バンダイナムコエンターテインメントが2017年10月19日にリリースしたPS4用ソフト「巨影都市」。「絶体絶命都市」シリーズの流れを汲みつつ、新たな境地も見せる本作のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. 物語の始まりはウルトラマンの足元から
  2. “巨影”だけじゃない。人と人のドラマも魅力

ウルトラマンやエヴァンゲリオン、レイバーにガメラにゴジラといった巨大怪獣や巨大生物の足元をくぐり抜け、生存を試みる。そんな非現実的で、なおかつ子供のころ、誰もが一度は想像したことがあるであろう脅威を体験できるのが、今回紹介する「巨影都市」だ。

開発を担当するのはグランゼーラ。この作品にも通じるサバイバル・アクションアドベンチャー「絶体絶命都市」シリーズも手掛ける九条一馬氏で知られるゲームメーカーだ。実際にプレイしてみると、世界観は違うが「絶体絶命都市」シリーズファンも納得できる内容に仕上がっていることがよく分かる。極限状態ながら、それを感じさせないコミカルな一面も合わせ持つ本作の魅力に迫っていこうと思う。

物語の始まりはウルトラマンの足元から

「巨影都市」のストーリーはとある都市の中、主人公がヒロインの「香野ユキ」と待ち合わせの約束をした公園へ向かうところから始まる。何気ない繁華街を歩いていると、そこに突然ウルトラマンが降り立ち、一気に非日常の風景へと変わっていく。ゲームを始めて5分もかからない内に絶望的な状況に追い込まれるのだから、本作が持つインパクトは絶大だ。

そんな状況下でプレイヤーは、時に建物に身を潜めながら、時に巨大な生物や怪獣の足元をすり抜けながら目的地を目指すことになる。ただ歩いているだけでも周囲の車は爆発し、ビルは次々と崩壊していく。言うまでもなく炎に巻き込まれればダメージを受けるし、ザラブ星人の攻撃に巻き込まれれば即ゲームオーバーにもなってしまう。街にいる人々の会話などあらゆる情報に注意して、どうやって危機を回避し、次に行くべき場所を見つけていくかが重要だ。

ちなみに、仮にゲームオーバーになっても直前から再開できる。世界観に目が行きがちだが、遊びやすさという点でも優れていることは付け加えておきたい。

もちろん危機から逃れるためのアクションも重要なポイントだ。本作にはスタミナゲージが存在し、ダッシュや緊急回避を行うと徐々に消費されていく。特に緊急回避はよく使う反面、どのタイミングで危険が迫るか分からないため、スタミナゲージの管理には気を使いたいところ。またストーリー上、電気が通らず暗い建物の中を歩く機会も多い。よつんばいで狭い場所をくぐり抜けたり、ドアをこじ開けたり、あらゆる手段を試すことも大切になる。

車やバイクに乗って茂る場面もあったり、シチュエーションはとても多彩だ。

本作に登場する“巨影”にも触れておきたい。先述の通り冒頭からウルトラマンが登場する他、ゴジラやガメラ、モスラといった怪獣の類も次々に出現し、プレイヤーを危機に陥れる。巨大な存在だけかと思いきや、約3メートル程度のソルジャーレギオンも登場し、地下に逃げ込んだ人々を追い込む場面も。また「機動警察パトレイバー」の消防レイバーが消火活動を行っていたりもする。“巨影”の数々は突然現れた脅威としてだけでなく、街の安全を守る味方として描かれているのも面白い。

“巨影”だけじゃない。人と人のドラマも魅力

ゲームを進めていくと主人公とヒロインだけでなく、さまざまなキャラクターと出会い、それぞれの物語を垣間見ることになる。例えば武藤、柴田という強面のコンビは、主人公に大金の取引現場を見られたことをきっかけに、執拗に追いかけてくる。プレイヤーは時として、この2人から逃げることも強いられるのだ。

ストーリーの大筋とは関係ないところでも、たくさんのドラマが展開する。命をかけたシリアスなものから、クスリと笑わせるコミカルなものまでさまざま。逃げる足を止めて、ついつい関係のない人物の会話に耳を傾けてしまうプレイヤーも多いだろう。

そしてイベントシーンの要所で発生する選択肢も、本作を語るうえで欠かすことのできないポイントだ。先に触れた武藤と柴田のコンビから逃げるシーンでは、主人公がネコやイヌ、あるいはニワトリの鳴きまねでピンチを乗り切る奇想天外な一幕がある。緊張感のあるゲームに見えて、ところどころに一筋縄ではいかない笑いが散りばめられているのも大きな魅力だ。

一見すると外れに思える選択肢でも、ストーリーが大きく変化することはない。どんな会話になるのか、興味本位で選んでも問題ない。ウルトラマンが激しい戦闘を繰り広げる中、ここぞとばかりに記念写真を撮ることだって可能。こういった多彩な選択肢は「絶体絶命都市」シリーズにもあったため、同シリーズのファンは懐かしさすら覚えるだろう。

ちなみに筆者は「留守番電話の鳴きまね」を選択した。
ほかの選択肢ではどんな反応になるのか、とても気になる。
世界観にあったものからシュールなものまで、多彩な選択肢が用意されている。
すべてをチェックするため、周回プレイにチャレンジする人もいるだろう。

シュールなネタという意味では、各ステージ終了後に表示されるリザルト画面もそのひとつだ。リザルト画面はニュースサイト風にデザインされており、街で起こっていることを報じている。それだけでなく、プレイヤーの起こした行動によって記事の内容も変わってくるのだ。

さらにニュースサイトの脇には広告があり、作中に登場するアイテムが紹介されていることも。ステージ間の休憩で終わらせるにはもったいないほど作り込まれているので、プレイする際はぜひチェックしてもらいたい。

SFサバイバル・アクションアドベンチャーゲームとしての緊張感と、グランゼーラの強みであるシュールかつコミカルな演出。この2つがPS4というハードで表現されているのは嬉しい限り。もちろん特撮やアニメファンにとっても、その迫力をダイレクトに感じられる貴重なタイトルといえるだろう。

巨影都市

バンダイナムコエンターテインメント

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  • 発売日:2017年10月19日
  • 15歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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