セガゲームスが2016年3月24日に発売を予定しているPS Vita用ソフト「初音ミク -Project DIVA- X」。発売前にゲーム内容に一通り触れてみての、プレイインプレッションをお届けする。

目次
  1. ライブクエストモードの搭載によって生まれる”ライブ感”
  2. “エレメント”がカギを握る新たなゲームプレイ
  3. ラッシュノーツやメドレー、スペシャルライブでリズムゲームにも新たな体験を
  4. ライブを意識した演出はエディットにも反映

「初音ミク -Project DIVA- X」は、電子の歌姫・初音ミク主演のリズムアクションゲーム「初音ミク -Project DIVA-」シリーズの最新作。「歌うようにプレイする」という、シリーズならではのリズムゲームとしての面白さや魅力はそのままに、新たにライブクエストモードが追加された。

すでに店頭での体験会などが実施されており、筆者も以前「初音ミク『マジカルミライ 2015』」の際に触らせてもらったが、今回は製品版の内容を一足先にプレイし、大きく変化したそのプレイサイクルと、本作ならではの魅力を感じることができた。

ライブクエストモードの搭載によって生まれる”ライブ感”

まず本作の一番大きな変化とも言えるのが、ライブクエストモードの存在だ。「ニュートラルエリア」「キュートエリア」「クールエリア」「ビューティエリア」「カオスエリア」と、全部で5種類のエレメント(属性)によるエリアが用意されていて、各エリアに属している楽曲をプレイしていく。

とはいえ、最初にプレイできるのは「ニュートラルエリア」のみ。まずはエリア内に属している曲を選択し、あらかじめ設定されたクエスト(条件)の選択画面へ。クエストはさまざまなものが用意されているが、まずは簡単なものから順に選んでいくといいだろう。

各エリアのクエストをプレイし、後述するボルテージをエリアごとのジェムに溜めていき、ジェムをボルテージで満たすことで、新たなエリアに行けるようになる。基本的にこの一連の流れでゲームを進めていくのだが、従来のDIVAルームに変わるホームがモードの起点となっており、初音ミクをはじめとした、おなじみのキャラクターたちとのコミュニケーションが楽しめる。

これまでのシリーズでは、リズムゲームをクリアしていくことが軸になっていたのだが、本作ではライブクエストモードを進めていくことがゲームのサイクルになっている。その中で、リズムゲーム、コミュニケーション、モジュール(コスチュームのこと)などの要素が切り離されることなく繋がっていることが本作の大きな特徴であり、プレイヤーがまさに“ライブをプロデュース”しているかのように感じられる点だろう。

“エレメント”がカギを握る新たなゲームプレイ

まずはゲームとしての大枠で触れていったが、ライブクエストモードは新たなクリア評価の仕組み「ボルテージゲージ」を導入していることもポイント。それによって、加算形式によるリズムゲームの遊び方の変化、そして“エレメント”の存在によるカスタマイズ性が生み出されている。

リズムゲームについては、そのプレイ内容に応じて「ボルテージ」を高めていき、設定値を満たせばクリアとなる。過去のシリーズではミスを重ねると、プレイ中でも強制的に終了となってしまったが、ライブクエストモードにおいてはプレイ途中でのゲームオーバーという概念は無いため、好きな楽曲でも譜面が苦手、というようなプレイヤーでも問題なく遊べることだろう。

また、先ほどから何度も触れているエレメントは楽曲だけでなく、モジュールやカスタマイズ用のアクセサリにも5種類のいずれかが設定されていて、それがクエスト攻略のカギを握っている。また、モジュールには、リズムゲームのミスをカバーするもの、ボルテージレートをアップさせるものなどの「スキル」が設定されている。クエストに応じたセットアップでクエスト攻略を有利に進めることもできる。もちろん、好みのモジュールやアクセサリを選択して、見栄えを楽しむというのもありだろう。

ちなみに、モジュールに関しても、本作ではショップで入手するこれまでの仕組みから、リズムゲーム(クエスト)中の「チャンスタイム」を成功させることで、ランダムドロップし、クエストをクリアすると入手できる仕組みに変更されている。果たしてチャンスタイムをクリアできるのか、そしてお目当てのモジュールが登場するのかというドキドキ感も味わいつつ、ゲームプレイを楽しんでみてほしい。

もちろん、従来のシリーズと同様の遊びが楽しめるフリープレイモードも用意されている。こちらにはエレメントやボルテージの概念がなく、ソングエナジーゲージやクリアランクといった従来の要素を踏襲。加えて、ヘルプアイテム、チャレンジアイテムの設定も可能なので、純粋に自分のプレイスキルを磨きたいという場合にオススメだ。

ラッシュノーツやメドレー、スペシャルライブでリズムゲームにも新たな体験を

リズムゲームの仕組みにもいくつかの変更が加えられているが、一番目を引くのは規定時間内に連打することでスコアアップする、新システムの「ラッシュノーツ」だ。これまでは歌のリズムに合わせて対応するノーツのボタンを押す、シンプルながらも難易度の上昇に応じてやり応えのあるシステムになっていたが、ラッシュノーツに関してはその思想から違うように感じた。

ラッシュノーツの出現時は、テンポを気にせず、とにかく連打を繰り返すという操作になっている。後述するスクラッチも含め、シリーズを通してこのような操作を求められる機会はこれまでになく、まず最初に思ったのは、プレイに対する新鮮味だ。プレイしている最中に別軸でのプレイが入り込むことで、プレイ中のマンネリを取り除くスパイスになっていると思う。

同時に、筆者が面白いと感じたのが、先ほどから触れている“ライブ”というキーワードに関してもラッシュノーツが機能していること。これまでは、あくまでも楽曲ごとのPVを楽しむことを前提としたリズムゲームとなっていたが、ラッシュノーツのようなプレイヤー側のアクションが影響する要素が加わり、ライブ感を生み出している。そして、先に紹介したモジュールを入手する際の演出も同様の効果をもたらしており、リズムゲーム全体がライブを楽しむかのような構成になっている部分は見逃せない。

その一方で、前作「F 2nd」で追加された「リンクスクラッチ」「ダブルスクラッチ」は今作では収録されていない。これまでの操作の拡張をリセットしてシンプルな操作に落ち着いたことで、遊びの間口は確実に広がっているのではないだろうか。

ライブクエストモードでエリア内のすべての曲をクリアすると楽しめる「メドレー楽曲」と、ライブクエストモード中、一定の条件がそろうことで解放されるイベントクエストのひとつとして発生する「スペシャルライブ」も、リズムゲームの遊びを広げる上で大きな役割を果たしている。

まずエリアごとに用意されているメドレー楽曲だが、各楽曲の聴きどころを再構成しているだけでなく、アレンジが加えられることで過去のリズムゲームを知っている人にも新たな楽しみが提供されている。そして、通常の楽曲よりも長尺でのプレイとなるため、楽曲ごとの対応も含めて、十分にやり応えのあるプレイを楽しめることだろう。

一方のスペシャルライブは、楽曲を3曲選び、それぞれに登場するキャラクターも設定する、好きな楽曲の組み合わせでセットリストを組むことができるものになっている。楽曲は1コーラス分に編集したスペシャルライブの特別仕様で、楽曲間のつなぎ部分はシームレスになっているため、ひとつの流れで楽しめるのが特徴だ。ライブホールを舞台に、観客を映し出すカメラワーク、そして観客からの歓声も織り交ぜて、ここだけのライブ体験を楽しもう。

ライブを意識した演出はエディットにも反映

ライブシーンにも映えるような楽曲と、それを反映したかのようなPVももちろん注目のポイントだが、今作では収録楽曲やステージを組み合わせることで、ライブステージを演出できる「ライブエディットモード」も用意されている(※追加コンテンツ「ライブエディットスタートパック」(無償)をPlayStation Storeからダウンロードする必要がある)。

従来のエディット機能はリズムゲームにも紐付いていたが、今作においてはライブ演出に特化させたことにより、幅広い機能を活用して、プレイヤー自身がいちからライブをプロデュースしていくことができるのが重要なポイント。収録されている全楽曲の演出をフルサイズで編集できること、そして多彩なモーション、カメラワークやライトなどの演出を楽しめることなど、実際に試してみるとその幅の広さを堪能できることだろう。

今回はプレイできた時間があまり多くなかったため、各要素をなぞるように紹介するに留まったが、発表時に提示されたコンセプト“ライブ&プロデュース”がゲーム内でしっかりと機能している点を、「初音ミク -Project DIVA- X」の持つゲームの魅力として挙げたいと思う。まもなく発売を迎える同作に期待しよう。

初音ミク -Project DIVA- X

セガゲームス

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  • 発売日:2016年3月24日
  • 12歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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