「メモリーズオフ -Innocent Fille-」の発売に合わせ、これまでリリースされてきた「メモオフ」シリーズを、10年来のシリーズファンである筆者の主観で振り返り。第8回は、「メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム」のその後を描く「メモリーズオフ #5 encore」を紹介します。
「メモリーズオフ」(以下、メモオフ)シリーズの歴代タイトルを順に紹介していく本企画。第8回は「メモリーズオフ #5 とぎれたフィルム」(以下#5)のセカンドストーリーにあたる「メモリーズオフ #5 encore」(以下、#5 encore)です。#5はサスペンス要素の強かった作品でしたが、#5 encoreはキャラクターを多面的に見せることで、よりサークル活動の中での恋愛模様といった側面が映し出された作品になっていると思いました。
先にPS2版発売当時を思い出す話にはなっていますが、これまでメモオフシリーズを発売してきたKIDの倒産が発表されたのは、「#5 encore」の発売がアナウンスされた後でした。ゲームメーカーの倒産そのものはいろんな要因が絡むことですので、今でも仕方ないことだとは思っていますが、ファンとしては「#5 encore」、そしてメモオフシリーズはどうなってしまうのかという心情だったと思います(事実、私もそうでした)。
結果的にはサイバーフロントがメモオフを含むKIDの権利をすべて取得したことで無事に本作の発売を迎えられたわけですが、ある意味でここからメモオフシリーズは新たな流れに突入していったのかなと個人的には思っています(そこからも状況は目まぐるしく変わっていきますし…)。
メモオフシリーズでは毎作思うことではあるものの、「#5」のファンディスクという立ち位置でありながら、「#5 encore」は、ゲームの見せ方も含めて、いろいろとチャレンジしている作品という印象でした。
まず、本編にもあったキャラクター視点の切り替えが、今作ではカチンコ(映画の撮影に使う道具)を用いて多用されています。その切り替えのトリガーはストーリー進行による受動的なものだけでなく、例えば選択肢の結果で切り替わったりと、プレイヤー側が能動的に介入できる点が面白かったです。
前作のファンディスク「メモリーズオフ ~それから again~」は、3人のヒロインのルートでのエンディング後のストーリーが展開しましたが、「#5 encore」で描かれるのは、本編のエンディングのひとつである「ラストカット」からのストーリーです。さまざまな出来事を経て、CUM研として再び映画の撮影に取り組む姿をベースに、ヒロインたちとの関係性が変化していく過程が楽しめます。
本編における麻尋のルートが土台になっているため、春人と麻尋はいわゆる友達以上恋人未満な関係性で、そこに変わらず春人を想うあすか、そして映画製作に協力するかたちで出会う一条秋名(CV:茅原実里)の3人が今作のヒロインになります。まさかファンディスクで新たな攻略ヒロインが登場するとは思っていませんでしたが、彼らが前に進んだからこその出会いと考えると、胸に落ちるなあとも思います。キャラクターとしても、カメラ好きな一面があったりとまたほかのヒロインとの違いもありましたし。
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また、本編でどうしても回収できなかった要素がしっかりと盛り込まれている点もセカンドストーリーならではです。麻尋との関係性もそうですし、あすかが抱えている問題などがスッキリと整理されていて、ボリュームはそこまで多くはないものの、「#5」のプレイヤーにとって楽しめる作品になっているのではないでしょうか。
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そして、ヒロインはもちろんのこと、CUM研のメンバーや日暮荘の隣人である信とのやり取りは彼らの中での問題が解決したからこそであり、そうした姿にも温かみを感じさせます。そのあたりもぜひ注目してもらえればと思います。
オリジナルはPS2用ソフトとして発売されましたが、現在はPlayStation Storeにて配信中のPSP版(PS Vitaにも対応)がプレイできます。#5のみプレイしたという方はこの機会にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
PSP版「メモリーズオフ #5 encore」配信ページ(PlayStation Store内)
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0745-NPJH50391_00-0000000000000000
前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から、7年ぶりの最新作にして、最終作となる「メモリーズオフ -Innocent Fille-」(イノサンフィーユ)。劇中では前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から約3年の歳月が経ち、新たな物語が紡がれます。
ノエルの理解者で親友の寿奈桜(すなお)。ノリのいい彼女はいろんな表情を見せてくれます。
カレシ持ちとのことですが(この時のノエルの表情にも注目!)、派手な外見は、実のところ高校デビュー。どうやら主人公・累とノエルの仲が気になるようですが……。