「メモリーズオフ -Innocent Fille-」の発売に先駆け、これまでリリースされてきた「メモオフ」シリーズを、10年来のシリーズファンである筆者の主観で振り返り。第7回は、シリーズでは珍しい大学生活の中でのドラマを描いた「メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム」を紹介します。
「メモリーズオフ」(以下、メモオフ)シリーズの歴代タイトルを順に紹介していく本企画。第7回はシリーズ5作目である「メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム」(以下、#5)を紹介します。大学での映画サークルでの日々を中心に、そこにサスペンスのテイストを盛り込んだシリーズとしても異色のタイトルになっています。
第7回:メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム~―「5つの想いが叶うとき……とぎれたフィルムは静かに回りだす」
今作の主人公は千羽谷大学の2年生である河合春人(CV:森久保祥太郎)。高校時代から親友の日名雄介(CV:櫻井孝宏)、観島香月(CV:桑谷夏子)、小津修司(CV:岸尾大輔)とともに映画製作に打ち込んでいたものの、大学進学後に雄介が死んでしまったことをきっかけに、映画作りという夢をあきらめかけています。
ゲームの序盤では、そんな春人たち「CUM研」のメンバー、そして雄介の妹である日名あすか(CV:野川さくら)が、雄介の死を忘れるかのようにゆるいサークル活動をしている姿が描かれます。今まで恋人との接点をスタートラインとしていたメモオフとは大きく違うアプローチで、当時は驚かされたものです。
日名あすか(CV:野川さくら) | 観島香月(CV:桑谷夏子) |
そうした仮初の平穏は、雄介の死に関わっていたとされる謎の女・仙堂麻尋(CV:井ノ上奈々)によって大きく変わっていきます。麻尋は雄介が書いたという台本を手に、映画を撮ってほしいと持ちかけてくるのです。春人たちは親友を死に追いやったかもしれない麻尋に対して厳しい言葉を投げかけますが、それでも強い意思で何度もCUM研に通い続けます。その意思の裏に隠していた麻尋の気持ちを知った春人は…。
仙堂麻尋(CV:井ノ上奈々) |
…という形で「#5」が主軸として描くのは、雄介の死の真実、そしてそこに関わる人々の想いです。ほかにも春人の従兄妹であすかの親友である早蕨美海(CV:名塚佳織)、あすかとともにバイトすることになるバーガーワックの社員マネージャー・雨宮瑞穂(CV:佐久間レイ)も登場しますが、やはり物語の中心はCUM研メンバーと麻尋になります。
早蕨美海(CV:名塚佳織) | 雨宮瑞穂(CV:佐久間レイ) |
「#5」の物語は春人にとってのものであると同時に、麻尋にとってのものでもあり、今作ではリバースカットというかたちで麻尋視点でのルートも用意されています。これはシリーズとしてはもちろん、恋愛アドベンチャーゲームは男性視点で描くことの多いという点からも当時は新鮮に感じましたが、そうした視点の多様性が物語に深みをもたらしていると思います。主人公に容姿や声がついているのも珍しいですしね。
麻尋は先日行われたメモオフ総選挙でも4位に入る人気でしたが、その一因に彼女自身の歩んできた道もあると思いますし、何より人間らしさにあふれたキャラクターだったことが大きいと思います。シリーズの中でも「#5」のキャラクターたちは、それぞれの立ち位置から人間味を感じるキャラクターが多かったです。
ミステリーとサスペンスを意識しているため、その構成を含め、これまでとは違うアプローチが多いものの、前作「それから」から登場の木瀬歩や、本作でもスポットで存在感を示す稲穂信の姿を見ると、そこにメモオフらしさが生まれて、根っこのメモオフらしさを感じさせます。全体の雰囲気作りも含めて、「想君」が達成できなかったことを果たした作品という印象でした。
それと、これは個人的なことではあるのですが、彩音さんが歌う「#5」のOP「ORANGE」とED「ロマンシングストーリー」は今でも好きなメモオフ楽曲です。曲しか聴いたことがないという方も筆者の周りにはいるのですが、その歌詞とのリンクも含めて、ぜひ#5はプレイしてほしいですね。
現在はPlayStation Storeにて配信中のPSP版(PS Vitaにも対応)、もしくはDMM.comで配信中のPC版のいずれかでプレイするのがおすすめ。DMM.comでは3月28日(本日!)まで無料配信中です。
PSP版「メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム」配信ページ(PlayStation Store内)
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0745-NPJH50130_00-0000000000000000
PC版「メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム」配信ページ(DMM.com内)
http://dlsoft.dmm.com/detail/images_0020/
7年ぶりの最新作「メモリーズオフ -Innocent Fille-」
前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から、7年ぶりの最新作にして、最終作となる「メモリーズオフ -Innocent Fille-」(イノサンフィーユ)。劇中では前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から約3年の歳月が経ち、新たな物語が紡がれます。
累の幼馴染の柚莉。兄の莉一とともに親友であると同時に、兄妹のような付き合い方をしています。
ある時、たまたま遭遇した火災現場に激しく動揺する柚莉。過去の大きな事件が原因のようですが……。
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