大会が開催された。波多野氏とのじゃんけんに勝てば、この日のためにわざわざ刷られたという「TERRA BATTLE」特製ポスター(坂口氏と波多野氏のサイン入り)が4名に贈られることに。
![]() |
![]() |
| 絵柄自体は既出のものだが、印刷などを新たにして黒の部分をマット加工したりした この二つのポスターがプレゼント対象に。 |
|
![]() |
![]() |
| 波多野氏とのじゃんけんに勝った人が5名いたため、急遽会場にはってあったポスターをはがして その場で坂口氏と波多野氏がサインをいれることに。 |
|
最後に波多野氏は「『TERRA BATTLE』というゲームがあっての本なので、ゲームを遊んでくれている人にはぜひ読んでほしい。パルパの印象が変わると思います」と述べ、坂口氏は「僕もこれを読んでパルパの印象がすごく変わりました。中盤のバトルシーンも素晴らしいです」と最後を締めくくり、一時間以上に及んだトークショーは終了した。
(C)MISTWALKER
※画面は開発中のものです。
本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。
























































