コーエーテクモゲームスは、開発チーム「ω-Force」の誕生20周年を記念した「ω-Force 20th Anniversary Live」をディファ有明にて3月17日に開催した。
「ω-Force」は、“コーエーの最終兵器”という意味を込めて立ち上げられた開発チーム。
1997年の「三國無双」発売から数えて今年で20周年を迎えたことを記念した「ω-Force 20th Anniversary Live」では、ブランドを代表する「真・三國無双」「戦国無双」「討鬼伝」の各シリーズから選りすぐりの名曲がロックライブ形式で上演された。
ステージの1曲目を飾ったのは、「真・三國無双」より「DYNASTY WARRIORS」。サウンドディレクターのMASA氏率いるバンドメンバーによる熱いサウンドに会場は一気に熱を帯びた。オープニングではMCを務める竹本英史さん、伊藤かな恵さんも登場し、ステージに向かうMASA氏の後ろ姿と演奏がとにかく格好良かったと大興奮。「DYNASTY WARRIORS」が呂布のテーマの原曲ということもあり、竹本さんは「皆の逃げまどう姿が見えた」と会場の笑いを誘っていた。
続いて「真・三國無双7」より「CYCLONIZED TYPHOON」、「真・三國無双5」より「SLASH THE DEMON」が演奏され、最初のMCのコーナーに。今回のライブで演奏される楽曲のバンドアレンジはベースの榎本敦さんが担当したそう。しかし、初期の曲などはMASA氏がフリーダムに作ったため、譜面すらなかったものを耳コピで起こしたと、裏話を披露した。
今回はプレイヤーから人気の高い楽曲が中心に選曲されており、シリーズ屈指の名曲と名高い「真・三國無双2」の「ARENA」も演奏され、大きな盛り上がりを見せた。実はMASA氏が「ARENA」を人前で演奏するのは今回で2回目となり、1度目は自身の結婚式だったとか。作曲を手がけた中條謙自氏がメイン、MASA氏がハモリで一緒にギターを弾いたのだが、新郎ということで式場の人がMASA氏の音を大きくしてしまい、メインとハモリが逆転してしまったというエピソードを披露した。
さらに「真・三国無双8」から「SLASH IT;THRASH ALL」、「真・三国無双4」から「GREAT RED SPIRIT」が続けて演奏。今回のライブではステージ上の大きなスクリーンに楽曲に合わせたゲーム内映像が映し出され、1曲目の「真・三國無双」から「真・三国無双8」への映像表現の進化も楽しむことができた。
「真・三国無双」IPプロデューサーの鈴木亮浩氏とMASA氏のトークコーナーでは、激しい生演奏野迫力に感動したという鈴木氏に、MASA氏も念願のステージに立てただけで嬉しいと、今回のステージが実現したことへの喜びを語った。
無双シリーズでも最初のタイトルである「真・三国無双」は、歴史物ではなくアクションゲームということで、ヒーローとなって戦場を駆ける高揚感を後押しする音楽づくりがコンセプトになっていたそうだ。
最後に鈴木氏から「真・三國無双8」のタイトルアップデートが今後も続くことや、次回作への意気込みが語られ、会場からは大きな拍手が起こっていた。
続く「戦国無双」のライブコーナーでは、尺八奏者の中村仁樹さんが参加し、「戦国無双」より「姉川」「川中島」、「戦国無双 猛将伝」より「忠勝のテーマ」「小牧長久手」、「戦国無双2」より「手取川」と「戦国無双3」より「勝機」が連続して演奏された。
代表取締役社長 兼 「戦国無双」IPプロデューサーの鯉沼久史氏とサウンドディレクターの吉松洋二郎氏が登壇すると、会場は「社長」コールで大盛り上がり。鯉沼氏は、懐かしい楽曲の数々に感慨深げ。「戦国無双」は、「真・三國無双」の後にに作られたもので、同じ無双でも戦国らしさにこだわり、和的なメロディラインが入った楽曲でまとめてきたと、当時の制作の様子を振り返った。
「戦国無双3 empires」から参加した吉松氏に、今回の「戦国無双」ライブパートの選曲の理由を尋ねると、初代からアレンジを重ねて最近の「戦国無双」でも使用されている楽曲や、自身がバンドアレンジを聞きたい楽曲をチョイスしたとのこと。ちなみに一番聞きたかった曲は「勝機」で、ゲーム内で流れるタイミングに思う所があるようだった。
「討鬼伝」ライブコーナーには、シリーズの作曲を担当した坂本英城氏がキーボードとして特別参加。坂本氏は、無双シリーズはすべてプレイするほどの大ファンとのこと。「信長の野望 覇王伝」にハマりすぎて仕事がなくった時期もあったが、ゲームで得た経営哲学が今に生きていると感謝のコメントも寄せるなど、会場を笑わせていた。
「鬼討ツモノ」に続いて演奏された「エウエンマ」は、「討鬼伝」で坂本氏が最初に作った曲。普通のことをしてもつまらないので、響きがつまらないことにこだわったという。そして続く「ヒノマガドリ」「カシリ」「烈火」では中村氏が再度登場し、全部で15本の尺八を使い分けて楽曲に深みをもたらした。
「討鬼伝」ではボスキャラが40弱登場するが、坂本氏は楽曲の制作にあたって、「ゴウエンマ」は重量級なので低音、「ヒノマガドリ」は飛行のイメージといった要領で、それぞれの形、重さ、動きを参考にしていたという。
「ω-Force」ブランド長 兼 「討鬼伝」IPプロデューサーの小笠原賢一氏とのトークでは、開口一番「自分で演奏するなら、こういう曲にはしなかった」と一言。楽曲の難しさを自身で実感していた。
小笠原氏は、当時完全新規IPとして「戦国無双」「真・三國無双」とは違った和風のハンティングアクションを目指していた「討鬼伝」の楽曲は、オーケストラで壮大な世界観を表現、タイトルを代表するフレーズを作れる人、ということで坂本氏の名前が第一候補で上がったとオファーのきっかけを振り返る。
さらに今後の「討鬼伝」の展開について小笠原氏は、開発のコアメンバーが現在関わっている新規プロジェクトを完了させたら「討鬼伝3」に向けて動きだす予定とコメント。ちなみに現在進行中のプロジェクトもまだ詳細は明かせないが、楽しみにしていてほしいとのことだ。さらにユーザーに喜んでもらえるなら、今後もこういったイベントを企画したいとし、今後もともに盛り上げてほしいとコメントした。
最後に「THE WALL OF FATE(真・三國無双3)」「戦神(戦国無双4)」「英雄ノ進撃(討鬼伝)」の3曲がメドレーで披露され終幕かと思いきや、突如流れた「無双OROCHI3」のティザー映像に会場が揺れた。改めて竹本さん、伊藤さんのMCで「無双OROCHI3」が2018年に発売されることが明らかにされると、会場では涙する人の姿も。アンコールとして「THEME OF OROCHI-REBIRTH MIX-(無双OROCHI)」「花の都(戦国無双)」「CRUSH'EM ALL(真・三國無双6)」が演奏され、「ω-Force 20th Anniversary Live」は幕を閉じた。
「ω-Force 20th Anniversary Live」
開催日
2018年3月17日
開催場所
ディファ有明
ゲストMC
竹本英史(「戦国無双」シリーズ 石田三成役、柴田勝家役)
伊藤かな恵(「真・三國無双」シリーズ 王元姫役)
ゲスト・コンポーザー
坂本英城
プレイヤー
MASA
バンドメンバー
榎本敦(ベース)
寺前甲(ギター)
宮崎大介(ギター)
岡島俊治(ドラム)
上倉紀行(キーボード)
中村仁樹(尺八)