イチオシのギャルゲーを大ボリュームで紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。第39回はエンターグラムより2017年8月24日に発売されたPS Vita用ソフト「双子座のパラドクス」の魅力をお届け!

目次
  1. 「双子座のパラドクス」プロローグ
  2. キャラクター紹介
  3. プレイインプレッションをお届け!
限定版パッケージ

三度の飯よりギャルゲーが大好きな私が己の煩悩の赴くまま旬のイチオシゲームを紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。今回はエンターグラムさんより2017年8月24日に発売された「双子座のパラドクス」を紹介しますよ!

「双子座のパラドクス」は、コットンソフトにより2013年にPC版が発売、そして今回、エンターグラムによりPS Vita版が発売される漂流系学園アドベンチャーです。そのジャンル名が指し示す通り、本作では突如として世界が分かたれ、それに巻き込まれた生徒や教師たちが非日常的な出来事に遭遇していきます。

そもそもネタバレ抜きで説明するのが難しいタイトルではあるのですが、実際にゲームをプレイしてみると徐々にその構造が見えてきて、プロローグを終える頃にはゲームの進行を理解できるようになってきます。ここでは、ゲーム上の分岐点となるところまでをプレイしてみた感想と、ゲームの仕組みを紹介していこうと思います。

それではまず物語のプロローグとキャラクターをおさらいです。

「双子座のパラドクス」プロローグ

通常版パッケージ

私立 永幡(エイマン)学園――そこは各地から特殊な能力を持つ(と思われる)学生たちを集めた“特殊能力開発科”が存在する唯一の学園だった。

主人公はそんな学園に通う、双子の兄弟。幼なじみの姉妹や友人たちと共に、騒がしくも穏やかな日常を送っていた。しかし、その日常は唐突に終わりを告げる。

ある日の放課後、校内に残っていた主人公たちは、突然の落雷と共に、学園ごと異次元のような謎の空間へ飛ばされてしまう。

そして弟は異次元に飛ばされた学園のほうへ、兄は偶然難を逃れて元の世界のほうへと、離れ離れになる双子の兄弟。2人はそれぞれの場所で、ヒロインたちと共に、今までとは全く違う非日常の世界を生きることになる……。

キャラクター紹介

春日 夏月(かすが なつき)

占星術におけるシンボルは獅子座。双子の主人公・総一と総二の幼なじみ。総二とともに学園ごと異次元に飛ばされる。性格は世話焼きでツンデレ。主人公たちだけでなく、一つ下の妹・陽月に対してもあれこれと面倒を見ている。

胸がやや小ぶりなのを気にしていて、特に妹(巨乳)と比較されがちなのが密かな悩み。子供の頃に主人公たちと家が近所で仲が良かったが、主人公一家が引越ししたため、一度離れ離れとなる。

その後永幡学園の普通科に入学し、同学園の特能科に入学した主人公たちと再会を果たした。基本的には強気なタイプだが、学園が異次元に飛ばされた後は、逆境に対する弱さを見せるようになる。

異次元に飛ばされた学園サイドのヒロイン候補。

「あたし…あんたにずっと隠してたことがあるの」

春日 陽月(かすが はるき)

占星術におけるシンボルは乙女座。夏月の一つ下の妹。双子ではない。姉と違って引っ込み思案で人見知りと、よわよわなタイプ。若干ふくよかな体型(特に胸)がコンプレックスでもある。

姉と同じく主人公たちとは幼なじみの関係だが、子供の頃は病弱で家に閉じこもりがちだった為、主人公たち双子のこともほとんど覚えていなかった。学園で再会してからは改めて主人公たちと交流を深めており、今のところまともに話せる数少ない異性となっている。

最初は姉と同じく永幡学園の普通科を受験して合格したが、入学後の適性試験でESP(超感覚的知覚)の素質ありと判断され、特能科一年に在籍することになった。寮では姉の夏月と同室で暮らしており、学園とともに消失した夏月と総二のことをひどく心配する。

現実世界サイドのヒロイン候補。

「こんなわたしでも、誰かの力になれることがあるのなら…」

渡会 蒼(わたらい あお)

占星術におけるシンボルは射手座。主人公たちの一つ年上の先輩。ミステリアスな雰囲気を持つ美人さん。

近くにある精密機械を無差別に狂わせるという特殊な体質で、その体質の謎を解明するべく学園側に誘われ、特能科三年に在籍している。上記の特殊体質ゆえに携帯電話やパソコンも使えず、周りの人間の携帯も使用不能にしてしまう為、ほとんど友人がいない。

何故か大量のフォークとスプーンを常に持ち歩いており、時にはそれが凶器と化す。実は昔、総一と付き合っていた時期があったが、長続きせずにすぐ別れたという。放課後たまたま学園に残っていたため、事件に巻き込まれる。

異次元に飛ばされた学園サイドのヒロイン候補。

「私は、しらなくちゃいけない――この学園の秘密を」

山本 テスラ(やまもと てすら)

占星術におけるシンボルは水瓶座。主人公たちと同じ特能科のクラスメイトで、サヴァン症候群の少女。見たものを一瞬で記憶し、それを正確にスケッチできる能力を持つ(その為いつもスケッチブックを持ち歩いている)。

その反面、学習能力やコミュニケーション能力に乏しく、何を考えているのかわかりづらいが、基本的に子供のように無垢で無邪気な性格。何故か主人公たち双子に興味津々な様子で、双子を見ると必ずどちらかの顔に落書きしようとする。

学園が消失した跡地に一人だけ取り残されていて、学園の外に居て難を逃れた総一によって保護されるが……

彼女は同時に、異次元に飛んだ学園の方にも存在していた。しかし総一にはそれを知る由もなく――

「テスラの、大事なものだけど…あげるから」

諸星 総二(もろぼし そうじ)

占星術におけるシンボルは双子座。双子の主人公の弟の方。顔や体格は瓜二つだが、見た目の印象や性格は兄と弟で結構違う感じ。弟のほうが明るく行動的だが、少々おバカでオープンスケベな性格をしている。

わりと兄貴ラブなところがあり、クールで素っ気ない兄に対して積極的に絡んだりする。永幡学園の特能科二年に在籍。

「双子のシンクロニティ」的な能力を時折発揮するが、本人たちは無意識なので制御できていない。

弟の方が、異世界に飛ばされた学園サイドの主人公となる。

「俺が――お前のことを、守ってやる。必ず」

諸星 総一(もろぼし そういち)

占星術におけるシンボルは双子座。双子の主人公の兄の方。顔や体格は瓜二つだが、見た目の印象や性格は兄と弟で結構違う感じ。兄のほうが常識人で理知的だが、無愛想でムッツリスケベなところもある。

弟に対しては表面上は素っ気ないものの、内心では自らの分身として深く信頼している。永幡学園の特能科二年に在籍。「双子のシンクロニティ」的な能力を時折発揮するが、本人たちは無意識なので制御できていない。

兄の方が、現実世界サイドの主人公となる。

「オレはあいつを信じてる。あいつは、オレの…」

稲嶺 和雄(いなみね かずお)

占星術におけるシンボルは牡牛座。普通科三年に所属する男子生徒。基本的に人当たりが良く誰にでも公平に接するが、人が良すぎて少し頼りないところもあり。学園とともに異次元に飛ばされた後は、最初混乱する生徒達をまとめようとするが……

主に異次元に飛ばされた学園サイドの登場人物。

「僕も、手堅く堅実が生徒会のモットーだからね」

秋戸 倫香(あきとりんか)

占星術におけるシンボルは蠍座。特能科のクラスメート。家が代々恐山のイタコの家系。しかし本人は霊の存在をまるで信じておらず、霊感も全然ないらしい。

今時のギャルを目指しているが、基本は田舎者なので何かと時代遅れな言動が多い。しかし根は真面目で意外と姉御肌。面倒見もよく時にはリーダーシップを発揮することもある。

主に現代世界サイドの登場人物。

「え、ウソっ?これってナウなヤングにバカ受けじゃないの?」

カイン・マクドナルド

占星術におけるシンボルは魚座。アメリカからの留学生で、普通科に所属する生粋のアメリカ人。夏月のクラスメート。本人は何の特殊能力も持たないが、オカルト好きが高じてこの学園に留学してきたらしい。

日本のサブカルにも興味があって、時折オカルトと混同している節がある。陽気なアメリカンおたく。

主に現実世界サイドの登場人物。

「ユーには秘められたパゥワーが、眠っているワケですネ」

大久保 重徳(おおくぼ しげのり)

占星術におけるシンボルは蟹座。学園の教師。渋い中年のおっさん。担当は一般教科(数学)で、特能科の研究には携わっていない。基本セクハラおやじだが話のわかる気のいいおっさんで、生徒たちからは意外と慕われている。

主に異次元に飛ばされた学園サイドの登場人物。

「いやぁ、青春だねぇ。ヒューヒュー♪」

千ヶ崎 真莉(ちがさき まり)

占星術におけるシンボルは天秤座。学園の教師にして研究者。神経科学を専門とし、人の意識や記憶、そして“魂”の存在を物理現象の一種として研究している。何事も研究優先で常識外れなところがあり、生徒達のことも研究サンプルとしかみていない節がある。

「終わる世界とバースデイ」に登場した、陶也・入莉兄弟の実の母親にあたる(ただし今作と直接的なストーリーの繋がりはない)。

主に現代世界サイドの登場人物。

「次からは容赦しません。いいですね?」

五十嵐 玲佳(いがらし れいか)

占星術におけるシンボルは山羊座。普通科二年に所属する女生徒で、生徒会副会長を務める。総二や夏月達ともに学園ごと異次元にとばされ、ともにサバイバル生活を送ることになる。

生徒会長の稲嶺の腹心とも言える存在で、一見清楚で大人しい大和撫子だが、時折妖艶な雰囲気を醸し出して総二を惑わせる。どうにも総二に気がある様子だが…?

主に異次元に飛ばされた学園サイドの登場人物。

「静かにしてください。会長がそう仰ったでしょう?」

メリクリ

占星術におけるシンボルは牡羊座。学園のマスコットキャラ?の着ぐるみ。最初は愛想の良いマスコットキャラとして登場するが、学園が異次元に飛んで以降は性格が豹変する。主人公達の前に現れては、挑発めいた発言で煙に巻く。

主に現代世界サイドの登場人物。

「中の人なんていないメリ!」

プレイインプレッションをお届け!

最初に触れた通り、本作では2つに分かたれた世界を舞台として、同じ時間軸の中で物語が進んでいきます。主人公は諸星 総二、諸星 総一という双子の兄弟。弟である総二は異世界に飛ばされてしまった学園、兄である総一は学園が姿を消した現実世界で、それぞれの状況に対して向き合っていくことになります。

ゲームの進行は2人の主人公を軸としたチャート形式になっていて、プロローグ時点では総二視点である程度まで進むと総一視点にシフト、そしてまた総二視点へと戻っていく…といった具合に、交互に進んでいきます。ここでは多くの謎を残しつつも、主人公たち、そして周囲の行動によって状況が目まぐるしく変化していきますので、プレイヤーは主人公たちの目線で問題に向き合っていくと理解しやすいと思います。

基本は主人公の視点ですが、時折ヒロインたちの視点も入ってきます。

とはいえ、これだけですとあっさりとまとめすぎですので、ここでは2つの世界を異世界サイド、現実世界サイドと便宜上呼称しまして、双方の序盤のポイントについても紹介していきます。

まずは総二が巻き込まれていく異世界サイドについて。こちらには世話焼きでツンデレな幼なじみの夏月や、兄の元恋人で、特殊な体質を持つ蒼がヒロインとして登場します。

夏月は一見すると勝ち気な性格に見えますが、こと総二が絡む物事になると途端に脆さを見せるなど、閉鎖環境の中で不安定な側面を見せていきます。その中でも手のかかるテスラの面倒を見たりと世話焼きな部分は健在だったりするので、序盤を進めていくだけでもその人間性を把握していけるのではないでしょうか。

一方、蒼は単独行動が多いため、序盤ではその特徴が見えにくい子です(食いしん坊なのはわかるのですが…笑)。近くにある精密機械を無差別に狂わせるという体質からか周りとの距離を保ちつつ、どうやら何かしらの目的をもって行動しているようなのですが…。そのあたりが先に進んでいくに連れて見えてきそうです。

そのほか、生徒会長である稲嶺、教師の大久保といったキャラクターが物語の序盤では大きな役割を果たしていきます。50名ほどが取り残された学園内という衣食住に制限のある環境下では、一つ一つの問題がそのまま状況の変化にも繋がっていきます。そこで繰り広げられるやり取りにも注目しつつ、脱出するための手段を講じていく流れを序盤では見えてもらえるのではないでしょうか。

現実世界サイドでは総二の兄である総一と、夏月の妹である陽月をメインとして物語が進んでいきます。姿を消した総二と夏月を心配しつつも、彼らもまた現実世界で起こるさまざまな出来事に巻き込まれていくのです。

陽月は引っ込み思案で人見知りな子で、今回の出来事に関しても総一に頼る場面が序盤では多く見られます。その中でも少しずつ成長していく姿も見られますので、そのあたりにも注目してもらえればと思います。

そのほかにも、時代遅れの流行語を使う田舎者ではありつつ姉御肌な倫香、陽気なアメリカンおたくのカイン、学園の教師にして研究者である真莉といった面々が登場します。異世界サイドに比べると序盤ではまだ和やかさも感じられますが、徐々にその雰囲気は変わっていきます。異世界サイドも含め、学園の関係者たちが問題に巻き込まれているという点がひとつのポイントになります。

そして2つの世界で同時に存在するテスラの存在は、本作の物語において大きな意味を持つことでしょう。普段は見た目通りの幼さを随所に感じられますが、ところどころで物事を一気に動かすような行動や発言を繰り出します。いろんな可能性を想像しながらプレイを進めると、より物語への没入感が深まっていくのではないでしょうか。

ネタバレのない範囲で雰囲気をお伝えしていきましたが、最後にシステムに関する補足だけ。本作では選択肢に応じて演出が発生、ここで選択を間違えると状況が変わっていき、バッドエンドを迎えることもあるので注意しましょう。

また、フローチャートが活きる仕組みとしていわゆるザッピングシステムが搭載されています。これは諸星兄弟に備わっているとされる「双子のシンクロニティ」と紐付いたものになっていますが、それが実際にどのように物語上で表現されるかはぜひご覧いただければと思います。

第39回、いかがだったでしょうか。冒頭から突拍子もない展開の連続ではありますが、出来事のひとつひとつが宙ぶらりんにならないのは、登場するキャラクターたちの人間味が感じられるからかもしれません。恐怖心は時に人間の本質を浮き上がらせますが、その中で主人公たちがどう自分を持って立ち向かっていくのか、私もぜひ最後まで見届けたいですし、その上でタイトルの意味も知りたいなと思います。

というわけで、今回はここまで。ビックリするぐらい間が空いてしまったので、次回はなるべく早く…早く…(まだ未定です)。

双子座のパラドクス

エンターグラム

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  • 発売日:2017年8月24日
  • 17歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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