インティ・クリエイツが2016年8月25日に配信予定のニンテンドー3DSダウンロードソフト「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」。同作を一足早くにプレイしてみて感じた、本作の魅力を紹介する。
「ロックマン ゼロ」シリーズ、「ぎゃる☆がん」シリーズなど多岐にわたるタイトル群を手掛けるゲーム開発会社インティ・クリエイツ。同社が初のパブリッシングタイトルとしてリリースしたのが、ニンテンドー3DSダウンロードソフト「蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト」。現在までに累計17万ダウンロードを記録するなど、ダウンロード専用タイトルとしては異例のヒットを記録している。
そして今回、同作の続編となるニンテンドー3DSダウンロードソフト「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪(ソウ)」、そしてシリーズ2作をひとつのパッケージにまとめたニンテンドー3DS用ソフト「蒼き雷霆 ガンヴォルト ストライカーパック」が8月25日にリリースとなる。パッケージとしてのリリースも同社としては初の試みだが、連日各地で行われた店頭体験会には多くのファンが詰めかけるなど、着実にファンにプレイしてもらう機会を作ってきた。
発売に先立ち、製品版の「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪(ソウ)」の内容をプレイさせてもらったところ、主人公が2人になったことでほぼ倍のボリュームを盛り込んでおり、その上で前作と比較しても非常にバランスよく遊べるようになっていた。ここでは実際に遊んでみてわかったポイントを中心に、ゲームの魅力を紹介していこう。
2人の主人公で差別化されたアクションの魅力
本作の一番のポイントとして挙げられるのが、プレイヤーが操作するキャラクターが、ガンヴォルトとアキュラの2人になっていること。実際にプレイしてみると、Yでショット、Bでジャンプなどといった基本操作に大きな違いはないものの(コンフィグで変更可能)、異なる操作感覚により、ステージを進める方向性も大きく変わっていた。
ガンヴォルトのアクションは、前作同様にダートリーダーで敵をロックオンし、本作における特殊な力、第七波動(セブンス)能力“雷撃鱗(ライゲキリン)”で撃破していくのが基本となる。雷撃鱗は範囲内の敵にダメージを与えられる上、ロックオンしておけば範囲外でも直接攻撃でき、より効率的に倒すことができる。ロックオンには青→黄→赤の順に3段階あり、段階に応じて与えられるダメージも大きく変化する。
また攻撃だけでなく、空中ではホバリングで移動できたり、バリアーとして実弾系の攻撃をガードできたりと、応用力の高さを持っているのも特徴。ただ雷撃鱗はガンヴォルトの足元と画面左上のパーセンテージで表示されているEPゲージが0になると自動的に解除される上、100%回復するまでは一時的に使用できなくなるので注意しておこう。
またレベルアップに応じて習得していく、攻撃や回復などのスキルを最大4つセットできるのもポイント。前作にはなかった新スキルが追加されているのはもちろんのこと、今作ではXボタンにスキルを1つだけショートカットとして設定できるので、ボス戦のような一瞬の選択が命運を分けるような局面で使っていきたい。
一方のアキュラは、ボーダーIIという武器からのフォトンレーザー発射を基本攻撃としつつ、ダッシュで体当りすることで、その対象をロックオンできることが大きな特徴。ロックオン状態ではフォトンレーザーが曲線を描き敵へと誘導するため、確実にダメージを与える場合には必須のアクションとなっていく。
さらに、ブリッツゲージを消費する「ブリッツダッシュ」では空中を高速移動できたり、壁に向かってダッシュすると反射してさらに上空に飛ぶことができるなど、機動性の高さが大きな特徴だ。
そして、アキュラは第七波動能力を持たない代わりに撃破したボスの第七波動攻撃をEX(エクス)ウェポンとして複製(ミラーリング)することができる。こちらはHPゲージの下に表示されるバトルポットのエネルギーゲージが消費されるので連続使用には向かないが、使えるEXウェポンが増えていくことで攻略にも大きく役立っていくことだろう。また、固有のスキルとして全体攻撃の「ストライクソウ」と体力を完全回復させる「ヒーリング」を持っているので、こちらも活用していこう。
ちなみにガンヴォルト、アキュラはともに「カゲロウ」という特定条件下に限ってダメージを負わない能力を持っている。ガンヴォルトはEPゲージ、アキュラはブリッツゲージを消費するため万能というわけではないが、こういった横スクロールアクションのゲームに関してはHPの管理が難しいことは言わずもがななので、アクションゲームが苦手な人ほど役立てていきたいところだ。
このように、ガンヴォルトは固有の能力である雷撃鱗とレベルアップによって覚えていくスキルの数々、アキュラはダッシュを用いた攻撃と多彩なEXウェポンの切り替え、という明確な差別化が図られており、2つの異なるゲームを遊んでいるかのような感覚を覚えた。それぞれのキャラクターでプレイできるステージ数は前作と大差ないので、まさに2倍近いボリュームを詰め込んだゲームとなっている。
クードスシステムの改良などにより幅広いユーザーがゲーム・演出を楽しめるように
ゲームを進めていく上でポイントとなるのが、敵からの攻撃を受けずにコンボを繋がることで溜まっていく「クードス」の存在。溜まったクードスはリトライマーカーへの接触、ミッションのクリアー、スペシャルスキルの使用によってスコアに精算される。その数値に応じてスコアの値もより大きくなり、クリアタイムとともにミッションクリア時のランクが決定。ランクが高いほど装備やコードを作成するために必要な素材も多く入手できるため、プレイを円滑に進めるためには欠かせない要素のひとつだ。
そしてこの数値が1000を超えると、BGMが電子の謡精(サイバーディーヴァ)が歌う曲へと変化。これがバトルシーンを盛り上げる要素にもなっているのだが、前作までは基本的に一度でも攻撃を受けてしまうと(カゲロウを含む)クードスがリセットされてしまうため、この演出を楽しむことができないプレイヤーも少なからずいたのではないだろうか(アクションゲームが下手な筆者もそうだった)。
何度でもコンティニューが可能なため、攻略法を探りながら根気強くプレイし続ければクリアも可能なゲームデザインにはなっていたが、クードスの部分は純粋なプレイヤースキルに依存する面も大きかったため、難易度を上げる要因のひとつになっていた。それに対し今作では、ミッション出撃前に3種類のクードスモードを選択できるようにすることで、プレイヤースキルに合わせたゲームプレイを楽しめるようになった。
デフォルトは3回被弾するとクードスが0になる「ティミッド」。2回までは攻撃を受けても大丈夫なため、どうしても攻撃を避けられないような局面でもあらかじめカゲロウで回避することを計算しておくなど、前作よりは選択肢の広がるプレイスタイルで楽しめるモードとなっている。
そしてスコア精算率は低いため高ランクは期待しづらいものの、いくら被弾してもクードスが0にならない「アパシー」というモードも搭載。純粋にシアンやロロの歌を楽しみたいという人はこちらを選択すると、ストレス無くプレイできることだろう。
もちろん、前作と同仕様でプレイ可能な「レックレス」というモードも搭載されている。こちらはスコア精算率も上がるため、まさに自分の腕を磨くのに持ってこいのモードとなっている。最高のクリアランク「S+」を狙う人はチャレンジしてみてほしい。
ライブノベルで展開する2つの視点の物語
ライトノベル2Dアクションというジャンルを掲げた本作は、ガンヴォルトとアキュラ、それぞれのキャラクターの視点で物語が描かれていく。第七波動能力者たちによる多国籍能力者連合「エデン」、その中でも特に優れた7人の能力者“グリモワルドセブン(G7)”との戦いを経て待ち受ける結末とは…?
正直なところ、物語の冒頭からネタバレになる要素が満載でここで書けることはほとんどないのだが、謎の少女の正体やアキュラの妹・ミチルの存在など、いろいろな含みを持った人間関係に注目しておくと、ゲームをクリアする頃にはいろいろな謎が氷解していくことだろう。
またミッション中、リアルタイムの掛け合いを楽しむライブノベルは本作でも健在。ウィンドウ濃度や顔グラフィックの非表示などの調整が可能となり、こちらもプレイスタイルに合わせることができるように。ストーリーやキャラクターをより深く理解したいという人は、忘れずにチェックしてみてほしい。
さまざまな思惑に翻弄され傷つくも再び立ち上がるガンヴォルト、能力者を憎み、愛する妹ミチルを守るため戦うアキュラと、ヒーローとしての在り方の違いも、ストーリーを楽しむ上での魅力となっている本作。前作をプレイした人は驚きの展開を楽しみ、そして「ストライカーパック」からゲームを始める人は前作と併せて、ガンヴォルトとアキュラの物語にぜひ注目してもらいたい。