【CEDEC 2016】ソーシャルゲームよりブラッシュアップさせる“ソーシャル”の設計図とは?

【CEDEC 2016】ソーシャルゲームよりブラッシュアップさせる“ソーシャル”の設計図とは?

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ソーシャルゲームを設計するにあたって、ゲーム機能と連動して必要なのが「ソーシャル」機能だ。そのソーシャルを設計するに上で大切な要素をテーマにしたのが、今回のCEDEC 2016で行われたセッション「ソーシャルゲームにおける『ソーシャル』の設計図」である。

ソーシャルゲームが出てきて約10年、「ゲーム」で多様な経験ができるようになった反面、新しい体験を提供するのが難しくなっているのが現実だ。そこで「ゲーム」ではなく「ソーシャル」に目を向けてみよう――というのがこのセッションの趣旨だ。

講演者:平岡鉄太郎氏(バンダイナムコスタジオ)

平岡氏が考える、ゲームにおけるソーシャルは基本要素、活発度アップ、満足度アップの3つの階層からなっている。氏はこれらひとつひとつを段階的に説明していった。

第1階層:規則、コミュニケーション手段、通貨

平岡氏は第1階層として規則、コミュニケーション手段、通貨の3つを挙げた。

規則はざっくりといえばゲームにプログラムさせているものだ。またルールに抵触する可能性がある行為をゲーム内に残しておき、その罰則の度合で行動を指針付けることができると平岡氏は話す。

コミュニケーション手段の代表はもちろん言語だが、エモーショナルアイコンなどの選択肢も考えられる。ここはユーザー間でどのようなコミュニケーションをさせたいかで手段を選ぶポイントだ。

通貨は有償・無償に限らず、別のものに交換できるものと定義する。通貨そのものは分業・専業によって効率化されたものをつなぐ手段なので、これを用いることで各ユーザーに役割をもたせることもできる。その他にも価値を付加したり、消費、蓄積、争奪の対象にしたりと用途はさまざまだ。

第2階層:物流導線、コミュニケーション導線、コスト効率

第2階層には物流導線、コミュニケーション導線、コスト効率と、ソーシャル内の活動を活発にする要素が並んだ。ソーシャルゲームを開発・運営している人なら普段から意識している内容だろうと平岡氏が話すものだ。

物流動線とは基本的に報酬設計のことを指す。例えばいつまでに何を行うと報酬がもらえるか、といったものだ。ただ、それに限定しない物の流れも物流導線といえる。例えばユーザー間のオークションやトレード機能がそうだし、ギルドメンバーに自分のアイテムを配布するという行為も含まれるだろう。

コミュニケーションはソーシャルゲームの中では補足的な要素だ。しかしそれゆえに扱いが難しく、ゲームの空気感も決まってしまうので注意が必要なポイントである。1対1なのか1対多数なのか、一方通行なのか双方向なのか、どのパターンで行うのかを意識しなければならない。

コスト効率とは、ある報酬を獲得するためにかかるコストはどれくらいなのか? ということ。ユーザー全員か条件達成者か、かかるコストを上げるのか下げるのか、といった項目で調整していく。

第3階層:不平等の抑制、つながり作り、活躍の場作り

ソーシャルゲームの運営を始めると、それまでは発覚しなかったひずみが顕になる。これを補うのが第3階層だ。相対化が前提のソーシャルの世界では、ユーザー全員が満足することはない。ゆえに平岡氏は、トレードオフの判断が常に必要だと語る。

不平等の抑制

平岡氏は、ユーザーの不満はすべて不平等の抑制に起因するのではと分析する。その上でさらに、ユーザー属性によって抱えている不満もまた異なってくる。

課金者の場合

課金者が抱える不満とは、課金した分の満足感がないこと。「○百万DLキャンペーン」などで課金アイテムの配布、いわゆる“ばらまき”が行われるのはさまざまな作品で見られるが、課金したユーザーにとっては「回って戻ってきた」というのが実態だ。

一方で無課金者にとっては課金者並の効果が得られるので、相対的に課金の価値が目減りしていく。現実世界で言うフリーライドである。ただ現実世界では税金という形を取って社会全体で負担しているが、ソーシャルゲームはフリーミアムモデルで運営されているゆえ、課金者が全体を支えることになってしまう。

無課金者の場合

無課金者の不満は「勝てない!」だ。無課金であれど、報酬を手に入れたい、勝負に勝ちたいという欲求は当然ある。運営側にとっては無課金者も「お客様」なので、彼らが欲する対価を得られる導線を引く必要がある。

無課金者が満足できる導線を引けば、課金者の得る対価が目減りしていく。双方の満足度のトレードオフが生まれてしまうのだ。しかしこれを両立させる手段がひとつある。

両者の不満「インフレしすぎ」

課金者・無課金者の両者を満足させるために打てる手がインフレだ。多くの報酬を配って満足してもらった上で、パラメータをインフレさせて配りすぎた報酬を無効化させる。

こうした手を打っていくと、課金者の得た対価はどんどん減っていく。これらを違和感なく、納得させる形で行いつつ、サービスが続くだけの収益を出していくバランス感覚が、“神運営”には必要なのだと平岡氏は話す。

ユーザーのプレイ時間差を埋めるには?

ゲームをサービス開始時から遊んでいる人と始めたばかりの人では、当然ながら大きな差が出る。またプレイ時間も人によってまちまちだ。

この始めたばかりの人、プレイ時間が少ない人を、インフレでサポートすることができる。インフレによって「競争が楽しいレベル」の下限が上がれば、運営のサポート対象であるこの「下限に至っていない人」も増えていくというわけだ。

インフレをうまくコントロールしていくマインドが必要だと平岡氏。
インフレを抑える手段はガチャ?

ガチャは一定の確率が設定されているものの、出る人は出るし、出ない人は出ない運の産物だ。平岡氏は、インフレを引き起こしそうなアイテムの排出率を抑えられる一方で、運良く当たれば一気にトッププレイヤーの仲間入りも果たせる下克上要素が、ゲーム環境に良い影響を与えていると話した。

ちなみに中国ではVIP機能を取り入れるのが主流で、日本よりもハイペースでインフレが進んでいるという。中国のユーザーは払った分の対価を得たい傾向が強く、ガチャモデルを嫌うのだ。場所によるカルチャライズが必要だという良い例だろう。

さて、話を第3階層に戻そう。不平等の抑制は完全に解決できるものではない。そこで出てくるのが「つながり作り」だ。端的に言えば、「人に頼られるとうれしい」である。

ヒエラルキーのどこに位置するかで、そのユーザーがアプローチできる人は変わってくる。ピラミッドの上にいるほど自分より上位者とつながりにくくなるし、真ん中にいるユーザーは上下左右にアクセスしやすい。下にいるユーザーは自分と同レベルのユーザーとつながりやすいといった具合だ。

この中でつながりをうまく作らせるには、誰にでもアクセスしやすい中間層にメリットを持たせると良い。さらに一歩踏み込んで、ユーザー間のハブになっている人、コミュニティ外へのブリッジになっている人にフォーカスするという選択肢も取れる。

もうひとつ、完全解決が不可能な不平等の抑制を補完するのが「活躍の機会作り」だ。具体的には評価軸の多様化である。例えばユーザーピラミッド内にランク帯を設けたり、ゲームとは異なるベクトルを持たせたりすることで、多彩な“ナンバーワン”が生まれるのだ。

第1~第3階層、合計9つの要素を念頭に置いて設計していくと、新しいアプローチが生まれるのではないかと平岡氏は提案する。ただ、これらだけを把握してもソーシャルゲームは作れないと補足もしていた。ソーシャルゲームの主戦場がスマートフォンになり、操作介入度の高いゲームが出てきたことで、ゲームプレイのおもしろさが前提条件になりつつある。その上で、この「ソーシャル」の要素がサポートしていく必要があるのだ。言葉通りではあるが、「ゲーム」と「ソーシャル」の両立が、今まさに求められる「ソーシャルゲーム」の形なのである。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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