千葉・幕張メッセにて開催中の「東京ゲームショウ2017」。同会場で、Nintendo Switch/ニンテンドー3DS用ソフト「ファイアーエムブレム無双」のディレクター・臼田浩也氏へのインタビューを実施した。
――緻密な戦略が特徴の「ファイアーエムブレム」と、一騎当千が特徴の「無双」がコラボするということで意外に感じている人もいるかと思います。開発の経緯を教えてください。
臼田氏:任天堂さんと「ゼルダ無双」を制作した後、他にもコラボタイトルを出したいですねという話はしていました。3DSの「ゼルダ無双」を制作した際に、下画面でキャラクターを切り替える機能を追加したのですが、これが「ファイアーエムブレム」の3すくみの戦略的な部分に合致するのではという話になり、開発に至りました。
――「ファイアーエムブレム」は3すくみもそうですが、独自のシステムが多い作品でもありますもんね。そういった部分を「無双」に落とし込む上で苦労したことなどはありますか?
臼田氏:「無双」もタクティカルアクションという位置づけなので、そういった部分では「ファイアーエムブレム」と被る部分も多くあり、すんなり進みました。ですが「ファイアーエムブレム」が持つ“戦略”と「無双」が持つ“アクション”のバランスには非常に苦労しました。
――どちらかに偏りすぎると、これは「ファイアーエムブレム」じゃない等の意見が出てしまいますからね。
臼田氏:そうですね。弊社は「信長の野望」などのシミュレーションゲームを作っている部署と、アクションゲームを作っている部署があるので、両チームから意見を貰いつつ調整を行いました。
――なるほど。ということは、コーエーテクモゲームスの集大成が「ファイアーエムブレム無双」であるとも言えますね。
臼田氏:今思えば本当にそうですよね。アクションを楽しみたい人はいつもの「無双」のような感覚で遊べますし、戦略部分を楽しみたい人は戦略に重きをおいてじっくり遊ぶことができると思いますよ。
――本日のステージでも戦略部分が紹介されましたが、予想以上に直感的に動かせるようで驚きました。
臼田氏:戦略を楽しめるといっても、それがゲームのテンポを落とすようではいけないと考えました。ですので、アクション部分を阻害しないというのは、かなり意識しています。
――「ファイアーエムブレム無双」は、他のコラボ無双シリーズと比べても独自のシステムが多いと感じます。これはできるだけ原作を再現したくてのことなのでしょうか?
臼田氏:「無双」という土台の上で「ファイアーエムブレム」らしさが楽しめるようにしたいと思った結果ですね。私自身も「ファイアーエムブレム」は好きでプレイしているので、ファンならこういう遊び方がしたくなるよなという部分に関しては、できるだけ要素を詰め込んでいます。ダブルなどのその一部ですね。
――ダブルがあるということはトリプルも……。ということで“トライアングルアタック”は可能ですか
臼田氏:企画段階ですと、全員のキャラクターとトライアングルアタックができると面白いのではと話していました。ですが、さすがに組み合わせの数が多すぎるということでダブルに落ち着いたという経緯があります。トライアングルアタックの要素を感じられる部分もありますので、実際にゲームをプレイしながら探して貰えたら嬉しいですね。
――本作では騎馬ユニットや飛行ユニットが騎乗した状態で登場しますよね。凄く滑らかにアクションしていて、まさに人馬一体といった感じですが、これは最初からそのように設計されていたのですか?
臼田氏:従来の「無双」シリーズの馬って移動手段なんですよね。ですが飛行ユニットや騎馬ユニットが好きな人は、馬も含めてユニットとして戦いたいんじゃないかなと思い、現在の仕様になりました。人馬一体の爽快なアクションはぜひ注目して欲しいです。
――「ファイアーエムブレム」はレベルアップ時にランダムでパラメーターが上がります。「ファイアーエムブレム無双」ではどうなりますか?
臼田氏:「ファイアーエムブレム無双」では、キャラクター毎に固定の上がり幅となっています。これも結構議論になったのですが、アクションゲームとしてのテンポを優先した結果、固定のほうがテンポ良く遊べると判断しました。
――ステージの映像にはレベルアップするシーンが映っていましたが、ゲームの進行を妨げることなく自然に処理されていましたよね。ゲームのテンポという点にはかなりの拘りを感じました。
臼田氏:原作でも敵を倒したらその場でレベルが上がるじゃないですか。それを意識してという部分もあります。ちなみにアクション中に画面が止まるような演出は、全て設定画面でオンオフできるようになっています。
――今日のステージでヒストリーモードが紹介されましたが、昔ながらのドットや音源で懐かしさを感じました。あれは新規で作り直したのですか?
臼田氏:基本的には元になる素材を、任天堂さんやインテリジェントシステムズさんからお借りして使用しています。
――では、本当の意味で当時のデータで名シーンを追体験できるんですね。結構貴重なものだと思うので、ファンとしてはたまらないと思います。
臼田氏:そうですね。ファミコン時代のSEデータなども頂いて使っています。ぜひそういった細かい部分にも注目してみてください。
――「無双」シリーズは“無双BGMに外れなし”と呼ばれるくらい人気がありますよね。「ファイアーエムブレム無双」のBGMはどういったものが用意されているのですか?
臼田氏:基本的には原作にあった印象深い曲などを、ギターサウンドなどでアレンジしています。またIFや覚醒にあった、マップ画面とバトルシーンの音源切り替えには「ファイアーエムブレム無双」でも挑戦していて、ポーズをかけるとギターサウンドが消え、戦闘に戻ると激しいサウンドが楽しめるようになっています。
――昨日のステージではセリカのプレイアブルが発表されました。TGSで試遊をしようと思っているセリカファンに向けて、注目のアクションなどを紹介してください。
臼田氏:セリカは、空中コンボが使えるキャラクターになっています。敵を打ち上げて空中で連続攻撃を叩き込むのはかなり爽快感があるので注目してほしいですね。また昨日のステージでも紹介しましたが、ライナロックはかなり派手なのでそちらも是非。
――明日も新キャラクターが発表されるようですが、ヒントなどは頂けますか?
臼田氏:ここまでずっと覚醒とIFを中心にキャラクターを発表していました。なので、もうそろそろ違うシリーズから……という感じですかね(笑)。
――個人的にはアイクかなと思っていますが……。
臼田氏:なるほど、そこは色々と予想しながら発表を待っていてください。
――ちなみに現段階で発表されているキャラクターは全体の何%くらいなんでしょうか
臼田氏:9割近くは発表しているので、そろそろ出揃ってきたかなという感じです。
――「ファイアーエムブレム」では、敵として登場したキャラクターが特定のキャラクターとの会話で仲間になる演出があったりします。「ファイアーエムブレム無双」ではそういったイベントが楽しめたりしますか?
臼田氏:特定のキャラクターを連れて行った時にしか仲間にならないと、一部のキャラクターが仲間にならずにゲームが進んでしまいます。なので、そういったことは無いようにしました。ただ、ストーリーの中で敵対しているキャラクターが味方になる演出はあるので、そういった部分で原作のエッセンスを感じて頂ければと思います。
――「ファイアーエムブレムヒーローズ」では、総選挙キャラクターが最近登場しましたが、そういった衣装替え機能などはありますか?
臼田氏:「ファイアーエムブレム無双」ではクラスチェンジが可能なのですが、そのタイミングで上級クラスの衣装を入手できます。もちろん下級クラスの衣装着ることもできるので、お気に入りの衣装で戦闘を楽しんでください。
――「ファイアーエムブレム」では特別な武器として神器が登場しますが、神器は特別なミッションなどで手に入れるのでしょうか?
臼田氏:ものによりますね。例えばレオンがブリュンヒルデを持たずに出陣してきたら違和感がありますよね? なので、キャラクター固有の武器は最初から使用することができます。ただ、そういった武器にも真の力を開放する成長要素などがあるので安心してください。
――それでは最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
臼田氏:東京ゲームショウでは全日程ステージイベントを実施して新情報をドンドン発信していきます。それらの情報を見ながら9月28日の発売日を楽しみにしていてください。
――ありがとうございました。