「メモリーズオフ -Innocent Fille-」の発売に先駆け、これまでリリースされてきた「メモオフ」シリーズを、10年来のシリーズファンである筆者の主観で振り返り。第3回は「メモリーズオフ」と「メモリーズオフ 2nd」のアナザーストーリーである「メモリーズオフ After Rain」を紹介します。
「メモリーズオフ」(以下、メモオフ)シリーズの歴代タイトルを順に紹介していく本企画。第2回はシリーズ5周年を記念して制作された「メモリーズオフ After Rain」(以下、After Rain)を振り返ります。
当時の発売順で言うと、シリーズ3作目の「想い出にかわる君 ~メモリーズオフ~」や、シリーズ4作目の「メモリーズオフ ~それから~」の後になるのですが、「メモリーズオフ」(以下、1st)と「メモリーズオフ 2nd」(以下、2nd)のキャラクターたちが登場するタイトルということで、先にピックアップさせていただきます。
「After Rain」はPS2での発売当時、修学旅行での顛末を1stのキャラクターを中心に描く「Vol.1 折鶴」、浜崎学園での文化祭におけるエピソードで構成される「Vol.2 想演」、そして1stと2ndのキャラクターたちの卒業までを追う「Vol.3 卒業」の全3部で展開した、いわゆる外伝にあたるエピソードとなります。
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本作は企画のコンセプトから面白く、あくまでもヒロインとの恋愛が主体だった本編のエピソードと比べ、より主人公自身の成長に主軸を置いています。1stと2ndをプレイされた方はお分かりの通り、1stの主人公である三上智也にせよ、2ndの主人公である伊波健にせよ、いろいろと精神的に弱いところがあるのですが、そんな彼らが周囲の友人、そして恋人に助けられながら先に進んでいく姿を描きます。
これはメモオフシリーズに一貫しているように思うのですが、作中に登場する主人公は決してヒロインを引っ張れるほどしっかりとした人物像ではありません。ただそういう人間を描くからこそドラマは生まれていきますし、感情移入もできるのではないかと思っています。そうした意味でも、メモオフならではの作品と言えるのではないでしょうか。
また、同学年である1stと2ndのキャラクターがクロスオーバーするというのも、今作ならではの面白い要素の一つです。
「Vol.1 折鶴」は唯笑と結ばれた後、澄空学園の3年生になった智也たちが京都に修学旅行に行くエピソードが描かれますが、同じく澄空学園の生徒である2ndの巴が作中に登場し、智也との息の合ったやり取りを見せます。その結果、いろいろとややこしいことになるのですが…。
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今坂唯笑(CV:那須めぐみ) | 飛世巴(CV:仲西環) |
そして、3年になって澄空学園を自主的に退学した信も、この修学旅行に同行することになります(退学に至る顛末はドラマCDや小説で展開した「メモリーズオフBridge」で語られています)。そこではヒロインの一人であるかおるとのちょっと気になる関係性が見えたりと、キャラクター同士の関係性の掘り下げが多彩だったのも、当時ならではのアプローチだったなと振り返ると思います。
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「Vol.2 想演」では、健たちのクラスが文化祭で出し物をするエピソードを描きますが、健、ほたる、鷹乃、翔太という、あまり見ることのなかったクラスメイトとしてのやり取りも楽しめます。主に夏休みの時期を描く2nd本編以上に、学園生活が描かれているのではないでしょうか。それ以上にほたる、巴との三角関係がインパクトありますが(笑)。
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白河ほたる(CV:水樹奈々) | 寿々奈鷹乃(CV:千葉紗子) |
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そうしたシリーズファンに向けた多彩なアプローチで盛り上げつつ、「Vol.3 卒業」では卒業にまつわるエピソードを通じて、それぞれのキャラクターたちが歩む未来を垣間見ることができます。そうした将来の選択の結果は、実際に最新作「メモリーズオフ -Innocent Fille-」で見れると思いますので、個人的にも楽しみだったりします。
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ちなみに、メモオフといえばタイトルを出していくうちにシステムを拡張していった印象も強いのですが、その中でも今作から登場した「Encyclopedia(エンサイクロペディア)」は、作中に登場するキーワードを索引形式で見ることのできる、まさにメモオフ用語の百科事典で、以後のシリーズタイトルでも大変重宝させていただいています!

当時はメモオフシリーズとしてさまざまな展開が行われていた時期ではありましたが、ある意味でその最たるものが「After Rain」だったのではないかと思っています。恋愛アドベンチャーゲームはタイトル単体でしっかりとエンディングを描いてくれていることが望ましいとは思いますが、間を補完したり、その先を描くような、いわゆるファンディスクの楽しみ方を味わえるタイトルでした。
PS2版発売当時は3部作としてそれぞれ個別に発売されましたが、現在は3部作全てをまとめたPSP版(PS Vitaでもプレイ可能)がプレイできるほか、DMM.comではPC版が配信されています。DMM.comでは3月28日まで無料でプレイできるキャンペーンが実施中ですので、本編は遊んでいるけれど…という方は、ぜひチェックしてもらえればと思います。
PSP版「メモリーズオフ After Rain」配信ページ(PlayStation Store内)
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0745-NPJH50417_00-0000000000000000
PC版「メモリーズオフ After Rain」配信ページ(DMM.com内)
http://dlsoft.dmm.com/detail/images_0016/
前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から、7年ぶりの最新作にして、最終作となる「メモリーズオフ -Innocent Fille-」 (イノサンフィーユ)。劇中では前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から約3年の歳月が経ち、新たな物語が紡がれます。
本作では、ゲームを進めると「ライト」サイドと「ヘヴィ」サイドへ分岐します。「ライト」サイドは、明るいラブコメ的な展開も含みつつ、前向きに進む主人公の成長やヒロインたちの純粋な想いを汲んだ恋愛模様を描きます。「ヘヴィ」サイドは、恋愛要素を軸に、複雑な人間模様の中で巻き起こる波乱をサスペンスフルに描きます。
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通常のキービジュアルの他、事件性を感じさせるヘヴィサイドを象徴したキービジュアルも存在します。 |