日本ファルコムより2018年9月27日に発売を予定しているPS4用ソフト「英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-」の最序盤をプレイしてみてのインプレッションをお届けします。
軌跡シリーズの中でも随一のボリュームで描かれてきた「閃の軌跡」シリーズ。エレボニア帝国という大国ならではの多面的な構造と、その中で運命に翻弄されつつも立ち上がるリィン・シュバルツァーとその仲間たち《VII組》の物語を描いてきました。
衝撃の終わりを迎えた「英雄伝説 閃の軌跡III」から続く本作は、通称「帝国編」とも呼ばれる「閃の軌跡」シリーズの完結作にして最終章と銘打たれています。その物語の行く末はぜひ自身でプレイしてみてほしいと思いますが、ここでは一足先にゲームの最序盤をプレイしてみて感じた点を紹介していこうと思います。
ゲームの冒頭からドラマ仕立ての物語が展開していくのが「閃の軌跡」シリーズの特徴だと思いますが、今作では、前作の結末により帝国にまきちらされた呪いから、世界が混沌へと歩みを進める様が冒頭で描かれます。
その一方、それに抗おうとする人々が、クロスベルにあるオルキスタワーの下層に向かっていました。「空の軌跡」シリーズの主人公だった遊撃士のエステルとその相棒・ヨシュア、そしてブライト家の養子となったレン、そして「零・碧の軌跡」の主人公で元・特務支援課の捜査官だったロイドと同じく元メンバーのエリィ、そしてかつて「零の至宝」としてその力を利用されたキーアの6人です。
この主人公コンビが一緒に戦うことになるのは「零の軌跡」以来となります。その頃とは状況も大きく変わっていますし、彼らもそれぞれに成長した姿を見せますが、それでも本質的なところは変わらず、そこに女性としての魅力も出てきたレンと、底抜けに天真爛漫なキーアが加わることで、華やかなパーティとなっています。
彼らが使うクラフト・Sクラフトも登場当時に使っていたものが基本なのですが、今作は3Dモデルになっての登場ということもあって、ところどころでデフォルメされていた当時の動きや演出の面影が感動しました。
最序盤で登場するのはこの場面ぐらいではありますが、ゲームが進む中でどのように新旧《VII組》のメンバーと絡んでいくのかにも注目です。
その後、場面はエマの故郷であるエリンの里で新《VII組》の3人(ユウナ、クルト、アルティナ)が目を覚ますところへと移っていきます。そこで前作の終わりから紆余曲折あってエリンの里にたどり着いたことが語られることになります。
エリンの里には長であるローゼリアのほか、リィンを除く旧《VII組》とたまたまその場に居合わせたランディがおり、それぞれに傷心の様子。さらにリィンとオズボーン宰相の関係を知ったユウナは、旧《VII組》のメンバーに力強く発破をかけます。その言葉を受けて気持ちを再び奮い立たせた一行は、リィンを、そして世界にもたらされようとする終焉に諍(あらが)うべく、行動を開始していきます。
この真っ直ぐで熱量を感じさせる展開こそ軌跡シリーズの醍醐味の一つ。さらに今作ではちょっとした表情のニュアンスや、目に浮かぶ涙など、細かな感情の表現もしっかり表れており、より物語への没入感を高めてくれます。
と、ここで気になるのが同じく新《VII組》のメンバーであるミュゼとアッシュ、そして囚われの身となったリィンの状況ですが、ちょうど良いタイミングで、彼らの現在が映し出されます。こういうところもニクいなと思いつつ、どのような場面で再会することになるのか、今から楽しみでもあります。
その後はユウナ、クルト、アルティナに、ランディを加えた4人でしばらく行動していくことになります。ランディも触ってみると、デスストームやベルゼルガ―など懐かしさを随所に感じさせられて、それが普通に楽しいです。こうした新旧のタイトルやキャラクターが違和感なく楽しめるというのも、やはりシリーズの魅力だなと改めて感じさせてくれました。
ストーリーについてあまり触れてしまうと楽しみが無くなってしまうので、ゲームシステムについても触れておきましょう。ただ、ベースとなる要素は変わらないので、そちらについては「閃の軌跡III」のプレイレポートを参照いただきつつ、新要素について紹介していきましょう。
通常の難易度であれば、装備やARCUSIIをしっかりと揃えておけば、通常戦闘時には通常攻撃だけで十分撃破できるようになってきて、より効率的に探索したいと思うこともあるでしょう。また、低難易度にしてメインストーリーだけを進めたいという人もいるのではないでしょうか。
そんな時に役立つ新機能として実装されたのがオートモード。戦闘中、タッチパッドを押すことで切り替わり、パーティキャラが高速で通常攻撃を自動実行してくれます。また、リンクを設定している場合にはリンクアタック発生時の追撃を自動で発動してくれるという優れものです。楽しみ方は人それぞれですが、これでまた一つ選択肢が広がったなという印象です。
また、軌跡シリーズファンにはおなじみのロストアーツが再び登場することに伴い、スロットも最大3段階まで開放できるようになります。また、サブマスタークオーツについては誰にでも何度でもセットできるようになりました。これまで通りまんべんなくセットして経験値を稼ぐのもよし、よりキャラクターと相性の良い組み合わせを意識するもよし、このあたりも選択の幅につながっていきそうです。
さらに、これまではリィンの専売特許だった騎神召喚に関しても、ユウナ、クルト、アルティナといった第II分校メンバーが戦闘中にそれぞれの機甲兵で攻撃できる「機甲兵召喚」がゲーム進行に応じて可能になっていきます。戦闘中に1回のみ、対人戦は使用できないなど制限はありますが、ピンチの局面では役立ってくれそうです。
そのほか、試練の箱と呼ばれる、キャラクターのブレイブオーダーを強化するための要素など、細かな要素を含めると正直挙げるとキリがないレベルで、今作からの要素があります。これは「閃の軌跡」から「閃の軌跡II」に移った時と同様、帝国内を冒険するという要素が大きいかもしれません。
最後に、本作がオートセーブに対応している点にも触れておきましょう。軌跡シリーズは一般的なRPGタイトルとは違い、フィールド上のどこでもセーブ・ロードが可能になっているのが特徴です。その自由さが嬉しいところではあったのですが、その反面、あまりに熱中しすぎてセーブを忘れてしまい…なんてこともよくあったのではないでしょうか。
今回、オートセーブができることで良い意味で気持ちを切らさずにプレイすることができそうです。もちろん、従来のセーブ機能もあるので両方活用しながらゲームを進めてもらえればと思います。
と、簡単にではありますが最序盤をプレイしてみてのポイントを紹介していきましたが、いかがだったでしょうか。
いろいろと説明を重ねてきましたが、筆者が何よりダイレクトに感じたのは、いわゆる大河的なシリーズ展開を見せるからこその積み重ねの面白さです。ストーリーの構築そのものに大きな変化はないのですが、「空の軌跡」から積み上げたこれまでの背景があるからこそ、その展開の一つ一つによりダイナミズムを感じさせてくれるのです。
ちょっとしたシーンにその背景を感じさせたり、特定の人同士のやり取りを見てニヤッとしたり…。その一方で、自分たちの力で歩もうとするユウナたち新《VII組》の物語単体でも十分に楽しめる、1つの作品としての力強さも持っています。
もちろん、軌跡シリーズのファンとしては、全てのシリーズに触れている方も、そうでない方もいることでしょう。前作「閃の軌跡III」に続き、今作でも過去のストーリーのフォローや世界観の紹介などをまとめたプレストーリーがゲーム中に用意されているほか、公式サイトでもイントロダクションとしてダイジェストを読むことができるので、オススメです。
リィンと《VII組》の行く末には何が待ち受けるのか、そして帝国での物語はいかなる結末を迎えるのか、ぜひ自身の目で確かめてみてください!