セガゲームスが、本日10月29日に配信を開始したiOS/Android版「ワールド エンド エクリプス」。戦略性豊かなバトル、魅力あるキャラクター、骨太なストーリーと多彩な要素を持つ本作の内容を紹介するとともに、プロデューサー・本山真二氏へのインタビューもあわせてお届けする。
2014年9月に発表された、セガゲームスの新作RPG「ワールド エンド エクリプス」。「戦場のヴァルキュリア」などを手掛けた開発スタッフによる完全新作アプリで、ストーリーや戦術性にこだわりを持って作られている作品だ。
いよいよ配信開始となった本作を、一足先にプレイすることができた。プレイヤーの好みと戦略が強く反映されるバトルや、街の開拓システムなど、実際のゲーム内容を紹介しよう。
さらに、本作のプロデューサー・本山真二氏に、こだわったポイントや今後の運営について聞いたインタビューも合わせて掲載する。
竜の背で進める街づくりと開拓
はるか昔に起こった竜同士の争いにより、荒廃してしまった大地。そこには、朽ちた竜の骸があった。人々は竜の背に街を築き、わずかに残った竜のエネルギー「ドラゴンロア」を使いながら生活を送っている。
プレイヤーは、この竜の背に作られた街の、狩猟兵団の隊長だ。隊長としてやることは多岐にわたるが、まずは街づくりと開拓から説明しよう。
プレイヤーは竜の背に広がる街を拠点とし、ここにさまざまな施設を作っていく。作れる施設は、宿屋や伐採所、各兵種の研究塔など、さまざまなものが用意されている。また、宿屋は資金収入を得ることができたり、研究塔はユニットのパラメータを底上げしたりと、施設によるボーナスも存在する。
施設を作る際には「資材」が必要だ。もし資材が尽きてしまったら、「開拓」コマンドを選んで街の外に出て、周辺の樹木や岩山を伐採・採掘しよう。資材のほかに各種アイテムも獲得可能だ。
ただし、開拓には資金が要る。資金はクエストをクリアした際や、宿屋の定期収入、市場でまかなおう。開拓で得た材木を使って宿屋などのレベルを上げれば、より収入を増やすことができる。このように、資材と資金には良き循環が生まれているのだ。
仲間を集めるのは“ガチャ”ではない
街づくりや開拓を一通りめぐったら、今度は部隊を編成しよう。本作では、4人の狩猟兵(ユニット)で1つの部隊を組む。ここに他プレイヤーの助っ人1人を加え、計5人で戦闘に挑む。
狩猟兵は、「アイギス」と呼ばれる意思を持つ武器と契約を交わして戦う力を得る。狩猟兵とアイギスの両方にレベルが存在するが、体力や攻撃力などバトルに影響するパラメータを持つのはアイギスの方だ。また、狩猟兵が戦闘で放つスキルも、アイギスが持っている。
一方、狩猟兵には「特性」という、パラメータにボーナスを上乗せするステータスがあり、レベルを上げるとそのボーナス値が上がる。この仕組みにより、お気に入りのキャラクターをずっと使い続けられるのだ。
また、アイギスには「伝授」という、他の武器のスキルを受け継ぐコマンドがある。例えば敵単体しか攻撃できない剣兵に、相手をまとめて攻撃できる大剣兵のスキルを伝授させれば、オールマイティな狩猟兵になる。逆に、もっと兵種の特長に特化させた狩猟兵にすることもできるだろう。
アイギスを手に入れるためには、「鍛冶屋」へ行き召喚(いわゆるガチャ)をする必要があるが、狩猟兵はガチャではなく「酒場」に赴いて仲間にする。
酒場には常時数名の狩猟兵がおり、レベルアップ時や開拓、クエストのクリア報酬などで手に入る「隊長の証」を消費すると雇用できる。酒場の狩猟兵は2時間ごとに入れ替わるので、都度足を運んでみよう。こうして仲間になった狩猟兵と、手に入れたアイギスとともに、街を守っていくのだ。
プレイヤーの好みと戦略が色濃く表れるバトル
部隊を編成したら、いよいよバトルだ。本作のバトルは「2ライン・アクティブコマンドバトル」。自分の「トーチ」を守りつつ、敵のトーチを壊すか、ボスを倒せば勝利だ。この、自分と敵のトーチを結ぶ2つのライン上で激しい攻防や駆け引きが繰り広げられる。
狩猟兵には5つの兵種が存在し、それぞれ特徴が異なる。剣兵は足が速いが単体にしか攻撃できない、盾兵は防御力に優れるが足が遅い、などといった具合だ。一長一短ある兵たちを、どの順番で左右どちらのラインに出すか、隊長であるプレイヤーの判断力が問われるのだ。
ここで大事なのが、戦闘画面の右下にある「トーチエネルギー」。トーチエネルギーは、狩猟兵の出撃とスキルの発動に使われる。
トーチエネルギーは時間とともに溜まっていくが、トーチのレベルを上げるとその速度が上がっていく。そして、トーチのレベルを上げる際にもトーチエネルギーを使用する。
戦闘中にプレイヤーがやることは、出撃、スキルの発動、トーチエネルギーの充填速度アップ、狩猟兵への帰還命令の4つだけ。
しかし、どの順番で出撃するか? スキルの使いどころはいつか? トーチエネルギーのレベルを上げるタイミングは? など、部隊やトーチエネルギーのマネジメント力が試される。戦略を考えるのが好きな人にはたまらないシステムだ。
実際にプレイしてみると、まず足の速い剣兵を出して敵陣深くで敵の足を止め、盾兵を出撃させたら剣兵を戻し、盾兵が敵の攻撃を防いでいる間に他の兵で攻撃するという戦術がオーソドックスに使えそうだった。
もっとも、好きな戦略や兵種、戦い方は人それぞれなので、自分なりの戦術を編み出してみよう。十人十色のスタイルをきちんと受け止めてくれるスケールのゲームだ。これはバトルに限らず、街づくりや編成でも感じられた。
親切すぎるくらい親切な作品
最後にシナリオについて説明しておこう。配信当初はメインシナリオが4章まで解放されているが、シナリオは今後もどんどん追加されていく。
さらに、キャラクターにフォーカスしたサブシナリオや、曜日限定クエスト、イベントクエストもあったりと、本作はかなりのボリュームを誇る。
加えて、かなりの本数があるストーリーだが、メインシナリオはすべてフルボイスで楽しめる。ただ戦ったり街を作ったりするだけではなく、しっかりとしたストーリーも堪能させてくれるのだ。
街づくり・開拓、編成、バトルと紹介してきたが、戦略家・戦術家諸氏にはたまらないゲームであることが伝わっただろうか。それだけに留まらず、多種多彩なキャラクターや味わい深いストーリーなど、実に多様な要素が楽しめる。
また、本作は考えうる限りの“親切”を詰め込んだといってもいいほど、親切に作られている。メインシナリオに組み込まれたチュートリアルは懇切丁寧に本作のシステムを教えてくれ、またロード中に読めるTipsもかなりの数が用意されている(しかも自分でめくって読める)。さらに細かい点を挙げると、周回プレイをしたい人のために、バトルのリザルト画面に「再戦」ボタンまで用意されている。
このように、初めての人はもちろん、ガッツリと遊びたい人も本作は手厚く迎えてくれる。安心して飛び込んでみよう。
さて、ここからはプロデューサーの本山氏へのインタビューをお届けする。発表からサービスインまでに突き詰めたポイントやオススメの編成、運営する上でのポリシーなどをたっぷりと語ってもらった。
――実際に遊んでみて、戦略性・戦術性の高い作品という印象を受けました。
操作面やレスポンスは簡単にして間口を広くしつつ、その先を見ると「あれ、意外と奥が深いぞ」と思える作品を目指しています。チームには家庭用ゲーム機やアーケードの作品を作っていた、そういう要素を考えるのが得意なスタッフが揃っているのですが、彼らが頭をひねらせながら作ってくれました。
――サービスインの延期もありましたが、発表されてから1年の間に、より突き詰めた部分はありますか?
スマートフォンをプラットフォームの主軸にすると決め直し、その上で最適化を行いました。特に3Dグラフィックのクオリティの維持に努めました。
あとは物量の部分ですね。このタイトルはきっとソロプレイ好きの人が遊ぶだろうと考えました。なので最初はマルチプレイ要素を抑えめにして、その分ソロでプレイできるクエストをたくさん用意しています。
――サービスイン時には4章まで遊べるというお話でしたが、ストーリーが追加されるスパンはどれくらいですか?
大体月に1、2度のアップデートを考えていて、1回のアップデートごとに1章ずつ追加していくつもりです。また、1つの章が解放されたら、付随してサブクエストも複数個追加されます。クエスト数でいうと、十数個がアップデートごとに追加されていく感じですね。
――かなりやり込まない限りは、やることはなくならなさそうですね。
と思うんですけどね(笑)。寝る間も惜しんでやってくださるかたには、レイド戦を遊んでいただいたり、曜日クエストなどでどんどんパーティを強くしてほしいです。普通にプレイする方々には「どこまでクエストがあるんだよ」というところで勘弁してほしいと思います(笑)。
――イベントはどれくらいの頻度で開かれますか?
週に1回、ギルドで挑むタイプのレイド戦が開催されます。たまにはこんな武器を育成したり、こんな施設を発展させてみましょうというような、いろんなところに目が向けられるイベントを打っていきたいと思っています。
――昨年の「東京ゲームショウ2014」で、プレイヤーたちの選択でストーリーが変わるとおっしゃっていましたが、この要素はどこで活かされますか?
まだ詳しくは話せないのですが、大型アップデートで導入される見込みです。
――プレイヤーたちが物語の行く末を決めていくのは、TRPGのようですね。
そうですね、こちらがある程度の筋を用意した中で、プレイヤーの選択が生きるような内容を目指していきたいです。
――TRPGもそうですが、本作も世界観に没入できる作りになっていると感じました。
今回はチャレンジだと思っています。入り込める世界観を構築するぶん、説明が増えているのは事実なので、それが昨今の主流とは違うアプローチになっていますね。それを良いと言ってもらえるか、面倒くさいと言われるか、様子を見たいです。
――街づくり、キャラクター、2ライン・アクティブコマンドバトルとさまざまな要素がありますが、一番アピールしたい要素はどれでしょう?
やはりバトルのシーンですね。フル3Dでグリグリ動かすタイトルは、スマートフォンではまだまだ少ないです。それは何にも勝って大変だからなのですが、努力して作り上げてきたので、ぜひ戦略性も含めて楽しんでもらいたいです。
また、バトルに紐づいてさまざまなキャラクターも用意しましたので、そのキャラクターたち一人ひとりに感情を抱いてくれたらうれしいです。
――キャラクターにもかなり力を入れているように見えます。
このゲームはプレイヤー自身が隊長となってみんなを率いていくスタイルのゲームなので、周りを取り巻くキャラクターは魅力的に作り上げました。じゃないと率いていきたくなくなっちゃうので(笑)。
――キャラクターのガチャはないのですね。
キャラクターは、ガチャで手に入れるようにしたくなかったんです。どんどんキャラクターが増えていって、以前のキャラクターが脇役になってしまうのが寂しいなと思ったので、ガチャにしませんでした。ただ、キャラクターは今後ちょっとずつ増やしていく予定です。
――兵種は今後増えていきますか?
増やしていきたいですね。どういう兵種を増やすかは、様子を見て決めていきます。開発中は魔法使いや、相手の背後に回り込める忍者のような兵種などが挙がったのですが、どれもトリッキーで。まずは基本的なものを、ということで現在の5種になりました。
MMORPGなどもそうですが、上級職は何かと何かの“間の子”だったり、何かの特化型だったりしますよね。そういったものを追加すると、他の兵種が使われなくなってしまうこともあります。そういった部分も考えて、追加する兵種を決めたいです。
――バトルを「2ライン」にした理由は何でしょう?
まず最初に、何人の兵士を操作するかを決めました。4人~5人がちょうどいいという結論が出て、次はその兵士をいくつのラインに割り振るか考えたのです。
例えば3ライン以上だと兵士が足りませんでした。かといって1ラインでは単なる力押しになります。では2ラインだとどうだろうと検証してみたら、どちらかを固めることができたり、相手の裏をかいて逆サイドから一気に攻めたりと遊びが残せたので、2ラインにしました。
――なるほど。そのバトルで重要な役割を持つアイギスですが、アイギスが武器以外の姿を持つ設定は開発当初からあったのでしょうか?
一番最初の設定ではなかったと思います。しかし開発初期からそういう要素を入れていくという話はありました。せっかく竜の背中から採ってきた素材で作る武器なら、不思議な要素を入れようと。そこで、武器の中に精霊が宿っているというアイディアを採用しました。
キャラクターとアイギスのどちらが主かという議論もあったのですが、このゲームではあくまでもキャラクターが主です。アイギスは、キャラクターをカスタマイズしていく要素のひとつですね。
――序盤にオススメの戦術やキャラクター、武器はありますか?
結構好みが分かれるんですよね。開発チームでも、盾兵を必ず入れる人もいれば、研究塔で大剣兵のHPを上げればなんとかなるという人もいます。
ただ、盾兵と弓兵、大剣兵、剣兵がオーソドックスでしょうか。これならオールマイティに攻撃することができます。最終的には相手のトーチを壊さないといけないので、攻撃重視の編成がいいかなと思います。
――本山さんのお好きな戦い方は?
僕は盾兵で片方のラインを止めておいて、もう片方を一点突破します。
――私も先ほどやってみましたが、戦術で攻略した気分になりました(笑)。
“やってやった感”がありますよね。僕は元々ずっとサッカーをやっていたんですが、その影響があると思います。サイドアタックですね(笑)。
ずっと昔にも、サッカーのあの感じをゲームに落とし込めないかと別のプロジェクトの時に試したことがありました。その時はうまくいかなかったんですけど、それが巡り巡って今ここにあります。
――さまざまなタイプのキャラクターがいるのは、スポーツに通じるものがありますね。
開発チームにバランスの取り方や必要な要素を話す際に、何度も「これはスポーツゲームなんだよ」という話をしていました(笑)。最初はあまり理解されなかったのですが、ディレクターが気づいてくれましたね。
そのディレクターも、独自のアイディアをいっぱい出してくれたんです。だからこのバトルには、僕だけじゃなくて、ディレクターやプランナーをはじめとする、みんなのアイディアもたくさん入っています。
――コンシューマ・オンライン カンパニーにとって、スマートフォン向けタイトルはチャレンジングだと思うのですが、運営していく上でのポリシーはありますか?
なるべくなら、無理やりなコラボはしたくないと思っています。また、用語の一つ一つにこだわるなど、どこまでも世界観や雰囲気を大事にしていますね。プレイヤーが「この世界に遊びにくる」という気持ちになれるよう運営していきたいと考えています。
――最後に、配信を心待ちにしていたプレイヤーにメッセージをお願いします。
新規タイトルにこれだけの人数が事前登録(筆者注:インタビュー時点で30万人を突破)し、応援していただき、本当にありがたく思っています。ソロプレイの部分では遊び尽くせないほどの物量を用意していますし、今後もさまざまな要素を拡充するための準備をしています。ぜひ楽しんでいただいて、いろいろなご意見をいただけたらありがたいです。
(C)SEGA
※画面は開発中のものです。
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