2017年9月23日、24日と東京国際フォーラムで開催された「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2017 -交響組曲エオルゼア-」。ここでは9月23日の夜の部の模様をお届けする。

目次
  1. 第一部は「新生編」。
  2. 吉田氏の登場に、会場からは「ヨシダアアアアアアア」コールが!
  3. 「FF14」音楽生みの親・祖堅氏は、緊張のせいか何度も噛む場面も
  4. 「FF」の音楽といえばこの人、植松伸夫氏も登場!
  5. 第二部は「蒼天編」。
  6. スーザンさんの歌声はマザークリスタル。ハイデリンの声。
  7. 蒼天編もいよいよ折り返し!あの曲ではあのギミックが!?
  8. シヴァで泣いたと祖堅氏もぽろり。けれど「FF14」コンビの賑やかし二人のトークは健在!
  9. エオルゼアでの旅を振り返り、会場はスタンディングオベーション!
  10. 少しだけ会場の様子をお届け!
  11. 終演後、吉田直樹氏、祖堅正慶氏、植松伸夫氏にインタビュー!
  12. セットリスト
  13. 公演概要

最後には、「ファイナルファンタジーXIV(以下「FF14」)」メインコンポーザーの祖堅正慶氏、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏、そして「FF」音楽生みの親である植松伸夫氏へのインタビューもあるので、ファンはぜひそちらにも目を通してもらいたい。

第一部は「新生編」。

まずはエオルゼアの冒険者にはなじみ深いであろう、ウルダハで流れる「希望の都」でオーケストラコンサートは幕を開けた。

力強く始まるこの曲は「FF14」公式生放送などの冒頭で使われることも多いので、ウルダハから開始したわけではない人たちでも「この曲がかかると何かが始まる」という気持ちになるのではないだろうか。ぶわっと襲い掛かってくる金管楽器の音圧には、ぞくりと鳥肌が立った。

私は自国がウルダハなのもあって、「希望の都」はほぼ毎日のように聞いている曲だ。その当たり前のように聞いている曲に鳥肌が立つとは、なんて貴重な経験なのだろう。

オーケストラアレンジでは力強さだけではなく、夜のウルダハのような影を想起させる、しっとりとしたヴァイオリンで聞かせる場面もあり、緩急のついたアレンジに震えさせられるスタートとなった。

吉田氏の登場に、会場からは「ヨシダアアアアアアア」コールが!

ここで本日の司会進行役として、「FF14」のプロデューサー兼ディレクターのスクウェア・エニックスの吉田直樹氏がタキシード姿で登場。会場は大きな拍手と共に一斉に「ヨシダアアアアアアア!」コールが渦巻いた。

その熱狂ぶりに吉田氏は「皆さん、今からそんなテンションで大丈夫ですか? でもいつも通りの吉田弾幕ありがとうございます」とお辞儀。「2013年に新生を迎えてからというもの、オケコンはいつやるんですか? と言われ続けて、ようやくこの日を迎えることができました、ありがとうございます」と感謝を述べつつ、「第一部は新生編、第二部は蒼天編ということで皆さんの思い出がつまった選りすぐりの曲をやりますので、時には笑ったり泣いたりしながら楽しんでください」と笑顔を見せた。

2曲目は、黒衣森で流れる「静穏の森」。ピアノで始まるこの曲は、今回のコンサートでも健在。ピアノを弾いていたのは、「FF14」のアレンジアルバムやファンフェスティバルのピアノコンサートでもお馴染みのKeikoさんで、今回もオーケストラにピアノで参加している。クラリネットのソロが印象的なアレンジになっており、ハープの音と重なって、黒衣森独特の神秘的な雰囲気が際立つ演奏となっていた。

3曲目の「極限を超えて」は、ジョブクエストのインスタンスバトルBGMなどで使われている曲。各ジョブのレベル50クエストで必ず使用されているため、印象深い人も多いだろう。ジョブクエストはどのジョブもストーリーに重みがあることもあってか、スクリーンに流れる映像と共に涙を浮かべるファンも。

4曲目は「絢爛と破砕 ~クリスタルタワー:シルクスの塔~」。今回のオーケストラコンサートのためのクリスタルタワー楽曲メドレーで、通常時とバトル時を組み合わせて、まさに実際にシルクスの塔の中にいるときのようなアレンジとなっていた。

古代の民の迷宮から始まって、ひたすら上へ上へと上がっていくシルクスの塔は、上層部へ行くほどきらびやかな金で彩られた装飾が増え、まさに豪華絢爛。そしてその「上を目指している」という気持ちを盛り上げてくれるのが、この「絢爛と破砕」だ。

シルクスの塔の曲自体は「FF3」の曲を元に作られていることもあって馴染み深いものの、他の「FF」シリーズのコンサートではあまり聞くことのできない曲なのもあり、こうして今「FF14」の楽曲として装いも新たにオーケストラで聴けるのは感動の一言に尽きる。楽曲を引き立たせるソプラノのソロが会場を包み込むように麗しく響き、より一層プレイヤーの感情を高ぶらせていた。

5曲目は「究極幻想」。アルテマウェポン戦などで使用されている曲だ。

この曲は、ミィケット合唱団(※オーケストラコンサート直前生放送で決定した合唱団名)の幻想的なコーラスから始まった。今では制限解除で20秒で倒されてしまうアルテマウェポンだが、私はこの曲を聴くために一人でアルテマウェポン戦に入るくらいにこの曲が好きだ。

この曲がゲーム中で初めてかかるのは、魔導城プラエトリウムにてアシエン・ラハブレアにより覚醒したアルテマウェポン戦でのこと。サンクレッドをこよなく愛す私にとっては、何もかもが辛く、何もかもが鮮烈なイベントシーンだった。この曲は四年前、私の魂にそんな風に強引に刻み込まれた一曲なのだ。

四年間、それほどまでに聴いて、愛してきた曲が、こうして生のオーケストラで演奏され、凄まじい迫力で襲い掛かってくる。これが泣かずにいられようか。私に究極の幻想を見せて……いや聴かせてくれたこのコンサートに、感謝せずにはいられない。

「FF14」音楽生みの親・祖堅氏は、緊張のせいか何度も噛む場面も

ここで再び吉田氏と、「FF14」コンポーザーの祖堅正慶氏がステージに登場すると、今度は「ニーソオオオオオオオ!」コールが起こった。オーケストラコンサートでありながらコールが飛ぶというのは、滅多に見られない光景だ。

祖堅氏は緊張のあまりか何度も噛みながら「FF14のサウンド担当の祖堅です」と挨拶。自身の燕尾服姿を「こないだ14時間生放送で食べたアレ(ナマズオケーキ)みたいですね」と自ら茶化す祖堅氏と、「おまえはここまで来たのに生放送の話か」とつっこむ吉田氏とのトークには、会場からは笑いが絶えなかった。

改めて祖堅氏は「今日この日を迎えられたのは光の戦士の皆さんのおかげです、本当にありがとうございます。そして東京フィルハーモニー交響楽団の皆さんは、今日の難しい譜面を奥歯を噛みしめながら演奏してくださっています。ついバトル曲ばっかり入れてしまったので譜面が真っ黒になってしまって本当に申し訳ないです」とコメントした。

吉田氏が「それでは皆さん、辛かったこととか辛かったこととか辛かったこととかを思い出しながら、バハムートのことを振り返ってください」と紹介した次の演奏曲は、「試練を超える力」。大迷宮バハムートのほぼ全域のボスで流れる曲だ。

恐らくサービスインからのプレイヤーでバハムートに挑んだ人ならば、全員がこの曲で様々な記憶が蘇ったことだろう。ヴァイオリンのソロが聴かせるシーンもあったのだが、恐らく大半のプレイヤーは似たような感情に囚われていたのではないだろうかと思う。

大迷宮バハムートの流れで、7曲目は「白銀の凶鳥、飛翔せり」。「試練を超える力」は、大迷宮バハムートの大半で流れることもあり、人によってより思い出深い層も違ったことと思うが、「白銀の凶鳥、飛翔せり」は侵攻編四層のネール・ヴァン・ダーナス戦の、しかもフェーズ後半にのみ流れる曲なのに、これだけで発狂するレベルのトラウマを呼び起こされるプレイヤーは、今でも多くいると思う。

この曲がかかった直後に来る天地崩壊からの吹き飛ばし、吹き飛ばしから集合マーカーに戻っての二回目の天地崩壊までは完全に音楽と同期して記憶している。

曲と共に流れる映像で、二回目の天地崩壊で内周寄りを走っているプレイヤーを見て思わず「そんな内角えぐらないで!スーパーノヴァ!逃げ場が!」と心の中で絶叫した私だったが、あの映像に同じことを思ったプレイヤーも多いと信じている。この後に訪れるのは、ファイア、アイス、サンダー、悪夢のカータライズ。

そして、スクリーンで流れていた映像でも隕石マラソンをしていたのには、「やっぱりここはマラソンなのか……」と苦笑したことも記しておかねばなるまい。なおこの隕石マラソンは、上限レベル70の今でも失敗するとIL次第で即死することがある(ゴーレムの巨大化は、今でも変わらずに確定の即死)。

この曲で流れるバスのソロとソプラノのソロも素晴らしく、まさに目の前で「ネール・ヴァン・ダーナス」というタイトルのオペラ劇を観ているようだった。

「FF」の音楽といえばこの人、植松伸夫氏も登場!

ステージに現れた吉田氏が「これらの曲は皆さんにとってどのような思い出になったでしょう」と問いかけつつも「侵攻二層の時は、気が付いたら隠れるルノーがいなかったり、咄嗟に振り向いてしまったらそこに味方が7人いたとかありましたね……」とメリジューヌの思い出を語った。

更に吉田氏は「ネールさんは、ファイアと間違ってサンダーを全員に当てたりしましたね……」とこれまた当時の自分が起こした“テロ”を告白。これは吉田氏に限ったことではなく、当時誰もが数回はやらかしたものだろう。

吉田氏が「そろそろスペシャルゲストを呼ぼうと思います!」と呼び入れたのは、「FF14」で各パッチのテーマソングを作成している植松伸夫氏。今更説明するまでもないと思うが、植松氏は初代の「FF」から長い間「FF」シリーズの楽曲を作ってきた作曲家で、旧「FF14」時代に植松氏が手掛けた楽曲は、新生以降も各所に使われている。

植松氏は「FF」のオーケストラコンサートをこれまで数々こなし、自身が監修する「Distant Worlds」シリーズは全世界で100公演を超えているほどのベテラン作曲家だが、今回のコンサートを「お客さんの熱量がまるで違いますよ。Distant WorldsでもFF14の曲をやりますが、FF14の曲の反応は本当に熱いんだよね。思い入れが強い人が多いんだろうなぁと思います」と高く評価した。

そして植松氏は、スーザン・キャロウェイさんを紹介。「FF14」はもはやスーザンさんの歌を失くしては語れないというほど、「FF14」のプレイヤーには馴染み深い歌姫だろう。

第一部の最後は、そのスーザン・キャロウェイさんを迎えての「Answers」。スーザンさんの力強い、それでいて冒険者すべてを包み込むような歌声に、会場のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきた。

そもそもは「FF14」が”新生”として生まれ変わる前、「時代の終焉」トレーラーなどでこの曲を耳にしたプレイヤーも多いとは思うが、新生編という流れで考えると、大迷宮バハムートの真成編の四層を思い浮かべる冒険者のほうが多いのではないだろうか。

スクリーン上には「時代の終焉」トレーラーが流れていたが、私としては、メガフレアでの散開…アースシェイカー誘導…メガフレアダイブ散開…と、大迷宮バハムートのラストを飾る真成編四層のバハムート戦の印象が強かった。

しかし曲を聴いて何を思い浮かべるかというのも、プレイヤーがここまで辿ってきた道筋次第なのだろう。私はそもそも旧「FF14」をプレイしていなかったので、私にとって「時代の終焉」トレーラーは旧「FF14」と新生をつなぐための映像でしかなかった。

ただ、あのトレーラーがあったからこそルイゾワを含めたシャーレアンの賢人に興味を持ち、ウリエンジェ、アリゼー、アルフィノが中心となってルイゾワが深く絡む大迷宮バハムートのストーリーが見たくて、だからこそレイドは辛いということを知りながらもいつか自分の手でクリアしたい、と思うコンテンツだった。

この時、他の光の戦士には何が浮かんでいたのだろうか? レガシープレイヤーにとっては、まさに「終焉」だっただろう。新生からのプレイヤーにとっては、「始まり」だったかもしれない。私にとって「Answers」は、「終焉を真実の意味で終わらせる最後の鍵」だった。

まだ「大迷宮バハムート」に挑んでいないプレイヤーは、制限解除でストーリーの回収をするだけでも充分なので、邂逅編の一層から順にまわってみてほしい。今ならば経験者が1人でもいれば、レベル70のプレイヤーが4人ほど集まれば真成の四層まで強引にクリアすることができるだろう。この物語を見終わった時、「時代の終焉」トレーラーのルイゾワスマイルを、以前とは違う感情で見ることができると、私はそう思っている。

第二部は「蒼天編」。

第二部は蒼天編ということで、まずはイシュガルドエリアで流れるIDボス曲の「不吉なる前兆」で幕を開けた。3.4まで使われていたIDボス曲ということもあり、毎週のトークン集めなどからこのボス曲が印象深いプレイヤーも多いだろう。

この曲の一番の特徴である歴代「FF」シリーズのバトルテーマのイントロ部分や、ミィケット合唱団のコーラスも混ざったアレンジはすごい迫力だったという一言に尽きる。

私はこの曲を聴くと「博物戦艦 フラクタル・コンティニアム」のキュレーターを思い出す。一番周回したのがこのIDで、すなわちこの曲を一番聞いたボスがキュレーターだったからだ。

残念ながらスクリーンの映像にキュレーターは出てこなかったが、映像はなくとも頭に浮かぶ。それが「ゲーム体験」と「ゲーム音楽」が一体になっている「FF14」らしさなのかもしれない。

続けて演奏されたのは、今回唯一のフィールド曲となった「彩られし山麓 ~高地ドラヴァニア:昼~」。何故唯一のフィールド曲が高地ドラヴァニアだったのだろうか、と思った人も多いのではないか。しかしその理由は、演奏を聞いてすぐにわかった。この曲はとにかくオーケストラとの相性が良いのだ。

耳馴染みが良いという意味ではもちろんのこと、この曲は4分ほど経過すると突然曲調が変わる。その緩急の移り変わりが、オーケストラという形態と見事なマッチングを果たしている。

この地に初めて足を踏み入れた時、我々冒険者はアルフィノと、イゼルと、そしてエスティニアンと4人だった。

曇りが多く、少し陰鬱な印象が強いながらも、のどかさも兼ね備えた不思議な地、高地ドラヴァニア。イシュガルドから取り入れられた「飛行」を活かした高低差のある風景が素晴らしく、映像ではグリフォンでゆるりと高地ドラヴァニアを飛ぶ姿も流れたが、ここは飛行を解放して初めて本当の魅力が解る場所だ。

11曲目の「逆襲の咆哮」は、3.4パッチ以降のIDボス曲。これもやはり長い間聴いていたプレイヤーが多いのではないだろうか。この曲は様々な楽曲の特徴的なフレーズが盛り込まれているが、そこに更に力強いトランペットの音とコーラスが乗って、非常に印象的だった。

3.4のIDで何故ボス曲を変えてきたのかと当時は疑問だったのだが、紅蓮を終えた今振り返ると、蒼天のテーマと新生のテーマの両方が入ったこの曲はこのタイミングで入るべき曲だったのだなということが解る。蒼天での旅を4.0につなぐために必要な曲だと思って聴くと、きっとこれまでと違う感想を抱くだろう。

続いては再びスーザンさんが登場しての「Dragonsong」。蒼天のイシュガルドのテーマソングとなる曲だ。

この曲では蒼天のテーマソングとあって、3.0のメインストーリーの様々なシーンがスクリーンで流れていた。スーザンさんの歌に乗せて蒼天の様々な思い出が甦り、感情が高ぶっていく中で差し込まれたオルシュファンの映像は反則としか言いようがない。

「Dragonsong」といえば、邪竜ニーズヘッグ戦を外しては語れない。バトルコンテンツなのに聖竜フレースヴェルグと聖女シヴァとの愛を謳った曲が流れ、そんな場で復讐心に染まったニーズヘッグと対峙するしかなかった冒険者たち一行。

倒さなければならない敵。倒したくないけれど、倒すしかない敵。ニーズヘッグに当時立ち向かった時の胸に去来した様々な感情が、一斉に溢れだした瞬間だった。

スーザンさんの歌声はマザークリスタル。ハイデリンの声。

吉田氏は「この空気の中で出てくるのは辛いですね」と、会場のあちこちから聞こえる泣き声の中、苦笑しながらステージ上に登壇。共に出てきた植松氏と、「僕はAnswersが発注された段階ではまだFF14の担当ではなかったので、僕が初めて植松さんに頼んだ楽曲がDragonsongだったんですよ」と、当時のことを振り返った。

植松氏は「Dragonsong」の依頼を受けた時、今回もスーザンさんしかいないと最初から決めていたそうだ。吉田氏も「スーザンさんの歌声はハイデリンの声、マザークリスタルの代弁者」と語り、会場もそれに同意するように大きく頷いていた。

スーザンさんは「FF14という作品に関われて本当に嬉しいです。ファンの皆さんのおかげで、今日この場に立てています、ありがとう」と笑顔で述べた。

蒼天編もいよいよ折り返し!あの曲ではあのギミックが!?

13曲目は「メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~」。機工城アレキサンダーの天動編四層の前半部で流れる曲だ。

楽曲自体も機工城アレキサンダーのラストを飾るに相応しい壮大な楽曲なのでオーケストラとの親和性が高いのはもちろんだが、Keikoさんのピアノの旋律もオーケストラに負けじと美しい音色を奏でていた。

そしてアレキサンダー天動編の四層の特徴的なギミックと言えば、時間停止。2016年のファンフェスにて天動編四層の後半で流れる「ライズ」を演奏した時も、この時間停止のギミックを演奏内に取り入れてきたので、少しだけ予感はしていた。

予感はしていたが、まさかの時間停止のギミックと共に吉田氏が大太鼓、植松氏がトライアングル、祖堅氏がペルリラを持って客席の中央通路から登場し、三人でチンドンしながら中央通路の端から端までを横切っていくとは思わなかった。

まさかの演出に会場からは喜びの悲鳴が上がり、私も思わず「えー!?」と声を上げてしまった。そしてこの時間停止ギミックが千秋楽まで出回らなかった点において、他のプレイヤーへの気遣いができる「FF14」プレイヤーを、心から素晴らしいと思う。

14曲目は、蛮神シヴァのバトルBGMである「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」。これは弦楽四重奏アレンジでの演奏。

正直なところ最初にセットリストを見た時に「何故シヴァがこの中に?」と思っていたのだが、この曲は蛮神シヴァ討滅戦というよりも「FINAL FANTASY XIV: Duality ~Arrangement Album~」にシークレットトラックとして収録されていた「忘却の彼方 Never Let it Go」に近く、原曲のロック調とは打って変わって、どこはかとなく漂う哀しみを前面に出したアレンジとなっていた。

この曲が何故「蒼天編」側に組み込まれたのか、そうして弦楽四重奏としてどのような音色を奏でたのか、これを聴くことで自分の中の蒼天の思い出がガラリと変わりかねない、そんなアレンジだ。

スクリーンにはずっとイゼルの様々なシーンが流れていたのだが、弦楽四重奏というアレンジで演奏されるこの曲と、イゼルが辿った非業な運命とが重なりあって、こみあげてくるものが止まらない。

15曲目も続けて蛮神戦のバトル曲で、「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」。

3.0のラストバトルを演出する曲とあって、最初から最後まで重厚であり、なおかつバトルの演出とも最大限の同期を図った名曲だ。特にナイツ戦は敵のHPでのフェーズ展開ではなく時間経過によるフェーズ展開のため、「この曲で誰が出て来て、何が来る」と即座に浮かぶプレイヤーも多いだろう。

オーケストラでは、蒼天騎士団を彷彿させる、男性のみの力強いコーラスが印象的だった。また、これほどの曲をほとんどテンポを落とさずに演奏していたのも見事としか言いようがなく、プレイヤーが実際にゲームの中で感じていたバトルでの緊張感がそのまま演奏に現れていたと言えよう。

シヴァで泣いたと祖堅氏もぽろり。けれど「FF14」コンビの賑やかし二人のトークは健在!

いよいよ蒼天編もラスト、というところで再び吉田氏と祖堅氏が登壇。祖堅氏は「自分で作っておいてなんですが、シヴァで泣いちゃいました」と照れながら告白。

そして祖堅氏は「このコンサートで土日終わったあと月曜は4.1のPV作らなきゃいけないんだよなぁ」とぽつりとつぶやくと、吉田氏が「さっき二人で楽屋で4.1のPVチェックしていたっていうね……」と悲しいサラリーマンの性を漏らした。

いよいよ最後の曲は蒼天のイシュガルドのオープニングムービーの曲である「Heavensward」。この曲について祖堅氏が「思い入れとかは特にないんですが、発注スケジュールがですね」と切り出すと吉田氏からストップがかかる場面もあり、会場からはどっと笑いが起こった。

檀上から二人が去ったあと、静かに始まった「Heavensward」。蒼天編の最後は、物語の始まりへと戻ってきた。スクリーンには蒼天のイシュガルドのオープニングムービーが流れる。ソプラノのソロから、男性コーラス、女性コーラスと重なり合い、楽曲は盛り上がっていく。大きなアレンジはなく、まさに原曲の「Heavensward」を忠実に再現した演奏だったが、生の音の迫力と相まって、ムービーとのシンクロ率が凄まじかった。

ナナモ様が倒れたあのシーンから、胸にはずっと痛みしかなかった。オープニングムービーにもそのシーンが入っていて、観るのがとても辛かった。ラウバーンの姿も直視できなかった。罪人としてイシュガルドへ逃れ、そこで竜詩戦争に触れた私たち光の戦士。

そしてここから始まったイシュガルドでの物語は、私たちの手で終わらせた。

正統で真っ直ぐな演奏だったからこそ、竜詩戦争をめぐる一連のストーリーまでもを一気に思い出し、そこからこみ上げてくる感動は最高のものだった。

エオルゼアでの旅を振り返り、会場はスタンディングオベーション!

鳴り止まない拍手を受けてのアンコール一曲目は、「そして世界へ」。メインクエストで初めて三国のどこかに旅立つべく飛空艇に乗り込むシーンで流れる曲だ。この曲には「FF」の「メインテーマ」が使われており、「国歌」とファンにも30年慕われている楽曲なだけに、まさにアンコールに相応しい一曲だっただろう。

そしてアンコールの二曲目は、「天より降りし力」。この曲をなくして「FF14」はない、というほど、新生以降の「FF14」を象徴する曲だ。この曲にも、ファンに30年愛されてきた「プレリュード」が使われており、私もこの曲を初めて聴いたときは「プレリュードがこんなバトル曲になるのか!?」ととても驚いたことを思い出す。

鳴り止まない拍手とスタンディングオベーションに、何度もステージに出て来て応えた祖堅氏と吉田氏。

あれからもう四年。まだ四年。我々光の戦士が今目の前に観るのは、紅蓮の夢。そうしてその先に続くはずの、新たな物語。

ひんがしの国、ドマ、アラミゴを超えて次に行き着くのは何処なのか、そうしてそれをこうしてオーケストラで辿れる日は再び訪れるのか。

それをきっと今気にしても仕方がない。だが我々ファンが次を望む限り、きっと彼らは最大限の努力でもってそれを叶えてくれるだろう。だから、これからもこの想いを届け続けたい。

そうして、この冒険でワクワクしたこと、笑ったこと、泣いたこと、心臓を切り刻まれるような想いで辿った物語のこと、手に汗を目いっぱいかきながらクリアしたバトルコンテンツのことをこうしてみんなで振り返れれば、こんな幸せなことはきっと他にない。

そんな風に感じた、「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2017 -交響組曲エオルゼア-」だった。

少しだけ会場の様子をお届け!

会場には、各所から届けられたスタンディングフラワーが。中には、4.1パッチで24人レイド「RETURN TO IVALICE」を手掛ける松野泰巳氏からのお花や、GLAYからのお花も。

そして入場口のすぐ傍には、開発陣が選ぶオススメの一曲を書いた大きなボードが飾られていた。

ほんの一部だが、そのメッセージを掲載しよう。

吉田氏は「Answers」、祖堅氏は「全曲」
生放送でお馴染みモルボルこと室内氏は「試練を超える力」、ライブでお馴染みローカライズ部のマイケル氏は「究極幻想」
メインシナリオライターの石川氏は「絢爛と粉砕」

全体で見ると、「試練を超える力」が一番多く、開発陣のメンバーも大迷宮バハムートにはきっと様々な思い入れと思い出があるのであろうことがわかる。

終演後、吉田直樹氏、祖堅正慶氏、植松伸夫氏にインタビュー!

左から、植松伸夫氏、吉田直樹氏、祖堅正慶氏

――ついに単独での「FF14」オーケストラコンサート開催となりましたが、1日目を終えた感想をお聞かせください。

祖堅氏:僕の父親がオーケストラの団員だったので、オーケストラコンサートはよく観に行ってたんですが、まさか自分が東京国際フォーラムでやるとは予想もしなかったです。しかも四公演ですよ? 率直に「なんだそれ」みたいな感じでした。

今日終えてみて、プレイヤーの皆さんに支えられているタイトルだなとつくづく思いましたね。僕や植松さんが作ったとかではなく、プレイヤーさんがゲーム体験をサウンドで蘇らせたものを聴いて楽しんでくださっている姿を見たら、改めて皆さんに支えられているんだなと思いました。ですので、コンサートがうんぬんという感じでもないです。

――音楽的な何かというよりも、まずはプレイヤーの皆さんへの感謝を感じたと。

祖堅氏:そうですね、本当にそう思いました。今日、ゲネプロが終わった後に関係者用出入り口のガラス窓のところから外を見てみたら、有楽町駅から東京駅まで続くあの通路に3往復くらいの列ができているのを見て、もう唖然としました。本当にプレイヤーの皆さんに支えられているタイトルだと思いました。あ、音のことを言ったほうがいいですか?(笑)

――いえ、祖堅さんらしいなと(笑)。ですが、もし何かあればお伺いしたいです。

祖堅氏:音に関して言うと、自分の作った曲がこういう大舞台で、しかもゲームを愛してくれているプレイヤーさんに届けられるのは本当に幸せだなと思いました。

――オーケストラの譜面は、祖堅さんが全部書き起こしたのですか?

祖堅氏:さすがに最終的なところはちゃんとした専門家に頼みました。基本的なところは自分でやって、専門家の方にお化粧直しをしていただいたという感じです。

あと僕はゲームに合わせるためにしか曲を作ってないので、それをオーケストラで演奏できるような譜面にしていただいたりですね。僕だけではなく、たくさんの人に手伝ってもらいました。

――それを見て、何か新しい発見はありましたか?

祖堅氏:そうですね、オーケストラ譜面というものは、案外細かいなと。文字が小さいな、とか(笑)。

――これだけのものを用意するのは大変だったと思うのですが、どこに苦労されましたか?

吉田氏:実は会社に話す前に会場を押さえてしまったんですよね(笑)。去年の9月くらいに音楽出版部から「いま決断してくれるなら、来年の9月23日と24日であれば東京国際フォーラムが押さえられますが、どうしますか?」って聞かれて、まず「マジかー…」と(笑)。

まあ一回きりだし、その時に「FF14」がどうなっているのかもわからないけれど、何とかなるんじゃないかなと。たとえ8人しかお客様がいなかったとしても、やる価値があるのではないかと話して、その場で「よし、押さえろ!」と。……言ってから、さてどうやって会社を説得しようかなぁと(笑)。

ちゃんと興行にならないといけないですし、当然、本業の「FF14」できちんと利益的にもお客様の満足度的にも、会社貢献をする必要があります。それで僕らが頑張れることと言ったら、「紅蓮のリベレータ―」をリリースするまでの間、プレイヤーの皆さんに楽しんでもらい、そして「紅蓮」を高いクオリティで出すという、そこに集中すればいいのかなと。

興行で入っていただいたプロマックスの皆さんと、マネージャーチームや音楽出版部を始め、数えきれないくらいの人たちに動いていただいて、本当に一年掛かりでやってきた感じですね。

祖堅氏:譜面は二年掛かりです(笑)。

――将来的なことを考えて、ずっと譜面を用意されてきたと。

祖堅氏:そうですね。あれだけプレイヤーさんに言われたら、いつかはやらなきゃいけないだろうと思っていたので、プロデューサーにも内緒で動いていました。

吉田氏:いや、俺知ってたけどね。

祖堅氏:バレてーらー。

――(笑)

吉田氏:でも、やるからには大きな箱でやると。それは僕らの自尊心というよりかは、プレイヤーの方が来たときに「俺たちの遊んでるゲーム、こんなにすごいんだ」と思ってほしい気持ちが強くて、やるからには「FF14」らしくデカいところに突っ走ってみようという感じだったので、そこに向かって走ってこられてよかったなと思います。

祖堅の話の繰り返しになりますが、やっぱり「FF14」は光の戦士たちに支えられて今があるんだなというのは、僕も今日ステージに上がって改めて感じました。

――シヴァはパッチ2.4で登場した蛮神ですが、なぜ第二部の“蒼天編”に組み込んだのでしょうか? また、なぜ弦楽四重奏という形を取ったのでしょうか?

祖堅氏:シヴァのテーマではあるんですが、今回組曲として載せた理由はイゼルのテーマとして扱ったからです。シヴァは普段ロック調でファンフェスとかでもやっていますが、それがイゼルとなると彼女にも色々思うところがあるわけです。

彼女は竜詩戦争の歴史を知っています。か細い線と線の絡み合いを表現するために何が一番適切なのかなと考えてると、弦を四本にするのがいいのかなと。それで弦楽四重奏にしました。気持ちとしてはシヴァではなくイゼルのテーマなので、それで蒼天編側に組み込んだ感じです。

――弦楽四重奏自体も祖堅さんの案なんですか?

祖堅氏:はい。そうですね。

――植松さんは「Distant Worlds」で、「FF」のコンサートを100回以上も公演されています。「FF14」で単独コンサートを開催するにあたって、何かアドバイスのようなものをされたのですか?

植松氏:こっちがアドバイスしてほしいですよ(笑)。単体のタイトルでこれだけの集客力があるのはすごいことです。「Distant Worlds」で国際フォーラム4回公演はなかなか難しいと思います。

さっきも吉田さんと話していたんですが、とにかくファンの人たちが熱いですね。今日のプログラムの最後に演奏した曲(天より降りし力)はよく「Distant Worlds」でも演奏させてもらうのですが、とにかく熱いんです。

どうして「FF14」はこんなに熱いんだろうなぁ、と。でも吉田さんや祖堅くんと話すと、やっぱり彼らの熱量が熱いんですよ。それがお客さんに伝わっているんだと思います。

僕はもうこの歳になっていますから、「頑張ればうまくいく」とは思っていないんです。いくら頑張ってもうまくいかないことは世の中にいっぱいあるんですけど、でも頑張らないと上手くいかないですよね。

旧「FF14」は上手くいかなかったのですが、あそこからここまで立ち直らせた彼らの熱意というものが、今日会場に来てくれたお客さんを見ても、すごくよくわかります。だから本当に、どうやればあんなにお客さんを入れられるのか、僕がアドバイスほしいくらいです(笑)。

吉田氏:いやー、褒められ慣れていないから、恥ずかしいな(笑)。

祖堅氏:何を言っていいのかわからない(笑)。

吉田氏:でも、ちょっと無茶したかな、とは思います(笑)。

――今日のコンサートに参加した感じからすると、「FF14」の海外での単独公演は可能でしょうか?

植松氏:可能だと思いますね。そもそもファンフェスティバルなどで実際にベンヤミン(ベンヤミン・ヌスさん。植松氏のコンサートなどでもよくピアノを弾く世界的なピアニスト)のピアノとスーザンさんのボーカルでやっているじゃないですか。なので、これは行けるという感触は十分得ていると思います。

――とおっしゃられていますが、おふたりはいかがでしょう(笑)。

吉田氏:「FF14」はグローバルタイトルなので、海外の方からも「日本でうまく行ったならばぜひ海外でも」という声はたくさんいただいているので、プロマックスさん、ぜひ海外公演の企画などをお願いいたします(笑)。

今回一回やり切ったことで、パッケージにはなったと思うので、できれば届けに行きたいとは思います。

――吉田さんはあまりタキシードを着る機会がないと思うのですが、感想をお聞かせください。

吉田氏:どちらかと言うと、こちらが皆さんの感想を聞きたいです。僕は似合ってないとしか思っていないので(笑)。

祖堅氏:大変だったんですよ。ちょっと普通のシャツを着たら、みんなから「地味だなぁ」と言われたり(笑)。

吉田氏:そうなんですよ。祖堅は「念願なんで、燕尾服が着たい」ということで、即決まって、本人も「チョッキだ! チョッキだ!」と言って喜んでいて、しかもすごく似合うんですよ。

――スリーピースですよね。

祖堅氏:そうです。燕尾服です。

吉田氏:僕も燕尾服を着たかったんですが取られたので、必然的にタキシードになったのですけれど。シャツを着たら、みんな「……?」みたく首を捻るんですよ。祖堅のほうはすぐ決まったのに。

祖堅氏:僕は何事もなく決まりましたね。

吉田氏:僕は最初、祖堅と同じ蝶ネクタイを締めて普通にシャツを着たんですが、みんな「何か違うな……」みたいな雰囲気でね。「もうちょっとキャラに寄せたほうが」となって(笑)。

祖堅氏:今回はフォーマルでいくというお題が元々あったのでフォーマルにしたら、「なんか地味だな」と。そこにいろいろ着けていったんですよね。

吉田氏:「ここ(※写真参照)にシルバーを入れてみましょう」とか。

祖堅氏:「豹をつけてみましょう」とか(笑)。

吉田氏:豹柄はひどかったよね。(腹部に巻く飾り帯を指して)これに豹柄があることにびっくりしましたけど(笑)。

祖堅氏:「赤を入れてみましょう」とか色んな案が出たんですが、最終的には歌舞伎町の男になっていましたね(笑)。

吉田氏:ちょっと正気に戻ってみんな……みたいな。もともとこうならないようにするんじゃなかったの? と(笑)。

というのを経てこれなんです。なかなか着ないので、今日の最後に東京フィルハーモニー交響楽団さんの名前を噛んでしまったのは、そのせいだということにしておいてください(笑)。

――演奏といっしょにスクリーンに映像を流しておられましたが、あの映像を音楽に合わせるのは大変だったのではないでしょうか。

吉田氏:映像は、海外公演も視野に入れた作りにしてあります。日本でオペレーションを行っているPAさんは、ものすごく細かく合わせてくださるのですが、世界各国で公演を行った時に必ずしもそういうレベルにできるかわかりませんし、だからといって海外公演用に別の映像を作るのは、とにかく数が膨大なので無理だろうと。

そこで、あえて「合わせない」ということにしました。実はあれ、合わせていないんです。合わせたのはアルテマだけかな。

僕が最初に全部字コンテを書いて、髙井浩と前廣に構成を頼んで、上がってきたものを僕と祖堅が一通り確認しました。で、アルテマがすぐバトルシーンに入ってしまっていたので、そこだけ「起動からバトルのところに曲の盛り上がりを合わせたい」と頼んだくらいです。

曲はもう知っているので、多少ズレてもうまく混ざるように編集してあります。合わせるというよりは、ニュアンスがそうなるように、という感じで作りました。

実はあれ、題字が英語なんですよ。その下に小さく日本語を入れてあります。グローバルでもやれるように、そうしました。

祖堅氏:なので、海外公演のお声がけをお待ちしています(笑)。

吉田氏:石油王とかね(笑)。

――新生編のラスト3曲について、まさにバハムート組曲ともいうべき構成でしたが、新規プレイヤーの中にはまだ大迷宮バハムートをプレイされていない人もいるのではないかと思います。そんな中で、なぜこの3曲を入れたのでしょうか?

祖堅氏:今は「紅蓮」まで来ていますが、当時の一番最初のレイドコンテンツである大迷宮バハムートは、幾多の光の戦士を駆逐してきた特別な蛮神でして。

吉田氏:駆逐してはダメなんだが(笑)。

祖堅氏:まぁそんなわけで(笑)、開発としても思い入れのあるコンテンツだったんですね。コンサート中も言いましたけれど、「親の声より聴いた曲」みたいな言葉が生まれるくらいで。

サウンドを聴いただけでゲーム体験から効果音まで蘇るなんてものは、今までなかったことです。今日いらしてくださったプレイヤーの中で「新生」からプレイされている方もたくさんいらっしゃって、その方たちにとってのバハムートは特別なはずです。新生編の〆を飾るのは大迷宮バハムートが相応しいと吉田と完全に意見が一致したので、あの3曲を最後にもってきました。

吉田氏:先輩たちがかつて「FF」を作ってこられた中に召喚獣というものがあって、「FF7」で映像を含めて極め付けまでいって、バハムートという存在がなければ、多分「新生」のメテオなどのアイデアは出てこなかったと思います。

「FF」シリーズのファンの皆さんにとっても、「バハムート」というものには何かしら思い入れがあると思うので、そこは自然に決まりました。バハムートはまさに僕らが新生するきっかけだったので、僕らにとっても格段に思い入れがあります。

祖堅氏:会場の入り口に開発者のメッセージボードが置いてあり、お気に入りの楽曲タイトルを書いてもらっているんですが、圧倒的に多かったのが「試練を越える力」でした。大迷宮バハムートで「オエッ」ってする曲です(笑)。同じ思いがきっとプレイヤーの皆さんにもあるはずなので、入れたかったです。

――まだ大迷宮バハムートをクリアしていない方もたくさん来場されたかと思いますが、そうした人たちに対する「大事なコンテンツだから挑んでほしい」みたいなメッセージもあるのでしょうか?

祖堅氏:そこまでは。

吉田氏:深く考えてはいないですけど(笑)。レベル制限解除で行ってくれたらいいなぁ、くらいですね。

――今回演奏された曲は「FF14」の膨大な曲数からすると、本当に一部かと思います。第一部と第二部を含めて、選定はすんなり進んだ感じですか?

祖堅氏:めちゃめちゃモメました。

吉田氏:主に僕ら二人の間で(笑)。

――今回は演奏できなかったけれど、これはやりたかったという曲はありますか?

祖堅氏:ざっくり言うと、ウルダハ、リムサ、グリダニアの三国とイシュガルドはやりたかったかなぁ。あとは、ダンジョンメドレーみたいなのもやりたかったです。例えばシリウス大灯台も最後まで当落上にあったのですが、尺が長いので落ちちゃいました。そういう曲はたくさんありましたね。

――今回は新生編と蒼天編でしたので、いつか紅蓮編を聴きたい気持ちがすごくあります。

吉田氏:マネージャーから、「何とかして紅蓮を入れられないんですか!?」みたいには言われました(笑)。僕は「アリじゃないかな、アンコールのラストに入れるとかで。祖堅に聞いてみたら?」と返したんですが、そうしたら祖堅が「何言ってんの? いまさら間に合うわけないじゃん」と(笑)。

祖堅氏:締め切りを2週間も過ぎた後に言われて、さすがに僕も「それは無理だよ」って(笑)。今回はしっかりしたクオリティをプレイヤーの方たちにお届けしたかったので、付け焼刃で作ったような譜面をプレイすることだけは避けたかったんです。やるからにはしっかりやりたいので、NGを出しちゃいました。

吉田氏:とにかく今回全力でやって、もし次もというお声をいただけるのであれば、紅蓮編で、例えば第一部ドマ編、第二部アラミゴ編、とかでいいと思っています。

祖堅氏:まだまだ「新生」と「蒼天」で、やっていない曲もたくさんありますよ!

吉田氏:それをやっていたら紅蓮までたどり着かないでしょう(笑)。もし次をやれるとしたら、また曲選びで取っ組み合いが起こるんだろうなと思います。開発チームだけではなく、運営やマネージメントの担当者の中にも「FF14」のゲーム体験や音楽に思い入れがある人が本当に多いので、みんなの意見を聞き始めると収拾がつかなくなってしまいます。なので、権力順に決めていくことにします(笑)。

――祖堅さんはかねてより「サウンドはゲーム体験に寄り添うことが重要」とおっしゃっていましたが、今回はゲームをプレイしているとき以上に寄り添っている感じがしました。これはやはり祖堅さんが作られた曲と、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏が生む相乗効果なのでしょうか?

祖堅氏:そこは、譜面の段階からめちゃめちゃ意識しています。やはりゲーム体験ありきなので、いきなり原曲と違うオーケストラアレンジの曲を始めても、コンテンツに対して思い入れがなかなか蘇らないと思うんですね。

だから僕は今回、譜面上は2ループの構成で作りつつ、1ループ目はゲーム中で鳴っている音をそのままオーケストラでやったらどうなるのか、といったところにかなり神経を使って作りました。そして2ループ目はオーケストラならではのアレンジ要素を持ってきました。それによって、ゲーム体験により深く寄り添えるようになるのはもちろん、「オーケストラってすごいんだな」っていうのがわかりやすくなると思うんで。

――ゲームの様子が浮かぶのはもちろんですが、曲の後半でオーケストラのすごさをたしかに感じました。

祖堅氏:それはまさに狙ったところだったので、やった! って感じですね(笑)。

――今回の曲目の中にクリスタルタワーがありましたが、植松さんの「Distant Worlds」ではなかなか選ばれない曲かと思います。ご自身が27年前に作られた曲を、後輩である祖堅さんがアレンジし、このような場で披露されるというのは、植松さんとしてどのようなお気持ちなんでしょうか?

植松氏:嬉しいような、恥ずかしいような感じです(笑)。自分のコンサートではやったことないですし。

祖堅氏:めちゃめちゃいい曲じゃないですか!

植松氏:いくら欲しいんだい?

――(笑)

祖堅氏:こう言っておくと、次のパッチとかで安く作ってくれるかも(笑)。

吉田氏:僕は「悠久の風」をすごくやりたかったのですが、「FF14」の曲じゃないよなと。でも個人的に聞きたくて(笑)。

祖堅氏:クリスタルタワーメドレーみたいな案もあったんですが、尺がめちゃめちゃ長くなるので厳しかったです。でも今回のクリスタルタワーは、通常時と戦闘時の2曲をひとつにまとめるといった工夫をしています。

吉田氏:クリスタルタワー攻略中でも、バトルに入った瞬間、スムーズにクリスタルタワーの曲からバトル曲へと移行しますよね。あれは、あの時のために作ったシステムなんですが、それをきっちりとオーケストラでも再現しています。そこもゲーム体験を再現するという部分に近いのかなと思います。

――それでは、最後にコメントをお願いします。

植松氏:こういう会場に来て、同じ「FF14」ファンの皆さんと一緒にあの熱気を感じると、さらに「FF14」に対する思い入れが強くなるんじゃないでしょうか。スーザン・キャロウェイさんの歌も、会場で聴くと説得力が全然違うと思いますので、ぜひ泣きに来ていただければ。

祖堅氏:前から言っていますが、オリンピックの影響で会場がなかなか押さえられないので、次がいつかと聞かれてもわからないです。次回もやりたいですが、いつになるかわかりません!

吉田氏:今まさに祖堅が言いましたが、僕らもやろうと思うとファンフェスくらいの熱量を使います。もちろんファンフェスもまたやりたいという声も上がっているので、この規模はおいそれとできることじゃないなと実感しています。またやりたいですが、次はいつですとはまだ言えない状態です。

――ありがとうございました。

セットリスト

  1. 希望の都
  2. 静穏の森
  3. 極限を超えて
  4. 絢爛と破砕 ~クリスタルタワー:シルクスの塔~
  5. 究極幻想
  6. 試練を超える力
  7. 白銀の凶鳥、飛翔せり
  8. Answers
  9. 不吉なる前兆
  10. 彩られし山麓 ~高地ドラヴァニア:昼~
  11. 逆襲の咆哮
  12. Dragonsong
  13. メビウス ~機工城アレキサンダー:天動編~
  14. 忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
  15. 英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
  16. Heavensward
  17. そして世界へ
  18. 天より降りし力

公演概要

FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2017 -交響組曲エオルゼア-

2017年9月23日(土・祝)

【昼公演】12:00 開場/13:00 開演
【夜公演】17:00 開場/18:00 開演

2017年9月24日(日)

【昼公演】12:00開場/13:00開演
【夜公演】17:00開場/18:00開演

会場

東京国際フォーラム

指揮

栗田博文

演奏

東京フィルハーモニー交響楽団

出演

ファイナルファンタジーXIV プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹
ファイナルファンタジーXIV コンポーザー 祖堅正慶

スペシャルゲスト

コンポーザー 植松伸夫
ヴォーカリスト スーザン・キャロウェイ

主催

スクウェア・エニックス/プロマックス

制作

プロマックス

公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/ff14/concert/2017/

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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