「ゲームマーケット2018春」は、年々盛り上がりを見せるアナログゲームの即売会イベント。5月5日に行われた一日目の模様を取材、そこで出会った「こんなの見たことない!」という掘り出し物ゲームを紹介したい。
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コンピューターゲームがe-Sportsという形で盛り上がりを見せる一方、アナログゲームも年々盛り上がりを見せている。その盛り上がりを直に感じることができるイベントが「ゲームマーケット」だ。「ゲームマーケット」は、「電源不要」とも呼ばれるアナログゲームの即売会イベントで、いわばアナログゲーム版のコミケ。アナログゲームを商業的に企画・販売している企業だけでなく、個人・グループで同人的に企画・制作したアナログゲームが出展されるという点もコミケに近い。今回は、2018年5月5日に行われた「ゲームマーケット2018春」を取材。その内容を紹介したい!
こんなゲーム見たことない!同人的なゲームの魅力
筆者が「ゲームマーケット2018春」で中心的に取材したのは、個人・グループで同人的に企画・制作したアナログゲーム。商業的に流通するゲームと違い、同人的に企画・制作されたアナログゲームは個性的なものが多い。筆者のようにコンピューター/アナログに関わらず、日々さまざまなゲームを追い続けることを仕事としている人間でも、「こんなゲーム見たことない!」「よくこんなゲーム思いついたな…」というものに出会うのだ。この記事で紹介するのも、そうした掘り出し物的なゲームだ。
人狼ならぬ新郎!?新郎新婦が無事結婚することを目指す異色の人狼ゲーム
まず最初に紹介したいのが「もんじろう」の「ワンナイト新郎」。アナログゲームの中でも、人狼系ゲームはここ数年で一般層にまで人気が拡大したため、聞いたことがあるという人も多いだろう。「ワンナイト新郎」は、人狼系ゲームをベースに、ひねりのあるおもしろアレンジを加えている。
ゲームの目的は、人狼ゲームと同じように、参加者同士がトークし、自分の役職に応じた目的を達成すること。役職には「新郎」「新婦」「元カレ」「元カノ」などいったものが用意されている。
「新郎」は「新婦」と、「新婦」は「新郎」と結婚することが目的。しかしここで立ちはだかるのが「元カレ」「元カノ」の存在だ。「元カノ」は「新郎」を、「元カレ」は「新婦」を略奪することが目的なので、「元カレ」は「自分こそが新郎だ!」と言い出し、「元カノ」は「自分こそが新婦よ!」と言い出し始める。つまり、トークの場は多数の自称「新郎」や自称「新婦」で溢れ返るのだ!
真の「新郎」と真の「新婦」が結ばれるのか?それとも「元カレ」「元カノ」の略奪愛が成功してしまうのか? 人狼とは一味違った味付けが、非常におもしろいゲームだ。
アイドルとストーカーが殺し合い!?役職を隠したまま競う対戦型カードゲーム
「ストーカーマンション」も、自分の役職を隠したまま競うという人狼系ゲームの魅力を持った変わり種作品のひとつ。プレイヤーに割り振られるのは、ストーカー、アイドル、(マンションの)管理人、オタクという4つの役職。この内、ストーカーだけはアイドルが誰かを知っている。ゲームの勝利条件は役職毎に設定されており、中心となるストーカーはアイドルを殺すこと、アイドルはストーカーを殺すことが目的だ。
ここまでの情報だけだと、まんま人狼系ゲームのように感じられるが、ゲーム進行はコマを移動させ、1コマ先にあるカードを購入するかしないか選んでいく…というトレーディングカードゲーム(TCG)のような形式。心理戦とカードを集める戦術とがミックスされた、ユニークなゲームだ。
連載マンガのバトルの展開を予想!週刊少年ジャ●プファンにはたまらないカードゲーム
「オオツカ製作」の「ブックメイカーズ」は、「少年ボードゲーム」という架空の少年マンガ誌に掲載されている、これまた架空の少年マンガ「ブックメイカーズ」のトーナメント戦のゆくえを“読者として”予想するというカードゲームだ。
「週刊少年ジャ●プ」読者であれば、「夢の超人タッグトーナメント」や「天下一武道会」、「魔界統一トーナメント」といったトーナメントにアツくなったことがあるのでは? その時、「このキャラは噛ませ犬だから、意外と早く負けるに違いない!」だとか、「このキャラは弱いと見せかけて実は行方不明になった因縁のキャラっぽいから、最後まで残るのでは…?」なーんて予想を楽しんだのではないだろうか。そんな、マンガの展開を予想するおもしろさが込められているのがこのゲームだ。
ユニークなのはゲームシステムだけじゃない。コンポーネント(ゲームの付属品)が、実に気合を入れて作られているのだ! ジャ●プ世代にはたまらない作品だった。
異世界に転生したいならコレ?オレのラノベを作って大盛り上がりできるカードゲーム
一方、「ラノベ」をアナログゲームとして再現したのが「六角えんぴつ」の「カミサマノベラー」だ。カードを組み合わせることで、ラノベのキャラクターやストーリー、エンディングが作られていき、高得点を獲得したプレイヤーが勝利。ただ、勝利を追及するだけでなく、どんなキャラがどんなストーリーでどんなエンディングを迎えるか?という点も楽しめるのが特徴だ。
カードには、ラノベでよく見かけるセリフが多数記載されているので、ラノベ好きなプレイヤーが集まれば「こんなラノベになっちゃったよ!」と、大盛り上がりできることは間違いない。
忍び寄る過労死の恐怖!社畜になって残業代を稼ぐカードゲーム
コミックやラノベといった二次元の世界ではなく、この上なく「現実的」な内容を扱ったカードゲームが「反社会人サークル」の「この過労死がすごい!」。手札からカードを繰り出し、残業代を稼いでいくというわかりやすいルール。ただ、カードには「労働時間」も記載されており、残業代とともに労働時間も積み重なっていく。
カードの中には究極の一枚とも言うべき「カロウシ」カードが存在、「カロウシ」カードが出されると労働時間101時間(3人でプレイする場合)を超えるプレイヤーは、カロウシしてしまう…。カードには他にも「ロウキ」「ノー残業デー」など、サラリーマン生活でよく聞く言葉をテーマにした者が用意されており、シニカルなユーモアに満ちている! 今度のプレミアムフライデーにでも、是非プレイしたいゲームだ!
アナログゲームでも脱出ゲームは人気!一人でも楽しめる謎解きゲーム
最後に紹介する「アセロラプロダクション」の「壊れゆく空と未来から届いた魔女の手紙」は、謎解きゲーム。スマホゲームではいわゆる「脱出ゲーム」と呼ばれているジャンルだ。
「脱出ゲーム」は、もともとPC向けのFLASHゲームとして始まったジャンルだが、「リアル脱出ゲーム」をはじめとするリアルイベントでも人気を博し、さらに2017年にはアナログゲームでも人気の作品がリリースされている。
「壊れゆく空と未来から届いた魔女の手紙」もアナログの脱出ゲームで、タイトル通り、手紙をモチーフとしたデザイン。封筒を開くと、中に謎解きのために必要なコンポーネントが詰められているという構成だ。
友達と気軽にプレイできるのが嬉しい!アナログゲームの魅力
4月に新生活が始まったばかり、新しい友人と知り合ったと言う人も多いだろう。アナログゲームは、そんな人に是非オススメだ。アナログゲームは人とコミュニケーションで盛り上がることを前提としたゲームデザインのものが多いため、集まる口実にもなるし、遊ぶことで仲もより深いものになる!
5月6日にも引き続き行われているものの、今回の「ゲームマーケット」に参加できないという人は、次回の「ゲームマーケット」に参加してみてはいかがだろうか。購入前にその場で試遊可能なゲームも多いため、楽しい一日を過ごせることは間違いない!
ゲームマーケット公式サイト
http://gamemarket.jp/