インティ・クリエイツは11月5日、市川市文化会館 大ホールにおいて「インティ・クリエイツ創立20周年イベント / INTI CREATES FAN FESTA 20th Anniversary」を開催した。
2016年5月8日に同社20周年を記念して行われた今回のイベント。会場ではさまざまなアイテムの物販や、「ぎゃる☆がんVR(仮称)」をはじめとしたタイトルの試遊などで賑わいの様子を見せていた。ここでは同イベントで実施されたステージの内容をピックアップしてお伝えしていきたいと思う。
インティ・クリエイツ創立20周年記念ステージ
インティ・クリエイツがこれまでに関わってきたタイトルを紹介する映像上映の後、同社の代表取締役社長である會津卓也氏が登壇して挨拶。これまでの20年間に対する感謝を伝えると、創業当時からのメンバーである取締役副社長の津田祥寿氏、取締役の山田一法氏、そしてゲストとして、多数のインティ・クリエイツ作品に出演している声優の高木渉さんが登壇し、ざっくばらんとした座談会形式でこれまでを振り返っていった。
高木さんは、インティ・クリエイツにとって初の開発タイトルである「可変走攻ガンバイク」で、主役のイッペー役で出演。以降も言えるだけで7タイトルに参加するなど、インティ・クリエイツ作品においてゆかりのある声優の一人だ。
両者の関係は単なるゲームの出演に留まらず、高木さんが当時代表を務めていたという劇団あかぺら倶楽部を観劇していたことや、インティ・クリエイツのオフィス移転時に高木さんが差し入れも持ってやってきたというエピソードが語られるなど和気あいあいとしたトークが進む。
ちなみに近作では、同社が開発に参加している「デジモンユニバース アプリモンスターズ」(バンダイナムコエンターテインメントより12月1日に発売)でアプリドライブ役を担当。現在はTVアニメも放送中ではあるのだが、実は玩具用にすでに音声収録を済ませており、TVアニメやゲームに関しても同様のものを使っているそう。つまりはすでにアプリドライブが説明するであろう内容を知っているということでもあり、本人もTVアニメのオンエアを見ながら、毎回どの部分が使われるかをチェックしているのだとか。
これまでの思い出話に花を咲かせつつ、盛り上がった時間もあっという間に終了。最後はインティ・クリエイツに対してエールを贈り、ステージを後にした。
続いては、今年8月にリリースされた「蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 爪(ソウ)」のコーナーに。ここでは、同作に出演する石原朋典さん(テセオ役)、榎吉麻弥さん(ジブリール役)がゲストに登場してのトークが繰り広げられた。
ともにゲームはクリア済みだという2人だが、石原さんが演じたテセオはネットスラングなども織り交ぜた、独特な喋り方をするキャラクターということもあって、ボスとして登場していた体験会の感想では、Twitter上で「テセオうざい」というコメントがあったことに触れる。
それだけ印象的なキャラクターであるということだが、榎吉さんの演じたジブリールも、同じくファンからの人気の高いキャラクターだ。普段はあまり演じない役柄だったということだったが、声が可愛く、かつワルっぽい喋りをするというキャラクターを見事に演じ、會津氏はその声とセリフのマッチ具合から、キャラクターの発表順を最後にしたのだとか。
ゲーム中の収録は別々だったが、ドラマCDに関しては一緒に収録したそうで、會津氏はそれぞれのキャラクター性が強く出ていたと振り返る。さらに会場では、“小さい”というNGワードから2人による生掛け合いが披露され、会場を盛り上げた。
ここで、2人のキャストと入れ替わるように、「蒼き雷霆 ガンヴォルト」シリーズのディレクターの津田氏が再び登壇。「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」の新プレイアブルキャラクター・アキュラで、前作「蒼き雷霆 ガンヴォルト」のボス“七宝剣”の1人、イオタと戦えるスペシャルエディションのデモプレイを披露した。
そもそも、このような体験版を出展するに至った経緯として、同社で実施した生放送内のコメントの中に、アキュラで「蒼き雷霆 ガンヴォルト」のキャラと戦いたいというコメントがあったからだと津田氏は話す。
全ての“七宝剣”と戦えるように制作を進めているようで、今回は当日プレイできたイオタに加えて、カレラ、デイトナとの戦いも披露。いずれもアキュラが戦って面白くなるように調整しており、津田氏自身も苦戦する様子が見えるなど難易度は高めのようだ。
ここまで仕上がったものが見えてくると、気になるのは実際に触れる機会があるのかということ。ここで七宝剣が登場するスペシャルミッションを、追加DLCとして配信することが明らかに。第1弾はメラク、カレラが登場する「メラク/カレラ ボスパック」が配信予定。時期については明言しなかったものの、會津氏としてはなるべく早く制作して欲しいとのこと。
そして、最後のパートはインティ・クリエイツの未来について。ここで初公開となる映像とともに、ニンテンドー3DSダウンロードソフト「ブラスターマスター ゼロ」を2017年春に発売することが明らかに。こちらはサンソフトから発売されたファミリーコンピュータ用ソフト「超惑星戦記メタファイト」(海外名:Blaster Master)のライセンスを受けて制作されているタイトルで、今作については開発・販売もインティ・クリエイツが担うとのこと。
会場では、「ロックマン9」「ロックマン10」のゲームプランナーなどを歴任し、今作でディレクターを務める西沢智氏による実機プレイも披露されることに。
プレイヤーは万能戦闘車両“ソフィア-III”で移動して戦うことになるのだが、移動に際しては慣性が働くという。また、攻撃に関しても斜め打ちを加えてゲーム性を広げているほか、サブウェポンも用意されている。
また、主人公ジェイソンはソフィア-IIIから降車してダンジョンに入ることも可能。ダンジョン内ではトップビューでのプレイスタイルとなり、ガンレベルを上げつつ、さまざまな武器を切り替えて戦っていく。ガンレベル1の段階では射程も短く、あまり使い勝手がいいとは言えないが、ガンレベルが上がるごとに強力な攻撃を繰り出せるようになる。
そのほかにも、ジェイソンの操作時に通常のアクションのようにジャンプして飛び降りると着地できずにゲームオーバーになってしまったり、水中では移動性能が落ちてしまうという要素があったりと、細部にわたるこだわりがわずかなプレイの中でも見て取れた。ちなみに、本作はインティ・クリエイツの名古屋スタジオで制作しているという。配信は2017年春としばらく先にはなるが、今後の情報にも期待したいところだ。
ぎゃる☆がん トークライブ
2016年1月に5周年を迎えた「ぎゃる☆がん」のトークコーナーでは、初代「ぎゃる☆がん」より内村史子さん(火吹晶役)、山本希望さん(兎野葵役)、「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」より上間江望さん(神園しのぶ役)、橋本ちなみさん(神園真夜役)、藤田彩さん(くろな役)を迎え、これまでを振り返るトークや、先日発表され話題となった「ぎゃる☆がんVR(仮称)」の体験などで盛り上がった。
冒頭は、5人が勢揃いしてのミニ劇場「晶、物申す」。今回の出演者の中で「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」に出演できなかった晶を中心としたエピソードで会場の笑いを誘いつつ、その後は“しげる”こと、インティ・クリエイツの中川氏も交えた6人で、トークコーナーへと移っていった。
「ぎゃる☆がん」のプロモーションのために結成されたユニット“ZQN☆(ズキュ~ン)”として活動した内村さん、山本さんは当時着ていた制服衣装で登場し、自身にとって初めてに近かったというオーディションのことを振り返る。また、オーディションに受かって収録台本を見た時に「これが声優界か」と思ったという、「ぎゃる☆がん」らしいエピソードで会場を笑わせる。
藤田さんは台本に書いてあった選択肢が全ておかしくて、笑いながら練習したこと、橋本さんは自身が演じた真夜の喋り方に合わせてか、台本に書いてあったセリフが全部ひらがなだったことに触れるなど、それぞれに印象的な出来事を振り返っていた。
ちなみにZQN☆が主題歌のミュージッククリップでダンスを踊ったエピソードなども語られたが、「だぶるぴーす」の3人は自分たちも踊ったりするのかと思っていたとコメント。加えて、上間さんから前作を超えたかったという発言が飛び出すと、中川氏は前作を超える売上を記録していることを明かした。
続いて、タイトルごとに「ぎゃる☆がん」の歴史を振り返りつつ、初代チームとだぶるぴーすチームに分かれてクイズに挑戦する「ちょっとおかしいプロモーションクイズ」のコーナーに。勝ったチームはご褒美がもらえる一方、負けたチームには罰ゲームがあるということで、両チームともに負けられないとばかりに挑むことになった。
内村さん、山本さんらヒロインの声優4人がZQN☆として活動したXbox 360版「ぎゃる☆がん」は、記者会見から始まり、「ぎゃる☆がんTV」やキャラクター別PVの配信など、さまざまなプロモーションが行われてきた。発売記念の生放送では、1つだけハズレと言っていたロシアンシューが実は全てハズレというドッキリを仕掛けたこともあり、山本さんがその時の様子を鮮明に話すなど、非常にインパクトの強い出来事だったようだ。
PS3版「ぎゃる☆がん」では、24時間実況カーニバルで山本さんが共演することになったゲーム実況者を当てるというものだったが、(正解は残党兵さん)山本さんがクイズの出題前に名前を出してしまうという展開に。前のクイズも共に正解しており、この時点で両チームが2ポイントずつで並ぶ展開に。
PS3 the Best版のクイズを挟み、昨年発売された「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」に関するクイズにでは、上間さんがMCを務めた「ぎゃる☆がんTVリターンズ」に関して、中川氏が出演声優に恥ずかしいことをさせるというポリシーを、藤田さんの回では徹底できなかった理由について当てることに。藤田さんがいるだぶるぴーすチームとしてはサービス問題かと思いきや、意外にもマネージャーさんが来ていたからという至極まっとうな回答を出したのは初代チーム。ここでポイントを獲得し、一歩勝ち抜くことになった。
正解すると2ポイントがもらえる、逆転をかけた最後のクイズはPS3版「ぎゃる☆がん」と「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」、それぞれのタイトルで登場する下着の種類を当てるというもの(正解はPS3版「ぎゃる☆がん」が423枚、「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」が450枚)。両チームともに読みは悪くなかったものの正解には至らず、結果的に初代チームが勝利。2人には、「ぎゃる☆がんTVリターンズ」でおなじみの、お嬢様聖水が賞品としてプレゼントされた。
一方、だぶるぴーすチームの2人は罰ゲームとして“VR”の人文字を披露。ということで、ここからは先日発表されて話題となった「ぎゃる☆がんVR(仮称)」のデモを上間さんが体験することに。このデモは「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」内でヒロインのしのぶが登場するさまざまなシチュエーションが、幅広い視点で楽しめるようなものとなっており、中には体育倉庫でのあのシーンも。上間さんも常に攻めるようなアングルで楽しんだ様子で、会場も場面場面でドッと笑いが溢れていた。
今回披露されたものは、現時点では研究開発中のものということで、対応機種も含めて製品としてのリリースは未定とのこと。ただ、ほかのキャラクターでプレイできるようになる可能性も含め、今後も開発を進めていくそうなので続報に期待しよう。
出演者からの作品愛の伝わる挨拶が寄せられつつも、ここで終わらないのが「ぎゃる☆がん」ならでは。海外版「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」の特典である“ハピネススクリーンクリーナー”が会場へのプレゼントとして用意されると、会場からは再び爆笑の渦が沸き起こった。
最後に中川氏より、現在パッケージ、ダウンロードともに購入できない状況である「ぎゃる☆がん」について、今後はインティ・クリエイツ主導で販売できるように準備をを進めているという。特に、「ぎゃる☆がん だぶるぴーす」に関しては、より求めやすい価格で提供できるようにしたいということなので、今後の情報にも注目だ。
OVA「蒼き雷霆 ガンヴォルト」先行試写会
OVAとしての展開を予定しているアニメ「蒼き雷霆 ガンヴォルト」の先行試写会では、初のアニメ出演になるという、雪田将司さん(アシモフ役)がゲストとして登場。會津氏も含めたインティ・クリエイツのスタッフもまだ見れていないという、用意できたばかりの映像を上映することとなった。
上映前には、設定画をスクリーンに映しつつアフレコに関するトークが展開。雪田さんはアニメの収録に関しては新人ということで、ガンヴォルト役の石川界人さんをはじめとしたほかのキャスト陣に支えられて、一緒に作っていけたとコメントしていた。
その後は、本イベントに間に合わせるかたちで制作された、本編Aパートを上映。「蒼き雷霆 ガンヴォルト」のゲーム冒頭で、ガンヴォルトがシアンを助け出すところをベースにしつつ、ゲームでは見えなかった設定の掘り下げなどが見える映像となっていた。
さらに会場では、Bパートの設定画としてアキュラとノワの設定画がお披露目。どのような展開が続くのかが気になるところでは、こちらに関しては12月中には配信できるように準備しているとのこと。配信形式に関しては、ニンテンドーeショップで先行配信し、その後、オンデマンドでの配信やディスク化を進めていくという。さらに今後の声次第では続きのエピソードのアニメ化も検討していくそうなので、引き続き期待したいところだ。