千葉・幕張メッセにて9月20日より開催中の東京ゲームショウ2018。セガブースで9月20日に行われた、「D×2 真・女神転生リベレーション」のステージ後、チーフプロデューサーの山田理一郎氏、キャラクターデザインを務める岩元辰郎氏がインタビューに応じてくれたので、その模様をお届けする。

――サービスが開始して8ヶ月ほどになりますが、ここまでの感想をお願いします。

写真左から、岩元辰郎氏、山田理一郎氏
写真左から、岩元辰郎氏、山田理一郎氏

山田氏:この「D×2 真・女神転生リベレーション」(以下、「D×2」)は、スマートフォンゲームにしては珍しい要素が多く、普通のゲームとは違うサイクルにトライしているという感じで、運営的にも難しい要素が多かったと思いますね。まだ正解には辿り着いていないという感じです。

英語版もリリースしましたが、海外のユーザーの動向は日本とはまったく違い、僕も色んなスマホゲームをやってきましたが、これまで経験したことのないことを色々経験させてもらいました。

常にトライをしているという感じで、なるべく早くユーザーさんにはもっといい形のものをお届けしたいと思っていますが、まだそこには辿り着いていないと感じます。もちろんできることは可能な限りやっているのですが、まだまだ期待に応えられていないと思っています。

――これまで経験したことのない経験というのは、「真・女神転生」(以下、「メガテン」)シリーズのファンの熱量というものもありますか?

山田氏:それはもちろんありますね。元々コアなファンの方が多いコンテンツですし、僕自身もそうなので、それは想定の範囲ではあるんですけれど、「こういうのはメガテンではない」とか、リリースしたころは言われました。ただ、悪魔のモデルなどは高評価をいただいていまして、新しい悪魔が出ればそれを使ってみたいとか、「メガテン」の持っているパワーというか、濃いユーザーがいらっしゃるシリーズなんだなぁ、とは改めて思うところです。

――ユーザーの声というのは、SNSなどをご参考にされているのですか?

山田氏:ありとあらゆるところですね。某掲示板は年齢層が高いですし、ツイッターみたいなSNSは年齢層が低いですし、メイン層が違っているので。僕のツイッターに直接改修要望を言ってくる人もいらっしゃいますしね。

僕は、現在のユーザーの声がすぐ聞こえてくる環境には肯定的で、昔はユーザーさんの声はユーザーアンケートくらいでしかわからなかったですし、今はいろんなご意見や反応を見られて、これは早く手を付けたほうがいいな、とか、そういう取捨選択をしていける環境はありがたいです。

たくさんご意見、ご要望を送ってきてくれるユーザーの方はいらっしゃるんですが、それだけが全てではないですし、すごくディープにやっている方からそうでない方まで含めてユーザーなので、うまくバランスをとりながらやっていかなければならないのがプロデューサーとしての仕事だと思います。

――本日ステージで発表された、ARでの悪魔召喚が出来るという「デビルスキャナ」ですが、こちらは本実装はいつ頃を予定されていますか?

山田氏:デビルスキャナは一周年を目処にしています。今回のデモ版は、ミッションとして「信号機を撮れ」みたいにワードをズバっと出してしまっていますが、ああいう形よりはもう少しヒントっぽくするつもりで、どういうところにどんな悪魔がいるのかは、ユーザーさんに自身で探してもらって、ちょっとずつ排出する悪魔を増やして面白いことができればな、と思っています。

――ARはこれまでにもユーザーコンテストなどを行ってきましたが、ユーザーの方々の反応はいかがですか?

山田氏:あれくらいのクオリティでARコンテンツに取り組んでいるゲームがまだあまりない状況なので、出した時には「すごいな!」っていう声はありましたね。そしてARのいいところは、言葉が不要でワールドワイドで通用するので、それはすごくよかったと思いますね。日本のユーザーでも海外のユーザーでも写真1枚で「すごいな!」ってなれますから。

ただ、AR対応している端末ではない人たちにどう向き合うかっていうのは考えているところです。フォトコンテストにしても、「自分は参加できないじゃないか」というお声をいただくこともありますし。

デビルスキャナも、本当は自分で悪魔を集めて使っていきたいっていうのはあると思うんですけれど、ARを持っていない人だとゲーム的にマイナスにしかならないので、「ファクション」というギルド機能を使って、仲間がARを使えれば自分にもメリットがあるという状況ならいいんじゃないかな、と。

これまでのシリーズのファンの方たちに、“このARって「メガテン」ぽくてやってみたい”というのを感じてほしいので、色々皆さんにメリットがあるという状況を考えて、今回のデビルスキャナの仕様に落ち着きました。

岩元氏:スマホ買い替えろということではないと。

山田氏:対応端末は徐々に増えていくと思います。

――「D×2」はARを推しているなぁ、と感じますが、今後もこういう形でやっていくのでしょうか。

山田氏:ARって「メガテン」にマッチしていると思うんですよね。悪魔召喚プログラムがこの手の中に、みたいなことができちゃう時代になってしまいましたし、「そういう時代ならこっちもやらなきゃだめだろ!」みたいな感覚のほうが強いです。せっかくリアリティのある悪魔召喚プログラムが作れる環境なので、なるべくトライしたいんですよね。

ゲームコンテンツのほうを蔑ろにするわけじゃないんですけれど、新しい体験や他ではない体験を提供するというのは、セガの社是でもあるので(笑)。これだけのハイクオリティなモデルが作れてこういうことができるって、全てのゲームでできるかっていうと出来ないと思いますし。

岩元氏:ARが「メガテン」の世界に合っているのは感じますよね。すごく楽しいですもん。このインタビューの前に出ていた特別ステージでデビルスキャナを体験させてもらった時もそうでしたけど、僕も「すごいなー!」って思いながらやっていました。

山田氏:ただ、一番大事なのはあくまでゲームコンテンツだと思うので、それは最優先でちゃんとやりたいと思っています。ARについては、ユーザーの皆さんの反応を見ながらやりたいですね。

――では、今後実装されるという「デビルトランス(仮)」について、もう少し詳細をお伺いしたいのですが。

山田氏:まだ仕様面は調整中なのですが、イメージとしてはスキルツリーで「こう作ったらこう分岐して、これを作る」みたいなイメージで悪魔を作りながら、よりカスタマイズ性の強い悪魔を作る、という感じですね。スキルの一部分が空いているので、そこに好きなスキルをいれられたりします。

一体の悪魔に対して、より思い入れを持って「コイツを鍛えよう」みたいな気持ちになれるような感じです。

――スキル継承とは違うんですよね。

山田氏:その幅を更に広げた、と言えばいいのでしょうか。持っているスキルが違うというパターンも色々作れるようになるかなと。最終的にはものすごく高レアリティのものも作れるけれど、時間もすごくかかる、みたいな形を想定しています。

――邪鬼の次に実装されるタイプはなんでしょう?

山田氏:もちろん作ってはいますが、まだ言えないです(笑)。ただ、次はこれがほしい、みたいな要望はどんどん送ってほしいですね。やはりユーザーさんの要望が多いものは、検討していきたいですし。

――次に、アウラゲート2についてですが、難易度は一度リセットされるのでしょうか? アウラゲート1を踏破した状態じゃないと、アウラゲート2には行けないのでしょうか?

山田氏:難易度的には、ある程度の強さは必要ですけれど、アウラゲート1を全部クリアしないと遊べません、という形にはしないです。

もうちょっと具体的に言うと、アウラゲート1の途中から2へと分岐するという形での設定を考えています。コンテンツ的に遠すぎるのもどうかと思いますし、あまりエンドユーザー向けのエンドコンテンツにはしないようにしたいです。そんなに深い階層からではないようにしようと思っていますので、ご安心ください。

――アウラゲート2には、新キャラは出てくるんですか?

山田氏:これはもう、岩元さんが新キャラ描かれてますから!

岩元氏:ええ、描いています(笑)。ただまだ詳細は明かせないですね。

山田氏:アウラゲートは、本編とは違ういわゆる「メガテン」らしいお話でやっていたので、そこがユーザーさんには好評だったんですよね。ですので、そこは活かしつつ、アウラゲートにまつわる別の話や、そこに登場する新キャラクターがいて、という感じで準備をしているところです。

――岩元さんは個性的なキャラクターをたくさん描かれていますけれど、生み出すのに苦労したキャラクターは誰ですか?

岩元氏:苦労だけでいえば、もうミートバルーン一択で、彼が群を抜いていますね(笑)。頂いた設定から作ったラフについて、色々やり取りをするんですけれど、ミートバルーンは「かっこいい、オタクの、戦場帰りの、デブをください」と言われ、さすがに全部詰め込むと多すぎかなと思って、どの要素かをちょっと外してラフを出すと、「違う、全部の要素がほしいんですよ」って言われて。

じゃあこの要素は入れてはおくけど控えめに…とかすると、「そこが弱いです」って言われて、実際作業は遅れに遅れ、最初に出したアニメにも入れず、くらいにまでずれこんで、今のこの形になったんですよね。

このままで大丈夫かなと不安もありましたが、実際に動き出したら魅力的になっていったんで、よかったです。苦労した甲斐があったキャラにはなりましたよね。僕の中では愛憎渦巻くキャラになりましたけど(笑)。あんなに生みの苦しみを体験させられたら、いらっとするわ、くらいの(笑)。

山田氏:昔コイツかっこよかったんだぜ、っていう雰囲気はすごく出てますよ。

岩元氏:ね。設定を見た時には本当に「そりゃ無理だよ~」、ってなりましたけど(笑)。ずーっと愚痴りながら、なんとかかんとか作り上げました。

山田氏:ミートバルーンって、女子的なツボをつけましたよね?

――そうですね、私もミートバルーン好きですよ。

岩元氏:ほんとですか?(笑)

山田氏:反応を見ていると、女子からのミートバルーンかっこいいっていう支持率高いんですよ。

岩元氏:えー、そうなんだ(笑)。それは本当によかった。大変だっただけに、なんというか、新境地ですね。

――とは言っても、私は鶴龍ジャボが最推しですけれど(笑)。

岩元氏:鶴龍ジャボは本当にミートバルーンで苦労している横で、さらりと通ったキャラクターですね(笑)。でも逆にこのゲームじゃなかったら通らなかったとも思うんですよね。もうちょっと手前側で面白い側に振るとかしていたでしょうし、自分自身が安易にそっちに寄っちゃっていたかなぁと。

――女性に人気のキャラと男性に人気のキャラって、把握されているんですか?

山田氏:アンケートも多少やりましたので、大体は把握していますね。女性が好きなイケメン枠は、カンガルーボクサーですね。で、男性が好きなのはテンプラドラゴンですね。本来だったらしおにゃんにいくはずだったんですが、しおにゃんはちょっと口を悪くしすぎました(笑)。

岩元氏:悪すぎた(笑)。

山田氏:正直、ツンデレだと思ったら、びっくりするくらい嫌なことしか言ってこないじゃないですか(笑)。

――ツンしかないですよね。

山田氏:でも一応キャラクタークエストでは、ちょっと「コイツも可愛いところあるんだな」みたいな部分がありましたけどね(笑)。なので今後に期待です。まだ伸びしろがある! むしろ伸びしろしかない!

岩元氏:アイドルは成長過程を見せるものだから(笑)。ここからトップアイドルになる可能性もゼロじゃないですよ! だから、そう簡単にデレられてもね。素材はいいから応援したくなる。はずです(笑)。

――今のメインストーリーは、10月に配信される7章で終わる、ということでよろしいのでしょうか?

山田氏:メインストーリーは、7章で年内に完結予定です。元々第1部が導入部くらいの構想で考えていたので、今回のお話は「メガテン」の世界の中でのひとつのお話、くらいです。

――第2部では主人公の属性でストーリーが分岐するということですけれども、第1部でそれをしなかったのは様子を見ていたということでしょうか。

山田氏:それもありますね。分岐を入れるとユーザーの反応はどうなんだろうかとか、あと仕組みをどうするかとか、考えなきゃいけない内容が多かったので。

ただ、やっぱりリリースしてみたら、ユーザーさんからもそういう期待が大きいんだとわかりましたし、ユーザーさんの選択によって未来が変わるとか、自分の選択によって世界がこうなったというところは「メガテン」らしさだと思っているので、そこはもっと大きい話にあわせて導入したいと考えていました。

今の第1部の話だと、ちょっとそういう分岐を入れにくいのもあったんですよ。小さな組織の中でのちょっとした裏切りだとか、その程度の分岐にしかならないので。

それよりはユーザーの判断が世界に影響を及ぼすっていうところが必要かなと思って、第2部ではそういう大きな世界の話になっていきます。

ただ、第7章でもちょっとした仕掛けを用意しているので、楽しみにしていただきたいですね。

――第2部に向けて、新キャラもたくさん描かれましたか?

岩元氏:今、現在進行形で描いていますね。まだ終わっていないんですよ。頑張ります。

――メインについては、第1部が終わった人だけが第2部を遊べるんですよね?

山田氏:基本的にはそうなります。

――メインの難易度もどんどん高くなっていますが、第2部の難易度はそれを引き継いだ形になるのでしょうか。

山田氏:お話を読むだけなら、あまり苦労しないでプレイできる形にしようかと考えています。確定ではないですが、公開にあわせてバランス調整も少々行うかもしれません。HARDとかMANIACとか経験値稼ぎに使うようなものはそのままにすると思いますが、NORMALの難易度を下げて、皆さんがストーリーを読みやすくするだとか、そういったことはありえるかなと思います。

――コンテンツがこの8ヶ月の間にとても増えたと思いますが、ユーザーの皆さんの人気コンテンツと、逆に思ったよりも触れられていないコンテンツがあればお伺いしたいのですが。

山田氏:一番コアなユーザーの方がやられているのは、圧倒的にデュエルですね。攻略性があるというか、こういうスキル構成にしたら強いんじゃないかというのを一番試せるコンテンツだからでしょうね。ただ、それ以外のユーザーさんからは、やることがないっていう反応があったりするのは反省点だと思っています。やはりお話を期待している方は多いなと思います。

――私はむしろやることが多すぎてついていくのが大変、という感じなのですが。

山田氏:このゲームってひたすら筋トレしているみたいなゲームなので。強い悪魔を作って、それをどこにぶつけるかっていうことになるんですよね。現状ぶつけ先がデュエルしかなくて、それ以外をうまく作れていないというのは理解しています。

もう少しプレイアビリティをあげることで、なにか目先を変えてあげることは必要だと思っています。そこは運営的な努力でどうにかしたいと。コンテンツをどんどん増やしていくのが正しいことだとは思わないので、今あるコンテンツの中であまりプレイされていないコンテンツを改修していきたいですね。

特にジゴクパークは一回改修しましたが、もう一段階くらいはやらないといけないなと感じています。今はちょっと面倒なんですよね。もうちょっとユーザーさんが遊びやすい形を作らないとな、っていうのは運営チームで話してもらっているところです。

――ヘヴィ層とライト層がうまく共存できるような仕組みですね。

山田氏:はい。どれくらいの人たちにプレイしてもらいたいのかを、きちんと見極めることが大事ですよね。

――マスターミッションとか初心者向けにありますけれど、消化率はいかがですか?

山田氏:そこは皆さんきちんとやられていますね。ここまでやろうっていうテンプレはできあがっているので、それについては皆さんやっていただけている感じです。ただ、ユーザーさんによって、新しい悪魔を入れる頻度は全然違っているので、そこはうまくバランスを取ったり、定期的に育てるべき悪魔を手に入れられる状態は作りたいと思っています。

今回は星5の悪魔を大幅に割り引きしたいと思っているのはそれの一環で、例えば300万マグネタイトくらい貯まっているんだけれど、これを一気に使ってしまっていいのだろうか、と思うことはどうしてもあると思うんです。

もうちょっと、「このタイミングでこの額なら使ってもいいかな」と思えるような期間を定期的に設け、ユーザーさんが「こいつは強い」って思う悪魔を定期的に手に入れる環境を作っていきたいですね。

――それでは最後にファンの皆さんに一言ずつお願いいたします。

岩元氏:新キャラはもちろん、既存のキャラクターももっと描け、とプロデューサーから怒られているので、どんどん彼らの新しい姿を見せられるように頑張ります。新キャラもこの子らに負けないような子を用意しているつもりなので、第2部の新キャラ待っててね! ちょっと面白いキャラクターもいますよ。

山田氏:他のコンテンツも運営していた感覚でいうと、「D×2」はまだどうにでも振れるというか、僕らのやりようによっては上手くいくし、下手なことをするとユーザーさんに飽きられてしまうというのも全然ある状況だと感じています。

だからこそ、しっかりと1周年で盛り上げていって、1周年の記念のときには離れていたユーザーさんも戻ってきてもらえるようにしたいな、と思っています。このコンテンツを長く皆さんに遊んでいただけるよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

D×2 真・女神転生リベレーション

セガ

iOSアプリiOS

  • 配信日:2018年1月22日
  • 価格:基本無料

    D×2 真・女神転生リベレーション

    セガ

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2018年1月22日
    • 価格:基本無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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