ディースリー・パブリッシャーが2016年10月20日に発売するPS Vita用ソフト「アイドルデスゲームTV」。ここでは、制作秘話やキャラクターにまつわるさまざまなエピソードが聞けたインタビューの模様をお届けする。

「アイドルデスゲームTV」は、7人のアイドルたちがセンターをかけた“デスゲームに挑むセンター争奪デスゲームアクションADV”だ。

プレイヤーはお気に入りの女の子を一人選び、トップアイドルグループ「プロジェクト47」のセンターを決める、年に1度のビッグイベント「ドリーム・オブ・ドリーム(D.o.D)」で優勝を目指すこととなる。

「夢」か「死」か。文字通り“負ければ終わり”の過激なゲーム内容と、その可愛らしいキャラクターとのギャップが魅力の本作。本稿では、そんなキャラクターたちの魅力をより掘り下げるため、プロデューサーである臼田裕次郎氏(ディースリー・パブリッシャー)、脚本・監督である遠藤正二朗氏(ウィッチクラフト)、そしてキャラクターデザインを担当する上田メタヲ氏にさまざまなお話を伺ってきた。

華やか見た目とは裏腹な綿密に作り上げられたキャラクター設定とストーリー

――まずは、東京ゲームショウ2016お疲れ様でした!上間江望さん、芹澤優さん、立花理香さんが出演されたライブステージもかなり盛り上がっていましたね。

臼田氏:ありがとうございます!見に来てくださったユーザーさんからの反応も好評でしたし、またこういった機会は設けたいですね。

――今後ライブなどのイベントに注目しているユーザーさんも多そうですね。それでは、まずは本作の簡単なゲーム紹介からお願いします。

臼田氏:「アイドルデスゲームTV」は、アイドルグループ「プロジェクト47」のアイドルたちが主人公のアドベンチャーゲームとなっています。センターを決定する一大イベント「D.o.D」に参加するため、古びた洋館に集められた彼女たちですが、そこでセンターと生死を賭けたデスゲームに巻き込まれてしまう……というのが大まかなお話の流れですね。

左から)上田メタヲ氏、遠藤正二朗氏、臼田裕次郎氏

――すでに公開されているPVや情報などを見ると、かなり過激な表現も含まれていますが、本作の企画というのはいつ頃から立ち上がったのでしょうか?

臼田氏:正確な時期までは記憶していないのですが、以前から僕はアイドル物の作品を作りたいと考えていたんです。そうした作品が流行っていましたし、市場もあったので。ただ、「バレットガールズ」や「オメガラビリンス」など、ほかの作品も手掛けていたのでなかなか着手できずにいたんですね。

――ということは、アイデア自体はかなり前から浮かんでいたんですね。

臼田氏:それでしばらくした後、ほかの作業にも余裕が生まれ始めたので、もう一度自分の中でじっくりと考えられる機会ができました。その時に考えたのは、やはり普通のアイドルものでは通用しないな、ということです。

――アイドルをテーマに据えた作品は、他社でもかなりありますし、また人気も高いですからね。

臼田氏:なので、ほかのアイドル作品とは一線を画すような、弊社ならではの“武器”が必要だと思ったんです。そんなとき、僕が普段使っているネタ帳に、“某有名アイドルグループがセンターを賭けて殴り合う格闘ゲーム”というのがありまして……(笑)。

――それはそれで物騒な内容になりそうですね(笑)。

臼田氏:そこから着想を得て、センターを賭けて争うバトル物でいこうと考えました。僕自身、デスゲームをテーマとした作品は映像や漫画を問わず好きで見ていましたし、何よりもアイドルという華やかなものと、デスゲームという人の闇というか、最も暗い部分が浮き彫りになるものを組み合わせると面白いものが出来上がるんじゃないかと思い、この企画を立ち上げたんです。

――今回ウィッチクラフトさんとの制作になりますが、その段階から打診しようと決めていたのですか?

臼田氏:ある程度僕のほうで構想を固めてからお願いしました。ディースリー・パブリッシャーとしてはウィッチクラフトさんと過去に「THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~」や「暗闇の果てで君を待つ」といった作品でご一緒させて頂いていましたし、どちらも重いストーリー展開になっていてユーザーさんからの評判も良かったので、今回も一緒にできれば良い作品が出来上がるのではないかと考えたんです。

――お話を聞くほど、本作はストーリーやキャラクターそれぞれの設定、人間関係といったものにかなり注力している様子が窺えます。こうした設定や人間関係などは、ゲーム内で語られるのでしょうか。

遠藤氏:登場する7人のキャラクターには、それぞれ抱えている闇というか、問題があります。本作では、8つのシナリオを用意しています。7つはそれぞれのキャラクターにフォーカスしたもので、こちらをプレイして頂ければ、一応彼女たちの抱えている問題が分かるようになっています。

――一応、というと?

遠藤氏:7つのシナリオをクリアするだけでは、彼女たちの問題が提起されるだけで、解決はされないんです。そこで、解決篇というわけではないのですが、8つ目のシナリオ「D.o.D篇」ではそれらの問題を解決する糸口が掴めるようなお話になっています。

――D.o.D篇までプレイすることで、アイドルたちのより深い心情を知ることができるんですね。

遠藤氏:彼女たちが何年も抱えてきた問題が、たった1日の出来事ですべて解決するわけではありません。でも、各々のキャラクターが未来に対して希望を持てるような、わりと爽快感のあるストーリーになっていると思います。

――彼女たちが抱えている問題といえば、ゲーム内に“バクロワイヤル”という要素がありますよね。こちらはやはり、そういったキャラクターの背景と紐づいているのでしょうか。

遠藤氏:そうですね。バクロワイヤルは、彼女たちが隠している問題や秘密、不祥事といったものを、ヒントを元にキーワードを繋げて突き付けていくといった遊びになっています。バクロワイヤルはかなりの量が用意されていますが、それらをすべて見て頂くと、各々の背景がよく見えるようになってくると思います。また、暴かれた事柄は都度プロフィールに追加されていくので、後からじっくりとそれらの問題について考察する機会もあります。

――ヒントはどのようなものになりますか?

遠藤氏:たとえば、ゲームプレイ中は自由に館の中を探索して、バクロワイヤルのヒントの記されたメモを発見することができます。また、その時にほかのアイドルと遭遇することもあり、そこで交わされる他愛もない会話の中にもバクロワイヤルのヒントとなるものが隠されていたりする場合もあります。

他にも会話には、その子の人格が分かるようなものも多く用意されており、いろいろな会話を見ていくうちに「この子にはこんな趣味趣向があったのか」「こんな秘密を持っていたんだ」というのが徐々に判明してきます。なかなか一度のプレイですべての会話を見ることは難しいですが、ぜひ何度もプレイしてみてほしいですね。

――かなりアドベンチャー要素が強く、繰り返し遊べる工夫が施されているんですね。

遠藤氏:探索中は自分以外にも、ほかのアイドルたちがバクロコインやヒントなどを探して館内を歩いています。

臼田氏:基本的に館内は自由に探索することができ、好きなアイドルに話しかけたり、バクロワイヤルを仕掛けることができます。あと、バクロワイヤルはこちらから仕掛ける以外にも、相手から仕掛けられることもあります。

――向こうから仕掛けてくるんですか?

臼田氏:はい。そうした能動的、受動的な要素をすべて含めて、プレイヤーの選択と行動によって脱落していくアイドルが変化します。バクロワイヤルについてもう少し掘り下げると、最初はちょっとしたスキャンダル程度なんです。

しかし、後半に進むにつれて段々と彼女たちが抱える問題の核心に迫るような重い内容になっていき、何ともないように思えた、最初の方に出てきたスキャンダルが実は……ネタバレになってしまうので、これくらいで(笑)。とにかく、いくつものスキャンダルを集めて繋ぎ合わせていくことで、「ああ、こういうことだったのか!」といろいろな事実が分かるように作っています。

――キャラクター個々人の設定や人間関係といったものが深く掘り下げられて表現されているんですね。

遠藤氏:そうですね。実は操作するキャラクターによって求められるプレイスタイルが異なっている部分があり、たとえば茅ヶ崎千春は比較的温厚な性格でパラメーターもそこそこなので、バクロワイヤルなどで無理矢理相手を蹴落としに行かなくても、平穏なプレイを心がけていればある程度上まで生き残れるようになっています。

しかし、諫早れんの場合は、パラメーター自体は高いものの、その苛烈な性格ゆえに周囲にライバルも多く、探索中はよくほかのアイドルからバクロワイヤルを仕掛けられたりするんです。逆に、れんも“使える手は使う”といった性格なので、バクロワイヤルを仕掛けてきやすいといった傾向があります。

――好感度のようなものがあるのでしょうか?

遠藤氏:それもあります。また、初期状態における、人間関係の良し悪しというものがあり、仲の悪い相手には頻繁にバクロワイヤルを仕掛けていったりします。

臼田氏:誰が誰のことをどう思っているのか、というのは実際にやってみてから楽しんでいただければと思いますが、現段階でも一番分かりやすいのは烏丸理都ですね。天王寺彩夏とそれ以外の人に対する態度の違いというのは、楽しみにしてもらいたいポイントの一つです。

――ゲームシステムである「審査」について、詳細を教えていただけますか。

遠藤氏:「審査」は主に5つあり、最初はチュートリアルも兼ねた運試しの「DREAM☆運試し」となっています。これは探索などで手に入るドリームコインを使ってナンバー入りのボールを購入し、ルーレットで抽選される数字と購入したナンバーボールが合致すればクリアとなります。ボールは購入すれば減ることはないので、9個購入してしまえば必ず成功できるようになっています。

続く第2、第3審査はダンスや演技といった課題となっており、アイドルによって得手不得手が存在します。その課題が得意なアイドルは問題ありませんが、苦手な場合はアイテムでステータスを補ったり、探索中の会話でテンションを上げてコンディションを整えたりといった工夫が必要になってきます。

逆に、脱落させたいアイドルがいた場合は、会話で相手のテンションを下げたり、バクロワイヤルを仕掛けてドリームコインを根こそぎ奪ったりしておくのも効果的です。審査に参加するためのコインがないアイドルはまずコインを集めなければならず、その間にほかのアイドルたちが合格していくので。

――事前の駆け引きもかなり重要になってくるんですね。

遠藤氏:駆け引きという部分だと、「投票」という審査もあります。投票は2回行われ、1回目は「自分を除く次に進むのに相応しいアイドル」、2回目は逆に「自分以外で相応しくないアイドル」をそれぞれ1名投票することになります。このとき、前半でバクロワイヤルを仕掛けまくっているとほかのアイドルとの仲が悪くなり、自分に投票してくれなくなってしまいます。なので、そういった場合は事前にコインで買収したり、根回しを行ったりしておくことが重要になります。

彩夏や理都のように仲の良いアイドル同士であれば自然と自分が有利になるように投票をしてくれるので、どちらかをプレイしている時はこの審査の時まで生き残らせておく、という作戦もアリです。その逆のパターンもあり、自分がれんを操作していた場合、投票審査時にれん、彩夏、理都の3人が生き残っているとれんにとっては絶望的な状況になってしまうので、それを見越してあらかじめ2人のうちどちらかを脱落させておく必要があります。

――たとえば、理都が彩夏に票を入れない場合もあるのでしょうか。

遠藤氏:さすがにそれはありませんが、逆に関しては、絶対とは言い切れません。なので、仲が良いからと高を括っていると、意外な場面で不意打ちを食らってしまうこともあります。やはり、キャラクターに感情移入して頂ければ頂くほど、より楽しめるような仕組みになっているので、こういった駆け引きも本作の魅力の一つですね。

臼田氏:審査が進めば進むほどアイドルたちが減っていくわけで、生き残ったアイドルたち同士の会話というのもかなり面白いものになっています。その状況下で、その組み合わせでしか起こらない会話というのもありますので、繰り返しやればやるほどに新しい発見ができる作りになっています。個人的には、嫌い合っているアイドル同士の会話は見応えがあるのでオススメですね。

遠藤氏:また、意外なアイドル同士の間に友情が芽生えたりもします。出会い方が違えば、もしかしたら良い友人になれたかもしれない、というような想像が膨らむ関係もありますし、さまざまな組み合わせを試してみてほしいですね。

れんは当初“男の娘”の設定だった!?

――本作を制作した上で、一番苦労されたポイントというのはどこでしょうか?

臼田氏:どうですか?(上田さんを見ながら)

上田氏:私ですか(笑)。

――キャラデザのことなど、ぜひお話をお聞かせください。

上田氏:最初から最後までデスライブを制作していたので、そこがやっぱり一番大変でしたね。

――各キャラのイラストを複数描き上げるのは本当に大変そうです……。

上田氏:どちらかといえばムービーを作るところですね。基本的にほぼすべてのデスライブのムービーを制作したので、マスターアップぎりぎりまで私はムービーしか知りませんでした。

――キャラクターデザインからムービーまで、すべてお一人で担当されていたのでしょうか?

上田氏:私の仕事としてはまずキャラデザがあり、その後、3Dの部分が多いゲームなので、ちょっとしたアニメーションを入れつつデスライブは2Dのムービーを作成しようということになりました。それから「よし、やるぞ!」とスケジュールを割ってみたのですが……マスターアップの1週間くらい前まで工程がびっしりと詰まっていまして(笑)。

――かなりハードなスケジュールだったようで……本当にご苦労様です。ちなみに、普段はどのくらいでイラストを制作されるものなのでしょうか。

上田氏:今回はかなり時間がかかりましたね。最初に、各キャラクターのイメージというか、「こういう感じがいい!」というような案やモデルをいくつか頂戴していたのですが、他のテイストの絵に似せて描くというのがあまり得意ではなく、最後の方のデスライブは完全に自分の絵になってしまっていたりします。

――絵柄が固まるのに時間がかかったということですね。

上田氏:逆に、キャラデザ自体は変わっていない子は本当に初期のままなんですよ。

初期イラスト
決定稿
筑波しらせ(ラフ画) 烏丸理都(ラフ画)

上田氏:(初期のラフ画を手にしながら)最初に数行程度のキャラクターとドリパクの設定があり、とりあえずイメージだけで描き起こしたのがこれなんです。

――真理子や彩夏、旭川姫なんかはほぼそのままですね。

上田氏:大きく変わったのは筑波しらせと理都くらいですかね。

臼田氏:制作の裏話になってしまいますが、本作の概要や方向性が決まり、ウィッチクラフトさんのほうに打診した段階でもうこのラフ画が上がってきて驚きました(笑)。僕が普段ゲームを手掛ける時、企画書の段階ではキャラクターのイメージということで他作品の類似するキャラクターを例として挙げることが多いんです。ツンデレキャラだったら「ドリームクラブ」の魅杏といったように。

ですが、今回は早い段階でキャラクターのイメージとイラストが出来上がっていたので、ここからいろいろと詰めていきました。

上田氏:そうですね、ここまではあまり時間は掛からなかったのですが、やはりゲームシステムなども同時に制作していったので、イラストもいろいろと変わったり追加したりと、手を加えていたのを覚えています。

――具体的に、どういった部分に変更を加えられたのですか?

上田氏:まず、衣装はアイドル衣装だけでいいのかな?という疑問がありました。

――と言いますと?

上田氏:作品のコンセプト上、当初は楽屋などの裏で罵り合ったりする場面もあると思ったので、そういったときにフリフリのアイドル衣装のままでは違和感があるのではないか、と考えていたんです。最終的に“アイドル番組”という設定に落ち着いたので、学校の制服などは取りやめてアイドル衣装のみとなりましたが。それでも、実は彩夏たち関西組の衣装はそこまで変わっていないんですけどね。

臼田氏:チェック柄のA○B的なテイストのまま、現在の状態に落ち着きましたね(笑)。

上田氏:ですね(笑)。アイドル衣装は初めて描いたので、結構時間が掛かりました。あと、大きく変わったのはドリパクですね。

――これは……カワウソですか?

上田氏:はい(笑)。小動物的な着ぐるみ、というイメージだったので、単純に私が好きなカワウソをモチーフにして描きました。

臼田氏:なんでカワウソなのかな、とずっと疑問だったんですが、上田さんのTwitterを拝見させて頂いた時、カワウソの写真がたくさんあって合点がいきました(笑)。

上田氏:深い理由があったわけではなかったんですよね(笑)。好きなのもそうですが、カワウソをモチーフにしたキャラクターってほかにいないなと思ったんです。ただやっぱりというか、私自身、描いた時にこのキャラクターがゲームの中でどう動くのか、というのが上手く想像できていなかったんです。なので、決定稿のドリパクと当時の私のイメージは全然違っていたんですね。

――サイリウムやタスキなど、小物が印象的ですよね。

上田氏:アイドル好きという設定だったので、応援するサイリウムを持たせたり、タスキには自分がプレイするアイドルの名前が書かれたりと、ちょっとした小ネタを想像しながら書いていました。あくまでも決定稿の叩き台というつもりでしたので、案の定、臼田さんのように「なんでカワウソなの?」というご指摘は社内で多く受けてました(笑)。

――では、バクというのは誰の発案だったのですか。

遠藤氏:自分が一人で呑んでいた時、「違うな」って思ったんです。それで、「ドリーム・オア・デス」で夢というキーワードもあり、“夢を食べるバク”ということでバクがいいのではないか、ドリームをパクパク食べるから、ドリパクだ、と思いつき、翌日すぐにその話を上田さんにしましたね。

上田氏:遠藤さんからそのお話を伺った時、なるほどと思ったんです。それからモチーフをバクに移行して、このちょっと不気味な雰囲気のラフを描き上げた時、私は「これだ!」と思ったんですよね。

――現在のドリパクからするとこれはかなり衝撃的ですが、個人的には上田さんらしさが出ていると思うのですが……没になってしまったのですか?

上田氏:自分もいけると思ったのですが、社内で見せたところ嫌悪感を出されてしまったため、少し可愛い感じのデザインに路線変更したんです。そこからは、色とかも変えたりしましたね。あと、描いてみて気づいたのですが、バクってあまり絵的な記号がないんですよね。

――言われてみると、なんだがのっぺりとしているというか……。

上田氏:バクって意外と正面から見ると特徴がない生き物なんです。横から見ると長い鼻が分かるのでバクらしいシルエットになるのですが……そうした部分に苦労しつつ、アレやコレやと描いてきて、最終的にはわりと可愛いデザインにまとまったなと。

――東京ゲームショウでドリパクの着ぐるみが出展されていましたが、このデザインだったらと思うとちょっと戦慄しますね。

上田氏:怖いですね(笑)。

臼田氏:お客さんが近寄らないでしょうね(笑)。

――ドリパク以外で紆余曲折があったのは、やはりデザインが大きく異なるしらせなどでしょうか。

上田氏:実はですね、れんは最初“男の娘”という設定だったんです。

――えっ、そもそも性別から違っていたんですか?

上田氏:最初に考えていたのは、クールな美少年がちょっとかわいい系の服を着させられているようなイメージだったんです。なので、初期ラフの衣装もメイド服っぽい感じになっているんですね。

諫早れん(ラフ画)

――ちなみに、何故その設定は没になったのでしょうか。

臼田氏:僕が全力で否定しました(笑)。たぶん、僕が遠藤さんと上田さんの意見を全力で否定したのは、初期イラストのドリパクとれんの男の子設定だけだと思います。それくらい全力で却下しました。ゲームに登場するアイドルが7人ではなく、もっと大勢だったら有りだったのかもしれませんが。

上田氏:れんが女性という設定に決まってからは、黒をイメージしながらカッコイイ系のアイドル衣装になりました。あとは、なんとなくなんですけど、私がショートよりロングヘアの方が好きなので、髪を伸ばした姿とかもさりげなく提案したのですが……。

――髪を伸ばしたれんも大人っぽさが増して魅力的ですね。

臼田氏:あと、上田さん的には白をイメージカラーにしたれんもお気に入りですよね。

上田氏:そうですね。こうして改めて過去のデータなどをまとめていると、白いれんもありかな、と思いました。イメージといえば、初期の頃は自分の中で姫とれんの立ち位置を混同していて、時々中身が入れ替わってしまったこともありましたね。

――キャラクターの設定というのはある程度初期の頃から固まっていたのですか?

臼田氏:大筋の方向性、個性みたいなものは、ラフの段階から固まっていました。スキャンダルなどの細かな肉付けは追々煮詰めていった感じですね。

遠藤氏:キャラクターの設定で大きく変わったといえば、やっぱり名前ですね。

――本作のキャラクターは、名字が地名になっていますよね。

臼田氏:今ではまり姉という愛称で親しまれている蒲田真理子は、実は、最初は“我妻哲子(あづまてつこ)”という名前だったんです。ほかは中里千春、平松しらせ、彩城彩夏、初芝理都、南條れん、貴多守 姫といったように姓が出身地になっていて、名については変更されていません。

遠藤氏:個人的には哲子という名前が気に入っていて、途中までは、哲姉と呼んでいました(笑)。

上田氏:社内でも、開発終盤まで哲子呼びが定着していましたよね(笑)。

お昼を取りながら、女の子にひどいことをする話し合いもしばしば

――個人的に、上田さんといえばダークで繊細な女の子を手掛けられることが多い印象なのですが、今回アイドル物ということで何か意識して描いたことなどはありましたか。

上田氏:アイドル物は初挑戦だったので描けるか不安な部分はありましたが、挑戦したい分野でしたし、変に何かを意識せず楽しく描かせていただきました。

――デスライブの話になりますが、彩夏の影の胴体に穴が空いていたシーンがかなり印象的でした。コンシューマー向けに過激なシーンを表現する上で、やはりこういう間接的な表現で場景を描写する工夫は意識されているのでしょうか。

上田氏:過激な描写そのものは経験があるので問題なかったのですが、コンシューマーの“CERO:D表現”というのがどのくらいのレベルまで大丈夫か、というのは頭でしか分かっていなかったんです。デスライブ自体、残酷ではあるものの、ブラックユーモア的な方向でいこうというのは初期から決まっていたので、具体的な方法などについては社内で意見を出し合って、決定稿を私のほうで絵コンテに落とし込んでいました。

なので、実は表現については最初のほうがもっと控え目だったんです。彩夏のデスライブに関して言えば、当初地面に飛沫した血の描写がなく、あれは後から付け加えられたものなんです。また血の色についても、当初は赤だと過激すぎるかなと思い、虹色のような表現でプロトタイプのムービーを作成していました。ですが、このままだとCERO:Cくらいの表現になっちゃう、と臼田さんに言われたので、現在の具合に落ち着きました。

――初期のほうがもっと表現が緩かった、というのは意外でした。残虐性とエンターテインメント性のバランスを計るのは大変そうですね。

上田氏:千春のデスライブである熱湯風呂って骨が見えますよね。あれ、映像で見ると早すぎて分かりにくいんですが、実は骨が折れたり砕けたりしているんです。内容はえげつないんですが、ビジュアル的にはユーモアを残しつつ……思わずくすっと来てしまうような笑える内容にしようというのは大前提ですね。

遠藤氏:デスライブを作る時は、四コマ漫画のように起承転結をしっかりと作ることを意識していました。また、一コマ目と四コマ目を極力離そうとしていました。

――一コマ目と四コマ目を離す、というのは具体的にどういうことなのでしょう。

遠藤氏:千春の熱湯風呂を例にすると、当然最初(一コマ目)に熱湯風呂がくると、“溺れて死ぬか、熱さで死ぬか”という結末(四コマ目)を想像すると思うんです。そこで、結末を電気による感電死にすることで、「えっ?」というようなインパクトと「そんなことで?」というようなコミカルさを表現したかったんです。

臼田氏:デスライブの条件というか、縛りみたいなものに、自分のミスで死ぬというのもあるんです。意図しないところでの事故死みたいなのはテーマとして取り入れてあります。

遠藤氏:あと、デスライブの縛りといえば、“ドリパクに直接殺させない”というのがありますね。

――その意図は?

遠藤氏:ドリパクが直接手をかけてしまうと、ドリパクがただの殺人者になってしまうんです。そうなってしまうと、デスライブ後の物語を進める上で、ドリパクが殺人犯という直接的な加害者のキャラクターになってしまうため、お話を全く回せなくなってしまうんです。なので、ドリパクは基本的に自分の手では殺さない、もっと卑怯なキャラクターとして定着させています。

臼田氏:そのために、ドリパクの分身……のようなMr.Dというキャラクターが生まれました。デスライブ中は、彼が主にいろいろなことを実行します。ドリパクの不気味さが増し、デスライブの縛りをクリアするために生まれたキャラクターなので、特に深い設定などは作っていないのですが、ゲーム中はいろいろな小ネタも仕込んでいるので、そういったところにも注目して頂ければと思います。

コミカルな一面と表裏一体な残虐性

遠藤氏:それと、デスライブは各キャラクター複数用意されており、必ず1度見たデスライブとは違ったものがが見れるようになっています。なので、複数回プレイして頂ければ、自然とすべてのデスライブを視聴できるようになっています。好きなキャラクターのデスライブを見るには、その子を何回も殺さなきゃいけないというのが辛いところですけどね……(笑)。

――過激な描写が多い本作ですが、社内で苦手な人はいたりしましたか?

臼田氏:弊社は乙女ゲームも多く手掛けているので若い人や女性の社員も結構多いのですが、あまり嫌悪感を抱く人はなかったです。世代的にもデスゲーム物が好きな人が多く、むしろ面白そうというようなユーザー目線の意見の方が多かったですね。あと、今回はエロくないんですかというような質問はよくされました(笑)。

上田氏:ただ、パンツはよく見えますね。

臼田氏:そうですね。元々そういった方向性のゲームではなかったので、本当はパンツに関してもいろいろと悩んだのですが、探索中の3Dモデルや審査時なんかはアングルによって映ったりしています。

上田氏:個人的にはガッツリと見せたくなくて、何かの拍子に見えたりするくらいの塩梅が良かったんですが……最終的に悪ノリしちゃって、7人それぞれのパンツをデザインして、しっかりと描き込んで実装しています。

衣装や小物など、さまざまなバリエーションが発案されていた。

――7人それぞれのパンツが楽しめるとは……。

遠藤氏:イベントの時は、特によく見えたりしますね。というのも、やはりキャラクターの感情などを表す時は、よくイベントシーンのカメラを煽りにする(人物を低い位置から見上げるように映す)のですが、そのときにカメラをぐっと近づけるのが効果的なんです。それで、ドリパクって身長が小さいじゃないですか。だからドリパクに合わせて煽りを入れるとどうしても見えちゃうんですよね(笑)。

臼田氏:ただ、あくまでもたまたま見えてしまうといった程度に留めてはいます。女性のユーザーさんからも多く反響を頂いているタイトルでもありますし、このくらいがベストかなと思いますね。

――そういえば、各々のアイドルの個性とリンクしていたり、キャラクターソングにもかなりの力が入っているように思います。こちらのこだわりについてお話をお聞かせください。

臼田氏:まず、キャラクターソングを作る際に、やはり設定などを担当されたウィッチクラフトさんにどういう曲が良いか、という相談をさせてもらいました。それから、ウィッチクラフトさんのほうからキャラクターを象徴するワードをいくつか書き出して頂いて、それを元に歌詞を作成したという流れですね。当然こだわりを持っているのですが、第一稿で上がってきたデモの段階でかなりいい物ができたと感じたので、そのまま大きな修正などは加えずに完成形まで持っていきました。

――声優さんの演技も含めて、各々まさにぴったりな楽曲に仕上がっていると思います。

臼田氏:詞やキャラクター性を含め、声優さんがそのキャラクターを深く理解して歌って頂けたので、まさに“魂”が入ったと言えるものになっています。またキャスティングについても、それぞれのキャラクターと声優さんに共通する部分が多くあると感じられ、最高の組み合わせになったと思います。

あと、デスライブは一度見ればギャラリーで何度でも視聴することができるのですが、キャラクターソングについてはどこかで自由に聞けるような機会を設けたいとは考えています。

――都度、好きなアイドルを殺さなければならないというのは大きなジレンマですね。

臼田氏:本当に良いものが出来上がったと思うので、ハードルは高いですが、また東京ゲームショウでのライブのようなことができればと考えています。こうしたイベントを実現させるためにはユーザーさんからの声援が必要不可欠となりますし、ぜひ本作を応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!

――本日はどうも、ありがとうございました。

アイドルデスゲームTV

ディースリー・パブリッシャー

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  • 発売日:2016年10月20日
  • 価格:6,800円(税抜)
  • 17歳以上対象
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関連ワード

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※画面は開発中のものです。

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