本格スマホカードバトル「シャドウバース」初の世界選手権「RAGE Shadowverse World Grand Prix」が12月24日に開催。e-Sports大会「RAGE」としても初となる世界大会の模様をレポートする。
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「RAGE Shadowverse World Grand Prix」は、「RAGE」を含む国内大会で優秀な成績を残した日本選手12名、さらに台湾、韓国、北米、欧州から招待された12名、計24名の選手が出場する、世界を股にかけた大会だ。賞金総額は実に12万ドル、「シャドウバース」のイベント史上最高となっている。
Day1を勝ち抜いたMoow944選手、JaZe選手、SOS選手、Akamarured選手、Kou-cha/PaR選手、fwg選手、Surre選手、FanTaSy選手の8名がBO5で激突。準決勝に駒を進めたのはJaZe選手、Akamarured選手、Kou-cha/PaR選手、Surre選手の4名だ。ここでは、セミファイナル以降の激戦の模様をお届けする。
※操り人形:0コスト1/1、進化後3/3のフォロワー
セミファイナル第1試合 JaZe選手VS.Akamarured選手
準決勝第1試合は、冷静な戦いぶりを見せ続けるJaZe選手(北米)と、完璧な日本対策でSOS選手を下したAkamarured選手(ポルトガル)という海外勢同士の戦いに。普段、リージョンの違いで戦うことがない北米と欧州の選手同士が激突し、大西洋最強が決する。
超越ウィッチで復讐ヴァンパイアを退けたJaZe選手が第1試合を、攻撃的なミッドレンジネクロマンサーでランプドラゴンを倒したAkamarured選手が第2試合を取る。続く第3試合は、復讐ヴァンパイアで序盤からペースを掴んだAkamarured選手が、JaZe選手のランプドラゴンを寄り切って王手をかける展開に。
勝負の第4試合、再びランプドラゴンを使ったJaZe選手に対し、Akamarured選手は疾走エイラビショップでぶつかる。JaZe選手の繰り出す《サハクィエル》《バハムート》《ゼウス》の猛攻をやり過ごすと、思い切りよく《エイラの祈祷》+《天狐》のコンボを決めて競り勝ち、決勝戦に駒を勧めた。
セミファイナル第2試合 Sarre選手VS.Kou-cha/PaR選手
日本勢同士の戦いとなったセミファイナル。RAGE Shadowverse Starforged Legends GRAND FINALSで惜しくも準優勝に終わったKou-cha選手(日本)は、リベンジに燃える大会だ。一方、王者の風格を見せるSarre選手(日本)は、海外勢からも「戦ってみたい」という声が出るなど、日本を代表するプレイヤーである。
第1試合、この日ハイパフォーマンスを見せた復讐ヴァンパイアでKou-cha選手のコンシードエルフを退けたSurre選手だったが、続く第2試合、Kou-cha選手は同じエルフデッキでSurre選手のランプドラゴンに勝利する。
ドラゴンデッキ同士の対決となった第3試合は、長期戦の末、代名詞とも言える《サタン》をプレイしたKou-cha選手がアポカリプスデッキを使いこなして王手をかける。しかし、Kou-cha選手のコントロールヴァンパイアとSurre選手のランプドラゴンがぶつかりあった第4試合は、7ターン目で《サタン》をプレイしたSurre選手が、デッキアウトもちらつく中で勝利を収めて逆王手。日本代表を決めるとも言える戦いは、がっぷり四つの展開に。
決戦となった第5試合は、Kou-cha選手のコントロールヴァンパイアとSurre選手の秘術ウィッチが激突。Surre選手の読みを上回ったKou-cha選手の《黙示録》が炸裂し、盤石の試合運びでKou-cha選手が勝利。ロングゲーム続きのフルセットを制し、見事決勝への切符を勝ち取った。
3位決定戦 JaZe選手VS.Surre選手
勝って帰るか負けて帰るか、賞金1万2,000ドルか4,000ドルか。3位を決める一戦は、JaZe選手とSurre選手の戦いとなった。
これまで絶好調の復讐ヴァンパイアを先鋒にしていたSurre選手だったが、今回は秘術ウィッチを選択。超越ウィッチを持ってきたJaZe選手に相性の良さもあってほぼ何もさせず、危なげなく勝利する。しかし第2試合、Surre選手の復讐ヴァンパイアに超越ウィッチをぶつけたJaZe選手が、《次元の超越》からの《ギガントキマイラ》フィニッシュを決めてタイに持ち込む展開に。
第3試合にミッドレンジネクロマンサーを選択したJaZe選手は、【ラストワード】を実にうまく駆使しながらSurre選手の復讐ヴァンパイアを退けて2勝目をマーク。再び復讐ヴァンパイアとの戦いとなった第4試合では、ドローに恵まれなかったSurre選手を相手に、オーソドックスなランプドラゴンで固すぎるほどのプレイングを見せて3連勝。世界3位の座を手中にした。
決勝戦 Akamarured選手VS.Kou-cha/PaR選手
世界一を決する頂上対決は、「世界一になります」と並々ならぬ意気込みを見せたKou-cha選手と、「皆さんが楽しめるような試合を見せられるようにがんばります」とエンタメ精神あふれるAkamarured選手の一戦に。優勝賞金は5万ドルだ。
Akamarured選手が使うのは、ライフ管理が難しいが爆発力を秘めている復讐ヴァンパイア、《骨の貴公子》《死の祝福》も取り入れた攻撃的なミッドレンジネクロマンサー、さまざまなデッキに対応できるエイラビショップの3つ。
対してKou-cha選手は、《サタン》入りのドラゴンデッキとコントロールヴァンパイア、そして高い回復・除去能力を誇るコンシードエルフの3つ。遅いデッキを倒すための遅いデッキを3つ揃えた、BO5ならではの構成だ。
第1試合はAkamarured選手のミッドレンジネクロマンサーとKou-cha選手のコントロールヴァンパイアの対決。お互いに勝ち筋が複数あるデッキ同士の戦いは、持久力の高さというネクロマンサーの強みを存分に活かしたAkamarured選手が制する。
続く第2試合はヴァンパイア同士の戦いに。《ブラッドムーン》が置けるかどうかが勝敗を分けるかと思われたが、Akamarured選手が盤面に3体並べた《レヴィオンデューク・ユリウス》によって、Kou-cha選手の回復を相殺してしまう。そのままAkamarured選手が2勝目を奪い、世界一へ王手をかける。
第3試合はAkamarured選手のエイラビショップと、Kou-cha選手のコントロールヴァンパイアの戦いに。2ターン目に《詠唱:獣姫の呼び声》をプレイするなど、Akamarured選手がペースを掴んだに見えたが、肝心の回復リソースが手元に来ず。ターンを重ねるごとに優位になっていったKou-cha選手が1本取り返した。ここで、流れがガラリと変わる。
再びエイラビショップを選択したAkamarured選手に対し、Kou-cha選手はランプドラゴンをぶつける。Kou-cha選手の5コスト帯に対し、見事なケアを見せたAkamarured選手だったが、彼が思い描く盤面が完成したところでKou-cha選手の《バハムート》が間に合った。Akamarured選手は無にされた盤面を再び作り直すことができず、逆王手を許してしまう。
泣いても笑っても最後の一戦、第5試合はエイラビショップとエルフデッキの戦いに。Akamarured選手は3ターン目、4ターン目に《詠唱:獣姫の呼び声》をプレイして来るべき時を待つが、肝心の《エイラの祈祷》を手札にたぐり寄せることができない。その間隙を縫って盤面を作っていったKou-cha選手、最後は必殺の《リノセウス》が炸裂し、見事世界一の栄冠を手にした。
優勝賞金100万ドル!「Shadowverse World Grand Prix 2018」開催決定
大会の最後には、「Shadowverse World Grand Prix 2018(仮)」が開催されることが発表された。優勝賞金はなんと100万ドル。日本円にして約1億1,000万円である。
2018年12月に日本で開催されるこの大会には、本日の優勝者であるKou-cha選手を含め、全世界から24名の選手を招待。フォーマットは、ローテーション、アンリミテッド、2Pickの予定となっている。さらなる詳細は後日発表予定だ。
この世界大会につながる「RAGE 2018 Spring」が、来年2月3日より東京・大阪で順次開催されることも決定。フォーマットはローテーションで、12月28日からエントリーがスタートする。“シャドウバースドリーム”を掴みたい人は、ぜひ参加してみよう。
激闘を終えたKou-cha選手にインタビュー
――優勝おめでとうございます。今の率直な感想を聞かせていただけますか?
Kou-cha選手:強いプレイヤーばかりだったので、自分が頂点に立っていることにびっくりしています。
――優勝した喜びを誰に伝えたいですか?
Kou-cha選手:チームの皆さんです。
――決勝進出が決まったとき、優勝できるという確信がありましたか?
Kou-cha選手:有利マッチだったので、確信はありました。でも、1戦目のマリガンでネクロマンサー相手に《ブラッドムーン》をキープするミスをして、続けてコントロールヴァンパイアが復讐ヴァンパイア相手に事故って負けて、0勝2敗になった時は焦りました。
――RAGE Shadowverse Starforged Legends GRAND FINALSとは、使用するデッキタイプも変わっていましたね。
Kou-cha選手:あの時はコントロールキラーデッキを3つ持っていきましたが、今回はコンシードデッキを3つ用意しました。
――勝つ自信があってその3つを用意したのでしょうか?
Kou-cha選手:そうですね。色んなサイトを見ながら海外選手のデッキを全部調べたのですが、超越ウィッチなどのコントロールキラーデッキを使う選手がいなかったので、コンシードデッキを持っていきました。
――勝つために心がけていることはなんですか?
Kou-cha選手:デッキ構築で一枚一枚、枚数も含めて入れる理由をつけることですね。
――決勝戦で追い込まれた際の心境はどんなものでしたか?
Kou-cha選手:エルフではエイラビショップに勝てないと思っていました。相手が下振れてくれて、勝てて良かったです。
――賞金の使い道を教えてください。
Kou-cha選手:……決めていません(笑)。
――次回の世界大会はチャンピオンとして迎えることになりましたが、挑戦者たちに対する意気込みを聞かせてください。
Kou-cha選手:自分は世界チャンピオンに適していないと思うので、そういうのはありません。1回戦、準決勝のプレイングは完璧に近かったのですが、決勝戦はプレイミスだらけだったので……ちゃんとしたプレイで勝てたら、自信満々に答えられたのですが(笑)。
――そのストイックさがKou-cha選手の持ち味ですね。ありがとうございました。