スクウェア・エニックスより発売中のPS4/PS3/PS Vita用ソフト「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ」。同作をプレイしてみてのインプレッションをお届けする。
やられた。予想外だった。「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ(以下、DQB)」をプレイしての正直な感想だ。もちろん、DQシリーズの最新作であるということで、以前からチェックはしていた。しかし本作はこれまでのDQタイトルとは違い、サンドボックス系のジャンルだと聞いていたため、自分の中で、どこか一歩踏み出せない部分があったことに疑いの余地はない。
恥ずかしながら筆者は、サンドボックスの代表格である「マインクラフト」をプレイしたことがなかったし、同作の大きなムーブメントは知りつつ、手を出そうともしていなかった。それは、勝手に「難しそう」「面倒くさそう」「ハードルが高そう」という思考が働いていたからなのかもしれない。ゆえに、DQBに関しても、いささか懐疑的だった。「マイクラをプレイしている人は楽しめるかもしれないけど、やっていない俺に合うかな……?」と。
しかしその一方で、単純な思いとして、いま最も熱いジャンルの一つだといっても過言ではないサンドボックスタイプのゲームに触れないことは、ゲームメディアで仕事をするライターにとって、大きな損失ではないだろうか、食わず嫌いをしている場合ではないのではないだろうか。
ましてや本作は、DQシリーズの最新作にして、初のサンドボックスタイプの作品だ。シリーズの新たなチャレンジを、この目で確かめないわけにはいかない。むしろ、サンドボックスに触れるいい機会だ。毎作高いレベルでクオリティコントロールされているDQシリーズということで、ある種の安心感もあった。さらに言えば、「ウィザードリィ」、「ウルティマ」等、それまでマニアックとされていたRPGというジャンルを、一躍メジャーにまで押し上げたDQが、サンドボックスという新たなステージを手に入れたことで、どんな化学反応が起こるのか。どんなゲーム体験を提供してくれるのか。一ユーザーとして興味がないと言えばウソになる。
そこで今回、編集部に「DQBの原稿を書かせてくれ」と連絡し、実際にDQBをプレイ。原稿としてまとめようと筆を執ったわけだが、よくよく考えて見れば、本作が発売されたのは1月28日。筆者が原稿を執筆している時点ですら約一ヶ月が経過している。今さら「本作のシステムは~~~」などと基礎情報を並べ立てても面白くないだろう。そこで今回は、基礎情報は最小限に抑えつつ、筆者が感じたままの感想を、原稿に落としてみたいと思う。
クエストをこなすも、自由気ままな旅に出るも全てはプレイヤーの自由
ゲームは、「ドラゴンクエスト」(第一作)の舞台でもある「アレフガルド」。勇者が、「ドラゴンクエスト」のボスである「りゅうおう」の「もし わしの みかたになれば 世界の半分を やろう」というお馴染みの問いに「はい」と答えてしまったとんでもないifの世界が舞台。そりゃあ誰もが「はい」と答えてしまったあとの世界を一度は想像はするかもしれないが、それを実際にゲーム化してしまうとは恐れいった。スタッフの遊び心から生まれた設定なのかどうかは分からないが、DQシリーズからこのような実験的な作品が生まれたことは、シリーズの今後の道筋に大きな意味を持たせたと思う。
りゅうおうの力によって、世界は闇に覆われてしまい、街や城などは荒廃。美しかったアレフガルドは見る影もなくなってしまった。そんなとき、一人の若者が「りゅうおう」を倒すべく立ち上がるというのが、大まかなストーリーライン。ゲームは、ゴーレムで有名な城塞都市メルキドを復興させるところから始まる。「●●を作って」「●●を持ってきて」などのクエストをこなしつつゲームを進めていくのが、基本的な流れだ。
手に入れた素材を組み立て、建物を一から作っていく工程が、この手の作品をプレイしていなかった筆者には新鮮であり、家を一つ作った時は確かな達成感があったし、街の人々が「やったね!」「凄い!」とほめてくれたときは、素直に嬉しかった。「物を作る」ことの素晴らしさを実感できた瞬間だった。メルキドが、徐々に在りし日の姿を取り戻していく。そこに自分自身が参加できるなんて、DQファンならこんなに嬉しいことはないだろう。
しかし街の人々の要求はどんどんエスカレートしていき、あれもこれもと次々にクエストを発注してくる。コーヒータイムもないほどだ(ウソ)。「おいおい! 俺は社畜じゃねえぜ」といささか人間関係に疲れきった筆者は、ちょいと羽を休めて、放浪の旅に出てみた。仕事にはほどよい距離感で接していくのが信条の筆者には、休息が必要だったのだ。
そこで、ここで筆者は新たなことに気づく。というのも、DQBの世界は広く、てくてくと歩いているだけでもちょっとした発見があったりして面白いのだ。考えてみれば、本作は、PS4で発売されている数少ないDQシリーズだ。高精細な画面のマップを探索してみない手はないじゃないか。モンスターは怖いけど、近づかなけりゃ大丈夫だし。と、まあ、そんな感じで一泊の観光旅行を終えリフレッシュ。本来の使命である、「メルキドを復興させる」に戻っていった。
ちょっぴり骨太?DQBのバトルについて
バトルについても触れておこう。先ほど少し述べたが、バトルは、DQシリーズ定番のコマンド選択式ではなく、アクション性を重視したもの。通常攻撃やスキル、ジャンプなどを駆使しながら戦う、説明も不要なほどシンプルなシステムだ。
ゆえに、プレイヤーのスキルがダイレクトに戦況を左右する。プレイヤーキャラクター自体にレベルはないので、装備品がキモになってくるのだが、初期はやはり貧弱な武器防具で頑張るしかない。筆者も最初の数時間は、こんぼうやボロの服で戦っていた。序盤はスライム、ドラキー、ゴーストなど、比較的弱い敵ばかりなので余裕綽々といった感じだったが、中盤に差し掛かってくると、てつのさそりやよろいのきしなど、それなりに強い敵が複数で襲ってくる。
なので、バトル自体は決してぬるくないと、筆者は感じた。システム自体はシンプルだし、かなり遊びやすいゲームではあるのだが、バトルに関しては、多少なりともプレイヤーの腕が重要になってくるだろうなと。まあ、この辺りはプレイヤー次第で意見も変わってくるところなので、一概に「難しい!」と声を大にするところではないかもしれない。
定期的に発生する「竜王軍バトル」。モンスターから街を守るのだ。 |