「V8!V8!V8!」の賛美がこだまする中、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントが2015年10月1日に発売したPS4/Xbox One用ソフト「マッドマックス」で不毛な荒野へと旅立つ!!!

目次
  1. ここからゲーム「マッドマックス」の本題です!本当です!
  2. CERO Z(18歳以上対象)に伴う注意事項
  3. ここからはゲームの流れを追っていきます!
  4. デフォルトの操作設定
  5. 燃料は尽きても、運は尽きない。

ジョージ・ミラー監督が手掛けた映画「マッドマックス」は、メル・ギブソン演じる主人公“マックス”のシリアスでダーティな復讐劇を描き、当時の筆者を魅了したと同時に、痛い成長を促した罪な作品だ。

続く映画「マッドマックス2」「マッドマックス/サンダードーム」では世界観も一転。どこから天啓を受けたというのか“世紀末世界でヒャッハーしている作品”へと生まれ変わり、後世のコンテンツ事情にさまざまな影響を与えてきた。

とはいっても、これらの情報を知る人はそれなりにいることだろう。それもそのはず、今年2015年6月には十数年にも及ぶ紆余曲折を経て、シリーズ最新映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が公開されたからだ! 本映画は、鑑賞している者を息する暇もないノンストップ・エンターテイメントの世界へと呑み込んだ。そして、眠れる名作オールドムービーという立ち位置を自ら返上し、自力で超ド級映画の最先端へと返り咲いたのだ。

前説明にしてはクドいかもしれないが、つまるところ“ゲームをプレイ+映画を観賞=1セット”という個人的な思いがある。もちろん、映画を見ていない人にも本作はオススメできるゲームであり、真っさらな頭で未知の新世界へと臨む楽しさもあるだろう。

しかし、観賞した後の方が間違いなく歪な世界観にドップリと浸れる。作風が合わない人には恐縮だが、まだ映画を見ていないという人は、ぜひとも今年の指折りの映画ブームに巻かれてみてほしい。そこには、かつて見たことのないほどアナログかつ不条理な展開・感情・兵器が待ちかまえているのだから――。

ちなみに、DVD/Blu-ray「マッドマックス 怒りのデス・ロード」はほんの少し先の未来、2015年10月21日にワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントより発売される。「ゲームの前に映画見る!」というのがちょっと難しい条件ではあるので、ゲームを楽しみながら頭の隅に留めておいてほしい。

ここからゲーム「マッドマックス」の本題です!本当です!

CERO Z(18歳以上対象)に伴う注意事項

※本タイトルは、CERO Z(18歳以上対象)指定となります。それに伴い、本稿にもバイオレンスおよびグロテスクな表現が含まれる画像・動画が掲載されておりますので、18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

ゲームよりも先に映画を宣伝している不届きを取り返すべく、ここからはゲーム「マッドマックス」についてシッカリと紹介していきたい。本作では映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の世界観を元に、ゲームならではのオリジナルストーリーやプレイ体験が盛り込まれた、オープンワールドスタイルのアクション・アドベンチャーが楽しめる。魅力となる要素をいくつか挙げると…

  • 核戦争で荒廃した不毛な大地。
  • 世紀末でも死滅していない人類。
  • 水や食料や資源や宗教は大切。
  • 人命や尊厳は見世物くらいに重宝。
  • 知り合いはみんなオカシく、知らない人はみんな敵。

列挙できる点だけで、舞台の「ウェイストランド」がどうしようもない場所だと理解してもらえることだろう。そこでプレイヤーは主人公マックス(本名:マクシミリアン・ロカタンスキー)となり、自分だけの車をカスタマイズしながら、冒険・探索・攻略・破壊にチャレンジしていく。

そもそも「マッドマックス」+「オープンワールド」という素材だけで、調理の間違えがないかぎり不味いモノになりようがない。そう断言してもいいほど親和性の高い両者である。あらかじめ言っておくと、どちらの要素にフォーカスしようとも、ゲームの出来は素晴らしいものだ。

“ブラック・オン・ブラック”ことV8インターセプター。みんな欲しがる暴れん坊。

しかし、“映画シーンで数えられる名車の1つ”と呼んでも差し支えないマックスの愛車「V8インターセプター」は、物語冒頭でならず者の集団に奪われ、部品を引っぺがされてジャンク行き…。

そこでマックスは、協力関係を築いた妄執的人格のメカニック「チャムバケット」、ともに死地を乗り越えた黒毛の「犬」と一緒に、最速・最強の可能性を秘めた車「マグナム・オプス」に乗り込み、荒野に乗り出すのだ。

どうにか生き延びた2人と1匹の旅が始まる。

マグナム・オプスはボディ、エンジン、タイヤ、武装、カラーなど、計18種類の項目がカスタム可能で、骨格も中々にマッスル。命を預ける相棒としてロマンのままに仕上げていきたい。車の各部は、マップ中や敵から獲得できる資源「スクラップ」を使用することでアップグレードできるので、燃料の続くかぎり探索に精を出すのもいいだろう。

しかし、チャムバケットを筆頭に、ウェイストランドにはまるで常識人が見当たらない。いや、この世界における各々の常識には則っているのだろうが、チャムバケットなどは車と神的信仰がごっちゃになっていて、マグナム・オプスをエンジェル・コンバスチョンの肉体を得た姿(筆者には意味は不明)と、マックスを聖なる使者と崇めている。

さらに「V6(車のエンジン=V型6気筒)」に対しては、「祝福を受けていない、哀れで卑しく不敬な存在だ。同情する」とまでコメントする始末。分からない人に注釈しておくと、「マッドマックス」の世界では「V8(V型8気筒)」こそが正義で馬力で信仰なのだ

ゆえに映画では「V8!V8!V8!」なるお祈りが生まれているのだが、あまり称えていると現実社会でもヴァルハラ行き(交通事故より酷い事)の危険性があるので、できるなら止めておこう。

最初はボディすらないマグナム・オプス。
燃料がないと車は動けなくなる。“色々な方法”で調達しよう。
車体が派手にぶつかると耐久力が減少する。 しかし、チャムバケットがいれば、いつでも修理可能。
耐久力が0になっても炎上前に降車→修理で復帰できる。ゲーム面での利便性に優れていてストレスフリー。

ここからはゲームの流れを追っていきます!

本作の大まかなストーリーは、ウェイストランドの武装集団「ウォーボーイズ」を束ねる支配者「スキャブラス・スクロタス」に命や車を狙われたマックスが、奪われたインターセプターの仇として、さまざまな人物たちと関わりながら、スクロタス一味(そのほかウジャウジャ)と死闘を繰り広げていくというもの。

ゲームの基本指針は、ストーリーに関わる目標・目的地へ向かったり、マップ中に散りばめられている敵要塞・クエストを攻略したり、広大なマップを自由に闊歩していくこと。つまり、オープンワールドらしいオープンワールドといえる。

車で荒野にGO!→スクラップを発見!→車を強化!→さらなる高みへ…ゲームではこのような流れを繰り返していくが、主な成長要素は車&マックスのカスタマイズが「スクラップの収集」、マックスのアビリティの取得が「チャレンジのクリア」、カスタマイズ限界を開放していく「アチーブメントのアンロック」となる。

中でもスクラップは使用用途が多岐にわたるので、1つのリソースに集約されているからこそ、使い道に悩むジレンマが味わえるのだ。

筆者が拝借したボディは、剃刀チックなストラトスを感じさせた「ワイルドハント」。
カスタマイズは走行中でも自由にできる。 ランクを開放していき、タフなジャケットを着たい。
不思議な男・グリッファを覚えさせてもらうアビリティ。戦闘・探索のどちらに依るかは人それぞれだ。

マップはひたすら広く、さまざまな勢力の縄張りと、そのロケーションが広がっている。ただ、マップ上の目的地への指示や、視認できるオブジェクトのマークなどはシッカリとフォローされているので、走行中は概ね迷うことはないだろう。

また、自由に設置できるマーカーを置くと、最適距離を自動で割り出してくれるのが非常に便利。ほかにもオープンワールド御用達となるファストトラベルも存在し、こちらはマップ上に存在する熱気球の施設を開放することで使用可能となる仕組みだ。

ちなみに車はどこに置いていても、「フレア」を撃つことでチャムバケットが乗ってきてくれる。不便な世界を、利便なシステムでフォローする、正しく次世代のゲームである。

だがしかし、外に出るとそこは世紀末のなれの果て。偏向思想×剃髪×白塗り×傷だらけ×病気というインパクトあり過ぎ集団「ウォーボーイズ」の下っ端&幹部をはじめ、“ビジュアルからしていかにも世紀末なお兄さんたち”がウヨウヨしている危険地帯だ。いつ身ぐるみを剥がそうとも剥がされようとも、人権を主張できる役所はどこにも存在しない。

当然、彼らはこちらの事情をお構いなしに襲撃してくるし、こちらも彼らの事情をお構いなしに襲撃できる。オープンワールドだからね。慣れている人は例の如く、敵の命は荒野の藻屑に、落とし物はスクラップとして役立てていこう。尊い心なんてものは核戦争で灰の中に埋もれた。

下っ端・ウォーパップの末路はカラスの餌か、うじ虫の穴の肥料の中。恐ろしい。
要塞の門が火炎放射を吹いてくる。ロック過ぎる。 仲間の士気を高めるためドンゴドンゴする“あの敵”。
マックスの体力が減ったら、水や食料を確保し、体力補給。食料はまだドッグフードしか見ていないが…
敵の基地で奪って飲む水は、美味しい。

本作の戦闘は主に2種類。生身で戦うバトルと、“車同士で戦うカーアクションバトル”だ。生身のバトルは簡単操作で、(※PS4版は)□ボタンで攻撃、△ボタンでパリー、基本は攻撃したい敵に向けてボタン+スティックを押すだけで無骨な連続攻撃を与えられる。分かる人であれば、PS4「バットマン:アーカム・ナイト」のバトルを想起してもらいたい。

ほかにも、○ボタンで射撃/投擲、×ボタンでスペシャルムーブ、緊急回避にジャンプ、連続で攻撃を当てると発動する強化状態「フューリーモード」とシステムは多彩だが、操作量よりも、その時々の判断が求められる。また、フィニュッシュブロー時のヒットストップなど、攻撃演出が生々しい爽快感に仕上げられているので、“どぎつい格闘戦”を堪能したい人にはうってつけだ。

フューリー時は過激なドロップを決める。 ナイフキルや近接武器なども存在する。

デフォルトの操作設定

こちらはデフォルト時の操作設定。気になる人は一目通しておこう。

もう一方のカーバトルは攻撃方法も単純明快、“車と車でぶつかり合うだけ”。一切のルールを介しない、どちらが先に潰れるかだけを競う泥臭いデッドレースだ。車には耐久力があり、車体の側面・背面に突っ込まれるとダメージ、正面同士は痛み分け。

挙動は一般的なカーレースゲームのイメージで、操作はアクセル・ブレーキ・バック・ブーストとシンプル設計。攻撃時にはブーストを使用して行う「チャージ」が有用で、進行方向の左右に車体を急速移動させることができる。初期状態のマグナム・オプスだと若干操作性が悪いので、徐々に改善していきたくなり、思わずプレイを継続させられるのがニクい。

しかし、シンプルであるがゆえに操作×性能のバランスがかみ合っており、押し合い圧し合い、後ろを取るブレーキング、鼻先を抜ける加速と、さながら戦闘機のドッグファイトのような駆け引きが絶妙。普通のカーレースなら先頭と速さを競うのが常なだけに、このスタイルを体験したことがない人には新鮮味が感じられるはずだ。

スクラップを拾っている間にも会敵する可能性があるのでパパッと済ませよう。

もちろん、勝利を目指すのであれば車をぶつけるだけが能じゃない。車にはマックス以外にもチャムバケットがパートナーとして荷台に同乗しており、プレイヤーは十字キーを押すことで、攻撃・修理をリアルタイムで指示していける。

自らショットガンで相手の急所を蜂の巣にしたり、スナイパーライフルで遠距離狙撃を食らわしたり、火炎放射で汚物ごと消毒してやったり、返しの付いた銛を撃つハープーンで車や施設を分解してやったりと、闘う手段は豊富だ。

走行面のカスタマイズ、武装面のカスタマイズ、どちらを優先していくべきか……本当に悩ましくなるので、ストーリーを進めつつ、当面はウェイストランドの清掃に勤しもう。

時に、敵が車を降りて襲いかかってきたのなら、敵の車を「コレクション」に加えるチャンス。メニュー画面のコレクションで表示される車は奪い取った後、どこかしらの拠点へと持ち帰ることで、そのあと自由に乗り回すことが可能となる。中には映画に登場したハリネズミの如きトゲトゲしい車も存在するので、野蛮スタイルで冒険するのもまた一興。

ただし、敵の車に乗るときはチャムバケットがパートナーについてくれず、マグナム・オプスと共に拠点で整備にこもってしまう。そのため、システム面でかなりの不利を背負うことになる。「システムは度外視」、そんな風に世界観に浸りきったところで活用の道が開けそうなガジェットだ。

チャムバケットの有用性と信頼性は非常に高い。ヒロインとしてはビジュアルにパンチが効きすぎているが、良き友として、みな気に入ることだろう。

車をコレクションするのもアチーブメントに繋がるので、攻略要素としても有用。

燃料は尽きても、運は尽きない。

荒れ地と無法者。硝煙と爆発。資源とガラクタ――映画「マッドマックス」をフィーチャーして作られているゲームだが、中身に妥協は一切感じられない。オープンワールドゲームに求める要素はたっぷりと収録しつつ、操作性も軽快でいて重厚。挙動がいい塩梅に仕上げられていて、操作すること自体がとても気持ちいい。

物語も危険がたっぷり、出会う人も危険がたっぷり、いつどこで死んでしまってもオカシクないほどに真っ当な「マッドマックス」だ。

若干気になるポイントとしては、敵のルーチンの潔さが挙げられる。路上でばったり遭遇しようとも、車の横っ腹に急襲しようとも、こちらが逃走を図ると意外なほどにすんなり追ってこなくなってしまう。ゲームとしてもシステムとしても非常に快適ではあるが、何も考えず、ただひたすらに襲ってくるだけ狂信者をイメージしていたので少し残念。

まあ、延々と追いかけてきたらそれはそれでスゴイ嫌な仕様なので、どっちになっても文句を言っていた気がする。ここは一つ、デザイナーの決断を信じることにしておこう。

キャプチャーモードで自分だけの1枚を撮影できる。試しにやってみたら、センスが足りなかった。

あの日、夢見た世紀末の世界は、現代ではまだまだ訪れることはないだろう。一本ネジが外れただけで、もしかしたら映画のままの現実に出会う可能性もなくはないが、今年「マッドマックス」が提示した“新たな世紀末の形”は、常識から生まれる発想をはるかに凌駕していた。

「棒飛び隊」のあの姿……誰が想像できたというのか? 笑いとともに憧れすら浮かんでくるあの場景。見なくては分からない「マッドマックス」、プレイしなくては分からない「マッドマックス」。月並みだが、体験してこそ価値ある作品としてオススメしたい。

マッドマックス

ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2015年10月1日
  • 18歳以上のみ対象

マッドマックス

ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

XboxOneダウンロード

  • 発売日:2015年10月1日
  • 18歳以上のみ対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連ワード
  • プレイレポート